【速報】令和8年(2026年)介護報酬改定まとめ|論点と事業所への影響をわかりやすく解説

介護報酬の加算・減算介護施設の経営・運営改善

【速報】令和8年(2026年)介護報酬改定まとめ|論点と事業所への影響をわかりやすく解説

令和8年度介護報酬改定(期中改定)により、処遇改善に関する見直しが2026年6月、食費の基準費用額の見直しが2026年8月に施行されます。

介護報酬改定は3年に一度の実施が通例ですが、「『強い経済』を実現する総合経済対策」(令和7年11月21日閣議決定)を踏まえ、令和9年度改定を待たずに期中改定として実施されました。改定率は全体で+2.03%(国費+518億円)です。

処遇改善加算については、令和8年3月13日付で厚生労働省から基本的考え方・事務処理手順・新様式およびQ&A(第1版)が通知されており、届出や要件の解釈に必要な情報が出揃っています。

※本記事は厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」(社保審・介護給付費分科会 資料1)および介護保険最新情報 Vol.1479(令和8年3月13日付通知・Q&A第1版)に基づき作成しています。

この記事では、厚生労働省の告示・通知等の確定情報をもとに、介護事業所の管理者・経営者のみなさんが準備を進められるよう、改定の全体像と実務上のポイントを整理しています。

令和8年度介護報酬改定の最新情報は、介護のコミミのYouTubeチャンネルの以下の動画でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

令和8年度介護報酬改定の概要

令和8年度介護報酬改定の改定率・施行時期・処遇改善加算の制度詳細はすべて確定しています。令和8年3月13日には、処遇改善加算の取扱いについて基本的考え方・事務処理手順・様式例およびQ&A(第1版)が通知されました。

改定率と施行時期

令和8年度介護報酬改定における改定率は、全体で+2.03%の引き上げとなり、その内訳としては以下のようになります。

  • 介護職員の処遇改善分:+1.95%
  • 食費の基準費用額の引上げ:+0.09%

施行時期は、処遇改善に関する見直しが2026年6月、食費の基準費用額の見直しが2026年8月です。

出典:厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」(社保審・介護給付費分科会 資料1)/介護保険最新情報 Vol.1479(令和8年3月13日)「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)」・「介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)」

処遇改善加算の見直し

令和8年度改定の最大の柱が「処遇改善」であり、介護職員等処遇改善加算が大幅に見直されました。処遇改善に関する賃上げの目安と対象者は以下のようになります。

  • 介護従事者全体を対象に月額1.0万円(3.3%)の賃上げ
  • 生産性向上・協働化に取り組む事業者の介護職員には月額0.7万円(2.4%)の上乗せ

上記の合計で、介護職員については最大月額1.9万円(6.3%)(定期昇給0.2万円込)の賃上げが実現します。

また、処遇改善加算について、2026年6月施行の令和8年度介護報酬改定では以下の制度変更が行われます。

  • 対象の拡大:介護職員のみ → 介護従事者
  • 上乗せ区分の新設:生産性向上・協働化に取り組む事業者向けに、加算Ⅰ・Ⅱで上乗せ後の区分(Ⅰイ/Ⅰロ、Ⅱイ/Ⅱロ)を設定
  • 新設対象サービス:訪問看護(1.8%)、訪問リハビリテーション(1.5%)、居宅介護支援・介護予防支援(2.1%)に処遇改善加算を新設
  • 令和8年度特例要件:生産性向上・協働化の取組(ア〜ウのいずれか)を満たす場合に上乗せ区分を算定可能とし、申請時点では加入/取得の誓約で算定可能とする配慮措置

新要件の追加と加算率の上乗せ

令和8年度介護報酬改定(2026年6月施行)では、介護職員等処遇改善加算に「生産性向上や協働化の取組」という要件が追加され、これを満たす事業者向けに加算Ⅰ・Ⅱで上乗せ後の区分(Ⅰロ/Ⅱロ)が設けられました。

この要件を満たすにあたって、令和8年度特例要件として、以下のア~ウのいずれかを満たす必要があります。

また、事務負担への配慮措置として、加算の申請時点では加入又は取得の誓約で算定可能とされています(誓約の場合、令和9年3月末までに対応を完了する必要があります)。

これらの取組を実施することで、介護職員等処遇改善加算の加算率が上乗せされ、より手厚い処遇改善が可能となります。

加算区分ごとの取得要件

処遇改善加算の各区分を取得するために必要な要件は以下のとおりです。

要件 加算Ⅳ 加算Ⅲ 加算Ⅱ(イ) 加算Ⅰ(イ) 上乗せ(ロ)
賃金体系等の整備・研修の実施等(キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ)+加算Ⅳ相当額の1/2以上を月額賃金で配分
職場環境の改善(職場環境等要件)
昇給の仕組み(キャリアパス要件Ⅲ)
改善後賃金年額440万円(キャリアパス要件Ⅳ)
経験・技能のある介護職員(キャリアパス要件Ⅴ)
生産性向上・協働化の取組(令和8年度特例要件ア~ウ)

※「◎」は、「○」に比べより高い水準の取組が求められることを示します。上乗せ区分(ロ)で令和8年度特例要件を満たした場合、キャリアパス要件Ⅰ~Ⅳおよび職場環境等要件は令和8年度中の対応の誓約でも可とされています。

出典:厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」(社保審・介護給付費分科会 資料1)

加算の対象範囲の拡大

令和8年度介護報酬改定(2026年6月施行)では、介護職員等処遇改善加算の対象サービスが拡大し、これまで対象外だった一部サービスに新たに処遇改善加算が新設されました。

具体的には、以下のサービスが新たに対象となり、加算率も確定しています。

  • 訪問看護:1.8%
  • 訪問リハビリテーション:1.5%
  • 居宅介護支援・介護予防支援:2.1%

新たに対象となるこれらのサービスは、加算Ⅳに準ずる要件(キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱおよび職場環境等要件)または令和8年度特例要件により算定できます(申請時点は令和8年度中の対応の誓約でも可)。

なお、令和6年3月の処遇改善加算に係る通知は、令和8年3月31日をもって廃止され、令和8年度の届出から新通知が適用されます。

出典:厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について

サービス別の加算率一覧

令和8年度改定後の介護職員等処遇改善加算の加算率は以下のとおりです。介護予防サービスについても「★」が付されたサービスは同様の措置が講じられます。

サービス区分 Ⅰイ Ⅰロ Ⅱイ Ⅱロ
訪問介護 27.0% 28.7% 24.9% 26.6% 20.7% 17.0%
夜間対応型訪問介護・定期巡回・随時対応型訪問介護看護 26.7% 27.8% 24.6% 25.7% 20.4% 16.7%
訪問入浴介護★ 12.2% 13.3% 11.6% 12.7% 10.1% 8.5%
通所介護 11.1% 12.0% 10.9% 11.8% 9.9% 8.3%
地域密着型通所介護 11.7% 12.7% 11.5% 12.5% 10.5% 8.9%
通所リハビリテーション★ 10.3% 11.1% 10.0% 10.8% 8.3% 7.0%
特定施設入居者生活介護★・地域密着型特定施設入居者生活介護 14.8% 15.9% 14.2% 15.3% 13.0% 10.8%
認知症対応型通所介護★ 21.6% 23.6% 20.9% 22.9% 18.5% 15.7%
小規模多機能型居宅介護★ 17.1% 18.6% 16.8% 18.3% 15.6% 12.8%
看護小規模多機能型居宅介護 16.8% 17.7% 16.5% 17.4% 15.3% 12.5%
認知症対応型共同生活介護★ 21.0% 22.8% 20.2% 22.0% 17.9% 14.9%
介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設・短期入所生活介護★ 16.3% 17.6% 15.9% 17.2% 13.6% 11.3%
介護老人保健施設・短期入所療養介護(老健)★ 9.0% 9.7% 8.6% 9.3% 6.9% 5.9%
介護医療院・短期入所療養介護(医療院)★・短期入所療養介護(病院等)★ 6.2% 6.6% 5.8% 6.2% 4.7% 4.0%

※処遇改善加算を除く加減算後の総報酬単位数に上記の加算率を乗じます。加算率はサービスごとの常勤換算の職員数に基づき設定されています。

また、新たに処遇改善加算が設けられたサービスの加算率は以下のとおりです。

サービス区分 加算率(新設)
訪問看護★ 1.8%
訪問リハビリテーション★ 1.5%
居宅介護支援・介護予防支援 2.1%

出典:厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」(社保審・介護給付費分科会 資料1)

令和8年度介護報酬改定での改定後の処遇改善の構造比較

食費の基準費用額の見直し

食費の基準費用額は、1日あたり1,445円 → 1,545円+100円)に引き上げられます。低所得者の負担限度額(食費)は所得区分に応じて以下のとおりです。

利用者負担段階 改定前(~令和8年7月) 改定後(令和8年8月~) 増減
第1段階 300円/日 300円/日 据え置き
第2段階 390円/日 390円/日 据え置き
第3段階① 650円/日 680円/日 +30円
第3段階② 1,360円/日 1,420円/日 +60円
第4段階 全額利用者負担(施設との契約により設定)

出典:厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」(社保審・介護給付費分科会 資料1)

あわせて、介護保険部会での議論を踏まえ、所得段階間の均衡を図る観点からの負担限度額の見直しも実施されます。補足給付の対象となる低所得者については、食費に加え居住費の基準費用額・負担限度額も令和8年8月から見直され、居室の形態(多床室・個室等)ごとの日額が定められています。詳細は上記出典PDFの「補足給付(低所得者の食費・居住費の負担軽減)の仕組み」を参照してください。

(参考)診療報酬の令和8年度改定では、入院時の食費基準額を40円/食引き上げる措置が講じられ(令和8年6月~)、低所得者については所得区分等に応じ患者負担を20円~40円/食引き上げる配慮が示されています。

なお、処遇改善に関しては報酬改定を待たずに実施される緊急的な賃上げ・物価高対策として令和7年度補正予算が成立し、『医療・介護等支援パッケージ』が実施されることとなりました。

生産性向上・ICT・DX

「推進」から「要件化」へ

令和8年度介護報酬改定(2026年6月施行)では、処遇改善加算の上乗せ区分(加算Ⅰロ/Ⅱロ)を算定するための要件として、生産性向上・協働化の取組が正式に位置づけられました。具体的な要件(令和8年度特例要件ア〜ウ)については、上記の処遇改善加算の見直しで解説しています。

いま準備しておくと強いこと

介護記録の電子化、見守り機器やインカム等の活用、業務改善の体制づくり(委員会・プロジェクト等)、協働化(共同購入・事務処理の集約等)を「運用」まで落とし込むことが重要です。

令和9年度改定に向けて

令和9年度介護報酬改定では、「介護事業経営実態調査」等で経営状況を把握した上で、物価・賃金の上昇等を適切に反映するための対応が実施されます。あわせて、介護給付の効率化・適正化への取組や、有料老人ホームに関する制度改正を踏まえたサービス提供形態に応じた評価の在り方の検討が予定されています。

介護事業所への影響と準備すべきポイント

介護事業所への影響と準備すべきポイント

最後に、令和8年度介護報酬改定による介護事業所への影響と準備すべきポイントを整理します。

早めに準備を進めることで、改定後の変化にスムーズに対応できますので、ぜひ参考にしてください。

介護事業所への主な影響

変更点 主な影響
処遇改善 処遇改善加算の対象が介護従事者全体に拡大され、加算率が引き上げられます。生産性向上・協働化に取り組む事業者には上乗せ区分(Ⅰロ/Ⅱロ)が新設されました。また、補助金(医療・介護等支援パッケージ)による賃上げ支援も実施されています。
新設サービス 訪問看護(1.8%)、訪問リハビリテーション(1.5%)、居宅介護支援・介護予防支援(2.1%)に処遇改善加算が新設されました。
食費(基準費用額) 令和8年(2026年)8月から、食費の基準費用額が1日あたり1,445円→1,545円(+100円)に引き上げられます。低所得者は区分に応じて据え置き又は日額30〜60円の引き上げとなり、利用者への説明対応が必要です。
経過措置・誓約 処遇改善加算等の一部要件には経過措置(期限設定)があるため、早めのチェックが重要です。生産性向上・協働化の取組等は「加算の申請時点では加入又は取得の誓約で算定可能」とされていますが、誓約の場合は令和9年3月末までに対応を完了する必要があります。

令和8年度介護報酬改定に対応するための準備

令和8年度介護報酬改定にスムーズに対応するために押さえておくべきポイントは以下の4点です。

処遇改善加算の体制届出は、4月分から算定する場合は4月1日(自治体により4月15日まで可)、処遇改善計画書は4月・5月分は4月15日、6月以降から算定する場合は6月15日が提出期限です。実績報告書は翌年度7月末(令和8年度分は令和9年7月31日)が提出期限です。

1.加算一覧の把握

まずは、自事業所が現在算定している加算を一覧化し、それぞれの要件や算定状況を整理しておくことが重要です。今回の改定で加算率が変更されたもの、上乗せ区分が新設されたものを確認し、届出の要否を判断しましょう。

以下では、加算・減算の一覧をサービス種別ごとにまとめているので、ぜひご活用ください。

2. ICT・DXの導入検討

令和8年度改定では生産性向上・協働化の取組が処遇改善加算の上乗せ要件に組み込まれました。見守り機器や記録ソフト、介護ロボットなどの導入を検討し、補助金の活用も視野に入れながら準備を進めることで、上乗せ区分(Ⅰロ/Ⅱロ)の算定にスムーズに対応できます。

また、介護のコミミでは、独自に寄せられた1,000件以上の口コミによって選ばれた人気介護ソフトランキングや、補助金採択の実績がある見守りシステムを、それぞれ以下の記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

3. 経過措置の確認

処遇改善加算等では、一部要件に経過措置(期限設定)があるため、自事業所がどの経過措置に該当するか期限を早めに確認しておくことが重要です。生産性向上・協働化の取組等は「加算の申請時点では加入又は取得の誓約で算定可能」ですが、誓約の場合は令和9年3月末までに対応を完了する必要があります。

4. 最新情報の定期チェック

令和8年度改定の主要な制度内容は確定していますが、Q&Aの追加版や運用上の解釈が今後公表される場合があります。当記事も追加情報が出次第更新していきますので、定期的にチェックしてご活用ください。処遇改善加算の届出・要件については、厚生労働省コールセンター(050-3733-0222、9:00~18:00・土日祝日含む)でも問い合わせできます。

まとめ

令和8年度介護報酬改定(期中改定)は、改定率+2.03%で確定し、処遇改善に関する見直しは2026年6月、食費の基準費用額の見直しは2026年8月に施行されます。処遇改善加算は対象が介護従事者全体に拡大され、生産性向上・協働化に取り組む事業者向けの上乗せ区分(Ⅰロ/Ⅱロ)が新設されたほか、訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援等にも処遇改善加算が新たに設けられました。サービス別の加算率・取得要件も確定しています。

事業所としては、自事業所の加算算定状況の整理、上乗せ区分の算定に向けたICT・DX導入の検討、経過措置・誓約期限(令和9年3月末)の確認を早めに進めることが重要です。

この記事の筆者・監修者

  • 伊藤証

    伊藤証

    「介護のコミミ」を運営する株式会社Giver Linkの執行役員CTO。介護のコミミの開発・運用を全般的に統括する傍ら、介護施設から行政まで多岐にわたる業界関係者にインタビュー活動を行う。スマート介護士Expert保有。

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