介護報酬の加算・減算
600単位/回になるから収益を増やしたい多くの事業所にとっては算定必須だね!
「加算取得で収益は増やしたいけど、どれくらい労力がかかるかを確認したい」
そのように思ってはいませんか?
退院時共同指導加算は訪問看護・予防訪問看護・定期巡回・看護小規模多機能が対象になっており、退院時共同指導加算の取得検討している事業所は多いです。
2024年度の介護報酬改定では、退院時共同指導加算の見直しがされました。
そこでこの記事では、サービス種別毎に見やすく加算情報をまとめた上で、退院時共同指導加算を算定すべきなのかを厚生労働省が公表しているデータを交えながら解説していきます。
最後までこの記事をお読みいただければ、あなたの事業所で退院時共同指導加算の取得をすることで収益を見込めるのかどうかがわかり、加算取得するかの判断材料になるでしょう。
ちなみに、2024年度の介護報酬改定では、ICTツールの導入が必須もしくは推奨されている加算が多数導入されました。
そこで、業界最大級のメディア「介護のコミミ」では、加算取得に役立つICTツールの選定を無料サポートしていますので、ぜひお気軽にご利用ください ⇒ ICTツールの選定や加算取得の相談はこちら(無料)
退院時共同指導加算以外の加算に関しては、下の関連記事で確認することができるよ!
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退院時共同指導加算とは、入院中に訪問看護ステーション等の看護師等が医療機関と共同して、在宅での療養上必要な指導を行うことで、医療機関等からの退院後に、円滑に訪問看護を提供できるようにすることを評価する加算になります。
退院・退所につき1回に限り算定します。
ただし、特別な管理を必要とする利用者については2回算定できます。
「特別な管理を必要とする利用者」とは、以下のいずれかを受けている利用者を指します。
・在宅自己腹膜灌流指導管理
・在宅血液透析指導管理
・在宅酸素療法指導管理
・在宅中心静脈栄養法指導管理
・在宅成分栄養経管栄養法指導管理
・在宅自己導尿指導管理
・在宅人工呼吸指導管理
・在宅持続陽圧呼吸療法指導管理
・在宅自己疼痛管理指導管理
・在宅肺高血圧症患者指導管理
・在宅悪性腫瘍等患者指導管理
・在宅気管切開患者指導管理
・気管カニューレの使用
・留置カテーテルの使用
・人工肛門や人工膀胱の設置
・真皮を越える褥瘡
・週3日以上の点滴注射
加算の取得対象となるサービス種別は次の通りです。
・訪問看護(予防含む)
・訪問リハビリテーション(予防含む)<新設>
・通所リハビリテーション(予防含む)<新設>
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
・看護小規模多機能型居宅介護
幅広いサービス種別に対応しているね!
介護保険の退院時共同指導加算を算定するときは、以下のポイントに注意しましょう。
・1人の利用者あたり月1回のみ算定できる
・退院後に初回の訪問看護を実施した日に算定するが、指導実施月の翌月の場合は翌月に算定する
・特別管理加算の対象者に共同指導を複数日に実施した場合は、2回分を初回の訪問看護に算定できる
・複数の訪問看護ステーションで退院時共同指導加算を行った場合は、1か所分のみ算定できるが、2回算定できる利用者であれば1回ずつ算定できる
・医療保険の退院時共同指導加算は算定できず、退院時共同指導加算と初回加算の同時算定もできない
加算の算定要件や算定率、平均月額収益をサービス種別毎にまとめました。
また、「介護給付費分科会」のレポートを元に、算定難易度や取得おすすめ度などを独自調査し、5段階評価を行いました。
※一部公表されていないデータがあります。
・訪問看護(予防含む)
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
・看護小規模多機能型居宅介護
訪問看護 | (予防)訪問看護 | |
算定率 | 8.88% | – |
平均月額収益 | 10,745円 | – |
算定難易度 | ★★★★★ | – |
取得おすすめ度 | ★★☆☆☆ | – |
※参考:社会保障審議会 介護給付費分科会(第220回)令和5年7月24日資料3」
算定単位数
・600単位/回
算定要件
・病院、診療所または介護老人保健施設もしくは介護医療院に入院(所)中の者へ、主治医等と連携して在宅生活で必要な指導を行い、その内容を文書で提供した場合、退院・退所後の初回訪問看護時に1回(特別な管理を要する者の場合2回)に限り算定。
・医療保険で算定する場合や初回加算を算定の場合は算定しない。
※表はスクロールできます。
定期巡回 | |
算定率 | 0.78% |
平均月額収益 | 16,667円 |
算定難易度 | ★★★★★ |
取得おすすめ度 | ★☆☆☆☆ |
※参考:「社会保障審議会 介護給付費分科会(第218回)令和5年6月28日 資料1」
算定単位数
・600単位/回
算定要件
・退院(所)に当たり、一体型定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の保健師・看護師・理学療法士・言語聴覚士が退院時共同指導を行った後、退院(所)後に初回の訪問看護サービスを行った場合。
・退院(所)につき1回(特別な管理が必要な利用者は2回)に限る
算定単位数
・600単位/回
算定要件
・退院(所)に当たり、看護小規模多機能型居宅介護事業所の保健師・看護師・理学療法士・言語聴覚士が退院時共同指導を行った後、退院(所)後に初回の訪問看護サービスを行った場合。
・退院(所)につき1回(特別な管理が必要な利用者は2回)に限る
算定率や収益を見ると、あまり高くない傾向にあるから算定可能な状況であれば、加算の取得を検討するといいよ!
2024年度の介護報酬改定により、退院時共同指導加算が見直しされました。
※変更点は赤文字で記載しています。
・訪問看護(予防含む)
・訪問リハビリテーション(予防含む)<新設>
・通所リハビリテーション(予防含む)<新設>
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
・看護小規模多機能型居宅介護
サービス | 施行前 | 施行後 |
訪問看護(予防含む) | 600単位/回 | 600単位/回 |
訪問リハビリテーション(予防含む)<新設> | 600単位/回 | |
通所リハビリテーション(予防含む)<新設> | 600単位/回 | |
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | 600単位/回 | 600単位/回 |
看護小規模多機能型居宅介護 | 600単位/回 | 600単位/回 |
・病院、診療所または介護老人保健施設もしくは介護医療院に入院(所)中の者へ、主治医等と連携して在宅生活で必要な指導を行い、その内容を文書で提供した場合、退院・退所後の初回訪問看護時に1回(特別な管理を要する者の場合2回)に限り算定。
・医療保険で算定する場合や初回加算を算定の場合は算定しない。
・病院・診療所に入院中のものが退院するにあたり、(介護予防)訪問リハビリ事業所の医師または理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が退院前カンファレンスに参加し、退院時共同指導(※)を行った後に初回の(介護予防)訪問リハビリを実施した場合
※利用者・家族に対し病院・診療所の主治医、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士その他の従業者と利用者の状況等に関する情報を相互に共有した上で、在宅でのリハビリに必要な指導を共同して行い、その内容を在宅でのリハビリ計画に反映させる
・病院・診療所に入院中のものが退院するにあたり、(介護予防)通所リハビリ事業所の医師または理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が退院前カンファレンスに参加し、退院時共同指導(※)を行った後に初回の(介護予防)通所リハビリを実施した場合
※利用者・家族に対し病院・診療所の主治医、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士その他の従業者と利用者の状況等に関する情報を相互に共有した上で、在宅でのリハビリに必要な指導を共同して行い、その内容を在宅でのリハビリ計画に反映させる
Q.1 退院時共同指導を実施した2ヶ月後に退院後初回の訪問看護を行った場合は退院時共同指導加算を算定できるのか
A.1 算定できない。退院後初回の訪問看護を行った月の同一月若しくは前月に退院時共同指導を実施した場合に算定できる。
Q.2 退院時共同指導加算を2ヵ所の訪問看護ステーションで算定できるのか。
A.2 退院時共同指導加算は、1回の入院について1回に限り算定可能であるため、1ヵ所の訪問看護ステーションのみで算定できる。
Q.3 退院時共同指導加算は、退院又は退所1回につき1回に限り算定できることとされているが、利用者が1ヶ月に入退院を繰り返した場合、1月に複数回の算定ができるのか。
A.3 算定できる。
ただし、例2の場合のように退院時共同指導を2回行った場合でも退院後1度も訪問看護を実施せず再入院した場合は、退院時共同指導加算は1回のみ算定できる。
(例1)退院時共同指導加算は2回算定できる入院→退院時共同指導→退院→訪問看護の提供→再入院→退院時共同指導→訪問看護の実施
(例2)退院時共同指導加算は1回算定できる入院→退院時共同指導→退院→再入院→退院時共同指導→訪問看護の実施
引用:厚生労働省「介護サービス関係 Q&A集」
加算の届出と報酬支払までの大まかな流れとしては下記になります。
①加算要件の確認と適合
②届出届出先と書類及び申請期限の確認
③提出書類を記入し申請
④算定開始
⑤介護給付費請求
以上の流れに沿って介護給付費請求まで行います。
加算要件の基本は、「サービスを提供している職員数」「利用者へのサービスの提供」になります。
計画書の作成や、利用者への情報提供などが加算要件に含まれている場合があり、詳細はそれぞれ加算によって異なります。
加算の届出を提出した時点で加算要件を満たしているものとして扱われますので、加算申請先の各都道府県(市町村)では内容の精査を行うことはありません。
ですので、書類に不備があったり不正に介護報酬を受給してしまっている場合は、介護保険請求の時点で届出の修正や取り消し、もしくは返金を行わなければならない場合があるので、届出を行う前にもう一度算定要件を満たしているのかを確認しましょう。
また、加算の要件に合致しているかどうか毎年度確認が必要となります。
法改正やサービス体制等の変更により区分や加算要件等の変更が行われる場合があるので、留意しておきましょう。
届先は市区町村(都道府県)の福祉課や保険課など、管轄の市区町村(都道府県)により異なります。
また、提出方法は直接書類を窓口へ持参するか、郵送にて書類を送るのが基本になります。
申請方法等の詳細は管轄の各都道府県や市区町村のホームページで確認しておきましょう。
申請期限は加算を算定する月の前月末日まで、または前月15日までに届出が必要です。(サービス種別毎に異なるので後述)
ただし、介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算については、加算算定月の前々月の末日までに提出する必要があります。(例:6月からの加算→4月末までの提出。)
また、加算の要件を満たさなくなった場合は、上記日時にかかわりなくすみやかに提出してください。
管轄の市区町村(都道府県)によりサービス種別毎に提出書類や提出期限が異なることがあるので、注意が必要です。
「科学的介護推進体制加算」については、3ヶ月以上の運営実績が必要となりますので、新規指定申請時に届出できません。
また、※前年度の実績が6か月を満たさず届出月の前3か月の状況で届け出た事業所は、直近3か月間の状況が加算の要件に合致しているかどうか毎月確認の上、記録が必要になります。
備考
(1)運営実績が6か月に満たない場合 ・算定要件(職員割合)を満たさない→算定不可
加算「なし」の旨、届出が必要 ・算定要件(職員割合)を満たす→引き続き算定可
新規で事業を開始した(又は再開した)事業所については、前3か月の実績が必要になることから、開設後(又は再開後)4か月目から加算の届出が可能となります(算定開始は5か月目以降)。
届出が受理された日が属する月の翌月(届出が受理された日が月の初日である場合は当該月)から算定を開始できるサービスは次のとおりです。
毎月15日までに届出があったものについて、翌月1日から算定を開始できるサービスは次のとおりです。
届出の書類は、サービス種別毎、市区町村(都道府県)毎、年度毎に書類の様式や提出物が異なりますが、基本的な提出書類は次の2点になります。
「介護給付費算定に係る体制等に関する届出書」は、届出を行う事業所の施設名や住所、サービス種別などの基本情報を記載する書類になります。
「体制等状況一覧表」は、現在の施設等の区分や人員配置区分を記載し、加算算定状況等を記載します。
こちらの書類はサービス種別毎に様式が異なっておりますので、届出をしたい事業所の提供サービスに適した「体制等状況一覧表」に記載しましょう。
前記の通り、各都道府県や市区町村により提出する書類等が若干異なるため、各都道府県や市町村のホームページを確認し、提出漏れがないよう注意しましょう。
過不足なく届出をしたとしても、加算要件の根拠資料を更に求められるなど、事前にアナウンスされているもの以外の書類の提出も求められる場合があるので、留意しておきましょう。
届出が受理され、算定が始まっていたとしても法改正等の内容変更により再度届出が必要な場合があります。
各加算の届出が必要な場合は次のようになります。
このような状況に適合する場合、速やかに加算の届出が必要になることがあります。
引用:千葉県「加算等に関する届出について|介護サービス事業者の方へ」
対象の加算を満たした上で介護報酬の請求を保険者(市町村)に対して行います。
この作業のことを介護保険請求といいます。
請求の時点で加算の届出についてなにか不備があれば、前記した通り届出の修正や取り消し、場合よっては不正に受給したということで介護報酬の返金を求められることがあるので、届出をする時点での加算要件の確認は最重要になります。
介護保険請求に関して詳しく解説した記事がありますので、そちらもよろしくお願いいたします。
加算の届出以外にも介護保険請求という複雑化した業務がありますので、多忙を極めるケアマネジャーや施設管理者にとって頭を悩ます種になりがちです。
そこで役立つツールとして介護ソフトを活用するのをお勧めします。
利用者情報の管理や従業員の勤怠管理、入力した利用者情報を出力してそのまま請求業務に活用できるなど、加算の届出や介護保険請求が捗るため業務効率化に役立てることができます。
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複雑な算定要件や計算式だとしても、簡単な操作で請求データ作成やエラーチェックすることが可能です。
しかし、介護ソフトによって操作感(使いやすさ)や機能、価格は大きく異なるため、介護ソフトの比較検討はとても重要です。
すでに介護ソフトを導入されている場合でも、必要に応じて介護ソフトの再検討をしてみましょう。
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