介護施設の経営・運営改善
「自分の勤務先がどのように関係するのか分からない」
「働き方改革で何が変わった?」
働き方改革とよく耳にしますが、このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
また、同一労働同一賃金の意味が分からず、何をすれば良いのか見当がつかない状況になっている可能性もあります。
これらは、介護施設の従業員にも深く関わる事柄となるため、できるだけ早い段階で確認することが必要です。
しかし、日々の業務が忙しく、あまり学習する時間をとれないケースも少なくありません。
そこで、本記事では、そのような人でも働き方改革や同一労働同一賃金の影響を把握できるように、重要なポイントを取り上げて解説していきます。
一読すれば、人材の確保や業務効率化について学んだりICT導入の重要性を理解することができるでしょう。
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口コミランキングを見る働き方改革関連法は、2018年に国会で可決され、2019年4月から順次施行されています。
正式名称は「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」であり、労働者が個々の状況に応じて働き方を柔軟に選べるようにすることが目的です。
厚生労働省は、目的を実現するためのルールとして以下のような内容を具体的に挙げています。
・過度の長時間労働を禁止すること
・雇用形態による差別を排除すること
・柔軟な働き方がしやすい環境整備をすること
そのため、介護施設もそれらを守りながら営業しなければなりません。
もちろん、個々の従業員も従う必要があるため、従前よりも効率よく仕事を進めたり、チームワークを強化したりするような工夫が求められます。
自社の実情が上記の指針にそぐわない場合は、就業規則も変更されるため、そちらをチェックして理解することも不可欠です。
働き方改革関連法は、介護業界にもさまざまな影響を及ぼしています。
特に、関わりが大きなポイントは次に紹介する2点です。
時間外労働の上限規制は、働き方改革の目玉です。
上限は、1カ月あたり45時間、年間360時間と定められており、特別な事情がない限り超過は認められません。
これに違反して働かせた経営者は、罰金や懲役といった罰則を受ける可能性があります。
そのため、時間外労働の管理が徹底していない事業者は、残業が上記の時間内となるように従業員の勤務時間を正確に把握し、業務や人員の割り当てを見直すことが必要です。
また、残業を1日あたり長くても2時間程度に抑えるなど、具体的な指示を従業員に行っていくことも重要になるでしょう。
働き方改革により、有給休暇の取得が義務化されました。
厚生労働省が「年次有給休暇の時季指定義務」に掲げているのは、年10日以上の有給休暇を付与された従業員に対し、5日間は雇用側が時季を定めて取得させることです。
つまり、条件に合致する従業員がいれば、たとえ本人が望まなくても、最低でも5日分を取得させる必要があります。
経営者の対策としては、有給休暇が発生する基準日などの関連知識を身につけ、年次有給休暇管理簿で個々の取得状況を把握していくことが方法の一つです。
業務の属人化を解消し、従業員が業務を代行しあえる体制づくりも欠かせません。
同一労働同一賃金の制度も、働き方改革の一環として2020年4月から採用されています。
この制度は、同じ内容の職務を担当していれば、正規社員と非正規社員といった立場の違いに関係なく、同じ金額の報酬を与えられるというものです。
導入の背景として、待遇の格差がネックとなり、パートタイムや派遣といった働き方を選びにくかったことが挙げられます。
誰でも柔軟に活躍できる社会を目指すにあたり、この問題を解消するための対策として実施されることになりました。
制度に違反した経営者に対しては、従業員による民事訴訟などのリスクがあります。
なお、非正規社員が待遇を不条理だと感じた場合、正規社員との差について経営者に説明の要求が可能です。
同一労働同一賃金のメリットは、潜在的な労働者が活躍する機会を大きく増やせることです。
例えば、介護職の経験者が再就職したくても、正規社員が募集されておらず、あきらめてしまうケースがよくありました。
そのような場合でも、同一労働同一賃金が導入されていれば、非正規社員としての就職も視野に入れやすくなります。
働き始めた後にモチベーションを維持しやすいことも大きなメリットの一つです。
努力した分だけ正当な報酬を得られると感じることができれば、介護業界でのキャリアアップも前向きに検討できます。
非正規社員のモチベーションが上がるので、「非正規社員に関して退職者を減らせる」「長期的な人材育成によって生産性を底上げしていける」といった点もメリットになります。
同一労働同一賃金のデメリットとして、正規社員が不満を抱きかねない点が挙げられます。
非正規社員に対する優位性が少なくなり、責任の重さだけを強く感じるようになって、モチベーションのダウンにつながるケースもあるのです。
介護施設の資金状況によっては、正規社員と非正規社員の待遇をそろえるにあたり、前者の給与基準を下げざるをえないケースも出てくる可能性もあります。
この場合、「非正規社員のせいで賃金が減った」と考える正規社員も出てくる可能性があることには留意しましょう。
非正規社員が多く働いている介護施設の場合、人件費の上昇によって経営状況が厳しくなる事態もありえます。
経営者は、さまざまなリスクを十分に踏まえたうえで、人員を調整するなどのプランニングを慎重に行うことが重要です。
介護施設が働き方改革に適応していくには、人材の確保をスムーズに行う必要があります。
なぜなら、少人数の職場だと残業時間の削減や有給休暇の積極的な取得は非常に難しいからです。
また、日々の業務を効率化することも大切なポイントになります。
業務量と人数が同じでも、負担を減らせれば、その分だけ従業員各自が時間的な余裕を持ちやすくなるでしょう。
とはいえ、労働者人口の減少が社会問題となっており、目の前の業務をこなすことだけで精一杯なケースも少なくありません。
それらの問題を一気に解決する方法として、注目されているのがICT化です。
ICTの具体的な内容は後述しますが、導入することで自動化できる作業が増えるため、ヒューマンエラーの減少が期待できます。
さらに、従業員のストレス軽減も図れるため、若手の従業員における離職を防ぎやすくなるでしょう。
人員の定着率が高まることで連携力が強まったり、コミュニケーションが活発になったりすることで生産性の向上が見込めます。
このように、人材の確保と業務効率化を同時に推進したい場合にうってつけです。
ICTは、「Information and Communication Technology」の頭文字をつなげた略称です。
日本語では、「情報通信技術」と表現されIT機器の技術面や人の関わりにおける活用方法に重点が置かれており、ITはハードウェアやソフトウェア、インフラなど、コンピュータ関連の技術そのものを指す言葉に対して、ICTは情報を通信する技術のことを指す言葉になっています。
介護業界では、従業員と要介護者の架け橋となっていることが多い傾向です。
例えば、トイレやベッドに設置したセンサーによって、要介護者の状態を送信する仕組みがあります。
従業員は、わざわざ各部屋へ足を運ばなくてもリアルタイムで様子を確認できデータの解析により健康状態の傾向も把握することが可能です。
一方で、従業員同士や経営者と従業員との架け橋になっているケースもあります。
例えば、情報をタブレットで共有できるシステムもその一つです。
介護の際に情報を入力しておくことで、書類作成の手間が省けたり、引き継ぎの打ち合わせにかかる時間を減らしたりすることが期待できます。
経営者にとっては、従業員の勤怠状況の細かなチェックを手軽に行える一方で、従業員は訪問介護先などからでもオンラインで打刻ができるため、時間を効率的に使いやすくなる点がメリットです。
過去にICTについて詳しく解説している記事があります。ICT製品導入を検討している方は、ぜひ一読して頂くことをおすすめします。
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働き方改革は、介護業界の重大なターニングポイントになりました。
高齢化が進んでいる現代において、従業員の確保は多くの介護施設にとって大きな課題です。
残業時間を削減するなど、働きやすい職場環境を築くことで人手不足の状況に陥ることを防ぎやすくなります。
さらに、同一労働同一賃金をうまく導入すれば採用数や生産性をアップさせることも期待できるでしょう。
そのためには、働き方改革関連法のポイントを押さえたうえでICTを活用することも必要です。
介護施設側は、業務効率化を実現するスタンスが求められています。
今後のニーズの高まりを踏まえたうえで、滞りなく対応するための準備を進めておきましょう。
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