見守りロボットとは?従来の支援機器との比較や効果

介護ロボット・センサーの選び方

見守りロボットとは?従来の支援機器との比較や効果
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こみたろう

見守りロボットを導入するとどんなメリットがあるんだろう?
最新の見守り支援機器との違いはなんなのだろう?

このように、見守りロボットを導入した場合にどのような効果が得られるのか、従来の見守り支援機器と何が違うのかがわからないという方もいらっしゃるでしょう。

実は、見守りロボットは、従来の見守り支援機器における課題を解決できるといわれています。

実際に見守りロボットを導入した介護現場では、介護する人・される人の心理的負担の軽減につながりました。

本記事では見守りロボットと従来の見守り支援機器との違いや、導入した際の種類別のメリット・デメリットなどを解説します。

読み終える頃には、見守りロボットを導入する必要性を強く実感していることでしょう。

見守りロボットとは?

見守りロボットとは、センサーやWi-Fi回線などの外部通信機能を利用する見守り支援機器を指します。

ロボットを構成する技術は、情報を感知する「センサー」、判断する「知能・制御」、動作する「駆動」の3つに分類されています。

3つのロボット技術のうち、「センサー」を用いて開発されたのが見守り支援機器です。

介護ロボットの開発支援を行う厚生労働省・経済産業省は6つの分野・13項目に分け、6分野の1つである「見守り・コミュニケーション」に分類されているのが見守りロボットです。

さらに、施設・在宅・生活支援の3項目に分けられています。

見守りロボットの役割は、介護者の負担を最小限にし、介護される人の自立支援を促すなどの役割を担っています。

また、介護報酬制度の「夜勤職員配置加算」の要件に見守りロボットが追加されたことから、見守りロボットの導入によって、介護職員の負担を減らすなどの効果が期待できるでしょう。

詳細については、後ほど解説します。

参考:厚生労働省「介護ロボットとは

従来の見守り支援機器との違い

センサーの種類によって検知して報知する機能が搭載されています。

たとえば、「シートセンサー」「ベッド柵センサー」「マットセンサー」は、ベッドに設置したセンサーが利用者の体圧が加わる、もしくは体圧が無くなると検知するタイプです。

ほかにも、磁気クリップの装着によって検知する「クリップセンサー」や、赤外線が照射される範囲内で利用者の存在を認識する「赤外線センサー」、超音波の照射範囲内に入った利用者を認識する「超音波センサー」などがあります。

従来は、利用者がベッドを離れた際にセンサーが検知して、アラーム音などで付近にいる介護職員に知らせるまでを担っていました。

これらに加えて、見守りロボットは利用者がどのような状況なのかを予測したり、アラーム発生時の分析をしたりするなどの役割を果たしています。

また、室内の天井などに設置するため、センサー付きのマット、シートをベッドなどに設置するなどの手間がかかりません。

さらに、介護職員の負担軽減や利用者の自立支援も期待できます。

介護ロボットは介護職員の0.1人分に相当

介護ロボットの導入が介護報酬に直接的に結びつくことはありませんが、2018年に介護報酬改定が行われたため、見守りロボットの導入によって「夜勤職員配置加算」の要件が緩和されています。

夜勤職員配置加算とは、夜勤に配置する介護職員の最低人員数を満たした介護施設に対して報酬を加算するための制度です。

夜間帯は、日中に比べて少ない人数を配置する施設が多く、利用者の人数が多いほど介護職員の負担は増加します。

利用者への十分な介護サービスを保証するだけでなく、夜間帯に勤務する介護職員の負担を最小限にする目的で、夜勤の最低人員数が定められています。

加算要件に追加された見守りロボットの導入に関する項目は以下のとおりです。

・利用者の動向を検知できる見守りロボットを、入所者数の15%以上設置している

・見守りロボットを安全に有効活用するための委員会の設置、検討を実施している

従来の加算要件では、最低人員数より1人以上多く配置しなければなりませんでしたが、見守りロボットが0.1人分としてカウントされ、最低基準より0.9人多く配置すればよいこととなりました。

現状では、介護ロボットは介護職員の0.1人分の役割を担っているにすぎず、1人分を満たすことはできません。

しかし、介護職員の休憩時間を確保するのに役立てられる、今後における介護職員の負担軽減につなげられるなどの効果が期待できます。

 関連記事 【加算ランキング】夜勤職員配置加算とは?基礎から解説!

従来の見守り支援機器の課題

厚生労働省では、従来の見守り支援機器には以下の5つの課題があると指摘しています。

・機器のアラームが鳴った後に訪室するため、間に合わない

・機器のスイッチの入れ忘れ

・複数のコールがあった際に、緊急度や優先順位の判断が難しい

・再々の訪室で、利用者・介護者ともにストレスとなっている

・事故時にその場にいないため、実際に何があったのかがわからない 等

従来は、アラームが鳴ってから介護職員が利用者の居室を訪れるため、転倒や転落などの事故を未然に防ぐことができない上に、事故の原因を正しく把握できないといった課題が残ります。

また、機器のスイッチは手動で入れる必要があり、介護職員がスイッチを入れ忘れれば見守り支援機器は作動しないため、本来の役割を果たせません。

アラームが鳴る度に介護職員が訪室すれば、利用者にも介護職員にとってもストレスになります。

さらに、同時にアラームが鳴った場合に、優先順位をつけにくいため、緊急性のある利用者の元へ直行できません。

一方で、見守りロボットは、利用者の状態の予測やアラーム発生時の分析が行えることから、介護現場では介護ロボットが従来の課題を解決できる存在として期待されています。

※引用元:厚生労働省「第4章 見守り支援機器(介護施設)

 関連記事 介護ロボットはなぜ必要?注目される理由と導入メリット、今後の課題を解説

事例から見る見守りロボットの導入効果

見守りロボットの導入によって得られる効果として、カメラ映像やシルエット映像によって利用者の状態を把握できるため、夜間の訪室の頻度を減らせることが挙げられます。

また、従来の見守り支援機器では寝返りなどでもアラームがなるため、誤報と緊急性のある通知のどちらなのかは、訪室しなければわかりませんでした。

見守りロボットでは、寝返りとその他の体動を検知できるため、誤報の頻度を減らせます。

訪室の頻度が減れば、介護職員だけでなく利用者の心理的負担も軽減できます。

実際の導入事例を確認してみましょう。

一目で利用者の状態を把握できる

※代理店 株式会社コンフォート公式HPより引用

イトデンエンジニアリング社の「エンジェル・アイ」を導入している宝寿の郷では、介護職員の負担軽減や利用者の転倒事故などを未然に防ぐ効果につながりました。

エンジェル・アイは、センサー、ネットワークカメラ、コールボタンの3つの機器を1セットにして利用する見守りロボットです。

居室内にセンサーを設置し、利用者の動向を検知するとネットワークカメラが撮影した画像を介護職員のスマートフォンに通知するという仕組みになっています。

エンジェル・アイの設置により、夜間に訪室しなくても利用者の様子を把握できるため、サービスの向上につながりました。

また、画像で利用者の状態を確認できることから、体調の変化にも気づきやすくなったと高く評価されています。

寝返りによる誤報が減り、心理的負担を軽減できる

※株式会社エイビス公式HPより引用

株式会社エイビスの「エイビスみまもりシステム」を導入した芙蓉苑では、機器を安全に使用するための点検などの対応を減らすなどの業務負担の軽減や、利用者の睡眠を確保するなどの効果につながりました。

エイビスみまもりシステムの種類は、「パネルセンサー」「バイタルセンサー」の2つに分けられます。ベッドサイドに設置したセンサーに伝わる振動や圧力を感知し、異常を感じた場合に報知します。

導入によって芙蓉苑が得られた具体的な効果の一例は、寝返りなどによる誤報が減少した、ベッドからの転倒・転落への対策になった、呼吸や心拍などのバイタル管理がしやすくなったことです。

さらに、システムを有効活用する計画も進められています。

たとえば、呼吸数や心拍数などの利用者のバイタルサインから、睡眠の深さなどを確認して睡眠の質をさらに向上することを目指しています。

参考:厚生労働省「介護ロボット導入活用事例集2020

見守りロボットの種類と特徴

センサーの種類によって、見守りロボットは以下の5つに分けることができます。

1.人感センサー

温度や熱に反応するセンサーで、利用者の体温から動きを感知するためのもの

2.バイタルセンサー

多くはベッドマットの下に設置し、対象者の体動や心拍、呼吸を感知できなくなると報知するセンサー

3.シルエットセンサー(独立型A)

利用者がベッドからはみ出す、起き上がる、離床するの3つの区分で検知する

4.シルエットセンサー(独立型B)

柵へもたれかかるなどのベッド上での危険な姿勢や、呼吸、もだえなどの体調の変化を知らせてくれる

5.シルエットセンサー(サーバー型)

利用者の危険予兆動作をシルエット画像で複数の介護者に一斉通知してくれる

シルエットセンサーは、シルエット画像で利用者の動向を把握する際に用いられ、種類は独立型A、独立型B、サーバー型の3つに分けられます。

それぞれのメリット・デメリットを確認しておきましょう。

人感センサーのメリット・デメリット

※例:パナソニック株式会社「スマ@ホーム システム」を引用

人感センサーのメリットは、利用者に配慮した場所に設置できることです。

人感センサーは、利用者の体温を感知してベッド上での動向を把握するセンサーのため、一般的にベッドの枕側にある壁の上部などに設置します。

利用者の背面にセンサーが設置するため、監視されているといった意識を感じさせないように配慮することも可能です。

た、無線LANを使用していることから、断線などによる故障リスクが少ないことも挙げられます。

一方で、人感センサーのデメリットは、カメラ機能がないため利用者の状態を画像で確認できないことです。

人感センサーでは、起き上がりやはみ出し、立ち上がり、離床などの報知により、介護者は利用者の異変に気づけますが、画像で状態を確認できないためアラームごとに訪室しなければなりません。

人感センサーの活用によって、寝返りなどの誤報による訪室の頻度は減らせますが、緊急性や優先度の判断は訪室する以外に方法がないという課題もあります。

バイタルセンサーのメリット・デメリット

※例:CYBERDYNE Omni Networks株式会社公式HP「パルケア」を引用

バイタルセンサーのメリットは、利用者の体動、心拍、呼吸などのバイタルの異常に一早く把握できることです。

ベッドからの転倒や転落などのリスクを減らせるだけでなく、バイタルサインによる体調の異変などをリアルタイムに把握する上でも有効です。

マットタイプや下に敷くタイプが多く、ベッドマットの下に敷いて利用できるため、利用者の肌に直接触れません。

利用者に寝心地の悪さや違和感を与えずに利用できることもメリットの一つです。

ただし、バイタルセンサーにもデメリットがあります。

人感センサーと同様に、カメラ機能が搭載されていないため、画像による状況判断を下せないことがデメリットです。

人感センサーに比べ、ベッドから離れた場所で転倒を起こした場合、センサーは感知できない可能性が考えられます。

ナースコールなどと併用することで、より正確に利用者の状態を把握できるようになるでしょう。

シルエットセンサー(独立型A)のメリット・デメリット

※イメージ画像は大和リース株式会社公式HPより引用

シルエットセンサー(独立型A)のメリットは、設置や移設が簡単にできることです。

ベッドの上部に取り付け部品を固定し、センサーを付け替えるだけで設置できます。

センサーの取り外しが簡単にできるため、別の居室で必要になった場合は、センサーの付け替えだけで移設が可能です。

また、無線LANにも対応しているため、配線工事などは必要ありません。

一方、シルエットセンサー(独立型A)のデメリットは、無線LANを使用するための準備が必要なことです。

たとえば、ルーターなどのWi-Fi環境を整える、スマートフォンやタブレット端末、パソコンなどを用意するなどのインフラ整備が挙げられます。

ほかにも、センサーは太陽光が差し込む室内では正常に動作しにくい特徴があるため、室内環境にも注意しなければなりません。

居室に窓がある場合は、太陽光の影響を受けにくい場所に設置するようにしましょう。

シルエットセンサー(独立型B)のメリット・デメリット

シルエットセンサー(独立型B)のメリットは、利用者の継続的なもだえや震えなどの微小体動を検知して安静状態ではないと判断される場合に通報できることです。

また、微小体動の検知後に危険性がある場合や、介護職員による確認が必要と想定される場合に、音とシルエット画像で報知します。

さらに、撮影した画像は3ヶ月分のデータを保管しておけるため、過去に遡って確認することも可能です。

一方で、シルエットセンサー(独立型B)のデメリットは、独立型Aと同様に無線LANを使用するためのインフラの整備が必要なことです。

無線LANを使用していない場合は、別途で導入コストがかかります。

ほかにも、センサーは赤外線を投光して利用者の状態の異常を感知するため、太陽光が入りやすい環境下でも正常に動作しなくなる恐れがあります。

センサーの設置場所を考慮する際は、太陽光が入りにくい場所を選ぶなどの配慮が必要です。

シルエットセンサー(サーバー型)のメリット・デメリット

シルエットセンサー(サーバー型)のメリットは、動作履歴記録機能の活用により、利用者のADLを把握しやすくなることです。

ADL(Activities of Daily Living)は、日常生活動作のことで、日常生活で必要な動作を意味する用語です。

たとえば、上体を起こす、移乗する、移動する、食事をとる、着替える、排泄する、入浴するなどの動作が挙げられます。

利用者ごとのADLに合った介護サービスの種類や内容を明確にできるため、ケアプランの作成にも有効です。

また、サーバー型の特徴として、事業所に設置したサーバーで、10室の画像確認を同時に行えることが挙げられます。

複数のナースコールが鳴った際、画像を確認した上で緊急性や優先度の高い利用者の元に直行するなどの対応を取れるようになります。

シルエットセンサー(サーバー型)のデメリットは、上述した独立型Aと独立型Bと同様で、無線LANのインフラ整備が必要なことや、太陽光の差し込む環境下では動作しづらいことです。

見守りロボット作動時の報知方法

見守りロボットが作動する際の報知方法は、おもに以下の4種類に分けることができます。

・専用報知機

・構内無線

・ナースコール接続

・ネット接続

専用報知機とは、居室に設置した機器によって報知されるタイプです。

シンプルな構造のため、比較的安価で入手できます。

ただし、報知する範囲が限定されている、得られる情報が少ないというデメリットがあります。

内無線とは、専用の受信機を設置することによって情報を受け取れる仕組みの報知方法です。

報知機自体は安価に手に入れられますが、受信機の設置費用にコストがかかります。

また、専用報知機と同様に得られる情報量は少ない傾向にあります。

ナースコール接続とは、専用受信機やナースステーション、PHSなどへ報知できるタイプです。

既存のナースコールに専用分配器を使用することで、見守りロボットと簡単に接続できます。

別途で機能を追加せずに利用でき、導入コストも安く抑えられます。

一方で、情報量が少なく、ハンディタイプでなければ有効活用しにくいことがデメリットの一つです。

ネット接続は、Wi-Fiや携帯電話回線と接続した機器によって報知できるタイプです。

カメラやマイクを搭載した機器と接続すれば、利用者の動向など、多くの情報を得られます。

また、画像による判断が可能なため、動作だけでなく体調の異変などにも利用可能です。

さらに、サーバーへ接続することで画像データなどを保存しておけます。

ただし、必要な機器の導入コストがかかるほか、介護職員への教育やネット接続による情報漏洩へのリスク対策なども必要です。

このように、報知方法ごとにメリット・デメリットはありますが、見守りロボットは今後の介護業務の生産性向上において不可欠な設備となることは明らかでしょう。

見守りロボット導入の留意点

上述した見守りロボットのメリット・デメリットなどからもわかるとおり、見守りロボットを導入する際はハード面の整備に加え、ソフト面における工夫や努力が必要になります。

ハード面においては、Wi-Fi接続などをはじめとする通信環境の整備が不可欠です。

通信環境が整備されている場合であっても、通信環境がよくないエリアがないかを確認した上で、必要な設備投資を行う必要があります。

一方で、ソフト面では見守りロボットを有効活用するために介護職員を対象とした研修の実施や、見守りロボットを導入する目的を全ての介護職員に周知し、理解を得ることが重要です。

研修では、見守りロボットの操作方法や運用方法、使用する際の注意点などを説明しましょう。

ただし、一斉に見守りロボットを導入すれば、施設内で混乱を招く可能性があるため、段階的に導入する計画を立てた上で、計画的に実施することをおすすめします。

 関連記事 介護ロボットはなぜ必要?注目される理由と導入メリット、今後の課題を解説

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介護される人の「人権を侵さない見守り」について考えよう

point

見守りロボットは、見守りロボットの導入により、介護職員の身体的負担や心理的負担の軽減につなげることができる反面、使い方次第では身体拘束禁止規定に抵触する可能性があります。

身体拘束禁止規定とは、介護保険施設で介護サービスを提供する際、利用者もしくは他の利用者の生命や身体を保護する緊急性のある場合を除いて、利用者の身体的拘束、行動の制限にあたる行為を禁止するという規定です。

身体拘束を行わなければならない場合は、生命や身体に危険が及ぶ可能性が高いとする「切迫性」、身体拘束や行動制限以外に方法がないとする「非代替性」、一時的な身体拘束や行動制限を意味する「一時性」の3つの要件を全て満たさなければなりません。

しかし、実際には3つの要件を検討されることもなく、介護職員の業務負担を軽減するために導入されているという現状があります。

見守りロボットを導入する際は、介護される側の人の人権を侵害しない活用の仕方ができるかどうかを検討するようにしましょう。

まとめ

見守りロボットは、介護をする人、される人の心理的な負担を軽減できる介護ロボットです。

介護施設が見守りロボットを導入することで、介護職員の業務負担の軽減はもちろん、生産性の向上も期待できます。

ただし、見守りロボットの使い方次第で、介護される人の身体拘束や行動制限などを禁止する身体拘束禁止規定を侵害する可能性があるため、利用目的を十分に検討した上で導入を決めましょう。

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