介護現場の声・悩み働きやすい職場の選び方
気温も高くなって熱中症対策と感染症対策の両立が大変でストレス溜まるな。
行楽シーズンだけど外出自粛で解消もできないし我慢の限界くるかも。
このように感じている方も多いのではないでしょうか。
介護職は日常業務でのストレスが多いとよくいわれます。
認知症の方の手厚いケアや、思いもよらないケガや事故が発生したり。
ストレスが限界まで溜まってしまえば、良くない未来が待っているだろうことは誰しも感じていることでしょう。
手遅れになる前に、何かしらのストレス対策をしたいものです。
この記事では、ストレスチェックからストレスの予防・解消方法まで厚生労働省の情報を基に、徹底解説します。
自分の考え方や仕事環境を見直し、快活に仕事をしていくための手立てとする方法についても解説していますので、ぜひストレスチェックを上手に活用してみましょう。
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ストレスチェック制度は、厚生労働省によって2015年12月に施行された制度です。
労働安全衛生法第66条の10に基づいて、定期的に質問票を使って従業員のストレス状況について検査を行います。
ストレスチェック制度では、50人以上の労働者がいるすべての事業所が対象で、年1回実施しなければなりません。
ちなみに、このストレスチェックを行わなかった場合の罰則はありません。
ただし、労働安全衛生法第100条では50人以上の労働者がいるすべての事業所は、労働基準監督署にストレスチェックの報告義務があるとしています。
つまり、こちらの報告義務を怠った場合には50万円以下の罰金が科せられ、ストレスチェックを行わなかったとしても報告義務はあるということです。
では、なぜストレスチェックを行うのかというと、その最大の目的とは、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することにあります。
ストレスチェックを行うことの労働者側のメリットは、まず自分の心身の状態を客観的に把握することができるようになることです。
疲れや不調を感じながら仕事をしていたとしても、その渦中にいる労働者は意外とストレスを自覚していないことがよくあります。
ストレスを自覚できればストレス対策ができますし、専門家に相談することもできるでしょう。
また、うまくいけば職場環境が改善される可能性もあります。
事業者側にとっても、労働者のメンタルヘルス不調を未然に予防でき、労働のパフォーマンスを上げられるというメリットがあります。
それに、職場に存在する問題点を具体的に把握することができれば、それに対処することができるようになるのです。
ちなみに、ストレスチェック制度での対象者は正社員だけでなく、契約期間が1年以上もしくは労働時間が通常の労働者の所定労働時間の4分の3以上である労働者も対象となります。
では、具体的にストレスチェックとはどのような流れで行うもので、どんな内容であるかについて厚生労働省の「ストレスチェック制度実施マニュアル」を基に解説します。
まず、会社や事業所でメンタルヘルス不調を防ぐためのストレスチェックの方針を示します。
社内で衛生委員会を結成して実施方法について話し合い、決定事項は社内規定として従業員に内容を知らせます。
役割分担とは、ストレスチェック制度全体の担当者、ストレスチェックの実施者・実施事務従事者、面接指導を担当する医師などを選定することです。
ストレスチェックの実施者は、医師・保健師・厚生労働大臣の定める研修を受けた看護師・精神保健福祉士から選ぶ必要があります。
実施事務従事者とは、実施者の補助的な役割をする人です。いずれも、外部委託が可能なので、忙しかったり、社内の人間が労働者の個人情報を扱うことに不安があったりする場合、外部委託をするのがおすすめです。
質問票を労働者に配布して記入してもらいます。
質問票の内容は会社に知られることなく実施者もしくは実施事務従事者が回収し、質問票で実施者がストレスの程度を評価します。
重度のストレスを持った労働者がいた場合、高ストレスのため医師の面接が必要として結果を通知します。
結果は実施者から労働者本人に直接通知され、会社には通知されません。
高ストレスの労働者から申し出があれば、医師に依頼して面接指導をします。
面接指導をした結果、労働時間の短縮より改善されるなどの見通しが立てば、必要な措置を実施します。
使用するストレスチェックシート(質問票)は、以下の3つの項目ポイントになります。
1.ストレスの原因に関する質問
2.ストレスによる心身の自覚症状に関する質問
3.労働者に対する周囲のサポートに関する質問
これら3項目の質問が含まれていれば、ほかには特に指定はありません。
どのような質問票を使えばいいかわからない場合には、国が推奨する57項目の質問票(職業性ストレス簡易調査票)があるので、それを使用すると良いでしょう。
国が推奨する57項目の質問票には、57の質問がA〜Dの4つのグループに分けられて記載されています。
Aが①ストレスの原因に関する質問項目、Bが②ストレスによる心身の自覚症状に関する質問項目、Cが③労働者に対する周囲のサポートに関する質問項目になっており、Dは仕事や家庭生活についての満足度を問う質問です。
高ストレス者の定義は「自覚症状が高い者や、自覚症状が一定程度あり、ストレスの原因や周囲のサポートの状況が著しく悪い者」とされています。
ストレスチェックシートを使って高ストレスの労働者を選定するには、まず「ストレスによる心身の自覚症状に関する質問」で評価が高かった人を最重視します。
すでにストレスの症状が表れていることから、高ストレスの労働者だと判断されるのです。
もしくは「ストレスによる心身の自覚症状に関する質問」の評価が標準よりも高く、「ストレスの原因に関する質問」および「労働者に対する周囲のサポートに関する質問」の評価点数の合計が著しく高い従業員も、今後のストレス症状が心配されるという点で、リスクの高い高ストレス者という判断になります。
日常的にストレスを感じる場面は数多くありますが、そのすべてを自覚するわけではありませんし、対応しきれずに受け流してしまうこともよくあります。
そこで、ストレスサインを知っておけば、自分が頑張り過ぎたときに休憩をとるタイミングがわかるようになるでしょう。
ストレスサインは主に精神面・身体面に現れ、強いストレスを解消せずに溜め続けるとストレス症状が悪化し、日常生活にも支障をきたすようになります。
そこまで悪化しないうちにストレスサインを見逃さないようにしましょう。
ストレスサインには精神面・身体面・その他のものがあります。
不安、緊張、悲しみ、イライラ感、怒りっぽくなる、活気の低下、抑うつ感など
肩こり・頭痛・腹痛・腰痛などの痛み、不眠や寝つきの悪さ、食欲不振、下痢・便秘、めまい、耳鳴りなど
集中力低下、飲酒・喫煙の増加など
介護業は人手不足に悩まされている業界であることから、仕事の質や量について常に心理的な負担が大きいことがストレスの原因に挙げられるでしょう。
もちろん、心理的な負担だけでなく、身体的な負担も非常に大きいものとなっています。
介護職は、ほかの業種に比べて自分に向いている仕事だと感じながら働いている人が多いという特徴があります。
しかし、仕事量が多すぎるために、自分の理想とするクオリティの仕事をこなせていないと感じるストレスが大きいのかもしれません。
また、ほかの業界にも通じるようなストレス要因もたくさんあります。
施設の上司や同僚のスタッフ、介護サービスの利用者など、介護職は多くの人々と関わる仕事ですから、なかにはどうしても気の合わない人もいるものです。
また、施設の理念や方針などが自分の考えと合わなかったり、上司の指示と利用者の要望が合わず板挟みになったりすることがストレスになることも少なくないでしょう。
世間的によくいわれることが、労働に対する対価の低さです。
介護職は利用者へのサービス内容や労働時間、残業や夜勤の過酷さから身体的な労働が大きく、とても楽な仕事とは言えません。
そのような労働環境であるにもかかわらず収入が少ない、などという待遇面での不満がストレスの要因となっている人もいるでしょう。
介護業界で働いていれば日々のストレスは無視できないものです。
しかし、自分でできる範囲でストレスを解消し、ストレス予防を意識しながら生活してみましょう。
ストレス解消法を模索しているうちに、思いがけない方法が見つかるかもしれません。
この項目では、ストレスの解消方法と予防方法について紹介します。
仕事上で気に入らない人や物事があるときに、必要以上に細かくこだわっていたりはしないでしょうか。
合わない人との人間関係に悩んでいる人なら、その関係は仕事に過ぎないと割り切ってはいかがでしょうか。
自分の人生に何かしらの影響を与えてくる人ではないこと、気の合わない人と無難に関わる勉強だと思うこと、その人の存在にかかわらず今の仕事は確実に自分を成長させると考えれば、細かいことは気にならなくなります。
施設や上司と方針が合わないことがストレスの人は、そのことにばかり気持ちが奪われ、小さなことでもイライラしがちでしょう。
まずは自分の考え方や価値観をしっかりと確立させたうえで、介護に関する価値観は人それぞれなのだと受け入れてみることが大切です。
自分とは考え方が違うからと頭ごなしに否定ばかりするのではなく、一度しっかりと話を聞いてみれば、受け入れられる部分や勉強になる部分も必ずあるでしょう。
趣味に没頭したり、外出してみたりと人それぞれですが、仕事を忘れて頭を空にする時間を持ちましょう。
特に趣味がない人には、晴れた日に外で体を動かすのがおすすめです。
疲れていて寝ていたいと思うかもしれませんが、心身は別物ではなく、体がリフレッシュすれば心もすっきりするものです。
労働者が50人以下の事業所ではストレスチェックが義務付けられておらず、努力義務とされています。
そのような小規模の事業所でもストレスチェックを実施したい場合に助成金を受けられる独立行政法人労働者健康安全機構の制度があります。
助成金を受けるための要件はそれぞれ3つあり、すべてを満たしている必要があります。
1.労働者を雇用している法人・個人事業主であること
2.労働保険の適用事業場であること
3.常時使用する従業員が派遣労働者を含めて50人未満であること
1.ストレスチェックの実施者が決まっていること
2.事業者が医師と契約を締結し、「ストレスチェックに係る医師による活動」の全部又は一部を行わせる体制が整備されていること
3.ストレスチェックの実施及び面接指導等を行う者は、自社の使用者・労働者以外の者であること
すべてが満たされていればストレスチェックの実施費用として1従業員につき500円、ストレスチェックに係る医師による活動費用として1事業場あたり1回の活動につき21500円(上限3回)の助成金を受けることができます。詳細は労働者安全機構HPをご覧ください。
参考資料:独立行政法人労働者健康安全機構「令和 3 年度版 「ストレスチェック」実施促進のため の助成金の手引」
自分の働く施設ではストレスチェックが実施されていない、または小規模の施設などで働いているため実施義務がないという人も少なくないでしょう。
そのような人には、セルフストレスチェックもあります。
厚生労働省が提供している「5分でできる職場のセルフストレスチェック」がネット上で利用できるので、軽い気持ちで取り組んでみてはいかがでしょうか。
セルフチェックでも思いがけずストレスを自覚することができ、ストレス予防ができる可能性があります。
メンタルヘルス不調のために仕事を続けられない人が増え、厚生労働省では積極的にストレスチェックを推進しています。
頑張って仕事をする人ほど、自分のストレスに気づきにくく、自覚しないうちに大きなストレスを抱えてしまうのかもしれません。
ストレスチェックは自分を客観的にとらえるために有効なツールです。
職場でチェックを受けられる人も、セルフチェックしかできない人も、上手に社会と付き合っていくために上手にストレスチェックを活用し、やりたい仕事や夢をあきらめずに済むよう、適度なストレス解消をしながら仕事をしていきましょう。
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