介護ロボットはなぜ必要?注目される理由と導入メリット、今後の課題を解説

介護ロボット・センサーの選び方

介護ロボットはなぜ必要?注目される理由と導入メリット、今後の課題を解説
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こみたろう

介護ロボットって、話には聞くけど導入のメリットってあるのかな?

このような疑問にお答えしていきます。

少子高齢化が進む日本では、介護サービスや介護施設などの需要が高まる一方で、人手不足が深刻化しています。

今後も継続して介護サービスを提供していけるのか不安な方もいらっしゃるでしょう。

実は、介護ロボットを導入すれば、人手不足の問題を解消できます。

厚生労働省や経済産業省では、介護ロボットの開発や導入を補助金制度で支援しています。

介護ロボットを検討中の方や介護ロボットについて理解を深めたい方は、本記事の導入した場合のメリット・デメリットや、介護ロボットにおける今後の課題などを参考にしてみてください。

介護ロボット導入を失敗しない! 介護ロボットの選び方、教えます

介護の現場の人材不足や負担軽減など様々なメリットがある介護ロボット!
しかし導入コストも高いためなかなか導入に踏み切れない方も多くいます。
介護のコミミの「介護ロボットの選び方」を参考にすれば失敗しない導入が可能です!
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ロボット選びで失敗しない!

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介護ロボットとは「介護する人・される人」を支援するロボット

そもそもロボットとは、「情報を感知」「判断」「動作」の3つの要素技術によって構成されており、さらに知能化した機械システムのことを意味します。

ロボットは、大きく分けて「産業用ロボット」と「サービスロボット」の2種類があり、介護ロボットは後者のサービスロボットに分類されるロボットです。

介護ロボットとは、ロボット技術を用いて、介護を必要とする人、介護者の負担軽減のために開発されたロボットを指します。

ロボットと聞くと、一般的に人型のロボットが介護を必要とする人の介助などをサポートするイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、実際には体に装着して使用するものや動作をサポートするものなど、ロボットをどのような用途で利用するのかによって、様々な姿や形状のロボットが作られています。

そのため、必ずしも全てのロボットが人型であるとは限りません。

人型のほかにも、様々な機能を備えた介護ロボットが存在します。

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こみたろう

ロボットは手足が着いた機械という印象が強いよね!

介護ロボットの種類

厚生労働省では、介護ロボットの種類を6分野13項目に分類しています。

どのような種類があるのか、以下の表にまとめました。

重点分野 分野内項目 ロボットの特徴
移乗支援 装着 介助者がパワーアシスト機能を備えるロボットを装着して要介護者の移乗をサポートする
非装着 ベッドなどに設置し、要介護者を抱え上げる際の介助者の負担を軽減する
移動支援 屋外 高齢者などの外出をサポートし、荷物を安全に運搬するための歩行支援機器
屋内 屋内での移動や立ち座り・姿勢保持を支援する歩行支援機器
装着 高齢者自身がロボットを装着し、転倒予防や歩行を補助するための歩行支援機器
排泄支援 排泄物処理 設置位置の調整が可能なトイレを排泄後に室外へ移動できる
トイレ誘導 装着した機器が排泄を予測し、的確なタイミングでトイレへ誘導する
動作支援 トイレでの衣服の着脱や立ち座りなどの一連の動作をサポートする
見守り・コミュニケーション 施設 介護施設向けのセンサーや外部通信機能を搭載した機器やプラットフォーム
在宅
在宅介護向けの転倒検知センサーや外部通信機能を搭載した機器やプラットフォーム
生活支援 高齢者の顔や言葉を認識し、会話によるコミュニケーションをとれる
入浴支援 浴槽に出入りする際の動作をサポートする
介護業務支援 移動支援・排泄支援・見守りなどの介護業務に関する情報の収集・蓄積をもとに、個別の支援を提案する際に用いる

 関連記事 【介護ロボット】6種類に分けて徹底解説!課題や評判

日本の介護ロボットの強み

日本の介護ロボットは国内の介護を必要とする人だけでなく、ヨーロッパやアメリカ、アジアなどでも活躍しています。

ロボットの開発には、「センサー」「駆動系(アクチュエータ)」「知能・制御」の3つの技術が必要です。

日本は、3つの技術を要するため、ロボット開発を進めることができます。

厚生労働省の資料によると、2013年6月時点におけるセンサーの米国特許保有件数シェアは4割以上で、駆動系のシェアは全体の6割を超えていました。

また、制御・知能系では人工知能(AI)のシェアは1割程度ですが、画像認識技術は約6割、音声認識は約2割となっており、ロボット全般の制御は5割以上を占めます。

総合的に判断しても、日本のロボット技術力は高いといえるでしょう。

日本の介護ロボットは、高い技術力を用いて開発されているため、ヨーロッパやアメリカをはじめとする海外でも介護業界などで活躍しています。

参考:厚生労働省「世界でかつやくするかいごロボットをつくろう!」

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こみたろう

日本の介護ロボット技術力は世界的に見ても高い水準にあるんだね!

介護ロボットが近年注目を集める理由

介護ロボットが日本で注目を浴びている理由は、ロボットの技術力の高さだけではなく、介護業界や日本の未来に大きな期待が寄せられているためです。

日本は少子高齢化により、労働人口の減少や高齢化社会が急速に進んでおり、2020年10月1日時点における総人口は1億2,571万人で、65歳以上の割合は総人口の28.8%、75歳以上は14.9%でした。

厚生労働省の「令和3年版高齢社会白書」によると、2065年の総人口は9,000万人を下回る8,808万人と推計されており、国民の2.6人に1人が65歳以上(38.4%)で、3.9人に1人が75歳以上(25.5%)であるというデータが公表されています。

政府やメディアからの発信で「人生100年時代」という言葉が使われているように、日本の高齢化は避けられないでしょう。

一方、介護業界では介護サービスのニーズが高まる反面、介護職が人手不足となっています。

従来のマンパワーに頼った業務遂行や経営方法では、立ち行かない未来が待っているといわざるを得ません。

介護ロボットは、介護業界の人手不足によって滞る可能性のある業務の一部を補うことができるとして、大きな期待が寄せられています。

参考:厚生労働省「令和3年版高齢社会白書」

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こみたろう

人手不足解消にはICT化・IoT化が必要不可欠だよ。

 関連記事 介護のICT化と離職率には相関関係が!【503法人に意識調査】

世界の介護ロボット事情

介護ロボットは日本だけでなく、ヨーロッパをはじめとする欧米諸国でも活用や開発が進められています。

ヨーロッパでは、一人暮らしをする高齢者の生活支援のために介護ロボットが利用されています。

たとえば、遠隔操作でロボットが住宅内を移動できる、遠方の家族と会話できるなどです。

また、充電中は後向きになるなど、利用者がロボットの視線が気にならない工夫なども施されたロボットもあります。

アメリカでは要介護者などの歩行をサポートするためのロボットが活躍していたり、3Dプリンターの活用により、利用者の骨格に合わせたロボットを作れます。

さらに、人と一緒に生活しながら支援をするロボットを開発中です。

たとえば、掃除をする、ビリヤードなどの遊び相手になるなどが挙げられます。

ほかにも、ドイツでは、家事を支援するためのお手伝いロボットを開発中です。

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こみたろう

人工知能のシェア率は外国の方が高いから、外国で高度な知能を持った介護ロボットが生まれるかもしれないね!

AI・ロボット導入は介護業界だけではない!

介護ロボットは、介護業界の人手不足の解消や高齢者、要介護者の自立支援などにも貢献していますが、様々な業界でAI・ロボットが導入されています。

実は、AI・ロボットの導入を推進する動きは、2040年問題を見据えたものです。

2040年問題の対策として、医療・インフラなどの様々な分野や自治体などでAI・ロボット技術を用いた業務改善、省力化に取り組んでいます。

2040年問題とは、2040年には高齢者人口がピークに達し、現役世代の1.5人で65歳以上の高齢者を支えなければならないという国民一人ひとりに係る大きな問題です。

2040年には医療・福祉の分野で200万人程度の人材を増やす必要があるといわれています。

少ない人材で質を落とさずにサービスを提供するためには、AI・ロボット技術を活用して生産性を向上させなければなりません。

たとえば、従来の医師による診療プロセスでは見落とされやすい兆候をロボットが検知してアラートで知らせる、ロボットによる手術支援・患者の見守り・搬送、AIによる予防・診断・治療方針の決定などが挙げられます。

また、2040年頃になると、毎年のように総人口が100万人程度減少すると推測されており、自治体の税収はもちろん行政にも影響が及ぶと予想されています。

これを受け、総務省では2017年10月に、地域経済や住民の生活を守ることを目的とした「自治体戦略2040構想研究会」を発足しました。

参考:総務省「自治体戦略2040年構想研究会

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こみたろう

人口減少・高齢化の問題は介護業界だけの問題じゃないから、「地域包括ケアシステム」の推進が行われているよ。

介護ロボット導入のメリット・デメリット

介護ロボットを導入するメリットは、介護者の身体的、心理的な負担を軽減できることです。

介護では、要介護者を持ち上げる、抱えるといった動作が必要なため、介護者の体力や人手が不可欠です。

介護ロボットを利用すれば、1人でも必要最小限の力で要介護者の移乗介助を行えます。

また、介護ロボットの利用により、介護者へ申し訳なさや恥ずかしさを感じている要介護者の心理的な負担を軽減する上でも有効です。

一方で、介護ロボットを導入した場合、導入コストがかかる、操作するためのスキルを習得しなければならないなどのデメリットがあります。

介護ロボットを導入するためには、数万円~数百万円のコストが必要です。

まとまった資金がなければ、必要数の介護ロボットの導入は難しいでしょう。

また、介護ロボットの種類にもよりますが、正常に起動するためには現場スタッフを対象にした研修などを実施し、ロボットの正しい操作方法を説明する必要があります。

介護ロボット導入のメリット・デメリットに関するアンケート調査などの情報を詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。

介護ロボット導入の課題・今後求められるもの

介護業界において活躍が期待されている介護ロボットですが、解決すべき課題があります。

主な課題は、以下の3つです。

・導入コストの高さ

・介護ロボットの小型化

・現場スタッフの理解促進とニーズの吸い上げ

介護業界における普及率が低いため、介護ロボットの単価が一向に下がらないという現状があります。

また、介護ロボットは大型で場所をとるため、利用しないときの保管場所や利用時の設置場所を確保しておかなければなりません。

介護者の利便性を考慮した場合、小型化は避けられないでしょう。

さらに、介護現場においては介護ロボットに対する正しい知識や理解を深めておく必要があります。

「ロボットは信用できない」といった思い込みがあれば、導入しても有効活用できません。

一方で、介護ロボットの開発側には、介護現場のニーズを把握した上でロボットの開発に生かすことが課題として挙げられます。

要介護者ごとに必要なサポートの種類や範囲は異なるため、柔軟に対応できる介護ロボットの開発や改良が必要です。

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こみたろう

介護ロボット導入には様々な壁があるよ。
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導入コストの高さ

介護ロボットを導入するメリットを理解していても、導入コストの高さがネックとなり、導入に踏み切れないというケースも少なくありません。

介護ロボットの普及率が上がれば、メーカーは量産体制に切り替えられ、単価を下げやすくなります。

単価を安くするためにも、積極的に介護ロボットを導入していく必要があるでしょう。

では、どのようにすれば導入コストを削減できるのでしょうか。

実は、国や自治体では介護ロボットの導入を推進するために補助金制度を設けています。

たとえば、厚生労働省では介護ロボット導入支援事業を実施しており、移乗支援・入浴支援ロボットを導入した場合に補助上限額100万円が交付されます。

また、介護ロボット導入に伴うWi-Fiなどの通信環境を整備する場合は、上限750万円まで申請可能です。

ほかにも、運営にかかる固定費を削減する、安定した経営を行うなどの自助努力も欠かせません。

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こみたろう

行政はICT・介護ロボット導入補助金にも力を入れているので、介護ロボット導入の際は活用しない手はないよね!

 関連記事 【各都道府県】ICT補助金・介護ロボット補助金【最新版2021年】

介護ロボットの小型化

介護ロボットは、コミュニケーションを主とする小型のロボットから、要介護者の移乗をサポートする大型のロボットまで様々な種類があります。

たとえば、要介護者をベッドから抱き上げる場合は、総重量70㎏などの大型の介護ロボットが必要です。

大型の介護ロボットは大きさも重量もあるため、保管場所や室内で利用する際の置き場所を確保しなければなりません。

小規模な施設の場合、介護ロボットが大きすぎると物理的なスペースの確保が難しいため、導入できない可能性があります。

介護ロボットの普及を進めるためには、実用可能なサイズに小型化することが求められます。

従来よりもコンパクトになれば、居室などの広いスペースだけでなく、浴室などの限られたスペースの中での利用が可能です。

介護ロボットの導入を検討している機器メーカーに、小型化などの要望を出してみるのも一つの方法でしょう。

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こみたろう

技術力が高いと言われている日本のメーカーさんならきっと実現してくれるよ!

現場スタッフの理解促進とニーズの吸い上げ

介護ロボットの導入にあたって大きな壁となるのは、現場スタッフが正しい知識や認識を持てていないことです。

介護ロボットは安全なのか、誤作動を起こしたりしないかなどの不安を抱くスタッフも多いでしょう。

なかには、介護ロボットの導入目的を正しく理解していないために、ロボットを導入する必要性を感じていないスタッフや経営者もいらっしゃるかもしれません。

しかし、上述したように2040年には65歳以上の人口がピークを迎え、介護業界をはじめとする様々な業界で、マンパワーだけでは運営が立ち行かなくなる恐れがあります。

介護ロボットの導入は事業を継続するためだけでなく、日本の将来にも大きく関わってきます。

2040年問題に向けて、経営層は本腰を入れて業務改善に取り組んでいくべきです。

介護ロボットを導入すれば、現場スタッフの業務負担を軽減できるだけでなく、生産性の向上、人的コストの削減にもつなげられます。

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こみたろう

いくら高性能な介護ロボットを導入しても、現場スタッフの介護ロボットに対しての理解度が低ければ導入効果は低くなるよ。

介護ロボットのまとめ

介護ロボットの導入は、介護業務の改善に有効な手段です。

介護ロボットを導入することで、介護者の身体的負担や心理的負担、要介護者の心理的負担も軽減できます。

ただし、導入コストが高いため、補助金の活用や事業所内での固定費の削減などの施策も必要です。

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この記事の筆者・監修者

  • 介護のコミミ編集部

    介護のコミミ編集部

    介護のコミミのコンテンツである「コミミマガジン」の編集者。 介護現場から施設運営など、介護に関わる幅広い分野で月間5万人以上の介護職員に情報発信をしている。 記事は介護職員だけでなく、メーカーや行政からの関心も高まっているため、メーカーと介護現場を繋ぐ第三者目線を第一に、日々情報を提供している。

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