介護報酬の加算・減算介護施設の経営・運営改善
令和8年度(2026年度)の障害福祉報酬改定は、2026年2月18日の「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(第53回)」で概要が取りまとめられ、処遇改善の拡充と新規指定事業所への応急的見直しが主な論点です。
本記事では、2026年3月時点で公表されている厚生労働省資料をもとに、障害福祉事業所の経営者・管理者向けに、何が確定し、何を先に準備すべきかを整理しています。
※出典元:厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」(2026年2月18日公表)、「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」。
なお、通知・Q&Aの追加公表により運用が更新される可能性があるため、最新情報が出次第、この記事も更新します。
障害福祉サービス等報酬改定の最新情報は、介護のコミミのYouTubeチャンネルの以下の動画でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。(以下をクリックすると動画を再生することができます)
令和8年度における障害福祉報酬改定の要点は「賃上げ原資の拡充」と「一部サービスの新規指定に対する単価調整」の2本柱です。
改定全体の背景には、現場の人材確保と制度持続性の両立があります。経営側は、加算取得と新規開設時の採算設計を同時に見直す必要があります。
経営判断に必要な論点として押さえるべきポイントは以下の通りです。施行日が異なるため、準備スケジュールの逆算に注意してください。
【2026年4月施行】
【2026年6月施行】
出典:厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」(2026年2月18日、報酬改定検討チーム第53回資料)
障害福祉従事者全体の賃上げを進める方向が明確化され、加算対象・要件の運用が見直されています。具体的には、福祉・介護職員のみならず障害福祉従事者を対象に月額1.0万円(3.3%)の賃上げを実現する措置に加え、生産性向上や協働化に取り組む事業者には福祉・介護職員を対象に月額0.3万円(1.0%)の上乗せが設けられます。定期昇給0.6万円を含めると、福祉・介護職員について最大月1.9万円(6.3%)の賃上げが実現する設計です。
今回の改定による処遇改善加算の拡充は、以下の4つの措置で構成されています。
サービスごとの加算率は常勤換算職員数に基づき設定されています。主要サービスの加算率は以下の通りです(福祉・介護職員等処遇改善加算を除く加減算後の総報酬単位数に乗じて算定)。
| サービス区分 | 加算Ⅰイ | 加算Ⅰロ | 加算Ⅱイ | 加算Ⅱロ | 加算Ⅲ | 加算Ⅳ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 居宅介護 | 44.6% | 45.6% | 43.1% | 44.1% | 37.6% | 30.2% |
| 生活介護 | 9.3% | 9.7% | 9.2% | 9.6% | 7.9% | 6.7% |
| 就労継続支援A型 | 10.8% | 11.2% | 10.6% | 11.0% | 9.1% | 7.5% |
| 就労継続支援B型 | 10.5% | 10.9% | 10.3% | 10.7% | 8.8% | 7.4% |
| 共同生活援助(包括型・日中型) | 16.3% | 16.9% | 16.0% | 16.6% | 14.4% | 12.1% |
| 児童発達支援 | 15.2% | 15.8% | 14.9% | 15.5% | 13.9% | 11.7% |
| 放課後等デイサービス | 15.5% | 16.1% | 15.2% | 15.8% | 14.2% | 11.9% |
加算Ⅰロ・Ⅱロは、令和8年度特例要件(生産性向上の取組要件〔⑱㉑必須〕5つ以上、または社会福祉連携推進法人への所属に加え、加算Ⅱロ相当の加算額の1/2以上を月給賃金で配分)を満たした事業所が取得できる上乗せ区分です。
※全サービスの加算率は厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」を参照。新設の計画相談支援・地域相談支援・障害児相談支援は一律5.1%。
2026年改定では、従来より広い職種でのベースアップを前提に、事業所内の配分設計と届出実務がより重要になります。単に加算率を見るだけでなく、誰に・どう配分し、どの要件をどの期日までに満たすかを事前に決める必要があります。
加算率・算定要件・令和8年6月施行の改正要点を詳しく知りたい場合は、以下の記事よりご確認ください。
処遇改善加算の詳細運用は毎年の通知・Q&A更新で実務解釈が変わるため、算定開始だけでなく、算定後の運用監査まで見据えた体制づくりが必要です。
結論として、障害福祉と介護は「名称が近いが、要件と対象サービスが異なる制度」です。
出典:厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」(2026年2月18日)
2026年6月1日以降の新規指定が対象で、既存事業所は原則据え置きです。新規開設・多店舗展開を予定する法人は、事業計画の前提を必ず更新してください。
対象となるのは、年間総費用額全体に占める割合が1%以上で、令和6年度の収支差率が5%以上あり、事業所数の伸び率が過去3年間5%以上のサービスです。サービスごとの応急的報酬単価は以下の通りです。
| 対象サービス | 応急的報酬単価 |
|---|---|
| 就労継続支援B型 | 所定単位数の1000分の984 |
| 共同生活援助(介護サービス包括型・日中サービス支援型) | 所定単位数の1000分の972 |
| 児童発達支援 | 所定単位数の1000分の988 |
| 放課後等デイサービス | 所定単位数の1000分の982 |
共同生活援助は介護サービス包括型・日中サービス支援型のみが対象であり、外部サービス利用型は対象外です。引き下げ率の絶対値だけでなく、開設初年度の稼働率が低い期間に重なる影響を織り込むことが重要です。
訪問系(居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護)で単価を上げる論点として、以下もあわせてご確認ください。
以下に該当する場合は、配慮措置として従前の報酬単価が適用されます。
<重度障害者・児への配慮>
<地域への配慮>
また、合併・分割・事業譲渡に伴う指定の場合、その前後で事業所が実質的に継続して運営されると認められる場合は、既存事業所と同様の扱いとなります。自法人の案件が例外要件に該当するかは、指定権者への事前照会を推奨します。
出典:厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」および同関連資料(2026年2月18日)
今回の改定で唯一2026年4月から施行される項目であり、就労継続支援A型・B型、生活介護、自立訓練(機能訓練・生活訓練)を運営する事業所は早急な確認が必要です。
就労移行支援体制加算は、一般就労への定着に向けた継続的な支援体制を評価する加算ですが、同一の利用者がA型事業所と一般企業の間で複数回離転職を繰り返し、その都度加算を取得するという本来の制度趣旨と異なる運用が問題視されていました。
これを踏まえ、以下の適正化が行われます。
令和9年度報酬改定に向けて、就労移行支援体制加算のあり方については改めて議論される予定です。
出典:厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」(2026年2月18日)
令和6年度改定で平均工賃月額の算定方式が見直された結果、平均工賃月額が約6千円上昇し、想定以上に高い報酬区分の事業所の割合が増加しました。これに対応するため、基本報酬区分の基準額がそれぞれ3千円引き上げられます(引上げ幅は平均工賃月額の上昇幅 約6千円の1/2)。
報酬区分が動く可能性があるため、最新の工賃実績を前提にシミュレーションしてください。
基準額の引上げに際し、以下の配慮措置が併せて講じられています。
経営管理上は、工賃向上施策と人員配置の見直しをセットで管理し、単価変動に対して月次で打ち手を調整できる体制が有効です。
出典:厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」(2026年2月18日)
訪問系サービス(居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援)については、処遇改善加算の見直しに連動して国庫負担基準の改正が行われます(令和8年6月施行)。
障害者総合支援法では、限りある国費を公平に配分し市町村間のサービス提供のばらつきをなくすため、訪問系サービスにおける市町村に対する国庫負担の上限を定めています。今回は処遇改善加算の拡充に伴い、障害支援区分ごとの国庫負担基準単位数が引き上げられます。
訪問系サービスを運営する事業所は、市町村との調整において新しい国庫負担基準を前提に協議してください。
出典:厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」(2026年2月18日)
次の5点を先に着手すると、通知追加後の意思決定が速くなります。
障害福祉ソフトや請求実務の見直しを並行して進めると、加算運用の事務負荷を下げやすくなります。
障害福祉ソフトおすすめ比較や、計画相談支援向けソフト比較も、体制づくりの参考としてご活用ください。
就労移行支援体制加算の適正化は2026年4月施行、その他の主要項目(処遇改善加算の拡充、新規指定事業所の応急的単価、B型基準額の見直し、国庫負担基準の改正)は2026年6月施行です。
同じ「2026年改定」でも施行時期・届出期限が異なるため、月単位で逆算して準備するのが安全です。
障害福祉従事者全体を対象に月額1.0万円(3.3%)の賃上げが基本です。さらに、生産性向上や協働化に取り組む事業者の福祉・介護職員には月額0.3万円(1.0%)が上乗せされます。定期昇給0.6万円を含めると、福祉・介護職員について最大月1.9万円(6.3%)の賃上げが実現する設計です。
2026年4月施行で、一事業所で算定可能な年間就職者数の上限が「定員数まで」に設定されます。また、他の事業所において過去3年間で算定実績がある利用者についても原則算定不可となることが明確化されました。対象サービスは生活介護、自立訓練、就労継続支援A型・B型です。
基本報酬区分の基準額がそれぞれ3千円引き上げられます。これは令和6年度改定で平均工賃月額が約6千円上昇したことへの対応で、引上げ幅は上昇幅の1/2に留められています。ただし、令和6年度改定前後で区分が上がっていない事業所は適用対象外、区分が下がる場合は中間区分の新設で減少額が3%程度に収まる配慮措置が設けられています。
公表資料上、応急的引き下げは新規指定を主対象とする整理です。既存事業所は一律引き下げではない前提ですが、B型の報酬区分見直しにより区分が変動する可能性はあります。例外規定や運用詳細は個別確認が必要です。
最優先は「自事業所への影響の定量化」です。加算・単価・人件費の3点を同じシートで管理し、収支影響を可視化したうえで意思決定してください。
障害福祉サービスを運営する経営者や管理者にとって、今回の改定は処遇改善の拡充を取りに行く準備と新規指定時の採算悪化リスク管理を同時に進める局面です。
早めに準備を進めることで、届出直前の手戻りを減らせます。最新通知・Q&Aが出た段階で、この記事も継続更新します。
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