介護報酬の加算・減算
収益を増やしたい多くの事業所にとっては算定必須だね!
「加算取得で収益は増やしたいけど、どれくらい労力がかかるかを確認したい」
そのように思ってはいませんか?
ターミナルケア加算は訪問看護・介護老人保健施設・定期巡回・看護小規模多機能が対象になっており、ターミナルケア加算の取得を検討している事業所は多いです。
そこでこの記事では、サービス種別毎に見やすく加算情報をまとめた上で、ターミナルケア加算を算定すべきなのかを厚生労働省が公表しているデータを交えながら解説していきます。
最後までこの記事をお読みいただければ、あなたの事業所でターミナルケア加算の取得をすることで収益を見込めるのかどうかがわかり、加算取得するかの判断材料になるでしょう。
ちなみに、2024年度の介護報酬改定では、ICTツールの導入が必須もしくは推奨されている加算が多数導入されました。
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ターミナルケア加算以外の加算に関しては、下の関連記事で確認することができるよ!
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ターミナルケア加算とは、ターミナルケアを行う体制を整え、ターミナル期の利用者にターミナルケアを実施することを評価する加算になります。
※ターミナルとは、その名の通り「終末期(ターミナル)」の「医療・看護および介護(ケア)」になります。
加算の取得対象となるサービス種別は次の通りです。
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
・看護小規模多機能型居宅介護
4つのサービス種別に対応しているね!
加算の算定要件や算定率、平均月額収益をサービス種別毎にまとめました。
また、「介護給付費分科会」のレポートを元に、算定難易度や取得おすすめ度などを独自調査し、5段階評価を行いました。
また、2024年度介護報酬改定においての変更点は赤文字で表記しています。
訪問看護 | |
算定率 | 7.80% |
平均月額収益 | 32,928円 |
算定難易度 | ★★☆☆☆ |
取得おすすめ度 | ★★☆☆☆ |
※表の数値や評価は、介護報酬改定前(令和2年度)のデータを元に算出しています。
算定単位数
・2000単位/死亡月→2,500単位/死亡月(改定後)
算定要件
①.死亡日および死亡日前14日以内に2日以上ターミナルケアを実施(ターミナルケアを行った後、24時間以内に在宅以外で死亡した場合を含む)
②.主治医との連携の元に、ターミナル計画および支援体制を利用者およびその家族等へ説明し同意を得ている
※支給限度額管理の対象外
※表はスクロールできます。
老健 |
||||
区分 | 死亡日 | 死亡日前日、前々日 | 死亡日以前4日以上30日以下 | 死亡日以前31日以上45日以下 |
算定率 | 34.00% | 33.60% | 32.40% | 18.90% |
平均月額収益 | 30,629円 | 27,413円 | 52,979円 | 15,458円 |
算定難易度 | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ |
取得おすすめ度 | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★☆☆☆☆ |
※表の数値や評価は、「社会保障審議会 介護給付費分科会(第221回) 令和5年8月7日 資料2」のデータを元に算出しています。
算定単位数
・死亡日
療養型老健以外:1650単位/日→1900単位/日(改定後)
療養型老健:1700単位/日
・死亡日前日、前々日
療養型老健以外:820単位/日→910単位/日(改定後)
療養型老健:850単位/日
・死亡日以前4日以上30日以下
療養型老健以外:160単位/日
療養型老健:160単位/日
・死亡日以前31日以上45日以下
療養型老健以外:80単位/日→72単位/日(改定後)
療養型老健:80単位/日
算定要件
①.ターミナルケアの指針を定め、入所の際に利用者・家族等にその内容を説明し、同意を得る
②.医師、生活相談員、看護職員、介護職員、管理栄養士、ケアマネジャー等で協議の上、ターミナルケアの実績等を踏まえ、適宜、指針の見直しを行う
③.ターミナルケアに関する職員監修を行う
利用者要件
①.医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した者
②.医師、看護職員、ケアマネジャー等が共同で作成した計画を、医師等から説明を受け、同意する者
③.指針に基づき、利用者の状態または家族の求めに応じ、医師等の連携の下、介護記録等を活用した介護の説明を受け、同意した上で介護を受けている者
※「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取り組みを行う
施設サービス計画の作成にあたり、本人の医師を尊重した医療・ケアの方針決定に対する支援に努める
退所日の翌日から死亡日までの間は算定しない
※表はスクロールできます。
定期巡回 | 看護小規模多機能 | |
算定率 | 1.92% | – |
平均月額収益 | 27,273円 | – |
算定難易度 | ★★☆☆☆ | – |
取得おすすめ度 | ★☆☆☆☆ | – |
※表の数値や評価は、「社会保障審議会 介護給付費分科会(第218回 令和5年6月28日 資料2、資料3)のデータを元に算出しています。
算定単位数
・定期巡回:2000単位/月(訪問看護サービスを行う場合)→2,500単位/死亡月(訪問看護サービスを行う場合)(改定後)
・看護小規模多機能:2000単位/月→2,500単位/死亡月(改定後)
算定要件
①.死亡日および死亡日前14日以内に2日以上(死亡日および死亡日前14日以内に訪問看護を行っている場合は1日)ターミナルケアを実施(ターミナルケア実施後24 時間以内に在宅以外で死亡した場合も含む)
②.必要に応じて訪問看護サービスを行う体制を確保する
③.主治医として連携してターミナルケアの計画・支援体制を利用者・家族等に説明し、同意のうえでターミナルケアを実施
④.ターミナルケア提供について利用者の身体状況の変化等必要な事項を適切に記録
※支給限度額管理の対象外
ターミナルケア加算は利用者の身体状況により要件を満たせるかが変わってくるよ!
いざというときターミナルケア加算の存在を思い出して加算取得を検討してみよう!
Q
ターミナルケアの実施にあたっては、他の医療及び介護関係者と十分な連携を図るよう努めることとあるが、具体的にはどのようなことをすれば良いのか。
A
ターミナルケアの実施にあたっては、他の医療及び介護関係者と十分な連携を図ることが 必要であり、サービス担当者会議等における情報共有等が想定される。
例えば、訪問看護 師と居宅介護支援事業者等との連携の具体的な方法等については、「訪問看護の情報共 有・情報提供の手引き~質の高い看取りに向けて~」 (平成29年度 厚生労働省老人保健 健康増進等事業 訪問看護における地域連携のあり方に関する調査研究事業(三菱UFJリ サーチ&コンサルティング))等においても示されており、必要に応じて参考にしていただき たい。
引用:厚生労働省「介護サービス関係Q&A」
加算の届出と報酬支払までの大まかな流れとしては下記になります。
①加算要件の確認と適合
②届出届出先と書類及び申請期限の確認
③提出書類を記入し申請
④算定開始
⑤介護給付費請求
以上の流れに沿って介護給付費請求まで行います。
加算要件の基本は、「サービスを提供している職員数」「利用者へのサービスの提供」になります。
計画書の作成や、利用者への情報提供などが加算要件に含まれている場合があり、詳細はそれぞれ加算によって異なります。
加算の届出を提出した時点で加算要件を満たしているものとして扱われますので、加算申請先の各都道府県(市町村)では内容の精査を行うことはありません。
ですので、書類に不備があったり不正に介護報酬を受給してしまっている場合は、介護保険請求の時点で届出の修正や取り消し、もしくは返金を行わなければならない場合があるので、届出を行う前にもう一度算定要件を満たしているのかを確認しましょう。
また、加算の要件に合致しているかどうか毎年度確認が必要となります。
法改正やサービス体制等の変更により区分や加算要件等の変更が行われる場合があるので、留意しておきましょう。
届先は市区町村(都道府県)の福祉課や保険課など、管轄の市区町村(都道府県)により異なります。
また、提出方法は直接書類を窓口へ持参するか、郵送にて書類を送るのが基本になります。
申請方法等の詳細は管轄の各都道府県や市区町村のホームページで確認しておきましょう。
申請期限は加算を算定する月の前月末日まで、または前月15日までに届出が必要です。(サービス種別毎に異なるので後述)
ただし、介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算については、加算算定月の前々月の末日までに提出する必要があります。(例:6月からの加算→4月末までの提出。)
また、加算の要件を満たさなくなった場合は、上記日時にかかわりなくすみやかに提出してください。
管轄の市区町村(都道府県)によりサービス種別毎に提出書類や提出期限が異なることがあるので、注意が必要です。
「サービス提供体制強化加算」については、3ヶ月以上の運営実績が必要となりますので、新規指定申請時に届出できません。
また、※前年度の実績が6か月を満たさず届出月の前3か月の状況で届け出た事業所は、直近3か月間の状況が加算の要件に合致しているかどうか毎月確認の上、記録が必要になります。
備考
(1)運営実績が6か月に満たない場合 ・算定要件(職員割合)を満たさない→算定不可
加算「なし」の旨、届出が必要 ・算定要件(職員割合)を満たす→引き続き算定可
新規で事業を開始した(又は再開した)事業所については、前3か月の実績が必要になることから、開設後(又は再開後)4か月目から加算の届出が可能となります(算定開始は5か月目以降)。
届出が受理された日が属する月の翌月(届出が受理された日が月の初日である場合は当該月)から算定を開始できるサービスは次のとおりです。
・(介護予防)短期入所生活介護
・(介護予防)短期入所療養介護
・(介護予防)特定施設入居者生活介護
・介護老人福祉施設
・介護老人保健施設
・介護医療院
・(介護予防)認知症対応型共同生活介護(短期利用型を含む。)
・地域密着型特定施設入居者生活介護
・地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護
毎月15日までに届出があったものについて、翌月1日から算定を開始できるサービスは次のとおりです。
・訪問介護
・(介護予防)訪問入浴介護
・(介護予防)訪問看護(※緊急時訪問看護加算については、届出が受理された当日が適用日となります。)
・(介護予防)訪問リハビリテーション
・(介護予防)居宅療養管理指導
・通所介護
・療養通所介護
・(介護予防)通所リハビリテーション
・(介護予防)福祉用具貸与
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
・夜間対応型訪問介護
・(予防)認知症対応型通所介護
・(予防)小規模多機能型居宅介護
・看護小規模多機能型居宅介護
・地域密着型通所介護
・居宅介護支援
届出の書類は、サービス種別毎、市区町村(都道府県)毎、年度毎に書類の様式や提出物が異なりますが、基本的な提出書類は次の2点になります。
「介護給付費算定に係る体制等に関する届出書」は、届出を行う事業所の施設名や住所、サービス種別などの基本情報を記載する書類になります。
「体制等状況一覧表」は、現在の施設等の区分や人員配置区分を記載し、加算算定状況等を記載します。
こちらの書類はサービス種別毎に様式が異なっておりますので、届出をしたい事業所の提供サービスに適した「体制等状況一覧表」に記載しましょう。
前記の通り、各都道府県や市区町村により提出する書類等が若干異なるため、各都道府県や市町村のホームページを確認し、提出漏れがないよう注意しましょう。
過不足なく届出をしたとしても、加算要件の根拠資料を更に求められるなど、事前にアナウンスされているもの以外の書類の提出も求められる場合があるので、留意しておきましょう。
届出が受理され、算定が始まっていたとしても法改正等の内容変更により再度届出が必要な場合があります。
各加算の届出が必要な場合は次のようになります。
このような状況に適合する場合、速やかに加算の届出が必要になることがあります。
引用:千葉県「加算等に関する届出について|介護サービス事業者の方へ」
対象の加算を満たした上で介護報酬の請求を保険者(市町村)に対して行います。
この作業のことを介護保険請求といいます。
請求の時点で加算の届出についてなにか不備があれば、前記した通り届出の修正や取り消し、場合よっては不正に受給したということで介護報酬の返金を求められることがあるので、届出をする時点での加算要件の確認は最重要になります。
介護保険請求に関して詳しく解説した記事がありますので、そちらもよろしくお願いいたします。
加算の届出以外にも介護保険請求という複雑化した業務がありますので、多忙を極めるケアマネジャーや施設管理者にとって頭を悩ます種になりがちです。
そこで役立つツールとして介護ソフトを活用するのをお勧めします。
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加算請求業務に役立つICTツールは介護ソフトです。
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しかし、介護ソフトによって操作感(使いやすさ)や機能、価格は大きく異なるため、介護ソフトの比較検討はとても重要です。
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