ニュース
厚生労働省は4月30日、「介護人材確保・職場環境等改善事業に関するQ&A(第2版)」を発出した。本Q&Aは、2024年度補正予算に基づく補助金の申請締切が多くの自治体で同日に迫る中で公表されたものである。すでに申請を終えた事業所にとっても、本Q&Aは今後の実績報告や監査対応に向けて重要な内容を含むため、確認が強く推奨される資料である。
参考:『介護人材確保・職場環境等改善事業に関するQ&A(第2版)』(厚生労働省)
本事業は、介護職員の定着や処遇改善、業務の効率化を支援する補助制度であり、各事業所が人件費や職場環境改善に充当することができる。今回のQ&Aでは、補助金の具体的な使途や申請・報告上の要件がさらに明確化されており、補助金活用の実務に役立つ整理がなされている。
補助金の活用時期は、基準月(原則2024年12月。2025年1〜3月の選択も可能)から各自治体が定める実績報告書の提出までの間であり、特に人件費改善は可能な限り早期の実施が求められている。人件費改善には法定福利費等の事業主負担も含めることが可能であり、介護職員以外の従業員も対象とすることができる。また、職場環境改善費は研修費や介護助手等の募集経費のほか、業務改善活動や業務の見える化、役割分担の取組に要する費用などにも充当が認められる。
なお、処遇改善加算Ⅰ〜Ⅳを算定していることが原則条件だが、2025年4月からの算定に向けた体制届出を済ませていれば加算Ⅴのみ算定中の事業所も対象となる。ベースアップに充てることは想定されていないが、一時的なつなぎ資金としての活用は排除されていない。補助金は人件費・職場環境改善経費のいずれか、あるいは両方に全額配分することができ、使途変更が生じた場合も計画書の再提出は求められない。
以下は、Q&Aの内容を踏まえた主な要点を整理したもの。
補助金の対象期間と支出時期
基準月以降〜自治体が指定する実績報告提出日までに支出した経費が対象。一部の人件費改善は補助金交付前に実施された分も対象とされる。
人件費改善の対象範囲
一時金・臨時手当が主な用途。法人本部の職員も対象となる場合があるが、補助金の対象外施設の職員は除外。法定福利費も含めることが可能。
職場環境改善経費の具体例
介護助手等の募集にかかる広告費や紹介料
外部研修に要する受講料・講師謝金・旅費など
業務改善活動(委員会設置や外部支援)の費用
※PC端末などの機器購入費や介護テクノロジー導入事業対象経費は対象外。
対象外となるケース
申請時点で休廃止が明らかな事業所
2025年4月以降に新設される事業所
加算Ⅴのみ算定かつ体制届出がない事業所
基準月の選定と修正
原則12月サービス分だが、特別な事情により1〜3月の選択も可能。基準月の事後的変更は不可。
申請および実施に関する柔軟性
申請時点で選択した使途を後から変更しても、実績報告で反映可能。法人単位での申請も可能だが、補助金申請は都道府県単位で行う。