働きやすい職場の選び方
「介護職員処遇改善加算ってどのように給料に反映されるの?」
「どれぐらいの介護事業所が処遇改善加算を算定しているの?」
このような疑問を抱えている人は多いのではないでしょうか?
介護職員として働く人なら「介護職員処遇改善加算」という言葉はご存じのはず。
これは介護職員の待遇を改善するために導入された制度で、この制度が適用されれば賃金アップが期待できます。しかし、詳細についてよく知らないという人も多いようです。
そのような人向けて、厚生労働省の情報をもとに、過去のデータから介護職員処遇改善加算の実態をひも解いて解説していきます。
介護職員処遇改善加算の基礎知識を知りたい人や、より良い待遇を求めて、別の介護事業所に転職を考えている人にも役立つ内容です。
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働きやすい職場が見つかる
近くのいい職場を探す高齢化が進み、ニーズが高まっている介護職員の仕事ですが、その待遇はほかの仕事と比べても良いものとはいえません。
介護福祉士の平均年収は約306万円で、同じ職場で働くことが多い看護師や理学療法士の約359万円と比べても低いことが分かります。
「介護職員処遇改善加算」は、こうした現状を変えるために導入されました。
要件を満たして加算を取得した事業所に対し、介護報酬に加算する形で支給され、事業所は加算額に応じて職員の賃金を上げる必要があります。
介護職員処遇改善加算の加算率の基準となるのは、算定要件と事業所のサービス区分です。
算定要件は5段階に分かれており、3つのキャリアパス要件と職場環境等要件の組み合わせによって決まります。
キャリアパス要件1は「職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系を整備すること」、2は「資質向上のための計画を策定して、研修の実施または研修の機会を設けること」、3は「経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること」で、職場環境等要件とは「賃金改善以外の処遇改善の取り組みを実施すること」です。
例えば、キャリアパス要件の1~3のすべてと職場環境等要件を満たす事業所は「加算1」となり、介護職員1人あたり月額3万7000円相当が加算されます。
参考:求人ボックス給料ナビ
参考:厚生労働省「介護職員処遇改善加算のご案内」
介護職員処遇改善加算を取得した事業者は、算定要件に応じて賃金改善、研修機会や昇進の機会の確保などを実施しなければなりません。
賃金アップや研修制度の充実などの点で、介護職員に良い影響があると考えられます。
介護職員処遇改善加算の取得や算定要件は、介護職の働きやすさの指標になるといえるでしょう。
賃金の改善について、加算1であれば、介護職員1人当たり月額3万7000円、加算2は2万7000円、加算3は1万5000円が事業所に支給されます。
ここで注意しておきたいのは、誰にどのように支給するかは各事業所にゆだねられており、全員に相当分の賃金アップがあるわけではないということです。
対象となる職員の給与が一律で上がるわけではなく、誰にどれだけの金額を支給するか、また、給与に上乗せするか、賞与として一律支給するかなどは各事業所次第です。
「各事業所にゆだねられているのであれば、実際には支給されないのではないか」と考える人もいるかもしれませんが、介護事業所は自治体に「介護職員処遇改善実績報告書」を提出する必要があり、加算された金額をどのように支給したかについては、すべての介護職員に周知するように求められています。
また、介護職員処遇改善加算は、介護職として働く人であれば正社員、派遣社員、パート、アルバイトなど働き方を問いません。
介護職員として働く多くの人に恩恵がある制度だといえるでしょう。
一方で、介護の現場で働いていても看護師や理学療法士には適用されません。
厚生労働省の「令和2年度介護従事者処遇状況等調査」によると、加算を取得(届出)している事業所は全体の93.5%で、75.6%がすべての要件を満たす「加算1」を取得しています。
加算取得(届出)率が99%前後にのぼるのは、介護老人福祉施設(99.3%)、特定施設入居者生活介護(98.8%)、小規模多機能型居宅介護(99.2%)、認知症対応型共同生活介護(99%)で、いずれも加算1の割合が80%以上です。
一方で、介護療養型医療施設の加算取得(届出)率は62.7%、介護医療院は78.5%にとどまっています。
介護職員処遇改善加算が導入された平成24年以降の「介護従事者処遇状況等調査」を見てみると、加算を取得(届出)している事業所の割合は、86.7%(平成24年度)、87.2%(平成25年度)、88.5%(平成27年度)、90%(平成28年度)、91.2%(平成29年度)、91.1%(平成30年度)、93.5%(令和3年度)と右肩上がりに増えています。
一方で、加算1の取得(届出)率は、平成27年度の75.1%に対し、令和2年度時点は75.6%とほとんど変化がありません。
過去の介護従事者処遇状況等調査をひも解くと、毎年、取得届出率は上がっており、各事業所の積極的な取り組みがうかがえます。
一方で、加算取得の届出を行っていない事業所に対し、届出を行わない理由について聞いた「令和2年度介護従事者処遇状況等調査」によると、回答で多かったものは「事務作業が煩雑」「利用者負担の発生」「算定要件を達成できない」でした。
加算取得(届出)率が比較的低い、介護療養型医療施設や介護医療院が属するサービス区分は、加算1であっても加算率が低く、事務作業や金銭的な負担に対して加算率が低いことも届出が進まない理由の1つと考えられます。
また、同調査によると、加算の2~5を取得している事業所が、加算1の取得届出において満たすことが難しいと答えたのは、キャリアパス要件でした。
加算2を取得している事業所は、「介護職員の昇給の仕組みを設けることにより、職種間・事業所間の賃金のバランスがとれなくなることが懸念されるため」取得1の取得を困難に感じていると回答しています。
積極的に取得届出を行っている事業所では、職員間の仕事と賃金の体制づくりが課題となっていると考察できます。
参考:厚生労働省 令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要
参考:介護従事者処遇状況等調査:結果の概要
介護職員処遇改善加算の取得(届出)をしていることは、介護職員の待遇改善に取り組んでいることの証でもあるため、就職活動をする際の目安にするとよいでしょう。
加算区分によって各事業所が取り組んでいる待遇改善の内容を確認することもできます。
加算1と3とでは事業所に支給される1人あたりの月額に2万2000円の差があることも考慮しましょう。
処遇改善加算の詳細については介護職員に周知することが義務付けられており、事業所やオーナーによるピンハネは原則としてできません。
不正受給や不払いが分かった場合には営業の停止や介護サービス事業所の指定取り消しなどのペナルティがあり、リスクも大きいです。
一方で、介護職員で構成される労働組合「NCCU」の調査によると、処遇改善加算の実感がない介護職員は63%にのぼっており、処遇改善加算について十分な説明を受けていない介護職員が多いことが推測できます。
こうしたケースでは、支給の実態について確認されていないため、ピンハネの可能性がないとは言い切れません。
介護職員処遇改善加算について知り、自らの給与に関心を持つことが大切です。
参考:
みんなの介護
ジョブクエリ
かいご畑
厚生労働省「介護従事者処遇状況等調査:結果の概要」
介護職員処遇加算は、介護事業者全体の90%以上が取得(届出)している制度で、取得数は年々増加しています。
特に、介護老人福祉施設などでは、支給額の多い「加算1」を取得している事業者が90%を上回ります。
介護職員一人一人にどのように手当てを配分するかは各事業所にゆだねられており、全員一律で手当を受け取れるわけではありませんが、介護職員処遇加算を取得していることは、賃金だけでなく教育制度、職場環境などの取り組みを行っていることの証であり、転職活動の際に参考にしたいポイントです。
加算を取得した事業所には、介護職員全員に対する支給額の詳細説明が義務付けられています。
働いている事業所が、介護職員処遇加算についての説明を怠っていないかどうかをチェックすることも重要です。
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