介護報酬の加算・減算
認知症加算の算定要件ってなんだろう?
介護報酬改定で見直しされたりしていないかな?
このような疑問にお答えしていきます。
2024年度の介護報酬改定により、認知症加算は見直しされました。
そこで本記事では、認知症加算の算定要件や単位数などについて分かりやすく解説しています。
ちなみに、2024年度の介護報酬改定では、ICTツールの導入が必須もしくは推奨されている加算が多数導入されました。
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認知症加算以外の加算に関しては、下の関連記事で確認することができるよ!
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認知症加算とは、認知症に関する研修を修了した職員を配置し、認知症の症状の進行の緩和に繋がるケアを提供することを評価する加算のことです。
認知症の方へのケアは、一般的な介護と比べて専門的な知識や技術が必要となります。
認知症加算は、事業所が認知症の特性を理解し、適切なケアを提供するための体制を整えることを促し、ひいては認知症の方のQOL(生活の質)向上に貢献することを目的としています。
・通所介護(予防含む)
・地域密着型通所介護
・小規模多機能型居宅介護
・看護小規模多機能型居宅介護
認知症加算の「 単位数」「平均月額収益」「算定率」「平均月額収益」を解説します。
平均月額収益に関しては社会保障審議会の資料を基に算出していますが、未公開の情報に関しては「−」としています。
(月間)算定単位数合計 ÷ (月間)請求事業所数合計 ×(単価)10円
通所介護(予防含む) | 地域密着通所介護 | |
算定単位数 | 60単位/日 | 60単位/日 |
算定率 | 7.40% | 2.50% |
平均月額収益 | 107,112円 | 56,645円 |
算定難易度 | ★★★★☆ | ★★★★☆ |
算定おすすめ度 | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ |
参考「社会保障審議会 介護給付費分科会(第219回)令和5年7月10日資料1」
① | 指定基準に規定する看護職員または介護職員数に加え、看護職員または介護職員を常勤換算で2人以上確保 |
② | 前年度または算定月の前3月間の利用者総数のうち、認知症の利用者の割合が20%以上 |
③ | 専ら通所介護の提供にあたる認知症介護に係る研修の終了者を1人以上配置 |
※通所介護の共生型通所介護を算定している場合は算定しない |
小規模多機能 |
看護小規模多機能 |
|||
区分 | (Ⅰ) | (Ⅱ) | (Ⅰ) | (Ⅱ) |
算定単位数 | 800単位/日 | 500単位/日 | 800単位/日 | 500単位/日 |
算定率 | 92.29% | 70.56% | – | – |
平均月額収益 | 64,486円 | 12,265円 | – | – |
算定難易度 | ★☆☆☆☆ | ★★☆☆☆ | – | – |
算定おすすめ度 | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | – | – |
参考「社会保障審議会 介護給付費分科会(第218回)令和5年6月28日資料2」
(Ⅰ) | 日常生活に支障をきたすおそれのある症状または行動が認められることから介護を必要とする認知症の者にサービスを提供した場合 |
(Ⅱ) | 要介護2で、周囲の者による日常生活に対する注意を必要とする認知症の者にサービスを提供した場合 |
2024年の介護報酬改定では、通所介護・地域密着型通所介護に関して、事業全体で認知症ケアを強化し、利用者割合の要件を緩和。小規模多機能型居宅介護では、新たな加算区分を設け、専門研修修了者配置や指導・研修の実施を評価されます。
2024年度介護報酬改定における変更点を紹介します。
以下で紹介する単位数や算定要件は、2024年4月1日に実行された、介護報酬改定による変更点を反映したものになります。
※変更点に関しては赤文字で記載しています。
・通所介護(予防含む)
・地域密着型通所介護
・小規模多機能型居宅介護
・看護小規模多機能型居宅介護
サービス | 施行前 | 施行後 |
通所介護(予防含む) | 60単位/日 | 60単位/日 |
地域密着型通所介護 | 60単位/日 | 60単位/日 |
小規模多機能 | (Ⅰ)800単位/月 | (Ⅰ)920単位/月(新設) |
(Ⅱ)890単位/月(新設) | ||
(Ⅱ)500単位/月 | (Ⅲ)760単位/月(変更) | |
(Ⅳ)460単位/月(変更) | ||
看護小規模多機能 | (Ⅰ)800単位/月 | (Ⅰ)920単位/月(新設) |
(Ⅱ)890単位/月(新設) | ||
(Ⅱ)500単位/月 | (Ⅲ)760単位/月(変更) | |
(Ⅳ)460単位/月(変更) |
① | 指定基準に規定する看護職員または介護職員数に加え、看護職員または介護職員を常勤換算で2人以上確保 |
② | 前年度または算定月の前3月間の利用者総数のうち、認知症の利用者の割合が15%以上 |
③ | 専ら通所介護の提供にあたる認知症介護に係る研修の終了者を1人以上配置 |
④ | 職員に対し認知症ケアに関する事例検討や技術的指導に係る介護を定期的に開催 |
※通所介護の共生型通所介護を算定している場合は算定しない |
(Ⅰ) |
①認知症介護に係る専門的な研修を修了している者を、日常生活自立度Ⅲ以上の認知症高齢者が20人未満の場合は1以上、20人以上の場合は1に対象者の数が19を超えて10またはその端数を増すごとに1を加えた数以上を配置し、チームとして専門的認知症ケアを実施 ②職員に対する認知症ケアに関する留意事項の伝達または技術的指導に係る会議を定期的に開催 ③認知症会議の指導に係る専門的な研修を修了している者を1人以上配置し、事業所全体の認知症ケアの指導等を実施 ④事業所における介護職員、看護職員ごとの認知症ケアに関する研修計画を作成し、実施(予定含む) |
(Ⅱ) | (Ⅰ)①・②を満たす |
(Ⅲ) | 日常生活自立度Ⅲ以上の認知症高齢者へケアを行った場合 |
(Ⅳ) | 要介護2で、日常生活自立度Ⅱ以上の認知症高齢者ケアを行った場合 |
※ | (Ⅰ)~(Ⅳ)は併算定不可 |
認知症加算は「難しい」と思われがちです。
その理由は、満たすべき人員の多さです。
認知症加算では基本的な人員基準を満たすほかに、看護師または介護職員を常勤換算で2名以上配置しないといけません。
さらにサービス提供時間を通じて、認知症介護実践者研修等修了者を1名以上配置する必要もあります。
研修者はほかの職員との兼務が認められていないため、小規模な事務所では特に要件を満たすハードルが高くなっています。
また、加算基準や算定などが複雑であることも理由のひとつです。
こちらについては、後述する介護ソフトを導入することで解決できるでしょう。
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料金をシミュレーションする「日常生活に支障を来すおそれのある症状・行動が認められる利用者」は、具体的には「日常生活自立度」のランクⅢ・ランクⅣ・ランクM」に該当する利用者を指します。
「日常生活に対する注意を必要とする認知症の利用者」は、具体的には「日常生活自立度」のランクⅡに該当する利用者を指します。
認知症加算の算定要件について、以下の3つのポイントから解説します。
・常勤換算方法
・認知症介護に係る専門的な研修等の定義
・研修を終えたスタッフの確保方法
常勤換算での職員数は、歴月ごとの介護職員・看護職員のトータル勤務時間を、常勤職員が勤務すべき時間数で割って算定します。
ただしトータル勤務時間には、サービス提供時間の延長加算を算定するときに配置する職員の勤務時間は含めません。
「認知症介護に係る専門的な研修等」には、「認知症介護の指導に係る専門的な研修」「認知症介護に関わる専門的な研修」「認知症介護に係る実践的な研修」「認知症看護に係る適切な研修」の4種類が含まれています。
具体的には、以下のような研修内容です。
・認知症介護指導者養成研修
・認知症介護実践リーダー研修
・認知症介護実践者研修
・「認知症看護」の研修
・「老人看護」および「精神看護」の専門看護師教育課程
・「精神科認定看護師」
認知症に関わる施設や事業所には、認知症介護に係る専門的な研修修了者の配置が必須です。
スタッフを確保するためには、業務内容や給与・待遇を充実させることはもちろん、個人が能力を発揮してスキルアップを目指せる体制づくりが必要になります。
「認知症加算」と「中重度者ケア体制加算」は、いずれも認知症の高齢者を支援するための介護サービスで算定できます。
しかし、両者は以下のように人員要件などの算定要件が異なるので、混同しないように注意が必要です。
認知症加算 |
中重度者ケア加算 |
|
利用者要件 |
日常生活自立度ランクIII・IV・Mに該当する利用者が、全体の20%以上を占めること |
要介護3以上の利用者が、全体の30%以上を占めること |
人員要件 |
人員基準を満たす配置人数と別に、介護・看護職員を常勤換算で2名以上配置する 認知症介護実践者研修等を修了し、専従職員を1名以上配置する |
人員基準を満たす配置人数と別に、介護・看護職員を常勤換算で2名以上配置する 専従の看護職員を1名以上配置する |
算定単位 |
1日あたり60単位 |
1日当たり45単位 |
認知症加算の取得に役立つICTツールは介護ソフトです。
複雑な算定要件や計算式だとしても、簡単な操作で 請求データ作成やエラーチェックすることが可能です。
しかし、介護ソフトによって操作感(使いやすさ)や機能、価格は大きく異なるため、介護ソフトの比較検討はとても重要です。
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