【2025年最新】令和6年度 障害福祉サービス報酬改定を完全解説-令和7年度の更新情報も

介護報酬の加算・減算介護施設の経営・運営改善

【2025年最新】令和6年度 障害福祉サービス報酬改定を完全解説-令和7年度の更新情報も

令和6年度(2024年度)の障害福祉サービス報酬改定が施行されてから1年が経過し、各事業所では実際の運用を通じてその影響を実感している頃かと思います。また、令和6年度の障害福祉サービス報酬改定の中には、令和7年度になった2025年4月から適用される更新内容もいくつかあるため、この記事ではそれらを含めた最新の情報をご確認いただけるよう整理しました。

加算制度の変更にとどまらず、運営体制や業務プロセスの見直し、ICT活用、人材確保など多面的な対応が求められる今回の報酬改定。今一度、情報を確認して事業所の経営・運営に役立てていただけると幸いです。

※介護サービスの報酬改定に関する最新の情報は、以下の記事で解説していますので、介護サービスも運営されている方はぜひ併せてご確認ください。

令和6年度 障害福祉サービス報酬改定とは?

障害福祉分野における報酬改定は、基本報酬・加算制度の見直しを通じて、サービスの質の向上や人材確保を目的としています。2024年改定では、処遇改善加算の整理統合や地域移行支援の重点化など、事業運営に直結する内容が盛り込まれています。

特に注目されているのが「処遇改善加算の一本化」(福祉・介護職員等処遇改善加算の新設)です。文字通り、従来複数存在していた処遇改善系加算が一本化され、評価指標を基に支給額が決定される仕組みに変更。これにより、単なる加算取得だけでなく、職員のキャリアパス形成や働きやすい職場づくりといった取り組みの実効性が問われるようになります。

令和7年度に何が変わった?

通常、3年に1度行われる障害福祉サービス報酬改定ですが、令和6年度に改定された内容に関して、いくつか令和7年度にアップデートが生じているものがあるため、注意が必要です。主な更新内容を以下にまとめました。

  • 福祉・介護職員等処遇改善加算の算定要件であるキャリパス要件Ⅰ〜Ⅲと職場環境要件に認められていた経過措置の期限が令和7年度中に延長*
  • 業務継続計画(BCP)未策定減算の経過措置が終了
  • グループホーム等における地域連携推進会議設置が義務化(令和6年度中は努力義務とされていた)

*参考:厚生労働省『福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和7年度分)』(2025年3月7日)

主な改定ポイントと経営への影響

令和6年度の障害福祉サービス報酬改定では具体的にどんな改定が生まれたのでしょうか。ここでは「(全サービス共通の)横断的な改定事項」と「サービス系統ごとの改定事項」のポイントを整理してみました。

*参考:厚生労働省『令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容』(2025年2月6日)

1. 障害福祉サービス等における横断的な改定事項

  • 処遇改善加算の一本化と加算率の引き上げ(4区分に整理し、職種間配分ルールも統一)
  • 地域生活支援拠点等において、情報連携等を担うコーディネーターの配置を評価する加算(地域生活支援拠点等機能強化加算)を創設
  • 強度行動障害を有する障害者の受入体制の強化や、「中核的人材」の配置や「集中的支援」について評価する集中的支援加算の新設
  • 感染症発生時に備えた医療機関との連携強化として障害者支援施設等感染対策向上加算の新設
  • 虐待防止措置・身体拘束の適正化に関する減算制度(虐待防止措置未実施減算)の導入
  • 業務継続計画(BCP)未策定時の減算導入
  • 補足給付・食費等基準費用額の見直し(54,000円→55,500円)

2. 訪問系サービス

  • 特定事業所加算の算定要件に重症心身障害児及び医療的ケア児への支援を追加
  • 入院中の重度訪問介護の利用について特別なコミュニケーション支援を必要とする障害支援区分4及び5の利用者も対象に追加
  • 重度化・高齢化を踏まえた居宅介護・重度訪問介護の国庫負担基準の見直し

3. 日中活動系サービス(生活介護・短期入所)

  • 生活介護の報酬体系をサービス提供時間別に細分化
  • 短期入所の緊急時受け入れ加算単位数を見直し(180単位→270単位など)
  • 医療型ケア対応支援加算の新設などで福祉型短期入所サービスにおける医療的ケア児者の受入れを促進

4. 施設系・居住支援系サービス

  • 施設における地域移行の推進(意向確認義務化と地域移行促進加算の新設)
  • 施設から地域へ移行し、入所定員を減らした場合の加算(地域移行支援体制加算)を新設
  • グループホームでの自立支援加算の新設
  • グループホームでの基本報酬の見直し
  • グループホーム等において地域連携推進会議を設置し、地域の関係者を含む外部の目を定期的に入れる取組を義務づけ(令和6年度中は努力義務とし、令和7年度から完全義務化)

5. 訓練系サービス(自立訓練など)

  • SIM(社会生活の自立度評価指標)導入に伴う加算(個別計画訓練支援加算)の新設
  • ピアサポートの専門性を評価する加算(ピアサポート実施加算)の新設(100単位/月)

6. 就労系サービス

  • 就労継続支援A型のスコア方式について、生産活動収支や平均労働時間に応じた評価となるよう項目を見直し
  • 就労継続支援B型における平均工賃月額に応じた報酬体系について、よりメリハリをつけた報酬体系(新設の目標工賃達成加算など)に見直し
  • 新設:「目標工賃達成加算」や「短時間利用減算」
  • 就労定着支援:就労定着率のみに応じた報酬体系へ変更
  • 就労選択支援の円滑な実施のための基本報酬・人員配置基準等の設定(就労選択支援サービス費の新設)

7. 相談系サービス(計画相談支援など)

  • 計画相談支援の基本報酬の見直し
  • 地域の中核的な相談支援事業所の主任相談支援専門員を更に評価
  • 相談支援における医療等の多機関連携のための各種加算の拡充

8. 障害児支援(児発・放デイなど)

  • 児童発達支援センター等における中核機能を評価(中核機能強化加算や中核機能強化事業所加算の新設)
  • 児童発達支援・放課後等デイサービスにおいてサービス提供時間に応じた評価を 導入
  • 家族支援加算やインクルージョン加算等、家庭・地域連携の強化

ここからは「処遇改善加算」と「地域生活支援拠点等の機能の充実」にフォーカスを当てて、最新の情報を詳しく見ていきましょう。

処遇改善加算の一本化と加算率の引き上げ

令和6年の障害福祉サービスの報酬改定では、賃金の低さによる人手不足を解消するために、既存の処遇改善加算がテコ入れされ、大幅にアップデートされました。

福祉・介護職員等処遇改善加算の概要

令和6年度の報酬改定では、福祉・介護職員処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算の3加算が一本化され、「福祉・介護職員等処遇改善加算」として新設されました。この新加算は4区分に整理され、経験・技能のある職員の配置やキャリアパス整備、職場環境の改善状況に応じて段階的に評価されます。

目的は、介護・福祉職の賃金改善だけでなく、職場の魅力向上や定着率の向上など、持続可能な人材確保体制を整備することです。

※介護サービスにおける処遇改善加算に関する最新の情報は、以下の記事で解説していますので、介護サービスも運営されている方はぜひ併せてご確認ください。

福祉・介護職員等処遇改善加算のサービス区分ごとの単位数

サービス区分 加算Ⅰ 加算Ⅱ 加算Ⅲ 加算Ⅳ
居宅介護41.7%40.2%34.7%27.3%
重度訪問介護34.3%32.8%27.3%21.9%
同行援護41.7%40.2%34.7%27.3%
行動援護38.2%36.7%31.2%24.8%
重度障害者等包括支援22.3%16.2%13.8%
療養介護13.7%13.5%11.6%9.9%
生活介護8.1%8.0%6.7%5.5%
短期入所15.9%13.8%11.5%
施設入所支援15.9%13.8%11.5%
共同生活援助(介護サービス包括型)14.7%14.4%12.8%10.5%
共同生活援助(日中サービス支援型)14.7%14.4%12.8%10.5%
共同生活援助(外部サービス利用型)21.1%20.8%19.2%15.2%
自立訓練(機能訓練)13.8%13.4%9.8%8.0%
自立訓練(生活訓練)13.8%13.4%9.8%8.0%
就労移行支援10.3%10.1%8.6%6.9%
就労継続支援A型9.6%9.4%7.9%6.3%
就労継続支援B型9.3%9.1%7.6%6.2%
就労定着支援10.3%8.6%6.9%
就労選択支援10.3%10.1%8.6%6.9%
自立生活援助10.3%10.1%8.6%6.9%
児童発達支援13.1%12.8%11.8%9.6%
医療型児童発達支援17.6%17.3%16.3%12.9%
放課後等デイサービス13.4%13.1%12.1%9.8%
居宅訪問型児童発達支援12.9%11.8%9.6%
保育所等訪問支援12.9%11.8%9.6%
福祉型障害児入所施設21.1%20.7%16.8%14.1%
医療型障害児入所施設19.1%18.7%14.8%12.7%

福祉・介護職員等処遇改善加算の算定要件

  • 加算Ⅰ:経験技能のある福祉・介護職員を事業所内で一定割合以上配置していること、加算Ⅱの要件を満たしていること
  • 加算Ⅱ:改善後の賃金年額440万円以上が1人以上いること、職場環境の更なる改善、見える化が行われていること、加算Ⅲの要件を満たしていること
  • 加算Ⅲ:資格や勤続年数等に応じた昇給の仕組みが整備されていること、加算Ⅳの要件を満たしていること
  • 加算Ⅳ:職場環境等要件が満たされていること、賃金体系等の整備及び研修の実施等がされていること

いずれの加算区分も、職種間の加算配分ルールが統一され、福祉・介護職員に重点的に配分することが基本とされます。また、加算Ⅳの加算額の1/2以上を月額賃金に充当することが共通要件となっています。

地域生活支援拠点等の機能の充実

1. 情報連携等のコーディネート機能の評価

地域生活支援拠点等において、相談支援事業所やサービス事業所間の情報連携を担う拠点コーディネーターを配置する場合、地域生活支援拠点等機能強化加算(新設)500単位/月が算定可能です。なお、加算の対象となるサービス種別は以下の通りです。

  • 地域移行支援
  • 自立生活援助
  • 地域定着支援
  • 計画相談支援
  • 障害児相談支援

2. 緊急時の重度障害者の受入機能の充実

通所系・短期入所事業所等が、地域生活支援拠点等として位置づけられ、かつ連携調整者を配置した上で、 障害の特性に起因して生じた緊急事態への夜間支援や、医療的ケア児等の重度障害者の支援を行った場合、次の加算が算定されます:

  • 短期入所(加算)200単位/日(現行:100単位/日から拡充)
  • 通所系サービス 緊急時受入加算:100単位/日

3. 地域移行に向けた動機付け支援の評価

障害者支援施設において、グループホームの見学、地域活動への参加、食事体験などを提供し、地域移行の動機づけ支援を行った場合に評価されます:

  • 地域移行促進加算(Ⅱ):60単位/日(1月3回まで)

これらの評価を通じて、地域移行に向けた取組の「見える化」と「加算化」が実現され、現場の支援体制強化や自治体との連携にもつながることが期待されます。

報酬改定に伴う運営体制の見直しポイント

加算取得や新制度対応のためには、事業所内の運営体制を見直す必要があります。特に、

  • チーム制導入による責任の明確化
  • サービス提供記録・支援経過記録の標準化
  • 研修計画の年次スケジュール化と参加状況の管理

などが重要です。また、業務プロセスの可視化・文書化を進めることで、新人職員の定着や、ベテランとの役割分担の見直しにもつながります。

さらに、業務効率化の一環として、以下のようなICTツールの活用も有効です:

  • クラウド型記録システム
  • 業務進捗の可視化ツール(ガントチャート・業務日報)
  • スマホやタブレットによる入力補助

ICT導入・切り替えには初期コストが生じる場合もありますが、業務改善や加算取得に成功すればすぐに投資額は回収できるでしょう。
介護のコミミでは、障害福祉サービスにおすすめな業務ソフトの口コミ評価人気ランキングをまとめた記事も公開しているので、実際に使用した職員による本音の口コミからソフトを比較いただくことができます。

まとめ

いかがだったでしょうか。早いもので、厚生労働省ではもう次(令和9年)の報酬改定に向けた検討や議論が始まっているので、介護のコミミを通じて随時また情報をご確認いただければと思います。

この記事の筆者・監修者

  • 伊藤証

    伊藤証

    「介護のコミミ」を運営する株式会社Giver Linkの執行役員CTO。介護のコミミの開発・運用を全般的に統括する傍ら、介護施設から行政まで多岐にわたる業界関係者にインタビュー活動を行う。スマート介護士Expert保有。

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