介護現場の声・悩み働きやすい職場の選び方
「介護と介助の違いってなんなの?」
「介助ってどんな種類があるの?」
など、疑問に思ってはいませんか?
介護保健施設のスタッフでも、介護と介助の違いを正しく理解していないケースや、介助の種類を十分に把握していないケースは少なくありません。
日頃からそれらを疑問に感じているのに、確認しようとせず分からないまま勤務していないでしょうか。
不明な点を放置していると、いざというときに困るリスクがあるので気を付けなければなりません。
とはいえ、職場によっては、いつも目の前の作業だけで手一杯になり、勉強する余裕を持ちにくい場合もあります。
この記事では、最初に介護と介助の相違点を説明し、続けて介助の種類と注意点を紹介していきます。
要点を絞っているため、介護保健施設の仕事に必要な基本情報として、これらを効率的に学べるでしょう。
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近くのいい職場を探す字面が似ている介護と介助は、異なる意味を持っている用語です。
介護保険施設の利用者は区別せずに使うことも多いですが、スタッフは違いを知っておく必要があります。
介護とは、独力で生活することが困難な高齢者などに向けての支援です。自立を促すことや暮らしの質を向上させることが主な目的となっています。
一方、介助も対象者は同じであり、食事や入浴をはじめとしたサポートの行為そのものを指します。
こちらの目的は、適切な介護が提供されている状況を維持し、日常生活における不便な点を解消していくことです。
つまり、介助は介護に含まれる要素であり、作業内容などによって分類されるものではありません。
分かりにくければ、介護は援助全般を表す概念で、それを実現する個々の手助けが介助だと覚えておきましょう。
介護の現場において介助を求められた場合、状況に応じて具体的なサポートを提供することになります。
また、介護のプランニングを行う際も、具体的な項目として実施予定の介助を列挙するのが基本です。
一口に介助といっても多くの種類が存在し、実践の仕方もそれぞれ異なります。
トラブルを避けるには個別にすべて理解したうえで、丁寧かつ迅速に取り組めることが重要です。
ここからは、介助の種類ごとに注意が必要なポイントを説明していきます。
食事介助では、独力での食事が難しい場合に、スプーンで食べ物を口に運ぶなどしてサポートします。
ポイントになるのは、飲み込む際に食べ物が気管に入るのを防ぐことです。
誤ってそうなると肺炎が起こりやすく、場合によっては窒息に至るようなリスクも発生します。
そのため、要介護者の状態を見ながら、1口ごとの適切な間隔や分量を判断しなければなりません。
また、上記の問題を回避するため、喉に引っかかりにくい流動食を中心としたメニューが基本となっています。
食べやすいように工夫して調理することも食事介助の一環です。
固形物に関しては噛み砕きやすい柔らかさや大きさに仕上げる必要があります。
歯茎ですり潰せる程度を目安にすると良いでしょう。
体を洗うことや浴槽に入ることが困難な場合は入浴介助も不可欠です。
浴室には危険な要素がたくさん存在するので、スタッフはそれらに気を配り続ける必要があります。
ヒートショックを防ぐため、湯温や室温が適度に保たれるように調整しましょう。
また、要介護者が移動する際は、足元のすべり具合などを確かめつつ、体を支えて転倒を予防しなければなりません。
それゆえ、入浴介助はスタッフにとって重労働ですが、要介護者も普段より体力の消耗が速くなります。
体調の変化につながりやすいので、事前に体温や血圧を十分にチェックすることが大事です。
体調が良くないと判断したら、入浴を中止して清拭に切り替えます。
これは温めた濡れタオルを使って体を拭く行為であり、足浴などと組み合わせて実施するケースも多いです。
排せつ介助では、トイレへの誘導やオムツの取り替えによって排せつを支援します。
他にもポータブルトイレを使用するなど、いろいろなパターンがありますが、いずれにせよプライバシーに最大限の配慮が必要です。
自分だけでは排せつが難しいと分かっていても、他人にサポートされることを快く感じる人は多くありません。
要介護者にとってデリケートな問題であることを理解し、尊厳を傷つけないように対応することがポイントです。
たとえば、すべてを手助けされると、幼児のように扱われていると感じてしまうケースもあります。
自分の努力次第で可能なことは、できるだけ自分で済ませてもらいましょう。
また、排せつが間に合わないという失敗も、精神に大きなダメージを与えやすいです。
このリスクに対しては、尿意や便意が生じるタイミングの傾向をつかみ、頻繁に声かけをすることが有効な対策になります。
腕の可動域が狭いなどの理由により、自分で着替えられない要介護者に対しては更衣介助を行います。
こちらも入浴介助と同じく、体温やプライバシーを考慮しなければなりません。
ブランケットやタオルで保温したり、目隠し用にカーテンを準備したりするなどの工夫が必要です。
また、着替えの時間を短縮しやすい服装を選ぶようにしましょう。
ボタンが多いと手間がかかるのでマジックテープ式の衣類が望ましく、前開きのほうが着脱をサポートしやすいです。
衣類の着用が完了したら、生地の状態を注意深くチェックします。
大きなシワなどがあると、その部分を下にして寝ることにより、床ずれが起こりやすくなるからです。
なお、体の一部が麻痺している要介護者については、動かせる部分から取りかかるとスムーズに進めやすくなります。
車椅子を使用する要介護者については、ベッドから乗る際などに移乗介助を求められます。
筋力や体力が必要となるサポートですが、力任せに行おうとするとバランスを崩しかねません。
勢いがつきすぎて着席の際に車椅子が動くと危険なので、事前にハンドブレーキを使って確実に固定しましょう。
また、ベッドや本人の状態を整えておくことも重要なポイントです。
ベッドに関しては、車椅子に移る準備として腰をかけた際に、尻より膝が少し下にあるぐらいの高さに調整します。
高すぎたり低すぎたりすると、移動の負担が大きくなるので要注意です。
さらに、要介護者とうまく協力することでリスクを小さくできます。
たとえば、合図を出して、立ち上がりと補助のタイミングをそろえると、スタッフにかかる体重が減って以降の動作が安定しやすいです。
歩行介助は、歩く能力が弱い要介護者に付き添って移動を助ける支援です。
真横に並んで肩を持つスタイルもあれば、正面に立って手を引くスタイルもあります。
どのような方法で実施する場合でも、転倒の危険性を排除することが最大のポイントです。
わずかな段差があるだけで、つまずいてしまう可能性があります。
あらゆるものが障害物になりうることを念頭に置き、要介護者が進む地面をしっかりチェックしましょう。
急ぐと足がもつれやすくなるので、あくまでも要介護者のペースに合わせることも大切です。
歩道を歩くときは、車道に倒れるアクシデントを防ぐためにスタッフが車道側を歩きます。
また、要介護者が杖を使っている場合、使用中に破損すると転倒してしまうかもしれません。
したがって、出発前に点検とメンテナンスを行って、そのリスクを軽減することも重要です。
服薬介助では、薬を飲むタイミングや回数などを踏まえたうえで服薬をサポートします。
薬のタイプにかかわらず、うまく飲み込めない要介護者は珍しくありません。
寝転んでいる場合や椅子の背もたれの角度が浅い場合は、薬や水が気管に入りやすくなるので気を付けましょう。
座るのが難しいなら、ベッドのリクライニング機能を活用するなどして、できるだけ体を起こした状態で飲ませることが大事です。
車椅子に座っているときは、足をフットレストから下ろして踏ん張り、少し前向きの姿勢になると飲み込みやすくなります。
また、薬が苦手な要介護者は、飲む素振りをしておき、後から捨てるようなケースも見受けられます。
よって、飲み込み終わったことを確信できるまで目を離してはいけません。
介助は「自立」「一部介助」「半介助」「全介助」という4つの段階に分けられ、この順に程度が重くなっていきます。
「自立」は、自分だけで行動できる状態であり、基本的に介助を受ける必要はありません。
残り3つの段階については、回復の促進により、この状態に近づけていくことが当面の課題です。
「一部介助」はたいていの行動を自分だけで実施できますが、転倒などの不安があるので誘導や見守りを要します。
さらに多くのサポートが必要なのは「半介助」と呼ばれる段階です。
こちらに関しては、状況に応じて手助けをしてもらえるなら、自分で行えるだけの能力がまだ残っています。
「全介助」はサポートを受けても自分だけでは実行できない状態です。
なお、厚生労働省は、介護休業が必要かどうかの判断基準などに、これらの表現を用いています。
また、自治体も補装具の受給資格を説明する資料などに使用しているケースが多いです。
各種申請をはじめとした事務作業にも関係するため、介護保険施設に勤務しているなら違いを明確に把握しておきましょう。
介助が必要な状態になったら、生活の不便な点を解消するだけでなく、症状が進行しないように工夫することも大切です。
身体機能を使わなければ、次第に衰えていくので注意しなければなりません。
精神面に関しても、サポートしてもらうことが当たり前になると、自分で取り組もうとする意欲が薄れてしまいます。
そのような事態を避けるには、日頃からトレーニングを実施することがポイントです。
リハビリ専用の機器を利用すると効率的ですが、歩行や立ち上がりといった日常生活の基本動作を、なるべく独力で行わせるだけでも効果が期待できます。
転倒のようなトラブルを防げるように、手を伸ばせばすぐ支えられる距離をキープしましょう。
他の重要な点として、介助の過多に気を付けることが挙げられます。
優しさや気遣いが裏目に出てしまい、トレーニングの機会を奪っているケースも珍しくありません。
また、介助のスケジュールがつまっていると、じっと見守っている時間が惜しくて、つい手助けしやすくなります。
このようなリスクを減らすために、余裕を持ったスケジュールを立てることもコツの一つです。
介護を成功させるには、日々の介助を適切に実施していく必要があります。
そのためには、介護と介助を混同している状況や介助の種類を知らない状況は望ましくありません。
介護保健施設のスタッフとして正しい知識を身につけたうえで、要介護者ごとに最善のアプローチを選択していくことが求められます。
さらに、自立を積極的に促したいなら、ケガなどの危険性をできるだけ排除することも必須の条件です。
これを実現するには丁寧なサポートが不可欠ですが、事前の準備や心がけも大きな影響を及ぼします。
やみくもに食事介助や入浴介助などを行うのではなく、個々の介助について必要性や効果をチェックし、具体的な注意点を十分に理解しておきましょう。
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