【2025速報】介護職の賃上げが緊急決定!?「医療・介護等支援パッケージ」の全貌と活用法

介護報酬の加算・減算介護施設の経営・運営改善

【2025速報】介護職の賃上げが緊急決定!?「医療・介護等支援パッケージ」の全貌と活用法

令和7年11月28日、政府は令和7年度補正予算案として、「医療・介護等支援パッケージ」および「重点支援地方交付金」を緊急措置として実施することを閣議決定しました。同日、厚生労働省より「介護保険最新情報Vol.1444」が発出され、令和8年度介護報酬改定を待たずに実施される緊急的な賃上げ・物価高対策の詳細が明らかになりました。

これにより、介護事業所は既存の処遇改善加算に加えて、さらなる賃上げ原資や物価高騰対策の補助を受けることが可能になります。

そこでこの記事では、令和7年度補正予算案に含まれた「医療・介護等支援パッケージ」と「重点支援地方交付金」の仕組み、そして現場がどのように活用できるのかを、厚労省の資料に基づいてわかりやすく解説します。

【30秒でわかる】今回の緊急支援ポイント
  • 目的: 人材流出防止のための緊急賃上げ & 物価高騰対策
  • 特徴: 令和8年度の報酬改定を待たずに実施
  • 仕組み: 国の「パッケージ」と自治体の「交付金」の併用(ダブル受給)が可能
  • 対象: 訪問介護、施設介護、通所介護(デイサービス)など全サービス(メニューや自治体により異なる)

※注意: 本記事は令和7年11月28日時点の厚生労働省事務連絡に基づいて作成しています。実際の補助金額や要件、実施時期は、国会での補正予算成立後、各自治体が決定・公表されるため、随時この記事を更新していきます。

新たな緊急支援「医療・介護等支援パッケージ」とは?

なぜ報酬改定を待たずに、賃上げ・物価高騰対策が実施されるのか

通常、介護職員の処遇改善は3年に一度の介護報酬改定のタイミングで行われ、前回の介護報酬改定が令和6年であったことを本来であれば次回は令和8年度の予定ではないのですが、現場の人材流出は「待ったなし」の状況です。

令和7年11月21日に閣議決定された「『強い経済』を実現する総合経済対策」では、介護分野において以下の4つの支援事業が打ち出されました。

医療・介護等支援パッケージの4つの支援事業

今回の支援パッケージは、以下の4つの事業で構成されています。それぞれの補助金額と対象条件を詳しく見ていきましょう。

医療・介護等支援パッケージの全体像

まず、医療・介護等支援パッケージの全体像を見ていきましょう。

既存の「処遇改善加算」とは何が違う?

今回の支援策は、既存の処遇改善加算(介護職員等処遇改善加算)とは別枠の緊急措置です。イメージとしては既存の加算にさらに上乗せされる形となります。

今回の緊急支援パッケージ 既存の処遇改善加算
実施時期 緊急措置(令和7年度補正〜) 恒久措置(毎月の介護報酬)
目的 人材流出防止、物価高対策 キャリアアップ、職場環境改善
申請先 各都道府県・市区町村
(公募形式の補助金)
各都道府県・市区町村
(体制届・計画書)
対象経費 賃上げ一時金、光熱費、ICT機器等 主に職員の給与

ここからはさらに4つの支援について、それぞれの内容を1つずつ詳しく解説します。

1. 介護分野における物価上昇・賃上げ等に対する支援

介護職員の人材流出を防ぐため、令和8年度の介護報酬改定を待たずに、賃上げや職場環境の改善を緊急的に支援します。

具体的な支援内容、および対象や金額は以下のとおりです。

支援内容 対象 金額
①介護従事者に対する幅広い賃上げ支援 処遇改善加算の対象サービスについては処遇改善加算を取していること
対象外サービス(訪問看護、訪問リハ、ケアマネ等)については処遇改善加算に準ずる要件を満たす(または見込みである)こと
1.0万円
②協働化等に取り組む事業者の介護職員に対する上乗せ 処遇改善加算の取得に加え、以下の要件を満たすこと
1.訪問、通所サービス等:ケアプランデータ連携システムに加入している(または見込みである)こと
2.施設、居住サービス、多機能サービス、短期入所サービス等:生産性向上加算Ⅰ又はⅡを取得している(または見込みである)こと
0.5万円
③介護職員の職場環境改善の支援
処遇改善加算を取得の上、職場環境等要件の更なる充足等に向けて、職場環境改善を計画し実施すること ※人件費に充てた場合、介護職員に対する0.4万円の賃上げに相当

上記の①〜③を全て満たすことで、最大1.9万円の賃上げに相当することになります。

その中でも、比較的対象となりうる事業所が多いのは①ですが、処遇改善加算については、経過措置の期限が令和7年3月末までとなっている要件があるため、この機会に改めて算定要件も確認しましょう。
以下の記事では、処遇改善加算の最新の要件と、経過措置の状況について解説しているので、ぜひ参考にしてください。

また、上記②の要件であるケアプランデータ連携や生産性向上推進体制加算についても、以下の記事でそれぞれ解説しています。

2. 介護事業所等に対するサービス継続支援事業

物価上昇の影響を受ける中で、介護事業所が必要なサービスを継続的に提供できるよう、運営経費を支援することを目的としていて、以下の3つの区分に分かれています。

区分 内容 主な使途 補助対象 補助基準額・補助率
①基本支援 物価高騰等の影響を受ける中で、事業継続性を確保するための基本的な支援 ・光熱費(電気・ガス・灯油)の高騰分補填
・食材料費の上昇分補填
介護サービスを提供する事業所 補助基準額: 定員1人あたり1.5万円
補助率: 10/10(都道府県負担率:国 10/10)
②移動経費 訪問系サービス等において、移動に係る経費(燃料費等)が増加している事業所への支援 ・燃料費(ガソリン・重油)の負担軽減 介護職員等が利用者宅等へ訪問する際の移動に係る経費が増加している事業所 訪問回数や移動距離に応じた燃料費の補助
③災害対策経費 災害時の避難先として、備蓄等の整備を行う事業所への支援 ・災害時の避難先としての備蓄整備(食料、飲料水、医薬品、衛生用品等) 災害時の避難先として指定されている、または指定される見込みの事業所 食料、飲料水、医薬品、衛生用品等の備蓄整備に係る経費

3. 介護テクノロジー導入・協働化・経営改善等支援事業

介護現場の生産性向上や経営の協働化を促進するため、ICT機器や介護ロボットの導入、業務改善の取り組みを支援することを目的としたものです。

区分 対象条件 主な使途
①ICT導入支援 ・介護サービスを提供する事業所
・記録から請求まで一気通貫で行える介護ソフトの導入を行う事業所
・介護記録システム、タブレット端末等のICT機器導入
・インカム等のコミュニケーション機器導入
・Wi-Fi環境整備
②介護ロボット導入支援 ・介護サービスを提供する事業所
・見守りセンサーや移乗支援機器等の介護ロボットを導入する事業所
・見守りセンサー(離床センサー等)
・移乗支援機器(リフト等)
・移動支援機器
・排泄支援機器
・入浴支援機器
③経営の協働化・大規模化支援 ・複数の介護事業所が連携・統合する場合
・経営の効率化や規模拡大を図る事業所
・法人合併や事業譲渡に係るシステム統合費用
・共同購買システムの導入
・業務効率化のためのコンサルティング費用
④業務改善支援 ・介護サービスを提供する事業所
・業務プロセスの見直しや効率化に取り組む事業所
・業務フロー改善のための専門家派遣
・生産性向上のための研修実施
・業務マニュアル作成支援

介護テクノロジーの導入にあたっては、介護のコミミに寄せられた1,000件以上の口コミによって選ばれた人気介護ソフトランキングや、補助金採択の実績がある見守りシステムを、それぞれ以下の記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

4. 訪問介護等サービス提供体制確保支援事業

訪問介護サービスの提供体制を確保するため、人手不足や燃料費高騰などの課題に対応する支援を行います。

項目 内容
補助金額 ・事業所の規模や提供するサービスの内容に応じて設定
・訪問回数や移動距離に応じた燃料費補助
・具体的な金額は各自治体の方針や予算により異なります
対象条件 ・訪問介護サービスを提供する事業所
・訪問看護、訪問リハビリテーション等の訪問系サービス事業所
・人手不足や燃料費高騰などの影響を受けている事業所
・ケアマネジメント(居宅介護支援)を提供する事業所
主な使途 ・訪問介護の人材確保・定着のための支援
・燃料費(ガソリン代等)の高騰分補填
・ケアマネジメントの提供体制確保
・訪問エリア拡大のための車両整備

なお、この訪問介護等サービス提供体制確保支援事業補助金については2025年にも実施されており、自治体ごとの実施状況や実績、具体的な補助内容や補助額を以下の記事で記載していますので、参考にすると良いでしょう。

いつから実施されるのか?

令和7年11月28日時点で、令和7年度補正予算案が閣議決定されました。ただし、国会での補正予算成立が前提となります。

厚生労働省は各都道府県・市区町村に対し、「可能な限り年内の予算化」を要請していますが、これはあくまで自治体の予算案作成についての要請です。

実施スケジュールの見込み:

  • 国会での補正予算成立(時期未定)
  • 各自治体での予算案作成・議会承認
  • 事業者への公募・申請受付開始
  • 補助金の交付決定・実施

実際の支援開始時期は、国会での予算成立時期と各自治体の議会スケジュールに大きく依存するため、現時点で「令和7年度内から実施」と断定することはできません。最新の情報は、必ずお住まいの都道府県・市区町村のホームページで確認してください。

「重点支援地方交付金」との併用が可能に

今回の事務連絡で最も強調されているのが、「医療・介護等支援パッケージ」と「重点支援地方交付金」は併用可能という点です。

なぜ併用できるのか?

令和7年11月28日付の厚生労働省事務連絡によれば、「『医療・介護等支援パッケージ』と『重点支援地方交付金』は事業の趣旨が異なっており、両方を実施することは可能」と明記されています。

支援策 目的 財源
医療・介護等支援パッケージ 賃上げ・人材確保の緊急ブースト、サービス継続支援 国(厚生労働省)の補正予算
重点支援地方交付金 エネルギー・食料品価格高騰への地域ごとの柔軟な支援 内閣府の交付金(自治体が使途を決定)

※この内容は内閣府地方創生推進事務局(重点支援地方交付金の所管)と協議済みであることも事務連絡に記載されています。

併用によるメリット

介護事業所にとって、これは「ダブルで支援を受けられる」可能性があります。

【想定される活用イメージ】

  • 医療・介護等支援パッケージ: 賃上げ、職場環境改善、ICT機器導入など
  • 重点支援地方交付金: 光熱費・燃料費・食材料費の高騰分補填など

このように、賃上げと経費補填の両面で支援を受けることで、経営の安定化と職員のモチベーション向上を同時に実現できる可能性があります。

※注意: ただし、同一の経費に対して複数の補助金を重複して申請できない場合があります。また、各自治体によって実施する事業メニューが異なるため、必ず事前に自治体に確認してください。

4つの支援事業をどう活用すべきか?

4つの支援事業は、それぞれ独立して申請できる可能性がありますが、複数の支援(補助金)を組み合わせて活用することで、より大きな効果が期待できます。

そこで、以下では代表的なサービス種別を例に、どのように活用できるかを、具体的に期待できる効果とともにみていきましょう。

※以下は想定される活用イメージであり、実際の補助金額や対象要件は、各自治体の実施要綱により異なります。必ず最新の公募情報を確認してください。

【想定される活用イメージ①】訪問介護事業所の場合

支援事業 想定される活用内容
①物価上昇・賃上げ支援 訪問介護職員への賃上げを実施。処遇改善加算に上乗せする形で支給
②サービス継続支援 ガソリン代・車両維持費の高騰分を補填。広域エリアをカバーする事業所の経費負担を軽減
④訪問介護等提供体制確保 新規職員の採用・研修費用を補助

期待される効果: 賃上げによる離職防止、燃料費補填による収益改善、新規採用による人手不足解消

【想定される活用イメージ②】特別養護老人ホームの場合

支援事業 想定される活用内容
①物価上昇・賃上げ支援 全職員を対象に賃上げまたは一時金を支給
②サービス継続支援 暖房用の灯油代、給食材料費の高騰分を補填
③テクノロジー導入支援 見守りセンサーと介護記録ソフトを導入し、業務効率化を図る

期待される効果: 職員の処遇改善、物価高騰への対応、業務効率化による労働環境改善

【想定される活用イメージ③】通所介護(デイサービス)の場合

支援事業 想定される活用内容
①物価上昇・賃上げ支援 介護職員・看護職員への賃上げを実施
②サービス継続支援 送迎車両の燃料費、食材費、光熱費(空調費)の高騰分を補填
③テクノロジー導入支援 タブレット端末とクラウド型介護ソフトを導入し、業務効率化を図る

期待される効果: 人材確保、経営安定化、ICT化による生産性向上

複数事業を活用する際の注意点

  • 申請窓口の確認: 4つの事業は申請窓口や締切が異なる場合があります。都道府県・市区町村のホームページで必ず確認しましょう
  • 使途の重複に注意: 同じ経費に対して複数の補助金を重複して申請できない場合があります。事前に自治体に相談することをおすすめします
  • 申請書類の準備: 各事業ごとに必要な書類(経費の証憑、事業計画書等)が異なります。早めの準備が成功の鍵です

事業者が今すぐやるべき3つのアクション

新たな支援策を最大限に活用するため、介護事業所が今すぐ取り組むべきアクションをまとめました。

アクション① 自治体からの情報を必ずキャッチする

最も重要なのは、地域ごとの情報収集です。

今回の支援は国の方針ですが、実際の予算化と実施は自治体(都道府県・市区町村)が実施します。そのため情報収集にあたって、以下の点を意識すると良いでしょう。

  • 道府県の介護保険担当課のホームページを定期的にチェック
  • 市区町村からの通知・説明会の案内を見逃さない
  • 介護関係団体(都道府県老施協、訪問介護協議会等)からの情報配信に登録

特に、説明会や申請受付の期限は自治体ごとに異なるため、早めの情報収集が成否を分けます。

アクション② 経費の記録を整理しておく

補助金申請には、事業所の状況を示す資料の提出が求められる可能性があります。ただし、厚生労働省の事務連絡では「各事業所が実際に記載する項目を極力少なくするよう自治体で工夫すること」が推奨されています。

整理しておくと良い情報の例:

  • 光熱費の請求書(電気・ガス・灯油など)
  • 食材費の請求書・領収書
  • 燃料費の記録(ガソリン・重油など)
  • 人材募集に関する支出記録

※注意: 実際に必要となる書類は各自治体の実施要綱により異なります。過度に複雑な準備をする前に、まず自治体の公募情報を確認することをおすすめします。

アクション③ 賃上げ計画の「素案」を作成する

「賃上げ支援が使えるなら、どのように配分するか?」を事前に検討しておくことが重要です。

検討ポイント:

  • 全職員一律で引き上げるか、職種・経験年数で差をつけるか
  • 基本給に反映させるか、一時金として支給するか
  • 賃上げと環境改善のバランス(例:賃上げ70%、設備投資30%)

理事会や経営会議で事前に方針を固めておくことで、補助金が決定した際に迅速に実行に移せます。

よくある質問(Q&A)

今回の緊急支援パッケージに関して、現場から多く寄せられる疑問をまとめました。

Q1. パートや派遣職員も賃上げ支援の対象になりますか?

A. 基本的には対象になると考えられますが、詳細は各自治体の公募要領によります。過去の類似の補助金では、常勤・非常勤を問わず、直接雇用されている職員が対象となるケースが一般的でした。

Q2. まだ申請は始まっていないのですか?

A. はい、令和7年12月8日時点ではまだ申請受付は始まっていません。国会での補正予算成立後、各自治体で予算化され、その後公募が開始される見込みです。

Q3. 「処遇改善加算」を算定していない事業所でも申請できますか?

A. 可能性はありますが、多くの賃上げ関連補助金では「処遇改善加算の算定」が要件となるケースが多いです。今のうちに処遇改善加算の取得・区分変更を検討しておくことを強くおすすめします。

Q4. 申請すれば必ずもらえますか?

A. 補助金は予算上限がある場合が多く、要件を満たしていても申請多数の場合は抽選や先着順になる可能性があります。情報のキャッチアップスピードが重要です。

まとめ:「ダブル活用」で現場を守る

今回の「医療・介護等支援パッケージ」は、令和8年度の報酬改定を待たずに実施される緊急措置であり、介護現場にとって久々の明るいニュースと言えます。

一方で、厚生労働省が「可能な限り年内の予算化」を求めていることからも分かる通り、この施策はスピード感を重視した緊急対応です。

情報が出てから動くのではなく、今から準備を始めることが、支援を確実に受け取るカギとなります。

「介護 賃上げ」の原資を確保し、職員のモチベーションを高め、利用者に質の高いサービスを提供し続けるために、パッケージと交付金の「ダブル活用」を、ぜひ積極的に検討してください。


【参考資料】
厚生労働省「介護保険最新情報Vol.1444」(令和7年11月28日)
https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2025/1201111502121/ksvol.1444.pdf

この記事の筆者・監修者

  • 伊藤証

    伊藤証

    「介護のコミミ」を運営する株式会社Giver Linkの執行役員CTO。介護のコミミの開発・運用を全般的に統括する傍ら、介護施設から行政まで多岐にわたる業界関係者にインタビュー活動を行う。スマート介護士Expert保有。

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