見守りセンサーの費用対効果は?収益は上がる?

介護ロボット・センサーの選び方

見守りセンサーの費用対効果は?収益は上がる?
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こみたろう

結局のところ見守りセンサー導入するとどの程度利益が上がるのかな?
ちょっと調べてみたよ!

介護の現場では、見守りセンサーが話題になっています。

センサーが人工知能(AI)とオンラインでつながることにより、介護スタッフの五感を一部代替するほどの機能があるのです。

そのため、介護現場の業務負担が軽くなりますし、心身共に余裕が生まれたスタッフは、より手厚い介護を行えて、施設利用者の満足度も向上する可能性があります。

また、経営者にとっては人件費の削減効果にも期待できます。

この記事では、見守りセンサーの「業務改善効果」と「費用対効果」について、具体的なデータを基に検証していますので、介護現場の諸問題を解決できる見守りセンサーのことを、より詳しく知ることができるでしょう。

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見守りセンサー(システム)ってどの程度業務改善ができるの?

見守りセンサーは、主に介護が必要な方の日常生活上の動きを自動的に記録し、異常があれば介護スタッフや家族に通知する機器の総称です。

たとえば「ベッドセンサー」「ベッドサイドセンサー」「ピローセンサー」などを使えば、要介護者の寝起きやバイタルサインなど、ベッドの上での挙動を検知できます。

また、床に敷いて踏むと反応する「マットセンサー」や、室内の映像を常時記録する「見守りカメラ」によって、要介護者が部屋の中で、いつ、どのように移動しているのかを補足できるようになります。

こうした見守りセンサーの導入によって、異常にいち早く気づいて転倒事故や徘徊を未然に防ぐなど、介護現場での業務改善に成功した事例が数多く報告されています。

リスクの大きな現場へ重点的にスタッフを配置できたり、スタッフが要介護者の各部屋を見回る頻度を減らせたりする見守りセンサーは、介護現場が抱える人材不足の問題も解消できるのです。

見守りセンサー(システム)の効果を実証実験データを基に徹底解説

2022年に厚生労働省の老健局高齢者支援課が公表した「介護ロボット等の効果測定事業報告書」では、介護現場に見守りセンサーを複数導入することにより、介護の質を確保しながら、夜勤スタッフの業務を効率化(負担軽減)できるかどうか、検証した結果が報告されています。

見守りセンサーを新規ないし追加で導入した施設では、夜勤スタッフ1人が1日の勤務(600分)に占める「直接介護」及び「巡回・移動」の合計時間は、導入前の調査で平均266.3分、導入からおよそ2カ月後の調査で平均239.8分だったといいます。

つまり、1日あたり平均26.5分の時間短縮効果が得られると報告されているのです。

月に22日勤務すると仮定すれば、月間で約9.72時間の短縮になる計算です。

どのような種別の施設でも共通して、時間削減の傾向が見られたようですが、特に認知症対応型共同生活介護の現場においては、スタッフの「巡回・移動」時間だけで1日20分程度減っており、より高い効率化を図れています。

見守りセンサーの導入によって、スタッフが時間的にも心理的にも余裕を持つことができれば、介護の質をさらに引き上げる施策にも取り組めますし、緊急事態にも素早く対応できるようになるのです。

実際、同報告書のアンケート調査によれば、心理的ストレスが「弱い」と回答したスタッフの割合が、事前調査時点では39%だったところ、見守りセンサーの導入後には85%まで増加しています。

また、施設利用者の中には「見守り機器で確認できるようになったことから、睡眠を妨げることがなくなった」と回答している人もいることから、利用者のQOL(生活の質)の維持や向上にも見守りセンサーが貢献しているものと考えられます。

見守りセンサー導入の費用対効果

金

ここまでは、見守りセンサーを導入することによる介護現場の効率化や、介護スタッフのストレス軽減、要介護者のQOL向上などの効果について、厚生労働省による実証実験結果をもとに解説してきました。

ここからは、見守りセンサーを導入することによって得られる、介護現場の「費用対効果」の側面について具体的に解説していきます。

「見守りセンサーの初期費用」を把握した上で、費用対効果がどの程度になるのか見ていきましょう

見守りセンサーの初期費用

まず、見守りセンサーを導入する際に必要な初期費用が、およそどの程度になるかについて説明します。

厚生労働省による「介護ロボット等の効果測定事業」で使われた見守り機器は「眠り SCAN(スキャン)」「aams(アアムス)」「ネオスケア(Neos+Care)」の3種でした。

この3製品を例に、見守りセンサーの初期費用を解説していきます。

※各製品の価格は2023年02月28日時点になります。

眠りSCAN(スキャン)

パラマウントベッドの「眠りSCAN」は、マットレスの下に敷いて使用するベッドセンサーです。

2019年からレンタル制度が行われていて、初期費用は、メンテナンス費用や損害保険料を込みで初年度月額2600円(税別)のみです。

なお、1年ごとの更新で徐々に月額費用が減少していき、5年後には無償で所有権を引き取ることも認められます。

介護ロボット導入補助金を受けることもできますが、都道府県ごとの事業なので対応は地域によってまちまちです。

たとえば東京都の「令和4年度介護現場改革促進事業補助金」の場合、機器1台あたり最大補助率4分の3(上限60万円)ですが、機器のレンタルに係る費用は「令和5年3月31日までの費用に限る」と定められています。

1年間のレンタル費用について補助を受けるものと仮定すれば、年間3万4320円(税込)のうちの2万5740円は都からの補助対象となりえます。

30床に1台ずつ導入した場合は年間総額102万9600円(補助総額77万2200円)です。

aams(アアムス)

バイオシルバーの「aams」も、マットレスの下に敷くタイプのベッドセンサーです。

導入費用はメーカー希望小売価格が設定されていないオープン価格ですが、参考価格として17万8000円(税別)で販売している業者があります。

仮に東京都の「令和4年度介護現場改革促進事業補助金」を受けるとすれば、総額19万5800円(税込)のうち、14万6850円が補助対象になりえます。

30床に1台ずつ導入した場合は総額587万4000円(補助総額440万5500円)です。

ネオスケア(Neos+Care)

ノーリツプレシジョンの「ネオスケア」は、見守りカメラ型の赤外線距離センサーで、導入費用は34万8000円(税別)です。

仮に東京都の「令和4年度介護現場改革促進事業補助金」を受けるとすれば、総額38万2800円(税込)のうち、28万7100円が補助対象になりえます。

30床に1台ずつ導入した場合は総額1148万4000円(補助総額861万3000円)です。

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こみたろう

こう見ると総額が高いね。
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上記で解説した製品については、サポートや保守メンテナンスの費用などが別途かかる可能性があったり、申請内容によっては補助率が下がったり補助金自体が受けられなかったりする事態も想定されます。

そのため、ここで提示した各金額はあくまでも参考程度としてください。

見守りセンサーの費用対効果

では、見守りセンサーの初期費用を把握したところで、実際にどの程度の費用対効果を見込めるのか見ていきましょう。

夜勤職員が常時3人いると想定し、見守りセンサーを30床分導入した場合の初期費用を、何カ月後に回収できるのかを算出することで、見守りセンサーの費用対効果を割り出すことにします。

厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によれば、10人以上が勤務する医療・福祉施設等における介護職員の「きまって支給する現金給与額」は平均26万8200円で、実労働時間は月間平均168時間です。

日勤・夜勤を問わずに平均した給与額なので、夜勤職員の割増賃金は考慮しないものとして単純計算すると、時給換算で1596.4円となります。

見守りセンサーの導入によるスタッフの時間短縮効果は、既に述べたとおり月間平均9.72時間です。

夜勤スタッフが3人いる場合、総額で月間4万6551円の人件費が、見守りセンサーの導入によって浮く計算となります。

ただし、見守りセンサーを30床分導入したからといって、介護現場の業務効率が30倍上がるわけではありません(全利用者を見回るとしても、頻度は1回まわれば済むからです)。

すべての利用者にくまなく見守りセンサーを設置することで、見回りの必要がなくなり、仮に業務効率が倍になるとすれば、月間9万3102円の人件費が削減できます。

買い切りで比較的安価な「aams」の場合、30床分で総額587万4000円(補助総額440万5500円)でした。

自己負担額は146万8500円です。

その負担額は16カ月あれば実質的に回収できる計算となります。

とはいえ、介護職員や施設利用者のストレスが減ったり、余裕を持ってゆっくり介護したり利用者と会話を交わしたりする時間が取れたりして、QOLの向上が期待できるなど、金額では測れない大きな導入メリットがあることも忘れてはなりません。

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こみたろう

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まとめ

見守りセンサーには、ベッドセンサーや見守りカメラなど、いくつかの種類があります。

いずれも、介護スタッフの業務負担を軽減させることができ、現場に余裕が生まれて、介護の品質がさらに向上したり、利用者の満足度やQOLが引き上がったりする効果が期待できます。

厚生労働省の実証実験により、見回り業務の負担軽減などでスタッフ1人あたり平均26.5分の時間短縮効果が得られるという結果が示されています。

このことは事実上の人件費削減にもつながり、施設経営者にとっては良好な費用対効果も得られます。

夜勤職員が3人いると仮定すれば、見守りセンサーの導入による初期費用の投資も、補助金を受けることを前提として、およそ16カ月で事実上回収できる可能性があります。

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この記事の筆者・監修者

  • 介護のコミミ編集部

    介護のコミミ編集部

    介護のコミミのコンテンツである「コミミマガジン」の編集者。 介護現場から施設運営など、介護に関わる幅広い分野で月間5万人以上の介護職員に情報発信をしている。 記事は介護職員だけでなく、メーカーや行政からの関心も高まっているため、メーカーと介護現場を繋ぐ第三者目線を第一に、日々情報を提供している。

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