サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の問題点と対策方法を解説!

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サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の問題点と対策方法を解説!
#囲い込み問題 #サービス付き高齢者向け住宅
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こみたろう

「サ高住に入居するか迷うなぁ」
「サ高住で起こる問題てあるのかな?」

このようにサービス付き高齢者向け住宅に入居するか迷っている方は多いのではないでしょうか。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は生活の自由度が高く、介護度の低い高齢者も入居できるため終の棲家として選ぶ人も増えています。

しかし、一部では介護の囲い込みなどの問題が表面化しています。

事業所・運営側としても表面化している問題点に向き合い、入居者に多様な選択肢を提供することが運営を長続きさせるためには大切な姿勢です。

入居者にとってのメリットを踏まえて、この記事ではサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の主な問題点や、入居希望者・事業所としての問題の向き合い方について解説します。

介護のコミミでは、「サービス付き高齢者向け住宅とは何か?」に関して詳しく解説した記事が公開されていますので、そちらも一読いただけると幸いです。

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サービス付き高齢者向け住宅の問題点は主に3つ!

・介護の囲い込み問題

事業所が多くの介護報酬を得るために、入居者にとって不必要な介護サービスを受けさせる問題です。

サ高住の運営側で利用する介護サービス事業所を指定して、入居者に外部の介護サービスを選択させない事例もみられます。

・利益重視の増設による倒産リスクの高まり

利益重視でサ高住を増設した結果、多くの空室を抱えて倒産するリスクが高くなり、高齢者の住まいの安定確保に影響を及ぼす問題です。

自治体(指定権者)から行政処分を受けて事業所の閉鎖を余儀なくされる事例もみられます。

・運営体制と入居者の介護度にズレがある

事業所では幅広く入居者を受け入れる姿勢を持っている反面、入居者の加齢によって要介護度が高まると状況に応じた介護サービスを受けづらくなる問題です。

介護サービスが不十分なために、転倒などの事故リスクも懸念されています。

介護の囲い込み問題

サ高住では、基本サービスとして毎日の安否確認や生活相談を提供していますが、生活支援や介護サービス・訪問医療などを受けたい場合には入居者自身で利用する事業所を選ぶことになります。

訪問介護事業所やデイサービス(通所介護)事業所を併設するサ高住も多いですが、運営する会社・団体の一部では併設する事業所以外の利用を認めない事例が散見されるのが現状です。

併設事業所を担当するケアマネージャーへの変更を入居条件に指定して、不適切なケアプランを作成して入居者に過剰な介護サービスを受けされる悪質な事例もみられます。

サ高住の運営側が利益を得るために介護サービスの囲い込みを行い、高額の介護報酬を得られる仕組みを構築しているわけです。

過剰な介護サービスを受けさせられた結果、入居者が高額な自己負担金の支払を余儀なくされる問題もあります。

介護保険の支給限度額の兼ね合いから本当に必要なサービスを受けられなかったり、保険外サービスを利用せざるを得なかったりするなど、入居者にとっては不利益です。

出費がかさむと入居者のお金が減るため、尊厳ある暮らしを送る権利を脅かす事態を招く懸念もあります。

また、併設する介護事業所や担当ケアマネージャーとの関係性から、訪問医療を担当する医療機関・調剤薬局を指定するサ高住もみられます。

医療機関でも介護報酬として居宅療養管理指導費を算定しているため、介護の囲い込み問題の当事者になる可能性がある点に留意が必要です。

また、自由に医療機関を選ぶ権利も制約されるため、入居者が希望する医療を受けられない点も懸念材料となります。

介護の囲い込み問題についてより詳しく解説した記事がありますので、そちらも参考にしていただけると幸いです。

利益重視の増設による倒産リスクの高まり

サ高住のニーズは高く、2021年10月末現在の登録件数は7,070件、戸数は271,302戸で増加傾向です(一般社団法人高齢者住宅協会サービス付き高齢者向け住宅の最新動向(2021年10月)」)。

家賃収入で安定した利益を得ようと考えて、サ高住の経営に乗り出す会社も少なくありません。

一方、競合施設が増え続けているため、入居者を確保できなければ収入が得られず倒産のリスクが高まります。

介護人材の不足も慢性化しており、サ高住の規模に見合った人数のスタッフを確保できず、運営が困難になる事例もみられます。

仮にサ高住が倒産したとしても新たな運営会社に運営が引き継がれるケースがほとんどで、すぐに退去を迫られる心配はありません。

しかし、高齢者に住まいに関する不安を抱かせる点では大きな問題です。

介護の囲い込みによって高額な介護報酬を得ている事業所にも、倒産リスクは潜んでいます。

介護の囲い込みは入居者が希望する介護サービスの利用妨害にあたり、自治体の実地指導による指摘事項に該当するからです。

2021年10月からはケアプランのチェックが強化されており、介護サービスの提供状況によっては実地指導や監査の対象になる可能性があります。

不適切なサービス提供が確認された場合には、介護報酬の自主返還と加算金の支払を求められたり、事業所指定の取消処分を受けたりする恐れもあります。

ケアプランのチェックや実地指導・監査が介護の囲い込みの抑止効果になる一方、事業所にとっては利益の確保が難しくなるため、今後はサ高住の倒産リスクが高くなるでしょう。

運営体制と入居者の介護度にズレがある

サ高住は、介護サービスを受ける必要のない高齢者や要介護度が低い高齢者を入居対象としています。

しかし、空室を少なくして利益を確保するために、身体介護が必要な高齢者や認知症の高齢者を受け入れるサ高住が増えているのが現状です。

有料老人ホームや特別養護老人ホームに入居できない高齢者の受け皿になっている実態もみられます。

サ高住では、ケアマネージャーや介護職員初任者研修修了者などの有資格者が1日1回の安否確認と生活相談サービスを入居者に提供しています。

有資格者は1名常駐していれば運営基準が満たされ、常駐時間帯も午前9時~午後5時とするサ高住が多いです。

そのため、入居者全員に目が行き届かず、介護が必要だと感じた時点ですぐに相談に応じてもらえない場合もあります。

建物の中を移動する際に必要なサポートを受けられず、転倒などの事故リスクも心配されます。

また、介護が必要な場合は外部の介護サービス事業所を利用するのが基本ですが、サ高住に併設する事業所を利用することも可能です。

介護サービス事業所には介護福祉士などの専門職が在籍しているものの、スタッフの勤務形態や働き方は多岐にわたります。

事業所の状況によっては入居者が必要とする場面で十分な介護を受けられず、自立した暮らしに支障を来すリスクが生じます。

サービス付き高齢者向け住宅のメリットは?

・介護度が低い高齢者も入居できる

60歳以上で生活の自己管理ができる高齢者であれば、サ高住への入居が可能です。介護が必要な人や認知症の人も入居できる、介護型のサ高住もあります。

・有料老人ホームと比較して費用が安い

サ高住は賃貸住宅の一種なので有料老人ホームのように高額な一時金がかからず、安い費用で入居できます。月々の家賃も、周辺の賃貸マンションやアパートと同水準です。

・生活の自由度が高い

1日1回の安否確認はありますが、介護施設と異なり自由なペースで生活できます。部屋は個室なので、プライバシーが守られるのも特徴です。

介護度が低い高齢者も入居できる

サ高住は賃貸住宅として位置づけられているため、60歳以上であれば介護が必要ない高齢者も入居できます。

事業所によっては、配偶者や60歳以上の親族との2人暮らしも可能です。

一般の賃貸住宅の場合は、高齢者が入居を申し込んでも健康状態などを理由に入居審査に落ちやすいといわれていますが、サ高住は高齢者専用の住宅なので入居のハードルが低く設定されています。

居室内や共有スペースがバリアフリー構造になっているため、安全面でも有利です。

なお、将来的に介護が必要になったり認知症を患ったりした場合でも住み続けられる、介護型のサ高住もあります。

有料老人ホームと比較して費用が安い

サ高住は有料老人ホームと比べて、入居時の一時金が安く設定されています。

生活保護を受けている人の入居を受け入れているサ高住もあります。

有料老人ホームに入居する場合の一時金は数十万~数百万円の施設が多いですが、グレードによっては1000万円を超える施設もあり、現役時代に十分な貯蓄がなければ入居が困難です。

一方、サ高住に入居する場合の一時金は家賃の1~3ヶ月分で、一般の賃貸住宅と同じ水準に設定されています。

サ高住は有料老人ホームとは異なり付帯するサービスが少ない分、月々の管理費や各種サービス費用が安く設定されています。

自炊できる場合は月々の食費を抑えることも可能です。

生活の自由度が高い

サ高住の居室には台所やトイレ・浴室が備え付けられているため、一般の住宅と同様の暮らしを送ることができます。

有料老人ホームや介護施設と異なり外出・外泊に関するルールも緩やかで、家族や友人・知人を招くことも可能です。

入居者と親睦を深められるように食堂や大浴場などの共用スペースを設けたり、季節に応じた行事を開催したりするサ高住もありますが、参加するかどうかは入居者が自由に判断できます。

1日1回の安否確認は行われますが毎日の生活スケジュールは決められておらず、消灯時間も設けられていません。

自分のライフスタイルを尊重した暮らしを送れますが、近所づきあいと同様に他の入居者への配慮は必要です。

 関連記事 サービス付き高齢者向け住宅とは?費用や入居条件など徹底解説!

 関連記事 サービス付高齢者向け住宅(サ高住)と有料老人ホームの違いとは?

利用者がサービス付き高齢者向け住宅に入居する前の準備・対策

・必要とするサービス・環境が整備されているか確認する

食事や介護サービスの提供状況や居室内の設備などを確認した上で、長期にわたって住み続けられるかを慎重に判断することが大切です。

施設見学や体験入居の場を活用して、サ高住の環境を確認するようにしましょう。

・よりサービスが充実しているサ高住を検討する

サ高住に入居した後に快適に暮らし続けられるよう、共有スペースの使いやすさやイベント・レクリエーションの開催状況といったサービス面も比較しましょう。

健康状態によっては、介護型のサ高住への入居を検討するのも一つの方法です。

・退去ハードルについて調べておく

入居後は生涯にわたって入居を続けられるサ高住が多いですが、要介護度の区分が上がるなど事業所が定める退去条件に該当した場合には退去を求められる場合があります。

サ高住に入居する前に、退去条件も確認しておくようにしましょう。

必要とするサービス・環境が構築されているか確認する

サ高住に入居した後に快適な暮らしを送り続けるためには、入居先を決める前に自分にとって必要なサービスや住環境が整備されているかを十分に確認することが大切です。

居室の環境を例に考えると、広さや間取りが自分の希望に合っているか、使い慣れている家財道具や気に入った品物が居室内に収まるかなど、確認項目は多岐にわたります。

スーパーや医療機関・金融機関からの距離や公共交通機関の利便性なども、日常生活を支障なく送るためには大切な確認項目です。

食堂や娯楽スペースなどの共有スペースがあれば、他の入居者とコミュニケーションが取りやすく、施設内だけでなく地域とのつながりも保ちやすいでしょう。

日中・夜間の相談体制や緊急時の対応方法の確認も必要不可欠です。

ほとんどのサ高住では入居前の見学・相談や体験入居を実施しているので、複数の事業所をじっくりと比較・検討するようにしましょう。

よりサービスが充実しているサ高住を検討する

サ高住に入居した後に後悔しないためには、入居先を検討する際は希望するサービス内容を意識した上でサービスの充実度を比較することが重要です。

サ高住の戸数は増加傾向にあるため、入居者の満足度を高められるよう提供するサービスを充実させる運営会社が多くなっています。

共用部に温泉やシアタールームを設けたり、イベント・レクリエーションを充実させたりするのがサービス充実の一例です。

食事面では、季節や行事に応じた特別メニューを提供する事例もあります。

また、加齢に伴う健康状態の変化に対応できるように、訪問介護事業所や訪問看護事業所を併設してケアを充実させるサ高住もみられます。

医療機関と協力関係を構築して、きめ細かな健康管理を行う事例も少なくありません。

サービスが充実しているサ高住では月々の費用が高くなるため、家計状況やサービス内容を検討した上で、自分に合った入居先を選ぶとよいでしょう。

退去ハードルについて調べておく

サ高住は一般の賃貸住宅と同様に、正当な理由がなければ退去を求められることはありません。

仮に長期入院を余儀なくされたとしても、有料老人ホームと異なり家賃さえ支払っていれば居室の賃貸契約を継続できます。

最後まで安心して住み続けられるように、終身建物賃貸借制度を取り入れるサ高住もあり、退去ハードルは低めです。

しかし、以下のケースに該当すると退去を求められる場合があります。

・家賃や管理費などを滞納した場合
・要介護度が上がったり健康状態が悪化したりするなど、サ高住での生活が困難になった場合
・他の入居者や施設に対する迷惑行為があり、改善されない場合

仮に退去を求められたとしても、別の住まいや入居施設が見つかるまではそのまま住み続けられるケースが多いです。

突然住まいを失わないようにするため、サ高住の入居前に退去条件を十分確認しておきましょう。

持ち家からサ高住に転居する場合は、転居後の暮らしに慣れるまで自宅を残しておけば、不測の事態が生じた場合にもあわてずに対応できるでしょう。

サービス付き高齢者向け住宅の問題点を受けて事業所が検討すべきことは?

サ高住を運営する事業所には、入居する高齢者の住まいと尊厳ある暮らしを守る責任があります。

そのため、介護の囲い込み問題に真摯に向き合い、運営の適正化につなげることが大切です。

介護の囲い込み問題の背景には、空室や諸経費の高騰などで生じた赤字を介護報酬で補填するという利益重視のビジネスモデルが潜んでいます。

介護の囲い込み問題については国・自治体の見方が厳しくなっており、悪質な事例と判断された場合には業務停止命令や事業所指定の廃止などのペナルティを受けてしまいます。

そのため、入居者のニーズに応じて適切な介護サービスを提供することが、サ高住の存続にあたっては重要な検討課題です。

入居者のニーズや介護の必要性に応じた多様な選択肢と適切な情報を提供することで、入居者からの信頼を得られると同時に介護事業所としての正当性が担保されます。

倒産リスクを未然に防ぎ、入居者の住まいを守ることにもつながるのです。

まとめ

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は生活の自由度が高い反面、要介護度が上がるなど在宅での生活が難しくなると特別養護老人ホームなどへの住み替えを求められる場合があります。

利益を確保するために介護の囲い込みを行い、入居者に過剰な介護サービスを受けさせる事業所もみられます。

安心してサ高住に住み続けられるよう、入居する前にサービス内容や退去条件を十分に確認することが大切です。

サ高住を運営する会社としても、倒産リスクを回避して高齢者の住環境を守る一環として、介護などのサービスを適正に提供する姿勢が必要でしょう。

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この記事の筆者・監修者

  • 介護のコミミ編集部

    介護のコミミ編集部

    介護のコミミのコンテンツである「コミミマガジン」の編集者。 介護現場から施設運営など、介護に関わる幅広い分野で月間5万人以上の介護職員に情報発信をしている。 記事は介護職員だけでなく、メーカーや行政からの関心も高まっているため、メーカーと介護現場を繋ぐ第三者目線を第一に、日々情報を提供している。

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