【2026年版】生産性向上推進体制加算とは?メリットと算定要件を分かりやすく解説

介護報酬の加算・減算

【2026年版】生産性向上推進体制加算とは?メリットと算定要件を分かりやすく解説

生産性向上推進体制加算は、2024年の令和6年度介護報酬改定にて介護事業所における生産性向上の取り組みを評価する加算として新設されましたが、2026年を迎える今再び注目されようとしています。

なぜならば、令和7年度補正予算の1つとして成立した「医療・介護等支援パッケージ」として行われる介護職員の賃上げの要件や、令和8年度介護報酬改定として行われる介護職員等処遇改善加算の新要件による加算率上乗せの要件となっているからです。

そこでこの記事では、2026年に押さえておくべき生産性向上推進体制加算の算定メリットや算定要件をわかりやすく解説します。

また、算定要件を満たすために必要なツールや、準備にご活用いただける書類もプレゼントしているので、ぜひ最後まで読んでください。

※令和8年度介護報酬改定についての最新情報は、以下の記事で随時更新しています。

生産性向上推進体制加算の2026年最新の情報については、以下のYouTube動画でも解説しています。

生産性向上推進体制加算とは

2024年の介護報酬改定において新設された、介護サービス事業所における生産性向上の取り組みを評価する加算です。

この生産性向上推進体制加算では、介護ロボットやICT等のテクノロジーの導入を通じて、介護サービスの質を確保しつつ、職員の負担軽減に資する生産性向上の取り組みを推進することを目的としています。

生産年齢人口の減少と介護需要の増大という社会情勢の中で、介護人材の確保は非常に大きな課題となっています。

そのため、介護職員の処遇改善とともに、テクノロジーの活用による生産性向上の取り組みが重要だと位置づけられています。

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生産性向上推進体制加算を算定するメリット

生産性向上推進体制加算を算定することのメリットはズバリ、生産性向上推進体制加算による単位の加算が得られることと、処遇改善に関する補助率・加算率の上乗せが期待できることです。

生産性向上推進体制加算による単位の加算

生産性向上推進体制加算には、加算(Ⅰ)と加算(Ⅱ)の2つの区分があり、それぞれの区分の算定単位は以下の通りです。

  • 加算(Ⅰ):1月あたり100単位
  • 加算(Ⅱ):1月あたり10単位

それぞれの加算区分の算定要件は後述の「生産性向上推進体制加算の算定要件」にて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

加算(Ⅰ)と加算(Ⅱ)は段階的な仕組みとなっており、原則としてまずは加算(Ⅱ)を算定し、一定期間の取り組みを経て、加算(Ⅰ)へ移行することが想定されています。

ただし、本加算の新設以前から生産性向上の取り組みを進めている事業所では、最初から加算(Ⅰ)を算定することも可能です。

処遇改善に関する補助率・加算率の上乗せ

上記の通常の加算単位に加えて、2026年は生産性向上推進体制加算が処遇改善のための補助を受ける要件としても認められることとなりました。

具体的には、令和7年度補正予算として成立した「医療・介護等支援パッケージ」や、臨時改定される運びとなった令和8年度介護報酬改定にて、それぞれ「生産性向上や協働化の取組」という新たな要件として生産性向上推進体制加算の取得が求められることとなります。

生産性向上推進体制加算としての単位の加算を得るだけでなく、処遇改善に関する補助率・加算率の上乗せを享受できるようになったことで、収益の向上や経営の安定をさらに期待できるようになりました。

本質的な生産性向上による職員の負担軽減

上記2つの実利的なメリットの他にも、生産性向上推進体制加算の算定を通じて、本質的な生産性向上による職員の負担軽減が期待できます。

具体的には、以下のような点が挙げられます。

  • 職員の業務効率化による業務時間の短縮
  • 職員の業務負担の軽減による職員のモチベーション向上や離職防止
  • 介護現場での利用者の安全確保やケアの質の向上

これらの点を通じて、安定した事業所経営や、より良いケアを提供することが期待できます。

生産性向上推進体制加算の算定要件

生産性向上推進体制加算の算定要件は、加算(Ⅰ)と加算(Ⅱ)の2つの区分があり、それぞれの区分の算定要件は以下の通りです。

要件 加算(Ⅰ) 加算(Ⅱ)
見守り機器等のテクノロジー導入 2つ以上 1つでOK
生産性向上委員会の設置 必要 必要
1年に1回のデータ提出 提出と成果の確認 提出のみ
職員間の適切な役割分担 必要 不要

それぞれの要件について詳しく解説していきます。

導入が必要なテクノロジーとは?

生産性向上推進体制加算の算定には、以下のようなテクノロジーの導入が必要となります。

加算(Ⅱ)に必要なテクノロジー

下記の3つのテクノロジーのうち、1つ以上を使用する必要があります。

  1. 見守り機器(利用者の離床状態等を感知し、職員に通知できる機器)
  2. インカム等の職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器
  3. 介護記録ソフトウェアやスマートフォン等の介護記録の作成の効率化に資するICT機器

加算(Ⅰ)に必要なテクノロジー

加算(Ⅱ)に記載のテクノロジーのうち、すべてを導入する必要があります

特に、見守り機器はすべての居室に設置が必要になり、インカム等のICT機器は同一の時間帯に勤務する全ての介護職員が使用する必要があります。

介護現場へのテクノロジー導入を検討する際には、現場の課題を整理し、その解決に必要な種類のテクノロジーを選定することが重要です。

また、テクノロジーの導入にあたっては、利用者の安全確保と職員の負担軽減の両立を図ることが求められます。

介護のコミミでは、以下の記事でおすすめの見守りシステムや介護ソフトを紹介していますので、ぜひ導入や切り替えの参考にしてください。

生産性向上へ向けた委員会の設置とは?

生産性向上推進体制加算の算定には、利用者の安全とケアの質の確保、職員の負担軽減等を検討する委員会の設置が義務付けられています(3年間の経過措置あり)。

委員会では、以下の4つの事項について検討を行い、3ヶ月に1回以上、実施状況を確認し、必要に応じて取り組みの改善を図ります。

1. 利用者の安全及びケアの質の確保
2. 職員の負担の軽減及び勤務状況への配慮
3. 介護機器の定期的な点検
4. 職員に対する研修

本委員会には、現場の職員の意見が適切に反映されるよう、管理者だけでなく、ケアを行う職員を含む幅広い職種やユニットリーダー等が参画する必要があります。

生産性向上ガイドラインの活用とは?

生産性向上推進体制加算の算定には、「介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン」(生産性向上ガイドライン)に基づいた業務改善の実施が求められています。

生産性向上ガイドラインは、以下の7つの視点から、生産性向上に向けた取り組み方法を具体的に示したものです。

1. 職場環境の整備
2. 業務の明確化と役割分担
3. 手順書の作成
4. 記録・報告様式の工夫
5. 情報共有の工夫
6. OJTの仕組みづくり
7. 理念・行動指針の徹底

生産性向上ガイドラインの内容は、介護現場の業務改善に直結するものとして活用することが期待されています。

ガイドラインを参考に、自事業所の課題に即した業務改善を進めることで、本加算の算定につなげることができます。

ガイドラインの詳細は下記の厚生労働省のページを参考にしてください

参照元:介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン

介護のコミミでは、生産性向上ガイドラインで示されている現場の課題を見える化を実践するための「課題把握シート」や「課題分析シート」を無料でプレゼントしているので、ぜひ以下よりダウンロードしてご活用ください。

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提出が必要なデータとは?

生産性向上推進体制加算の算定には、事業年度ごとに生産性向上の取り組みに関する実績データを厚生労働省に提出する必要があります。

加算(Ⅱ)で提出が必要なデータと対象者

加算(Ⅱ)の算定には、上記の1〜3のデータを提出する必要があります。

No.

データ項目

対象者

詳細

1

利用者の満足度等の評価

5名程度の利用者

WHO-5調査 (利用者における満足度の変化) の実施、及び生活・認知機能尺度

2

総業務時間及び超過勤務時間の調査

介護機器の導入を行ったフロア等に勤務する介護職員

対象事業年度の10月1における介護職員の1月当たりの 総業務時間及び超過勤務時間

3

年次有給休暇の取得状況の調査

介護機器の導入を行ったフロア等に勤務する介護職員

対象事業年度の10月を起点として直近1年間の年次有給休暇の取得日数

No.1について、介護機器の導入を行ったフロアや居室の利用者の数が5名に満たない場合は、当該利用者全員を調査対象とすることが必要です。

加算(Ⅰ)で提出が必要なデータと対象者

加算(Ⅰ)の算定には、下記の1~5のデータを提出する必要があります。

No.

データ項目

対象者

詳細

1

利用者の満足度等の評価

5名程度の利用者

WHO-5調査 (利用者における満足度の変化) の実施、及び生活・認知機能尺度

2

総業務時間及び超過勤務時間の調査

全ての介護職員

対象事業年度の10月1における介護職員の1月当たりの 総業務時間及び超過勤務時間

3

年次有給休暇の取得状況の調査

全ての介護職員

対象事業年度の10月を起点として直近1年間の年次有給休暇の取得日数

4

介護職員の心理的負担等の評価

全ての介護職員

SRS-18調査 (介護職員の心理的負担の変化)及び 職員のモチベーションの変化に係る調査

5

機器の導入等による業務時間

複数人の介護職員

5日間の自記式又は他記式によるタイムスタディ調査

 

なお、加算(Ⅰ)の算定開始にあたっては、生産性向上の取り組みの成果として、以下の3点が確認される必要があります。

  1. WHO-5調査等で利用者の悪化がみられないこと
  2. 介護職員の総業務時間及び超過勤務時間が短縮していること
  3. 年次有給休暇の取得日数が維持または増加していること

また、提出データの収集にあたっては、利用者と介護職員の負担軽減に配慮し、調査対象者の選定や同意取得を適切に行うことが求められています。

職員間の適切な役割分担の取組とは?

生産性向上推進体制加算(Ⅰ)では、「職員間の適切な役割分担の取組を行っていること」も求められています。

この取り組みは、業務内容の明確化や見直しを行い、職員間で適切に役割を分担することで、業務の効率化とケアの質の確保を図ることが目的となります。

具体的には、以下のような対応が想定されています。

1. 負荷が集中する時間帯の業務を細分化し、個人に集中することがないよう平準化する
2. 特定の介護職員が利用者の介助に集中して従事することのできる時間帯を設ける
3. いわゆる介護助手の活用(食事等の準備や片付け、清掃、ベッドメイク、ごみ捨て等、利用者の介助を伴わない業務を集中的に実施する者を設ける)を行う
4. 利用者の介助を伴わない業務の一部を外注する

生産性向上推進体制加算の解釈通知など

生産性向上推進体制加算に関する詳細な内容は、以下の通知等で示されています。

生産性向上推進体制加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例等の提示について

本通知では、加算の算定要件や提出データの収集方法、様式例等が示されています。

生産性向上推進体制加算の取得を検討する際は、これらの通知を確認し、適切な手順で取り組みを進めていくことが重要です。

介護現場の生産性向上は、利用者の安全とケアの質を確保しつつ、職員の負担軽減を図るための重要な取り組みです。

生産性向上推進体制加算を活用し、テクノロジーの導入と業務改善を計画的に進めることで、持続可能な介護サービスの提供につなげていきましょう。

よくある質問(Q&A)

ここでは、「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.5)」で紹介されている、生産性向上推進体制加算のQ&Aをご紹介していきます。

加算(Ⅱ)の要件となる介護機器の導入前後の状況比較について

加算(Ⅰ)を取得する上で、加算(Ⅱ)の要件となる介護機器の導入前後の状況を比較し、生産性向上の取組の成果の確認が必要となることに関しての質問です。

介護施設が数年前に開設されたり、開設時から介護機器を全て導入している施設は、導入前の状況を把握する利用者や職員がいないため、比較が難しくなります。

その場合、導入前の状況を確認する方法についてどのように考えるべきでしょうか?

回答

利用者の満足度等の評価について

介護サービスを利用する利用者(約5人)に、介護機器の使用に関連する安全性やケアの品質を確保するための調査やヒアリングを行います。

その結果を基に、利用者の安全とサービス品質を確保し、職員の負担を軽減するための施策を検討する委員会で、介護機器の導入が利用者の満足度に与える影響がないことを確認します。

※介護機器の使用に関連する安全性やケアの品質を確保するための調査やヒアリングとは?

介護機器を利用した介護サービスを受ける際に、利用者が感じる不安や問題、介護サービスの利用における障害の有無、介護機器の利用による効果などについてヒアリングを行う予定です。

また、事前調査ができない場合でも、ヒアリング調査を行う際には、利用者向け調査票による事後調査は不要となります。

総業務時間及び当該時間に含まれる超過勤務時間の調査、年次有給休暇の取得状況の調査について

加算(Ⅱ)の条件を満たす介護機器を導入する際、その導入月を事前調査の時期として、介護スタッフの1か月あたりの総労働時間、超過勤務時間、および年次有給休暇の取得状況を調査します。

後の調査では、介護機器の導入後に3か月以上継続して生産性向上の取り組みを行った月における介護スタッフの1か月あたりの総労働時間、超過勤務時間、および年次有給休暇の取得状況を調査し、事前調査の労働状況と比較します。

※介護機器を導入した月を事前調査の実施時期にするについて

新しく介護施設を開設し、利用者を受け入れ始めてから数か月かけて利用者数を増やす場合、利用者数の変化が一定の段階に落ち着いた時点を事前調査の対象月とします。

この場合、利用者数の変化が落ち着いたと見なされる時点とは、事前調査および事後調査時点での利用者数と介護職員数の比に大きな違いがない時点を指します。

まとめ

生産性向上推進体制加算は、介護サービス事業所における生産性向上の取り組みを評価する加算です。

2026年においては、この生産性向上推進体制加算の恩恵がさらに大きくなります。なぜなら、令和7年度補正予算の「医療・介護等支援パッケージ」による介護職員の賃上げの要件や、令和8年度介護報酬改定における介護職員等処遇改善加算の新要件による加算率上乗せの要件として、生産性向上推進体制加算の取得が位置づけられているからです。

つまり、生産性向上推進体制加算を算定することで、単に加算による単位の増加だけでなく、処遇改善に関する補助率・加算率の上乗せという大きなメリットを得ることができます。

介護現場の生産性向上は、利用者の安全とケアの質を確保しつつ、職員の負担軽減を図るための重要な取り組みです。生産性向上推進体制加算を活用し、テクノロジーの導入と業務改善を計画的に進めることで、持続可能な介護サービスの提供と職員の処遇改善の両立を実現していきましょう。

この記事の筆者・監修者

  • 那須智樹

    那須智樹

    東京大学大学院 経済学研究科修士課程を修了。楽天株式会社の新サービス開発事業部や、NTTデータ経営研究所のコンサル業に従事した後、「介護のコミミ」を運営する株式会社Giver Linkにジョイン。現在は会社運営を行いながら、加算をはじめとしたお役立ち情報の発信や、ICTツール普及へ向けたセミナーなどを実施している。

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