2025年の処遇改善加算のポイントをわかりやすく解説!

介護報酬の加算・減算

2025年の処遇改善加算のポイントをわかりやすく解説!

令和6年度の介護報酬改定にて、「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」が一本化され、「介護職員等処遇改善加算」となりました。

介護職員等処遇改善加算として新設された当初は、既存加算から円滑に移行できるよういくつかの経過措置が設けられていましたが、それらの経過措置が2025年3月いっぱいで期限を迎えることを踏まえて、本記事では、介護職員等処遇改善加算について2025年時点で押さえておくべきポイントをわかりやすく解説します。

ちなみに、2025年に押さえておくべきポイントは以下のYouTube動画でも解説していますので、ぜひご覧ください。

介護職員等処遇改善加算とは

介護職員等処遇改善加算(以下、新処遇改善加算)は、2024年度の介護報酬改定で新設された加算です。

簡単にまとめると、以下の従来の3加算を一本化し、制度の簡素化と取得率の引上げを図ったものです。

  • 介護職員処遇改善加算(以下、旧処遇改善加算)
  • 介護職員等特定処遇改善加算(以下、旧特定加算)
  • 及び介護職員等ベースアップ等支援加算(以下、旧ベースアップ等加算)

一本化の具体的な目的は以下の3点です。

  1. 事業者の賃金改善や申請に係る事務負担を軽減するため
  2. 利用者にとって分かりやすい制度とし、利用者負担の理解を得やすくするため
  3. 事業所全体として、柔軟な事業運営を可能とするため

新処遇改善加算は2024年6月より開始され、同年6月以降も一定額以上の賃金改善を達成するよう、加算率の引き上げや配分方法の工夫が行われる予定です。これにより介護現場で働く方々の賃金が、2024年度は2.5%、2025年度は2.0%のベースアップへとつながるものと期待されています。

先述の通り、旧加算からの円滑な移行を目指すため、開始当初にいくつかの経過措置が設けられており、最新の情報を把握していないと、加算が無効となってしまう可能性があるため、ここからは2025年に押さえておくべきポイントを開設します。


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2025年に押さえておくべき3つのポイント

介護職員等処遇改善加算において、2025年に押さえておくべきポイントはズバリ、以下の3点です。

  1. 介護職員等処遇改善加算Ⅴは廃止
  2. 経過措置終了する算定要件と経過措置を延長できるもの
  3. 介護職員等処遇改善加算を算定している事業所が活用できる補助金

それぞれ詳しく解説します。

介護職員等処遇改善加算Ⅴは廃止へ

2024年度の報酬改定において介護職員等処遇改善加算が一本化された当初は、新処遇改善加算Ⅰ~Ⅳの算定要件を満たすことが難しい事業所のために「介護職員等処遇改善加算Ⅴ」が設けられていましたが、この経過措置はあくまで一時的なものであり、2025年4月以降は新処遇改善加算Ⅴを算定することはできません

したがって、2025年3月時点で新処遇改善加算Ⅴを算定している介護事業所は、2025年4月1日までに新処遇改善加算Ⅰ~Ⅳのいずれかの算定要件を満たし、移行の手続きを行う必要があります。この移行が期日までに行われなかった場合、2025年4月以降、介護職員処遇改善加算を受け取ることができなくなる可能性があるため、まだ移行準備が完了していない事業所は速やかに準備を進める必要があります。

経過措置が終わる算定要件にも経過措置の延長が認められた

介護職員等処遇改善加算が一本化された2024年度時点では、加算の算定要件についても経過措置が設けられており、これらの経過措置はいずれも2025年3月31日が期日とされていました。

しかし、2025年2月10日に厚生労働省が発表した方針により、一部算定要件については2025年度中に要件整備を行うことを誓約することで、2026年3月末までに延長できることとなりました。この動向を踏まえて、2025年3月31日に経過措置が終わるとされていた算定要件のうち、要件整備の誓約によって延長できる算定要件を以下にまとめました。

要件 経過措置の延長
キャリアパス要件I あり
キャリアパス要件II あり
キャリアパス要件III あり
職場環境等要件 あり
月額賃金改善要件I なし

キャリアパス要件や職場環境要件の整備に欠かせないのが研修。
研修といえば、準備や実施に時間がかかるというイメージもあるかもしれませんが、介護職員向けeラーニングを導入することでそういった負担を軽減することができるので、2025年中にeラーニングを導入して、加算の算定要件を満たしましょう。

介護のコミミでは、介護研修として使えるeラーニングのうち無料お試しから始められるものを厳選して以下の記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

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参考:『介護保険最新情報Vol.1353』(厚生労働省)

新処遇改善加算を取得した事業所には補助金も

厚生労働省は2025年2月7日に『介護人材確保・職場環境改善等事業の実施について』と題し、新処遇改善を算定している以下の事業所を対象に、介護人材の確保と定着の基盤を構築を支援する補助金の実施要綱を発表しました。

サービス区分 交付率
訪問介護 10.5%
夜間対応型訪問介護 10.5%
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 10.5%
(介護予防)訪問入浴介護 6.3%
通所介護 6.4%
地域密着型通所介護 6.4%
(介護予防)通所リハビリテーション 5.5%
(介護予防)特定施設入居者生活介護 7.4%
地域密着型特定施設入居者生活介護 7.4%
(介護予防)認知症対応型通所介護 13.2%
(介護予防)小規模多機能型居宅介護 8.4%
看護小規模多機能型居宅介護 8.4%
(介護予防)認知症対応型共同生活介護 11.3%
介護福祉施設サービス 8.3%
地域密着型介護老人福祉施設 8.3%
(介護予防)短期入所生活介護 8.3%
介護保険施設サービス 4.3%
(介護予防)短期入所療養介護(老健) 4.3%
介護医療院サービス 2.7%
(介護予防)短期入所療養介護(病院等・医療院) 2.7%

補助金は研修費などといった職場環境の改善に係る費用や、人件費に充てることができます

原則として、基準月である令和6月12月に新処遇改善加算の(I)〜(Ⅳ)を算定していることが条件となりますが、基準月に新処遇改善加算を取得していない場合があっても、令和7年4月1日*に処遇改善加算の取得に係る体制届出をしていれば補助要件の対象となります。

*体制届出の提出期限が令和7年4月15日まで延長された場合には4月15日まで

参考:介護保険最新情報 vol.1352『介護人材確保・職場環境改善等事業の実施について』

介護職員等処遇改善加算の加算率と算定要件

ここでは新処遇改善加算の具体的な加算率や算定要件をまとめています。加算取得の検討の参考にして下さい。

介護職員等処遇改善加算の区分ごとの加算率

2024年6月以降の新処遇改善加算の算定率の一覧表は、以下の通りです。

加算区分
訪問介護 24.5% 22.4% 18.2% 14.5%
夜間対応型訪問介護 24.5% 22.4% 18.2% 14.5%
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 24.5% 22.4% 18.2% 14.5%
(介護予防)訪問入浴介護 10.0% 9.4% 7.9% 6.3%
通所介護 9.2% 9.0% 8.0% 6.4%
地域密着型通所介護 9.2% 9.0% 8.0% 6.4%
(介護予防)通所リハビリテーション 8.6% 8.3% 6.6% 5.3%
(介護予防)特定施設入居者生活介護 12.8% 12.2% 11.0% 8.8%
地域密着型特定施設入居者生活介護 12.8% 12.2% 11.0% 8.8%
(介護予防)認知症対応型通所介護 18.1% 17.4% 15.0% 12.2%
(介護予防)小規模多機能型居宅介護 14.9% 14.6% 13.4% 10.6%
看護小規模多機能型居宅介護 14.9% 14.6% 13.4% 10.6%
(介護予防)認知症対応型共同生活介護 18.6% 17.8% 15.5% 12.5%
介護老人福祉施設 14.0% 13.6% 11.3% 9.0%
地域密着型介護老人福祉施設 14.0% 13.6% 11.3% 9.0%
(介護予防)短期入所生活介護 14.0% 13.6% 11.3% 9.0%
介護老人保健施設 7.5% 7.1% 5.4% 4.4%
(介護予防)短期入所療養介護(老健) 7.5% 7.1% 5.4% 4.4%
(介護予防)短期入所療養介護(入院等(老健以外)) 5.1% 4.7% 3.6% 2.9%
介護医療院 5.1% 4.7% 3.6% 2.9%
(介護予防)短期入所療養介護(医療院) 5.1% 4.7% 3.6% 2.9%

引用元:厚生労働省老健局長通知「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について

※注:介護予防・日常生活支援総合事業によるサービスを行う事業所は、訪問型は訪問介護と、通所型は通所介護と同じとする

介護職員等処遇改善加算の区分ごとの算定要件

新処遇改善加算の算定要件については、区分ごとに必要な要件が異なったり、一部経過措置があったりするので、しっかり理解しておきましょう。

要件 加算I 加算II 加算III 加算IV
月額賃金改善要件I(月給による賃金改善)
月額賃金改善要件II(旧ベースアップ等加算相当の賃金改善) (○) (○) (○) (○)
キャリアパス要件I(任用要件・賃金体系の整備等)
キャリアパス要件II(研修の実施等)
キャリアパス要件III(昇給の仕組みの整備等)
キャリアパス要件IV(改善後の年額賃金要件)
キャリアパス要件V(介護福祉士等の配置要件)
職場環境等要件 区分ごとに1以上の取組(生産性向上は2以上)
区分ごとに2以上の取組(生産性向上は3以上)
HP掲載等を通じた見える化(取組内容の具体的記載)

引用元:厚生労働省老健局長通知「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について

※注:(○)は新加算Ⅰ~Ⅳの算定前に旧処遇改善加算を算定しており、かつ旧ベースアップ等支援加算が算定だった場合に満たす必要がある要件

月額賃金改善要件Ⅰとは(令和6年度の適用猶予あり)

月額賃金改善要件Ⅰは、新処遇改善加算Ⅳを算定した場合に得られる加算額の1/2以上を、基本給又は決まって毎月支払われる手当(以下、基本給等)により賃金改善することを求める要件です。

例えば、介護報酬が1,000万円の訪問介護事業所が新処遇改善加算Ⅳを算定する場合、加算額は145万円(=1,000万円×14.5%)となりますから、そのうちの1/2である72.5万円以上を基本給等で賃金改善する必要があります。

新処遇改善加算ⅠからⅢまでの加算を取得する場合も、新処遇改善加算Ⅳを算定した場合に得られる加算額を基準として、同様の賃金改善を求められます。

なお、月額賃金改善要件Ⅰは、2024年度中は適用が猶予されますが、2025年度以降の算定に向けた準備を求める観点から、2024年度の届出の際にも任意の記載事項とされています。

月額賃金改善要件Ⅱとは

月額賃金改善要件Ⅱは、旧処遇改善加算を算定していたが旧ベースアップ等加算を算定していなかった事業所が、2026年3月末日までに新処遇改善加算Ⅰ~Ⅳのいずれかを新規に算定する場合に適用される要件です。旧ベースアップ等加算を算定した場合の加算額の3分の2以上を基本給等で改善することが求められます。

なお、旧ベースアップ等加算に相当する加算額は、新処遇改善加算の加算額に一定の係数を乗じて算出します。

キャリアパス要件Ⅰとは(令和6年度の経過措置あり)

キャリアパス要件Ⅰは、介護職員の任用要件(賃金に関するものを含む)及び賃金体系を定めることを求める要件です。具体的には、次の3点を全て満たす必要があります。

  1. 介護職員の任用の際における職位、職責、職務内容等に応じた任用等の要件(介護職員の賃金に関するものを含む)を定めていること
  2. 上記1に掲げる職位、職責、職務内容等に応じた賃金体系(一時金等の臨時的に支払われるものを除く)について定めていること
  3. 上記1及び2の内容について就業規則等の明確な根拠規程を書面で整備し、全ての介護職員に周知していること

2025年度中は、就業規則等の整備を2026年3月末までに行うことを誓約すれば、当該年度当初から要件を満たしたものとみなされます

キャリアパス要件Ⅱとは(令和6年度の経過措置あり)

キャリアパス要件Ⅱは、資質向上のための目標及び具体的な計画を策定し、研修の実施又は研修の機会を確保することを求める要件です。

具体的には、次の2点を満たす必要があります。

  1. 介護職員の職務内容等を踏まえ、介護職員と意見を交換しながら、資質向上の目標及び次のいずれかに関する具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施又は研修の機会を確保していること
    • 資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供又は技術指導等を実施(OJT、OFF-JT等)するとともに、介護職員の能力評価を行うこと
    • 資格取得のための支援(研修受講のための勤務シフトの調整、休暇の付与、費用(交通費、受講料等)の援助等)を実施すること
  2. 上記1について、全ての介護職員に周知していること。

また2025年度中は、研修の計画策定等を2026年3月末までに行うことを誓約すれば、当該年度当初から要件を満たしたものとみなされます。

研修体制の整備は、先述の補助金を活用することで少ないコスト負担で実現するでしょう。また、介護職員向けeラーニングを導入することでコストだけでなく研修準備や実施などの業務負担を軽減することもできます

以下の記事では、無料お試しから始めることができるおすすめの介護職員向けeラーニングを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

キャリアパス要件Ⅲとは(令和6年度の経過措置あり)

キャリアパス要件Ⅲは、経験や資格等に応じた昇給の仕組みを設けることを求める要件です。

具体的には、次の2点を満たす必要があります。

  1. 介護職員について、経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けていること。

    具体的には、次のいずれかに該当する仕組みであること

    • 経験に応じて昇給する仕組み:「勤続年数」や「経験年数」などに応じて昇給する仕組み
    • 資格等に応じて昇給する仕組み:介護福祉士等の資格の取得や実務者研修等の修了状況に応じて昇給する仕組み
    • 一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み:「実技試験」や「人事評価」などの結果に基づき昇給する仕組み
  2. 上記1の内容について、就業規則等の明確な根拠規程を書面で整備し、全ての介護職員に周知していること。

また2025年度中は、就業規則等の整備や昇給の仕組みの整備を2026年3月末までに行うことを誓約すれば、当該年度当初から要件を満たしたものとみなされます。

キャリアパス要件Ⅳとは(令和6年度の経過措置あり)

キャリアパス要件Ⅳは、経験・技能のある介護職員のうち1人以上は、賃金改善後の賃金が年額440万円以上となることを求める要件です。

ただし、次のような例外的な場合であって、合理的な説明がある場合は当てはまりません。

  • 小規模事業所等で加算額全体が少額である場合
  • 職員全体の賃金水準が低い事業所などで、直ちに一人の賃金を引き上げることが困難な場合

なお、2024年度中は、「経験・技能のある介護職員のうち1人以上は年額440万円以上」に代えて、「新処遇改善加算の加算額のうち旧特定加算に相当する部分による賃金改善額が月額平均8万円以上の職員を1人以上設定」でも要件を満たすこととしても、問題はありません。

キャリアパス要件Ⅴとは

キャリアパス要件Ⅴは、一定以上の介護福祉士等を配置することを求める要件です。具体的には、サービス種類ごとに下表に掲げる加算の算定が必要とされています。

サービス区分 加算区分
訪問介護 特定事業所加算 I 特定事業所加算 II
夜間対応型訪問介護 サービス提供体制強化加算 I サービス提供体制強化加算 II
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 サービス提供体制強化加算 I サービス提供体制強化加算 II
(介護予防)訪問入浴介護 サービス提供体制強化加算 I サービス提供体制強化加算 II
通所介護 サービス提供体制強化加算 I サービス提供体制強化加算 II
地域密着型通所介護 サービス提供体制強化加算 I サービス提供体制強化加算 II サービス提供体制強化加算 III イ又は Ⅳロ
(介護予防)通所リハビリテーション サービス提供体制強化加算 I サービス提供体制強化加算 II
(介護予防)特定施設入居者生活介護 サービス提供体制強化加算 I サービス提供体制強化加算 II 入居継続支援加算 Ⅰ 又は Ⅱ
地域密着型特定施設入居者生活介護 サービス提供体制強化加算 I サービス提供体制強化加算 II 入居継続支援加算 Ⅰ 又は Ⅱ
(介護予防)認知症対応型通所介護 サービス提供体制強化加算 I サービス提供体制強化加算 II
(介護予防)小規模多機能型居宅介護 サービス提供体制強化加算 I サービス提供体制強化加算 II
看護小規模多機能型居宅介護 サービス提供体制強化加算 I サービス提供体制強化加算 II
(介護予防)認知症対応型共同生活介護 サービス提供体制強化加算 I サービス提供体制強化加算 II
介護老人福祉施設 サービス提供体制強化加算 I サービス提供体制強化加算 II 日常生活機能支援加算I又はII
地域密着型介護老人福祉施設 サービス提供体制強化加算 I サービス提供体制強化加算 II 日常生活機能支援加算I又はII
(介護予防)短期入所生活介護 サービス提供体制強化加算 I サービス提供体制強化加算 II
介護老人保健施設 サービス提供体制強化加算 I サービス提供体制強化加算 II 併設本体施設において旧特定加算Ⅰ 又は新加算Ⅰ の届出あり
(介護予防)短期入所療養介護(老健) サービス提供体制強化加算 I サービス提供体制強化加算 II 併設本体施設において旧特定加算Ⅰ 又は新加算Ⅰ の届出あり
(介護予防)短期入所療養介護(病院等(老健以外)) サービス提供体制強化加算 I サービス提供体制強化加算 II 併設本体施設において旧特定加算Ⅰ 又は新加算Ⅰ の届出あり
介護医療院 サービス提供体制強化加算 I サービス提供体制強化加算 II
(介護予防)短期入所療養介護(医療院) サービス提供体制強化加算 I サービス提供体制強化加算 II 併設本体施設において旧特定加算Ⅰ 又は新加算Ⅰ の届出あり
訪問型サービス(総合事業) 併設本体施設において旧特定加算Ⅰ 又は新加算Ⅰ の届出あり 旧特定加算Ⅰ 又はIIに準じる市町村独自の加算/td>
通所型サービス(総合事業) サービス提供体制強化加算 I サービス提供体制強化加算 II サービス提供体制強化加算I又はIIに準じる市町村独自の加算

引用元:厚生労働省老健局長通知「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について

※注1:地域密着型通所介護のサービス提供体制強化加算Ⅲイ又はロは療養通所介護費を算定する場合のみ
※注2:訪問型サービス(総合事業)は、対象事業所に併設する指定訪問介護事業所において、「特定事業所加算Ⅰ」または「Ⅱ」を算定していること。または対象事業所において、特定事業所「加算Ⅰ」若しくは「Ⅱ」に準じる市町村独自の加算を算定していることを要件とする。

職場環境要件とは(令和6年度の経過措置あり)

職場環境等要件は、新処遇改善加算Ⅰ~Ⅳのいずれかを算定する場合に適用される要件です。

2025年度以降は、下表の6区分について、新加算Ⅰ又はⅡを算定する場合は、各区分ごとに2以上の取組を実施(「生産性向上のための取組」のみ3以上の取組を実施(うち⑰又は⑱は必須))し、新加算Ⅲ又はⅣを算定する場合は、各区分ごとに1以上の取組を実施(「生産性向上のための取組」のみ2以上の取組を実施)する必要があります。

区分 内容
入職促進に向けた取組 1. 法人や事業所の経営理念やケア方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化
2. 事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築
3. 他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等、経験者・有資格者等にこだわらない幅広い採用の仕組みの構築(採用の実績でも可)
4. 職業体験の受入れや地域行事への参加や主催等による職業魅力度向上の取組の実施
資質の向上やキャリアアップに
向けた支援
5. 働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い介護技術を取得しようとする者に対する研修の受講支援等
6. 研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動
7. エルダー・メンター制度等導入
8. キャリア面談など、キャリアアップ・働き方等に関する定期的な相談の機会の確保
両立支援・多様な働き方の推進 9. 休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備
10. 勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、非正規職員から正規職員への転換の制度等の整備
11. 有給休暇の取得しやすい雰囲気作りと取得状況の確認
12. 情報共有や複数担当制等により、業務の属人化の解消、業務配分の偏りの解消
腰痛を含む心身の健康管理 13. 職員相談窓口の設置等相談体制の充実
14. 健康診断・ストレスチェックや、休憩室の設置等健康管理対策の実施
15. 介護技術の修得支援、腰痛対策の研修、管理者に対する雇用管理改善の研修等の実施
16. 事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成
生産性向上(業務改善及び働く
環境改善)のための取組
17. 業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げ、研修会の活用等)
18. 現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)
19. 5S活動の実践による職場環境の整備
20. 業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減
21. 介護ソフトや情報端末(タブレット・スマートフォン等)の導入
22. 介護ロボットやICT機器(インカム、ビジネスチャットツール等)の導入
23. 業務内容の明確化と役割分担を行い、介護職員がケアに集中できる環境を整備
24. 協働化を通じた職場環境の改善(共同設置、ICTインフラの整備、人事管理システムの共通化等)
やりがい・働きがいの醸成 25. ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化
26. 地域の児童・生徒や住民との交流の実施
27. 介護保険や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供
28. ケアの好事例や、利用者やその家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供

2024年度は、上記の要件が適用猶予され、新加算Ⅰ又はⅡを算定する場合は、各区分ごとに1以上の取組を実施し、新加算Ⅲ 又はⅣを算定する場合は、各区分すべての中から1以上の取組を実施することで要件を満たすことができます。

区分 内容
入職促進に向けた取組 法人や事業所の経営理念やケア方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化
事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築
他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等、経験者・有資格者等にこだわらない幅広い採用の仕組みの構築
職業体験の受入れや地域行事への参加や主催等による職業魅力度向上の取組の実施
資質の向上やキャリアアップに向けた支援 働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い介護技術を取得しようとする者 に対する喀痰吸引、認知症ケア、サービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援等
研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動
エルダー・メンター制度等導入
キャリアアップ等に関する定期的な相談の機会の確保
両立支援・多様な働き方の推進 休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備
勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、非正規職員から正規職員への転換の制度等の整備
有給休暇が取得しやすい環境の整備
職員相談窓口の設置等相談体制の充実
腰痛を含む心身の健康管理 介護職員の身体の負担軽減のための介護技術の修得支援や介護機器等導入及び研修等による腰痛対策の実施
健康診断・ストレスチェックや休憩室の設置等健康管理対策の実施
雇用管理改善のための管理者に対する研修等の実施
事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成等の体制の整備
生産性向上のための業務改善の取組 タブレット端末やインカム等のICT活用や見守り機器等の介護ロボットやセンサー等の導入による業務量の縮減
高齢者の活躍(居室やフロア等の掃除、食事の配膳・下膳などのほか、経理や労務、広報なども含めた介護業務以外の業 務の提供)等による役割分担の明確化
5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備
業務手順書の作成や記録・報告様式の工夫による情報共有や作業負担の軽減
やりがい・働きがいの醸成 ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善
地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上のための地域交流の実施
介護保険や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供
ケアの好事例や利用者・家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供
引用元:厚生労働省老健局長通知「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について

上記の通り、新処遇改善加算の取得には、研修体制の構築や介護ソフトや介護ロボットなどのICT機器の見直し、導入やが必要となりますが、「何から始めれば良いかわからない」「準備をする余裕がない」などとお悩みの方は、ぜひ介護のコミミにご相談ください。

介護のコミミでは、加算取得に合わせてあなたの課題から最適な研修サービスやICT機器の選定や導入を、年間1,200法人以上のご相談実績がある専任のアドバイザーが無料で提案させていただきます。

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処遇改善加算の計算方法

処遇改善加算の計算方法としては、以下の3つのステップで進めることが可能です。まずは、1ヵ月あたりの総単位数を計算します。

  • 総単位数 = 基本サービス単位数 + 加算と減算の合計

 

次に、総単位数に加算率を掛けましょう。

  •  処遇改善加算の総単位数=総単位数×加算率

 

最後に処遇改善加算の総単位数を金額に換算します。

  • 処遇改善加算の総額=総単位数× 地域区分 

 

補足

※各単位数の参照元は以下でご確認ください

※地域区分の参照元は「地域区分」にてご確認ください。

上で計算した「処遇改善加算の総額」が処遇改善加算の計算方法の答えとなります。

また、エクセルでの処遇改善加算計算方法を知りたい方は、各都道府県で発行しているエクセルをダウンロードするか、厚生労働省のHP上で必要な別紙様式のエクセルからダウンロード可能です。

計算方法は計算ソフトでも可能

処遇改善加算に限らず、複雑な計算方法には介護ソフトが必須です。

計算だけでなく、必要な手続きなども自動ツールで簡単に行うことも可能ですので、この機会に介護ソフトの入れ替えや導入も検討してみましょう。

無料でご相談いただけます

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加算の算定にかかる事務処理手順

新処遇改善加算を算定手順を簡単にまとめると、

  1. 1.体制等状況一覧表等の届出(居宅系サービスの場合には算定開始月の前月15日まで、施設系サービスの場合は当月1日まで)
  2. 2.処遇改善計画書等の作成・提出 (算定開始月の前々月の末日まで)
  3. 3.実績報告書等の作成・提出(各事業年度における最終の加算の支払があった月の翌々月の末日まで)

が必要となります。

複数の事業所を有する事業者については、処遇改善の計画等について法人単位で一括して届出書を作成することも可能です。

また、小規模事業者(同一法人内の事業所数が10以下)や、2024年3月以前に加算を算定しておらず同年6月以降に新処遇改善加算Ⅲ又はⅣを新規に算定する事業所については、別様式を用いた処遇改善計画書・実績報告書等の作成・提出が可能となっています。

その他よくある質問

処遇改善加算1と2の違いは?

処遇改善加算1と2の違いは、以下の画像「令和7年度以降の新加算Ⅰ~Ⅳの算定要件(賃金改善以外の要件)」を見ればわかりやすいです。

上記の画像で、処遇改善加算1と2の違いは「キャリアパス要件Ⅴ」の「介護福祉士等の配置要件」を満たす必要があるかどうかの違いが分かります。

処遇改善加算の配分ルールは?

処遇改善加算Ⅰ~Ⅳの配分ルールとしては、「介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある職員に重点的に配分することとするが、事業所内で柔軟な配分を認める」とされています。

「新加算(Ⅰ~Ⅳ)は、加算・賃金改善額の職種間配分ルールを統一する」ことが原則です。

処遇改善加算の計画書記入例は?

厚生労働省のホームページ上で公開されている、介護職員の処遇改善の計画書記入例は以下からダウンロード可能です。

出典:厚生労働省 処遇改善計画書記入例

処遇改善加算の作成用、基本情報入力シートとなりますので、計画書の記入例として参考にしてみてください。

処遇改善加算でピンハネはできる?

処遇改善加算は原則ピンハネはできない制度となっております。

ピンハネできない理由は、「国や地方自治体から支給されたお金は、全額介護職員に支払わなければならない」ためです。

指定権者(都道府県等)に計画書や実績書を提出し、指定権者(都道府県等)から国保連に情報提供されたのちに、加算の支払いが行われる仕組みとなっております。

ピンハネ、内部告、未払い違法などは良くある質問となりますが、これらは原則できません。

最後に

2024年度の介護報酬改定では、介護現場で働く職員の処遇改善を図るため、新たな介護職員等処遇改善加算が創設されました。

本記事では、新処遇改善加算の概要と算定要件、事務処理手順等について簡単に分かりやすく説明してきました。

新処遇改善加算は、従来の加算を一本化し、事業者及び職員にとってよりわかりやすく、取得しやすい仕組みとなっています。

一方で、キャリアパス要件の適合や職場環境等要件の充足など、算定要件はより高度化・多様化しています。

介護人材の確保・定着は喫緊の課題であり、処遇改善は採用や離職防止の重要な要素の一つです。

加算の趣旨を理解し、適切に算定・実施することで、魅力ある職場づくりにつなげていきましょう。

また、その他介護報酬改定2024の変更点を知りたい方は、以下の記事を読めば要件をすぐに知ることができます。

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この記事の筆者・監修者

  • 那須智樹

    那須智樹

    東京大学大学院 経済学研究科修士課程を修了。楽天株式会社の新サービス開発事業部や、NTTデータ経営研究所のコンサル業に従事した後、「介護のコミミ」を運営する株式会社Giver Linkにジョイン。現在は会社運営を行いながら、加算をはじめとしたお役立ち情報の発信や、ICTツール普及へ向けたセミナーなどを実施している。

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