看取り介護加算は取得した方がいい?見込収益額や難易度を解説!

介護報酬の加算・減算

看取り介護加算は取得した方がいい?見込収益額や難易度を解説!

こみたろう

収益を増やしたい多くの事業所は要チェックだね!

「加算取得で収益は増やしたいけど、どれくらい労力がかかるかを確認したい」

そのように思ってはいませんか?

看取り介護加算は、特定施設(地域密着含む)、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、介護老人福祉施設(地域密着含む)を提供している事業所が対象なっており、看取り介護加算の取得を検討している方は多いでしょう。

そこでこの記事では、厚生労働省が公表している算定状況や算定要件をわかりやすくまとめ、各サービス種別で経口移行加算を算定することでどの程度利益が見込めるのか、平均月額収益も算出しましたので加算算定の参考にしていただけると幸いです。

ちなみに、2024年度の介護報酬改定では、ICTツールの導入が必須もしくは推奨されている加算が多数導入されました。

そこで、業界最大級のメディア「介護のコミミ」では、加算取得に役立つICTツールの選定を無料サポートしていますので、ぜひお気軽にご利用ください ⇒ ICTツールの選定や加算取得の相談はこちら(無料)

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こみたろう

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看取り介護加算とは

看取り介護加算は、医学的知見に基づき回復の見込みがないと判断された者に対して、利用者やその家族の意思を尊重して看護職員等が連携しながら看取りする場合に算定されます。

看取り介護加算の目的って?なぜ加算されるの?

看取り介護加算の主な目的は、介護施設の利用者の意思を尊重し、安心して最期のときを迎えられる環境を整えることです。

近年では急速な高齢化により、介護老人福祉施設などで終末期を迎える人が増えています。

利用者のなかには、「住み慣れた環境で最期を迎えたい」という人も少なくありません。

しかし、そのための看取り対応には看護体制の強化が必須で、夜間の医療体制の強化も欠かせません。

看取り介護を行う施設への評価により、充実した看取り介護を提供することが目的です。

令和3年度介護報酬改定!看取り介護加算の改定内容4つ

令和3年度には、看取り介護加算の内容が改定されました。

それについて以下の4つのポイントから見ていきましょう。

・算定期間が拡大した
・「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に沿う必要がある
・夜間の看護職員配置で報酬加算が受けられる
・看取り期患者への訪問介護で時間ルールが緩和された

(1)算定期間が拡大した

これまで看取り介護加算は、死亡日の30日前までしか対象になりませんでした。

しかし、実際には30日以上前から看取り介護をする事業所が多いため、「45日前」まで算定期間が拡大しました。

(2)「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」

看取り介護加算の算定要件で最も重要なことが、人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインに沿った取り組みを行うことです。

このガイドラインの主な内容は以下の2つになります。

・人生の最終段階における医療・ケアの在り方
・人生の最終段階における医療・ケアの方針の決定手続

医療従事者から適切な説明と情報提供を行ったうえで、利用者本人の意思決定を基本として医療・ケアの方針を決定しましょう。

ただし、利用者本人の意思確認ができない場合は、その家族の推定意思を尊重することや、関係者との話し合いを交えて丁寧に考慮することが大切です。

(3)介護付きホームの看取り期は夜間に看護職員配置をすることで加算算定

「特定施設入居者生活介護」や「地域密着型特定施設入居者生活介護」を行う「介護付きホーム」では、「看取り介護加算Ⅱ」の算定要件が追加されました。

それは「看取り期は夜間に看護職員を配置すること」です。

看護職員が夜勤・宿直を行うため、ほかの施設における看取り介護加算Ⅱより手厚いサービス内容となります。

(4)看取り期患者への訪問介護において時間ルールが緩和

看取り期患者への訪問介護における時間ルールが緩和されました。

看取り期における看護では頻繁な訪問が必要なことが多く、柔軟に対応できる体制が求められます。

しかし、従来は2時間未満の間隔でサービスを行った場合に所要時間を合算するという、いわゆる「2時間ルール」と呼ばれる決まりがありました。

今回の改定では2時間ルールが改正されて、所要時間の合算が必要なくなり、それぞれの所定単位数で算定することが可能になりました。

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看取り介護加算とターミナルケア加算の違いって?異なる点を知ろう

「看取り介護」と「ターミナルケア」の大きな違いは医療的ケアの有無にあります。

看取り介護のメインは、利用者の食事・排泄などのサポートなど日常生活のケアです。

一方でターミナルケアは、点滴や酸素吸入などの医療ケアが中心です。

看取り介護加算は、終末期高齢者に行われる介護サービスが対象となります。

積極的な医療行為は行わず、心身の苦痛を緩和させることがポイントです。

ターミナルケア加算は、医療行為と共に見取りを行うことが対象となります。

そのため、看取り介護加算とターミナルケア加算の対象施設は異なり、ターミナルケア加算の対象施設は以下のとおりです。

ターミナルケア加算の対象施設

・介護老人保健施設
・介護医療院
・介護療養型医療施設
・短期入所療養介護

2023年度「看取り介護加算」の単位数・算定率・収益額まとめ

看取り介護加算の「単位数 」と「平均月額収益 」月間収益額」を解説します。

平均月額収益に関しては社会保障審議会の資料を基に算出していますが、未公開の情報に関しては「−」としています。

月額収益の計算方法


(月間)算定単位数合計 ÷ (月間)算定事業所数合計 ×(単価)10円

※区分
1….死亡日以前31日以上

2….死亡日以前4日以上30日以下

3….死亡前日・前々日

4….死亡日

サービス 区分※ 単位数 算定率 平均月額収益 算定難易度 総合評価
特定施設
Ⅰ1 1日につき72単位を加算 4.70% 12,669円 ★★★★★ ★☆☆☆☆
Ⅰ2 1日につき144単位を加算 9.29% 35,837円 ★★★★★ ★☆☆☆☆
Ⅰ3 1日につき680単位を加算 9.59% 19,595円 ★★★★★ ★☆☆☆☆
Ⅰ4 1日につき1280単位を加算 9.59% 18,932円 ★★★★★ ★☆☆☆☆
Ⅱ1 1日につき572単位を加算 2.28% 102,326円 ★★★★★ ★★☆☆☆
Ⅱ2 1日につき644単位を加算 3.96% 179,063円 ★★★★★ ★★☆☆☆
Ⅱ3 1日につき1180単位を加算 3.96% 36,920円 ★★★★★ ★☆☆☆☆
Ⅱ4 1日につき1780単位を加算 4.06% 28,391円 ★★★★★ ★☆☆☆☆
介護老人福祉施設 Ⅰ1 1日につき72単位を加算 12.95% 13,860円 ★★★★★ ★★☆☆☆
Ⅰ2 1日につき144単位を加算 22.35% 43,820円 ★★★☆☆ ★★☆☆☆
Ⅰ3 1日につき680単位を加算 23.79% 22,487円 ★★★☆☆ ★★☆☆☆
Ⅰ4
1日につき1280単位を加算
24.04% 21,753円 ★★★☆☆ ★★☆☆☆
Ⅱ1 1日につき72単位を加算 4.60% 14,456円 ★★★★★ ★☆☆☆☆
Ⅱ2 1日につき144単位を加算 7.45% 47,796円 ★★★★★ ★☆☆☆☆
Ⅱ3 1日につき780単位を加算 7.87% 28,260円 ★★★★★ ★☆☆☆☆
Ⅱ4 1日につき1580単位を加算
7.91% 29,578円 ★★★★★ ★☆☆☆☆
地域密着特定施設
Ⅰ1 1日につき72単位を加算 3.40% 13,333円 ★★★★★ ★☆☆☆☆
Ⅰ2 1日につき144単位を加算 5.67% 42,500円 ★★★★★ ★☆☆☆☆
Ⅰ3 1日につき680単位を加算 5.67% 19,000円 ★★★★★ ★☆☆☆☆
Ⅰ4 1日につき1280単位を加算 5.67% 18,000円 ★★★★★ ★☆☆☆☆
Ⅱ1 1日につき572単位を加算 0.57% 85,000円 ★★★★★ ★☆☆☆☆
Ⅱ2 1日につき644単位を加算 1.13% 122,500円 ★★★★★ ★☆☆☆☆
Ⅱ3 1日につき1180単位を加算 1.13% 22,500円 ★★★★★ ★☆☆☆☆
Ⅱ4 1日につき1780単位を加算 1.13% 17,500円 ★★★★★ ★☆☆☆☆
地域密着介護老人福祉施設 Ⅰ1 1日につき72単位を加算 6.49% 10,988円 ★★★★★ ★☆☆☆☆
Ⅰ2 1日につき144単位を加算 11.21% 32,464円 ★★★★★ ★☆☆☆☆
Ⅰ3 1日につき680単位を加算 12.01% 16,033円 ★★★★★ ★☆☆☆☆
Ⅰ4
1日につき1280単位を加算
12.05% 15,449円 ★★★★★ ★☆☆☆☆
Ⅱ1 1日につき72単位を加算 2.00% 11,600円 ★★★★★ ★☆☆☆☆
Ⅱ2 1日につき144単位を加算 3.16% 35,949円 ★★★★★ ★☆☆☆☆
Ⅱ3 1日につき780単位を加算 3.32% 19,277円 ★★★★★ ★☆☆☆☆
Ⅱ4 1日につき1580単位を加算
3.36% 20,119円 ★★★★★ ★☆☆☆☆
認知症対応型共同生活介護 1 1日につき72単位を加算 1.92% 12,395円 ★★★★★ ★☆☆☆☆
2 1日につき144単位を加算 3.53% 34,099円 ★★★★★  ★☆☆☆☆ 
3 1日につき680単位を加算 3.81% 16,000円 ★★★★★  ★☆☆☆☆ 
4 1日につき1280単位を加算 3.86% 15,332円 ★★★★★  ★☆☆☆☆ 

※「社会保障審議会 介護給付費分科会(第221回)令和5年8月7日資料4」などの資料から作成

看取り介護加算の算定要件

看取り介護加算の算定要件を解説します。

特定施設/(地)特定施設の場合

区分 要件

①看取りの指針を定め、入所の際に利用者・家族等にその内容を説明し、同意を得る

②医師、生活相談員、看護職員、介護職員、管理栄養士、ケアマネジャー等で協議の上、看取りの実績等を踏まえ、適宜、指針の見直しを行う

③看取りに関する職員研修を行う

①(Ⅰ)を満たす

②当該加算を算定する期間において、夜勤または宿直を行う看護職員を1人以上配置

退去日の翌日から死亡日の間は算定しない

夜間看護体制加算を算定していない場合は、算定しない

【利用者要件】

 ①医師が一般に認められていない医学的知見に基づき回復の見込みがないと判断した者

 ②医師・看護職員・ケアマネジャー等が共同で作成した入所者の介護計画について、医師等から説明を受け、その計画に同意する者

 ③看取りに関する指針に基づき、入所者の状態・家族の求め等に応じ、随時医師等の相互の連携の下、介護記録等を活用して行われる介護の説明を受け、同意した上で介護を受けている者

介護老人福祉施設/(地)介護老人福祉施設の場合

区分

要件

①看取りの指針を定め、入所の際に利用者・家族等にその内容を説明し、同意を得る

②医師、生活相談員、看護職員、介護職員、管理栄養士、ケアマネジャー等で協議の上、看取りの実績等を踏まえ、適宜、指針の見直しを行う

③看取りに関する職員研修を行う

①(Ⅰ)を満たす

②入所者が施設内で死亡した場合

「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取り組みを行う

施設サービス計画の作成にあたり、本人の医師を尊重した医療・ケアの方針決定に対する支援に努める

退所日の翌日から死亡日までの間は算定しない

認知症対応型共同生活介護の場合

要件

①看取りの指針を定め、入所の際に利用者・家族等にその内容を説明し、同意を得る

②医師、生活相談員、看護職員、介護職員、管理栄養士、ケアマネジャー等で協議の上、看取りの実績等を踏まえ、適宜、指針の見直しを行う

③看取りに関する職員研修を行う

④医療連携体制加算を算定している

【利用者要件】

 ①医師が一般に認められていない医学的知見に基づき回復の見込みがないと判断した者

 ②医師・看護職員・ケアマネジャー等が共同で作成した入所者の介護計画について、医師等から説明を受け、その計画に同意する者

 ③看取りに関する指針に基づき、入所者の状態・家族の求め等に応じ、随時医師等の相互の連携の下、介護記録等を活用して行われる介護の説明を受け、同意した上で介護を受けている者

※「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取り組みを行うこと

看取り期の介護における課題

超高齢社会を迎えた現在では、看取り介護の需要が高まる一方ですが、そのための課題も山積しています。例えば、看取り介護に携わる介護スタッフの精神的・身体的な負担です。

利用者のニーズに対応するためには、スタッフのケアも大切になるでしょう。

介護スタッフの精神的なケアも忘れずにしよう

看取り介護を担当するスタッフは、「人の死」という大きな出来事を身近にしながら、介護サービスを提供しないといけません。

例えば利用者の死に対する漠然とした不安や、そのときが訪れたときの「こうすればよかった」という後悔など、介護職員はさまざまなつらさを抱えるものです。

そのため、以下のような取り組みにより、スタッフの精神的負担を軽減することが大切です。

・看取り介護について研修を行う
・チームで助け合いながらケアする
・本人や家族を交えて丁寧に話し合うこに文章

看取りへの精神的な不安の大きな原因が、知識や経験の不足です。

丁寧な研修を行うことやチームで想いを共有することなどで、精神的な負担を軽減できます。

また、本人や家族を交えて話し合うことで、後悔のない看取り介護が行いやすくなるでしょう。

看取り介護加算の取得に役立つツールは「介護ソフト」

看取り介護加算の取得に役立つICTツールは介護ソフトです。

複雑な算定要件や計算式だとしても、簡単な操作で請求データ作成エラーチェックすることが可能です。

しかし、介護ソフトによって操作感(使いやすさ)や機能、価格は大きく異なるため、介護ソフトの比較検討はとても重要です。

すでに介護ソフトを導入されている場合でも、必要に応じて介護ソフトの再検討をしてみましょう。

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この記事の筆者・監修者

  • 介護のコミミ編集部

    介護のコミミ編集部

    介護のコミミのコンテンツである「コミミマガジン」の編集者。 介護現場から施設運営など、介護に関わる幅広い分野で月間5万人以上の介護職員に情報発信をしている。 記事は介護職員だけでなく、メーカーや行政からの関心も高まっているため、メーカーと介護現場を繋ぐ第三者目線を第一に、日々情報を提供している。

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