【2024年最新】介護ロボットの導入事例10選!課題や種類、メリットも解説

介護ロボット・センサーの選び方

【2024年最新】介護ロボットの導入事例10選!課題や種類、メリットも解説
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介護ロボットを導入すればどんな効果があるんだろう?職員の感想やコストも知りたい

このような疑問にお答えしていきます。

介護ロボットの導入事例からは「介護ロボットの課題」や「改善ポイント」を知ることができます。

しかし、インターネットで導入事例を探しても欲しい情報が見つからなかったり、メーカーが公開している「中立的ではない導入事例」が多かったりします。

そこで、本記事では厚労省が発表している介護ロボットの導入事例から、特に参考になりそうな導入事例を製品別でまとめました。

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今回の内容

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介護ロボットとは?

介護ロボットとは、高齢者などの介護ケアをより円滑に行うためにサポートしてくれるロボットのことをいいます。

介護業界は現在、人手不足など慢性的な課題を抱えており、業務効率が上がらない現状もあります。

そのため、国も介護ロボットを活用することを勧めており、導入するための補助金などの制度が設けられるようになりました。

今後、ますます介護ロボットは高齢者や介護事業者、スタッフにとって身近なものとなっていくでしょう。

介護ロボットはなぜ必要とされているか

介護業務の改善には介護ロボットの導入が効果的です。

これにより介護者の身体的および精神的負担が軽減されるだけでなく、要介護者自身が感じる心理的負担も和らげることができます。

特に介護職員不足が深刻な日本では、人手不足を解消する手段として積極的に活用されてきています。

介護ロボットは課題ありきで導入する

介護ロボットは業務改善の1つの手段であり、課題と目的が不明な状態での導入は失敗の原因となります。

まずは施設課題を現場職員から抽出し、目的を整理したうえで選ぶことが重要となります。

  • 初めて介護ロボットの導入を検討している方
  • 施設課題が不明確な方
  • 業務効率化したいけど何からすればいいのかわからない方

 

上記に当てはまる場合は、まずこちらの記事をご覧ください!

普及しない理由と現状の課題

介護ロボットが普及しづらい現状があるのも事実です。

介護ロボットが普及しない理由としては、以下のような原因が挙げられます。

  • コストがかかる
  • 利用者・家族に抵抗がある
  • スタッフがデジタルに慣れていない

上記の理由から、今後の課題としては、利用者やスタッフが安心して利用できるような環境をつくっていくということが大切であると考えられます。

利用者やスタッフの感じる不安は情報不足が原因であることも考えられるため、今後は正しく介護ロボットのメリットを理解してもらえるような取り組みが必要となるでしょう。

また、スタッフが簡単に操作できるような「使いやすさ」にも重点をおく必要があります。

介護ロボットの種類

介護現場で活用できる介護ロボットは現在さまざまな商品が開発されています。

その利用目的や機能は、さまざまですが大きく3つの種類にわけることができます。

そこで、ここからは介護ロボットの種類3つを詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

介護支援型

介護支援型のロボットは、その名の通り介護ケアをサポートしてくれる介護ロボットになります。

移乗介助や排泄介助など、これまで介護者に大きな負担のかかっていた介助をスムーズに行えるようにサポートしてくれます。

心身の負担軽減は介助者だけではありません。

要介護者にとっても、介護ロボットを活用することで安心して身を任せることができるようになるのです。

自立支援型

自立支援型と介護支援型ロボットの違いは、その目的にあります。

介護支援型ロボットの目的が介護ケアのサポートであることに対し、自立支援型ロボットは「高齢者の自立支援をサポート」する介護ロボットになります。

高齢者が歩行や食事など、日常生活がスムーズに行えるようにサポートするのです。

活用することにより、自立した状態を目指した生活を続けることができます。

コミュニケーション型・セキュリティ型

コミュニケーション型ロボットは、その名の通りコミュニケーションがとれる介護ロボットのことをいいます。

コミュニケーションがとれることで、高齢者の孤独感を軽減したり、認知症予防効果が期待できたりします。

人とさまざまなコミュニケーションがとれる機能が搭載されており、活用することで生活に刺激ができたり、癒しになったりする優れものです。

また、最近では高齢者の見守りをしてくれるセキュリティ型のロボットも販売されています。

コミュニケーション機能とセキュリティ機能が一緒になった介護ロボットもあります。

介護ロボットを導入するメリット

介護現場に介護ロボットを導入するメリットは多いです。

導入に悩む方は、具体的にどのようなメリットがあるのか知りたいものだと思います。

そこで、ここからは介護ロボットを導入するメリットを解説していきます。

スタッフの負担軽減

介護現場の課題でよく挙がるのがスタッフ一人ひとりの負担が重いという点です。

特に多忙で人手が足りていない介護現場などでは、スタッフ一人がこなす身体的介助の量が増え、それが大きな負担になってしまうということもあります。

しかし、移乗介助などをサポートしてくれる介護ロボットを使うことで、その身体的な負担を軽減することができます。

介護業務の効率化

介護現場で、多忙で業務がまわらないという悩みを抱えている事業者やスタッフは多いものです。

特に、夜間などはスタッフが少人数になるため、利用者の安全確保のための巡視などに時間がかかってしまうこともあります。

しかし、見守り機能がついている介護ロボットなどを活用することで、その時間を短縮させることができる可能性が高いでしょう。

介護ロボットの活用は介護業務の効率化に繋がります。

要介護者の心的負担軽減

要介護者である利用者の中には、スタッフに「お世話」してもらうことに申し訳なさを感じている方もいます。

そうした心理からスタッフにお願いしたくても、できなくて辛い思いをするケースもあります。

しかし、介護ロボットを活用することで、利用者が気軽にサポートを受けることができ、結果、心的負担の軽減に繋げることが可能です。

介護ロボットの導入事例10選

本記事の内容は、厚生労働省が中心となって調査した結果をもとに作成しています。

気になる方はこちらから原文をお読みいただければと思いますが、本記事では「結局どんな導入効果があり、コストに見合った製品なのか」をすぐに判断できるよう独自の視点を交えながら作成しています。

また、今回取り上げる介護ロボットの種類は以下の通りですが、一通り網羅できるよう1種類に対し1~2製品の導入事例を説明していきたいと思います。

介護ロボットの種類

移乗支援/排泄支援/見守り支援/入浴支援/機能訓練支援/服薬支援/認知症セラピー支援

それでは見ていきましょう。

【移乗支援】マッスルスーツ

イノフェス社がリリースしているマッスルスーツは移乗支援用の介護ロボットです。

社会福祉法人郡山福祉会が導入し、効果を検証しています。

製品の概要と目的

腰への負担を軽減することが目的の装着型介護ロボットです。

本体重量は4.7kg、肝心の補助力は25kgです(空気量の調整で補助力の調整が可能)

装着時間は10秒程度を想定しているため、常に装着している必要はなく、シーツ交換やおむつ交換の際に装着して使います。

主な機能

・空気圧式mcKibben型人工筋肉で25~35kgfの補助力

・軽量かつ簡易な構造

・水中でも動作可能

・収縮性あり(最大全長の30%程度)

使用している様子

※引用元 介護ロボット導入活動事例集(http://www.techno-aids.or.jp/robot/file29/jirei2017.pdf)

どんな効果があったのか

主な効果は腰痛の軽減でした。

実際に使用した職員からは次のような感想がありました。

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職員A

腰を痛めて休むことが少なくなりました

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職員B

腰への負担を考えたら、装着時間がもったいないという発想はないです

コストパフォーマンスは?

メーカー小売希望価格は1台60万円です。

さて、コストパフォーマンスについて計算してみましょう。

耐用年数は公開されていませんが、他の介護ロボットの耐用年数は5年~6年が多いため、本記事では5年として考えます。

つまり、60万円の費用を支払うことで、5年間使用できることとします。

もし月換算した場合、月1万円程度で使用することができます。

コスパ

60万円 ÷ 60か月 = 月換算1万円

マッスルスーツであれば10秒〜30秒程度で脱着可能であるため、使用する職員の数に制限がありません。

そのため、腰痛に悩まされる職員が多ければ、コストパフォーマンス面からも導入メリットを感じられるでしょう。

また、マッスルスーツ導入には話題性があるため、求人活動にも役立てられるという声もあります。

コメント

マッスルスーツのような装着型の介護ロボットを導入することにより、「腰が楽になった!」という声は非常に多いです。

しかし、スーツ脱着に10秒~30秒程度しかかからないものの、介護職員の中にはそれすら煩わしいと感じる人もいます。

他の介護ロボットにも言えることですが、導入前に職員に試してもらうことが重要だと考えられます。

他の製品

HAL・スマートスーツEX・パワーアシストスーツ 他

【移乗支援】離床アシストベッド「リショーネ」

パナソニックエイジフリー社がリリースしているリショーネは移乗支援用の介護ロボットです。

社会医療法人財団白十字会が導入し、効果を検証しています。

製品の概要と目的

電動ケアベッド電動車いすが一体になった介護ロボットです。

車いすはフルリクライニングが可能となっており、車いすをフルフラットにした状態でベッドにぴったりと横づけすることができます。

介護者1人でもスムーズかつ安全に移乗・離床できることを目的としています。

主な機能

・電動ケアベッドは3モーター(背上げ・足上げ・高さ調節)を実装

・ベッドの半分(車いす部分)が電動フルリクライニングとして分離

使用している様子

※引用元 介護ロボット導入活動事例集(http://www.techno-aids.or.jp/robot/file29/jirei2017.pdf)

どんな効果があったのか

主な効果は介護職員の負担軽減、利用者の状態改善です。

実際に使用した職員からは次のような感想がありました。

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こみたろう

1人介助が可能になり、身体的・精神的負担が軽減できたので、重要介護者の受け入れにも積極的になりました。

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こみすけ

利用者によってはベッドから車いすへの移乗を断念することもありましたが、リショーネはそれを改善してくれました

コストパフォーマンスは?

販売価格は1台90万円です。

さて、コストパフォーマンスについて計算してみましょう。

耐用年数は5年として考えます。

つまり、90万円の費用を支払うことで、5年間使用できることとします。

もし月換算した場合、月1万円程度で使用することができます。

コスパ

90万円 ÷ 60か月 = 月換算1.5万円

主に、寝たきり状態の重度要介護者を対象としていますが、今まで2人がかりで行っていた介助が1人で完結するため、1人あたりの時間は大幅に短縮することができます。

また、時間の削減だけではなく、身体的・精神的な面でも負担軽減になるため、その部分はコスパを考える上でポイントになりそうです。

コメント

リショーネの素晴らしいところは、介護者の負担を減らすだけではなく、利用者にとってもメリットが大きいということです。

介助される側にとっても、楽に移乗できることで負担軽減になり、表情が明るくなったり、居室から出る機会が増えたという声も多いです。

他の製品

ロボヘルパーSASUKE、HugT1、移乗ケアアシスト 他

【排泄支援】排泄予測デバイス「DFree」

トリプル・ダブリュー・ジャパン社がリリースしているDFreeは排泄支援用の介護ロボットです。

社会福祉法人聖寿会が導入し、効果を検証しています。

製品の概要と目的

介助者に対し、排尿のタイミングを事前に知らせてくれる製品です。

センサーを膀胱の前(恥骨の2センチ上)に固定することで、「そろそろ出そう」「出たかもしれない」などの排尿前後のタイミングで通知します。

トイレ介助の負担軽減と、利用者自身の排泄自立を目的としています。

本体重量は合計91g、充電すれば24時間稼働できます。(満充電には4時間必要)

主な機能

・膀胱の位置を把握する機能(アジャストモード)搭載。LEDライトの点灯により正しい位置かどうかを判別可能

・排尿のタイミングを超音波で検知し、端末に通知

使用している様子

※引用元 介護ロボット導入活動事例集(http://www.techno-aids.or.jp/robot/file29/jirei2017.pdf)

どんな効果があったのか

人件費・消耗品費(おむつ費・パット費)の削減効果がありました。

実際に使用した職員からは次のような感想がありました。

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職員A

日中はオムツではなくトイレでの排泄が可能となりました。

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職員B

介護職員の排泄ケアに関する意識を変えることができました。

コストパフォーマンスは?

価格はセンサー1台あたり月額1万円です。(センサーから通知を受け取るためのiPadは別途必要となります。)

さて、ベンダーであるトリプル・ダブリュー・ジャパン社曰く、介護現場においては約25%の費用(人件費・排泄ケア)のために費やされているそうです。

コスパを考える上では、いかに排泄ケアにかかる費用や労力を削減できるかがポイントになりそうです。

コメント

DFreeの特徴は、排尿前でも通知してくれるということです。

排尿後を知らせる機器は他にもありますが、DFreeは排尿前の「そろそろでそう」を通知してくれるため、排泄自立を支援することに適しているといえます。

その点から、QOL(生活の質)を向上させることに一役買ってくれる介護ロボットだと考えています。

他の製品

リリアムα-200他 他

【見守り支援】シルエット見守りセンサ

キング通信工業社がリリースしているシルエット見守りセンサは見守り支援用の介護ロボットです。

社会福祉法人友愛十字会が導入し、効果を検証しています。

製品の概要と目的

シルエット見守りセンサは、利用者のベッド上での行動(起き上がり・はみ出し・立ち上がり・離床)の動作をそれぞれ検知し、タブレット端末にシルエット画像でお知らせすることができます。

通知はすべてシルエット画像となるため、利用者個人の服装などの情報を含まないのが特徴です。(プライバシーに配慮しています)

主な機能

・起き上がり、立ち上がり、はみだし、離床のそれぞれの動作を区分して検知

・検知の条件を設定可能

・区分に応じた音とアイコンとともにシルエット画像でタブレット端末に通知

使用している様子

▲シルエット画像

※引用元 介護ロボット導入活動事例集(http://www.techno-aids.or.jp/robot/file29/jirei2017.pdf)

どんな効果があったのか

職員の負担軽減や、未然に利用者の怪我を防ぐ効果がありました

実際に使用した職員からは次のような感想がありました。

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職員A

夜間の介入のタイミングが掴みやすくなり、業務の負担軽減につながりました。

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職員B

ただの寝返りか緊急性のあるものか判断でき不要な訪室が減ってきています。

コストパフォーマンスは?

価格は1台あたり30万円です。

さて、コストパフォーマンスについて計算してみましょう。

耐用年数は5年として考えます。

つまり、30万円の費用を支払うことで、5年間使用できることとします。

もし月換算した場合、月5千円程度で使用することができます。

コスパ

30万円 ÷ 60か月 = 月換算5千円

居室毎に設置するため、1室あたり月換算5千円という計算になります。

コスパを考える上では、いかに不要な訪室を減らし、介護職員の負担削減ができるかがポイントになるでしょう。

コメント

画像で利用者状況を確認できることは安心感につながります。

見守りセンサーは他にもありますが、寝返りだけで通知が飛んだり、利用者が動いていないにも関わらず通知が飛んだり(誤作動)と、精度が悪いために振り回される施設も少なくありませんでした。

その点において、画像でも利用者状況を確認できるため、無駄な訪室を防ぐことができます。

他の製品

3次元電子マット式見守りシステム 他

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【見守り支援】エンジェル・アイ

イトデンエンジニアリング社がリリースしているエンジェル・アイは見守り支援用の介護ロボットです。

宝寿の郷が導入し、効果を検証しています。

製品の概要と目的

画像の左からセンサ、ネットワークカメラ、コールボタンで3点1セットとなります。

居室内に設置したセンサが感知した情報はパソコンや携帯端末で確認できます。

優先LANまたは無線LANを通じ、画像付きでスマートフォンにポップアップ表示もしくは画像付きのメールで通知することもできます。

利用者の行動目的を知り、事故を防ぐことが目的です。

主な機能

・センサーは5種類を搭載(赤外線、画像処理、温度、音検知、押しボタン式)

・センサーで検知した携帯端末やパソコンから確認

・押しボタン式センサーからの信号は、介護者にメール送信(画像あり)

・カメラ越しに双方向通話

使用している様子

※引用元 介護ロボット導入活動事例集(http://www.techno-aids.or.jp/robot/file29/jirei2017.pdf)

どんな効果があったのか

職員の負担軽減や、未然に利用者の怪我を防ぐ効果がありました

実際に使用した職員からは次のような感想がありました。

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職員A

利用者の夜間の様子が把握でき、サービス向上につなげることができました。

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職員B

一目で利用者の状態がわかり、体調の変化などにもすぐに気が付くことができました

コストパフォーマンスは?

価格は1台あたり6万円です。

さて、コストパフォーマンスについて計算してみましょう。

耐用年数は5年として考えます。

つまり、6万円の費用を支払うことで、5年間使用できることとします。

もし月換算した場合、月1千円程度で使用することができます。

コスパ

6万円 ÷ 60か月 = 月換算1千円

居室毎に設置しますが、1室あたり月1千円で利用可能です。

コスパを考える上では、職員の負担軽減と、利用者の事故リスクをどれくらい削減できるかがポイントになってきます。

コメント

こちらの製品も画像で状況を確認することができるため、無駄な訪室を防ぐことができます。

また、比較的コストが安いため、設置したい居室数が多い場合にコスト面で他センサーと比べて優位になるでしょう。

他の製品

3次元電子マット式見守りシステム 他

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【入浴支援】新型ナノミストバスベッドタイプ

EINS社がリリースしているナノミストバスベッドタイプは入浴支援用の介護ロボットです。

岡山デイナーシング看護協会が導入し、効果を検証しています。

製品の概要と目的

ベッド横まで浴槽を移動することができ、寝たままでの入浴が可能です。

入浴にはミストを使用することで、使用水量をペットボトル1本分(500ml)に抑えることができる上、給排水設備の工事が不要です。

主な機能

・ベッドサイドへ浴槽移動が可能

・超微細なミスト(500ナノ)

・浴槽内の温度設定が可能(38度・40度・42度・45度)

使用している様子

※引用元 介護ロボット導入活動事例集(http://www.techno-aids.or.jp/robot/file29/jirei2017.pdf)

どんな効果があったのか

職員の負担軽減や、入浴が困難な利用者でも入浴できる効果がありました。

実際に使用した職員からは次のような感想がありました。

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職員A

気管切開の方にもお使いいただいています。ご家族の方からも温まっているというフィードバックがあります

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職員B

皮膚の湿潤傾向があがり、軟膏をつけなくて良くなりました

コストパフォーマンスは?

価格は1台あたり200万円です。

さて、コストパフォーマンスについて計算してみましょう。

耐用年数は5年として考えます。

つまり、200万円の費用を支払うことで、5年間使用できることとします。

もし月換算した場合、月3万3千円程度で使用することができます。

コスパ

200万円 ÷ 60か月 = 月換算3万3千円

1台あれば複数利用者が使用可能です。

コスパを考える上でポイントになるのは、給排水工事が不要であること、少ない水分量で入浴が可能なこと、入浴が困難な利用者でも使用することです。

コメント

ナノミストバスベッドタイプの対象者は全利用者ではなく、対象者を選別して使用することになります。

担当者会議などで使用の有無を判断し、目的や方法(設定温度など)を考えながら使用していく必要があります。

他の製品

バスリフト、Wells、美浴シリーズ 他

【機能訓練支援】歩行リハビリ支援ツールTree

リーフ社がリリースしている歩行リハビリ支援ツールTreeは入浴支援用の介護ロボットです。

医療法人和同会が導入し、効果を検証しています。

製品の概要と目的

利用者の身体的・精神的負担の軽減、モチベーションアップ及び介助者の業務効率化が目的の製品です。

また、利用者にとって楽しんで歩行できることをコンセプトにしている製品です。

取っ手をつかむだけで歩行訓練を始めることができる手軽さが特徴です。

音声や映像でアナウンスが流れるため、まるで介護ロボットが一緒に歩いてサポートしてくれる感覚になります。

主な機能

・練習データを利用者個別で蓄積し、結果データをグラフ表示可能

・映像指示、音声指示で歩行ガイド

・連続動作で3時間稼働(充電は10時間)

使用している様子

※引用元 介護ロボット導入活動事例集(http://www.techno-aids.or.jp/robot/file29/jirei2017.pdf)

どんな効果があったのか

歩行訓練の質を高める効果がありました。

実際に使用した職員からは次のような感想がありました。

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職員A

利用者へデータを共有できるので、共に目標設定をすることができ、効果を高められます

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職員B

歩き方が見違えるほど良くなっていると、利用者様に喜んでいただくことができました

コストパフォーマンスは?

価格は1台あたり330万円です。

さて、コストパフォーマンスについて計算してみましょう。

耐用年数は5年として考えます。

つまり、330万円の費用を支払うことで、5年間使用できることとします。

もし月換算した場合、月5万5千円程度で使用することができます。

コスパ

330万円 ÷ 60か月 = 月換算5万5千円

1台あれば複数利用者が使用可能です。

コスパを考えるポイントは、Treeから得られる情報量にあります。

得られた情報を元に、どう活かせるのか、どんな効果があるのかを検討した上でコスパを考えてみましょう。

コメント

客観的で圧倒的な情報量が得られることから、リハビリ担当者の経験則やスキルに依存しにくいというメリットがあります。

また、まだまだ介護ロボットを導入している事業所は少ないことから、競合との差別化にも役立つと考えられます。

【機能訓練支援】PALROビジネスシリーズ 高齢者福祉施設向けモデルⅡ

富士ソフト社がリリースしているPALROは入浴支援用の介護ロボットです。

メディカル・ケア・サービス社が導入し、効果を検証しています。

製品の概要と目的

利用者のQOL向上や介護業務軽減を目的としたコミュニケーション専用の介護ロボットです。

全長40センチ、重量1.8キログラムのため、片手で持つことも可能です。

人工知能が搭載されており、100人以上の顔と名前を覚え、相手の顔を見ながら会話することができます。

主な機能

・ネットワーク接続でインターネット情報を元に動作可能

・パルロ専用ソフトを用いて操作をすることも可能

・様々な動作を組み合わせたレクが可能(クイズ・ダンス・歌・落語・ゲーム・体操)

使用している様子

※引用元 介護ロボット導入活動事例集(http://www.techno-aids.or.jp/robot/file29/jirei2017.pdf)

どんな効果があったのか

職員の負担軽減や利用者のうつ予防、認知症予防、脳の活性化の効果がありました。

実際に使用した職員からは次のような感想がありました。

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職員A

利用者のQOL 向上に効果を発揮しました。

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職員B

業務の一部をパルロが担ってくれるので、職員の負担軽減につながりました

コストパフォーマンスは?

レンタルの場合、価格は1台あたり月額3万円です。

購入の場合、1台あたり67万円です。

さて、コストパフォーマンスについて計算してみましょう。

レンタルで考えた場合月額3万円ですが、コスパを考える上でポイントになるのは、職員の負担軽減や利用者のQOL向上です。

レクを実施するためには、本番だけではなく準備段階でも時間と労力がかかるため、パルロ導入で大きな負担軽減が期待できます。

コメント

利用者にとっても人工知能が搭載されているパルロは面白い存在であり、興味をもってコミュニケーションを取ろうとします。

積極的に話しかけることにより、認知症予防やうつ予防に効果がありますが、基本的には1対1での会話になるため、複数の利用者から一気に話しかけられると会話が難しいという欠点もあります。

どこまでをパルロに任せるかをしっかり導入前に検討する必要があります。

【服薬支援】服薬支援ロボ

クラリオン社がリリースしている服薬支援ロボは服薬支援用の介護ロボットです。

セントケアホーム新百合ヶ丘社が導入し、効果を検証しています。

製品の概要と目的

服薬管理支援を目的とした介護ロボットです。

あらかじめタイマーをセットしておくことにより、決まった時間に服薬アナウンスがあると共に、薬剤が入ったケースが排出されます。

主な機能

・1日最大4種類の薬剤ケースをセット可能

・人感センサーが搭載されており、服薬時間であれば人を感知し、アナウンスが流れる

・服薬ケースの誤装着を防止する機構あり

・薬剤の取り出し履歴を外部媒体(USB)に出力可能

使用している様子

※引用元 介護ロボット導入活動事例集(http://www.techno-aids.or.jp/robot/file29/jirei2017.pdf)

どんな効果があったのか

あらかじめセットした時間で服薬アナウンスがあるため、服薬の精度を高める効果があります。

実際に使用した職員からは次のような感想がありました。

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職員A

今まで毎日30分以上は薬のセットに時間をかけていましたが、今では1週間に1回 1 時間半程度行うだけで済むようになりました

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職員B

薬剤師がセットした薬がロボットから出てくるので、誤薬事故の心配も軽減されました

コストパフォーマンスは?

価格は1台あたり9万円です。

さて、コストパフォーマンスについて計算してみましょう。

耐用年数が5年だとした場合、月換算で1千5百円で使用することができます。

メモ

9万円 ÷ 60か月 = 月換算1千5百円

利用者単位で台数が必要になります。

コスパを考える上でポイントになるのは、職員の業務時間の削減と服薬事故の防止です。

コストに見合ったパフォーマンスが得られるかどうかを改めて考えてみましょう。

コメント

職員の口コミにもありましたが、もし毎日30分以上かけて行っていた薬のセットが、1週間に1度(1時間半)で完了する場合、1ヶ月で9時間の削減になります。

介護ロボットの導入で、職員1人の1日分の時間を捻出できることになりますね。

【認知症セラピー】アザラシ型メンタルコミットロボット・パロ

知能システム社がリリースしている「アザラシ型メンタルコミットボット・パロ」は認知症セラピー用の介護ロボットです。

神奈川県内の介護施設37ヶ所に導入し、効果を検証しています。

製品の概要と目的

パロは「世界一セラピー効果がある介護ロボット」として精神的疾患の治療や利用者の気分向上を目的として製作されています。

人工知能が搭載されており、利用者とのコミュニケーションを取ることができます。

撫でる箇所により、喜んだり、怒ったりと柔軟な反応をするため、「癒される」として世界中で導入されている介護ロボットです。

主な機能

・触覚センサー、視覚センサー、温度センサー、姿勢制御センサーを内蔵

・首、前足、後ろ足、まぶたが可動

・人工知能を搭載

使用している様子

※引用元 介護ロボット導入活動事例集(http://www.techno-aids.or.jp/robot/file29/jirei2017.pdf)

どんな効果があったのか

利用者の精神的疾患を改善したり、転倒リスクの低減に効果がありました。

実際に使用した職員からは次のような感想がありました。

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職員A

徘徊を抑制することにつながっています。同時に転倒リスクを減らすことができました。

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職員B

「認知症行動障害尺度」の28項目のうち、5項目に改善が見られました

コストパフォーマンスは?

価格は1台あたり43万円です。(保証期間やメンテナンス内容によって金額は変動します)

さて、コストパフォーマンスについて計算してみましょう。

耐用年数が5年だとした場合、月換算で7千円で使用することができます。

メモ

42万円 ÷ 60か月 = 月換算7千円

複数の利用者が使用することができます。

コスパを考える上でポイントになるのは、精神疾患の改善と転倒等のリスク軽減です。

パロが1台あれば、複数の利用者を同時に改善することができるため、対象の利用者数と得られるだろう効果をしっかり把握した上で導入検討を行う必要があります。

コメント

犬を飼いたくても飼えなかった介護施設にとって、セラピー効果があるパロは重宝されています。

また、今まで犬を飼っていた施設でも「ペットロス」を経験し、パロを導入するに至ったケースも少なくありません。

筆者も実際に使ったことがありますが、ふわふわな人工毛と愛くるしい見た目に大分癒やされました。

パロに一生懸命に話しかける高齢者も多く、笑顔や会話が増えていたことからもパロの効果を実感していました。

課題別、サービス種別のおすすめ介護ロボットの紹介

ここでは、より具体的な選定ができる記事を紹介します。

すでに施設の課題を把握している、もしくはサービス種別で人気なロボットを知りたい方はチェックしてみてください。

課題別おすすめ介護ロボット

・深夜徘徊や無許可外出対策

サービス種別おすすめ介護ロボット

・施設全般

・特別養護老人ホーム

・介護老人保健施設(老健)

導入から運用立ち上げまでの手順

実は、今回ご紹介した10の導入事例に共通していることがあります。

それは、まずは問題意識を明確化することからスタートしているということです。

その上で、現在の課題を見つけ、その課題を解決するための方法を考えています。

今回取り上げた10の導入事例は、課題を解決してくれる存在がたまたま「介護ロボット」だったということです。

介護ロボットの導入はあくまで解決のための手段にすぎないため、介護ロボットを導入するかどうかから考える必要があります。

さて、これから説明するのは、どうやって介護ロボットの導入フローに関してです。

詳しくは別記事で説明したいと思いますが、本記事を読むことにより、「どれくらいの時間をかけて、どんな手順で、何をしていけばいいのか」が分かります。

【手順1】現状の何が問題なのかを明確にする

まずは現時点で抱えている問題を全て洗い出し、課題を特定しましょう。それが【手順1】です。

しかし、職場に慣れていればいるほど、「これはこうしてあたりまえ」という考えが根付いてしまい、問題が見えにくくなってきます。

そのため、プロジェクトチームを結成し、ディスカッションを行い、考えられる問題を全て書き出してみましょう。

プロジェクトメンバーに選出するのは、シナジー効果を発揮するため、職種も年齢層も異なるメンバーが望ましいです。

おすすめ方法

例えば問題を書いた付箋をペタペタとホワイトボードに貼っていき、問題をカテゴリー(排泄ケア・認知症ケアなど)に分類する方法がオススメです。課題の特定がしやすくなります。

次に、プロジェクトメンバー全員で書き出した問題を整理し、いくつかの課題を特定しましょう。

【手順2】どうすれば課題解決できるのかを考え、方向性を決定する

特定した課題に対し、どうすれば解決できるかをプロジェクトメンバーで話し合いましょう。

解決手段は介護ロボットだけに限りません。

マニュアルを作成する、求人募集する、介護ソフトを変更するなど様々な手段があるはずです。

とにかく、どうすれば課題を解決できるかに焦点をあてて、適切な手段を考えていきましょう。

そして、その中に介護ロボットで解決できそうな課題があれば、初めて介護ロボットの導入を検討するために【手順3】へと進みます。

もし課題解決の手段が介護ロボットではない場合、別の手段で課題解決を目指しましょう。

【手順3】介護ロボット導入の目的を明確にし、選定を行う

ここから初めて介護ロボットの選定がスタートします。

第一に、介護ロボット導入の目的(導入した結果どうなりたいか)をプロジェクトメンバーで明確にします。

第二に、目的に該当する介護ロボットは次のどれに属するのかを考えます。

① 移乗介助
② 移動支援
③ 排泄支援
④ 見守り・コミュニケーション
⑤ 入浴支援
⑥ 介護業務支援

例えば、「車いすからベッドへのスムーズな移乗を実現したい」場合、6種類のうち該当するのは「①移乗介助」です。

移乗介助だけでも5種類以上の介護ロボットがありますが、第一に設定した「目的」に沿った介護ロボットかどうかを照らし合せ、絞り込んでいきます。

実際に介護ロボットを体験するなどの工程を経て、最終的に1つの介護ロボットに絞り込みます。

この際に補助金活用も視野にいれましょう。

【手順4】どうすれば目的と目標を達成できるかを考え計画を練る

【手順3】で選定した介護ロボットの導入目的を改めて考え、目標を設定します。

その上で、達成までの具体的なプランを決定します。

プランを決定する際に参考になる情報は次の通りです。

・職員のスキルや稼働状況
・他法人への導入事例に関して、ベンダーから情報を得る
・外部コンサルやシステム導入の専門職から情報を得る

できるだけプランに変更がでないように、介護ロボット導入前にしっかりと練っておくことが重要です。

プランの変更が原因で、結局運用が立ち上がらないというケースも珍しくないからです。

【手順5】介護ロボットの運用とモニタリングを行う

いよいよ介護ロボットの運用がスタートしますが、定期的にモニタリングを行っていきましょう。

【手順4】で決定した目標の達成進捗を確認しながら、問題がないかどうかを定期的にチェックしていきます。

もし気になることがあった場合、プロジェクトメンバーで適宜問題解決に務めていきましょう。

まとめ

介護ロボットをしっかり活用すれば、大きな業務改善を実現することができます。

その先には、介護職員の離職率低下や、求職者からの問い合わせ増加など様々な恩恵をうけることができます。

 

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この記事の筆者・監修者

  • 【監修者】佐藤拡史

    【監修者】佐藤拡史

    NPO法人タダカヨ理事長。 普段は、介護ICTや介護ロボットの研究・普及活動を行っている社会福祉法人善光会サンタフェ総合研究室にて、上席研究員兼介護DX部長として勤務。介福養成校の学生向けに介護ICTや介護ロボットを講義した回数は100回以上。また、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム「高齢者と遠隔家族を繋ぐデジタル同居サービス研究開発事業」ワーキンググループ委員としても活動中。早稲田大学大学院経営管理研究科でMBAを取得し、ウェブ解析士、スマート介護士、デジタル庁認定デジタル推進委員の資格を保有。
  • 【著者】早坂祐哉

    【著者】早坂祐哉

    大学卒業後、大手介護ソフトベンダーに7年間勤務。年間約50法人に介護ソフトを新規販売し、最年少で営業成績1位を獲得。課題抽出から業務改善に関するコンサルティング経験も多数。後に、「介護のテクノロジーを最適化する」という理念のもと(株)GiverLinkを設立し、同メディア「介護のコミミ」を通じ、月間3万人の介護職員に情報発信をしている。

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