高齢者虐待防止措置未実施減算の「算定要件・要件・Q&A」を徹底解説!

介護報酬の加算・減算

高齢者虐待防止措置未実施減算の「算定要件・要件・Q&A」を徹底解説!

2024年度介護報酬改定により、高齢者虐待防止措置未実施減算が新設されました。

介護事業所にとっては、いち早く知っておくべき減算となりますので、当サイトを通じて理解を深めていきましょう。

ちなみに、2024年度の介護報酬改定では、ICTツールの導入が必須もしくは推奨されている加算が多数導入されました。

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こみたろう

高齢者虐待防止措置未実施減算以外の加算に関しては、下の関連記事で確認することができるよ!

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高齢者虐待防止措置未実施減算とは?

高齢者虐待防止措置未実施減算は、利用者の人権保護や虐待防止の推進を目的とした新設された減算です。

名前の通り、高齢者の虐待を未然に防ぐことや再発防止の強化が期待されます。

高齢者虐待の防止強化となった経緯

厚生労働省が公表した資料「その他【高齢者虐待の防止、送迎】(改定の方向性)」によると、以下のような議論から高齢者虐待防止措置未実施減算は新設されました。

高齢者虐待防止の推進についての議論

高齢者虐待防止の推進は、「介護保険施設・事業所における高齢者虐待防止措置に関する体制整備の状況(令和5年度)」のデータを基に、以下のような議論が行われました。

  • 2021年の介護報酬改定で、全てのサービス介護事業者に対して、利用者虐待防止対策を義務化することが決定した。 虐待を事前に防止する委員会の設置、ガイドラインの整備、研修の実施を義務付け、この措置には3年間の経過措置期間があり、2024年4月から完全に義務化する予定である。
  • 2023年度に行った調査では、介護事業者のほとんど(約9割)が、高齢者障害防止のための体制づくり(委員会設置、指針整備、研修実施、担当者配置など)をすでに実施済みであったが、居宅系サービスのうち福祉用具貸与、特定福祉用具販売、居宅療養管理指導は8割に達していなかった。
  • 利用者虐待の通報や相談件数が高止まりしており、それらを踏まえて利用者の人権や虐待の防止をより改善するためには、どのような対策が必要なのか?

 

議論に対しての解決案

上記で行われた議論に対して、以下の解決案が議論されました。

  • 利用者の人権の擁護、虐待の防止等をより強化ためにも、高齢者虐待防止措置が取られてない施設を対象に、基本報酬の減算を実行してみるのはどうか。
    • ただし、福祉用具貸与と特定福祉用具販売は、サービス提供が少し異なることから対象期間を令和8年度末までとせず、体制整備を整えてから実施するのはどうか。
    • 居宅療養管理指導についても、多くの事業所がみなし指定であるため、上記と同じように実行するのはどうか。
  • また、介護事業所で働く職員がハラスメントやストレスへの対策、相談支援に対して、都道府県が実施している自治体向けの事業の活用を明確化してみてはどうか。

 

その他、身体的拘束等の適正化の推進の議論と解決案も同時進行で進み、高齢者虐待の防止強化内容が決定しました。

高齢者虐待防止措置未実施減算の要点まとめ

ここからは、「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」を参照元として、高齢者虐待防止措置未実施減算の要点を紹介していきます。

高齢者虐待防止措置未実施減算の概要

  • 利用者の人権の擁護、虐待の防止等をより強化するために、虐待の再発と阻止するための対策が取られていない事業所に対して、基本報酬を減算する。ただし、福祉用具貸与はサービス態様が異なるため、3年間の経過措置期間を設けることとする。
  • 虐待やストレス対策に対しての取組例を収集し、周知を図る。国の補助により都道府県が実施している事業においては、ハラスメント等のストレス対策に対して研修が実施できること、談窓口は利用者と家族のみが対象ではなく、介護職員等も利用できることを明確化することで、高齢者虐待防止の施策をより充実させること。

 

高齢者虐待防止措置未実施減算の算定要件

虐待や再発防止のために、以下の対策が講じられていない場合

  • 虐待の防止対策を検討する委員会を定期的に開催し、その結果について、従業者に十分に周知すること。
  • 虐待の防止のための対策を整備すること。
  • 従業者を対象に、虐待防止の研修を定期的に実施すること。
  • 上記の3つの措置を適切に実施するための担当者を置くこと。

※防止対策を検討する委員会は「テレビ電話などの活用」も可能です。

対象となるサービス分類

全サービス(居宅療養管理指導、特定福祉用具販売のみ除く)

高齢者虐待防止措置未実施減算の単位数

所定単位数の100分の1に相当する単位数を減算

※ 所定単位数から平均して7単位程度/(日・回)の減算となる。

介護報酬改定2024で実行された全ての加算情報に関しては、以下でご確認いただけます。

高齢者虐待防止措置未実施減算に関してのQ&A

ここでは、「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)令和6年3月15日」で紹介されている、高齢者虐待防止措置未実施減算のQ&Aをご紹介していきます。

高齢者虐待の実態が無くとも再発防止の設置は必要か?

虐待や虐待再発を防止するための措置がない場合は、減算となります。

これは、以下の4つの処置が一つでも抜けていると減算の対象です。

  1. 委員会の開催
  2. 指針の整備
  3. 研修の定期的な実施
  4. 上記3つの担当者を置くこと

行政機関が高齢者虐待防止措置の不備を発見した場合、発覚月から遡って減算を適用するのか?

過去に遡って高齢者虐待防止措置未実施減算を適用することはできず、発覚月が事実発覚した月となります。

虐待や虐待再発を防止する措置がなされていない事実が生じた場合、施設・事業所から改善計画が提出されない限り、減算の措置を行うことはできないのか?

施設・事業所から改善計画の提案があるかどうかにかかわらず、事実が生じた翌月から減算の処置を行っても差し支えはありません。改善計画が提出され、不備から3か月以降に実際の改善が認められるまで継続されます。

まとめ

高齢者虐待防止措置未実施減算の実施により、現場スタッフの利用者の人権意識や虐待意識がより強くなることが想定されます。

意図しない発言等でトラブルになってしまうこともあるかと思いますが、そうした際にも明確な担当者がいることで、スムーズな対応が可能です。

介護事業所としては、いち早く高齢者虐待防止措置未実施減算の内容を把握し、対策の実行に移していくべき加算といえるでしょう。

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この記事の筆者・監修者

  • 介護のコミミ編集部

    介護のコミミ編集部

    介護のコミミのコンテンツである「コミミマガジン」の編集者。 介護現場から施設運営など、介護に関わる幅広い分野で月間5万人以上の介護職員に情報発信をしている。 記事は介護職員だけでなく、メーカーや行政からの関心も高まっているため、メーカーと介護現場を繋ぐ第三者目線を第一に、日々情報を提供している。

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