ヘルパーの離職率が上昇?コロナ禍で安定の介護業界は本当?

介護施設の経営・運営改善

ヘルパーの離職率が上昇?コロナ禍で安定の介護業界は本当?
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こみたろう

ヘルパーの離職率って近年どう変化しているの?
実際のコロナの影響は?

このような疑問にお答えしていきます。

新型コロナウイルスの流行によって、日本国内のさまざまな業界が多大な影響を受けています。

介護業界は日本全体が高齢化ということもあり、需要が高い業種です。

しかし、需要の高さと同時に人員不足も変わらず発生し、より働きやすくなるように改善策を実施している施設も少なくありません。

そういったなかで起こったのが新型コロナウイルス感染症の流行です。

「コロナは介護業界にどのような影響を与えたのか」と気になっている人もいるのではないでしょうか。

そこで、今回はコロナが介護業界に与えた影響について、離職率や感染の可能性がある訪問介護などに焦点を当て解説をします。

対策法についても事例を挙げて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

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新型コロナウイルスは介護業界にどう影響を与えたか?

2020年、さまざまな企業の情報提供を行っている株式会社東京商工リサーチが行った老人福祉・介護事業における調査では、介護施設の倒産率が過去最大の118件であることがわかりました。

そのうち、新型コロナの影響によって経営破綻した施設が7件です。

元々、人員不足に悩んでいた小規模施設などが新型コロナによる利用者減少の影響を受け、倒産に追い込まれてしまうケースが増加傾向にあります。

特に、介護業界のなかでも新型コロナの影響を特に大きく受けたのが訪問介護でした。

訪問介護のスタッフは人員不足が深刻になっており、新型コロナの影響を受けたことによって経営継続が困難になってしまうところも多いようです。

感染者に関しては、介護労働安定センターの「介護労働実態調査」の結果、スタッフや利用者が感染したルートが訪問介護や居宅介護支援の利用者から感染するケースが多かったことがわかっています。

また、コロナ禍で介護事業所はICT(情報通信技術)化の加速が顕著です。

介護業界は少子高齢化による需要の高さに対し、人員不足が問題となっていることから生産性を高めることが求められています。

厚生労働省も介護業界に対してICT導入支援事業を行っています。

たとえば、記録業務や情報共有業務、請求業務などを一元化するために、介護ソフトやタブレット端末の導入支援が挙げられるでしょう。

参考:東京商工リサーチ「2020年「老人福祉・介護事業」の倒産状況
  :介護労働安定センター「令和 2 年度 介護労働実態調査(特別調査)
  :厚生労働省「介護現場におけるICTの利用促進

介護ヘルパーの離職率は上昇

悩む介護士

介護労働安定センターが行った令和2年度「介護労働実態調査」によると、2019年10月から昨年9月までの1年間のヘルパーの離職率は15.6%を記録し、令和元年度の13.6%から2%も離職率が上昇しました。

「新型コロナの影響で離職者が出たかどうか」という質問に対し、回答した事業所全体の平均で離職者率が約5.2%という結果が出ています。

ただし、この質問については無回答の事業所も多く、実際にはもっと多くの離職者にコロナウイルスが関わっている可能性があります。

特に、感染者が多い地域の事業所に新型コロナの影響による離職者が多く、調査時で約8.7%にも達していました。

一方、感染者が少ない地域における同理由の離職者は約2.1%、新型コロナ以外の理由による離職者は約63.5%でした。

離職理由で多かったものは、新型コロナの感染不安や新型コロナによる家族のライフスタイルの変化などです。

このことから、新型コロナウイルスによる影響により離職者が増加した可能性を否定できません。

また、厚生労働省の「介護労働の現状」に関する調査では、中小規模事業所になるほど離職者数が増える傾向があることがわかりました。

新型コロナの感染者数は減少と増加を繰り返しており、今後もその影響が続く可能性がないとはいえない状況です。

また、新型コロナの影響が落ち着いたとしても、介護業界の離職率自体が減少するまでには時間がかかると考えられています。

そのため、長期的な目で見た施策を行う必要があるでしょう。

例として、直行直帰できる環境やアセスメントをスマホやタブレットで行うといった事業所の業務をICT化することが有効です。

参考:厚生労働省「介護労働の現状
  :介護労働安定センター「令和 2 年度 介護労働実態調査(特別調査)

ICT化でコロナウイルス感染症対策(訪問介護)

電子っぽい介護

 

新型コロナの影響でさらにスタッフの離職率が増加している現状から脱却すべく、すでにICT化を行い、業務の効率化を図っている事業所も増えてきました。

今回は介護中の濃厚接触などで新型コロナに感染する確率が比較的高い訪問系施設に絞り、感染予防などにもしっかり対処しながらスタッフの定着率アップを目指している事例を紹介します。

訪問系のコロナ対策事例

訪問系介護施設で新型コロナ対策が行えるICTツールには、ビジネスチャットや介護記録ソフトなどが挙げられます。

これらの活用によって訪問スタッフの直行直帰ができるようになり、感染の原因になりやすい人との接触を最小限に抑えることも可能です。

訪問介護においても感染患者数が多い地域でサービス提供後に感染が発覚したケースもあるため、感染拡大を防ぐためにも人との接触はできるだけ減らす必要があります。

また、非接触型の計測器で体温や健康状態についてログを残すことでも対策することができるでしょう。

ICT化の導入は業務の効率化、新型コロナの感染防止対策、働きやすさ、人件費削減などさまざまなメリットにつながります。

ビジネスチャットで有名な「チャットワーク」の活用で状況詳細を把握するまでの手間や時間をなくし、文章や写真などの共有を行うことができるようになります。

一般的なチャットツールではなくビジネスチャットであるため、利用者の個人情報を取り扱う面でも安心です。

また、介護記録ソフトの「ケアウィング」は必要に応じて定型文や音声入力で介護記録を残すことが可能になっており、スマホ操作が苦手な人も簡単に特記事項について報告できます。

サービスの開始時刻や終了時刻も、ICタグをあらかじめ読み取っておけば自動的に入力されるので便利です。

参考:チャットワーク「投資と考えICT導入を決めたことで、電話の時間も半分になり、現場の業務効率もアップ

訪問介護のコロナ感染、クラスター事例

訪問介護のスタッフはさまざまな利用者宅へ足を運び、体を密着に近い状態で介護する場面もあります。

そのため、新型コロナの自覚症状がまだ出ていなかったり、単なる風邪だと思い込んだりした利用者から感染した例は少なくありません。

また、その訪問スタッフがサービス内容の記録をするために事業所に戻ったことでクラスターが発生した事例も確認されています。

ある県では訪問介護先の利用者が新型コロナに感染しており、訪問スタッフも後日感染が確認されました。

しかし、この際、スタッフは症状が出ていたにも関わらず、感染疑いの報告をせず勤務を継続していたため、別の利用者に感染しています。

こちらのケースでは、訪問スタッフに毎日の体調について報告をするなど指導をしていなかったことが問題提起されました。

また、同じく訪問スタッフや看護師が利用者宅を訪れ、濃厚接触者であった同僚、別の訪問介護利用者にも感染した事例があります。

こちらの場合、訪問スタッフから感染した別の利用者は感染確認がされているものの、症状がまったく出ていないとのことです。

このように症状が無自覚の場合、自分が感染しているかどうかは検査をするか、なんらかの症状が出なければ気づきません。

そのため、日ごろから訪問スタッフの体調管理を徹底し、報告を義務づける必要があるでしょう。

参考:毎日新聞「「ヘルパーからコロナ感染し死亡」 82歳女性の遺族が介護事業所を提訴 広島
  :わかやま新報「クラスター2件認定 和歌山競輪と訪問介護

利用者と従業員の定着率を上げるためには

介護業界の離職率の高さ、新型コロナの影響による利用者の減少、この2つの問題を解決するためにはICT化の導入などコロナ禍における働きかたを最適化しなければなりません。

介護のコミミが調査したアンケート結果によると、介護ソフトの導入をしている事業所は7割に及んでいます。

しかし、ICT化導入反対派も2割以上おり、その要因のひとつがスタッフのICT化に関するスキル不足です。

ICT化に対するスタッフの理解を深めるためには研修会を行い、ツールの取り扱い方などを詳しく説明するのが望ましいといえます。

また、導入資金が不足していると考えている事業所も少なくありません。

ICT導入に関しては補助金があり、たとえば、「IT導入補助金」は経産省が管轄になっています。

従業員数100人以下、資本金5000万円以下の中小企業を対象とし、介護ソフト導入費用に対し、最大2分の1(最大450万円)まで補助金を利用することが可能です。

さらに、各都道府県が実施している「ICT導入支援事業」もあります。

こちらは都道府県によって補助金の金額が異なるので、事業所がある自治体に確認しましょう。

ICT化の導入による大きなメリットは、業務の効率化やスタッフの負担軽減です。

手間も時間もかかる請求業務はボタン1つで可能となり、手作業によるミスが減って請求時の返戻率も下がることが期待できます。

また、事務スタッフの手が空きやすくなるので現場のヘルプも依頼可能です。

人手が増えれば訪問スタッフの負担も軽減され、心の余裕ができてサービスの質向上にもつながるでしょう。

このように、ICTツールの導入はさまざまなメリットを得ることができます。

コロナ禍の今こそ「ICTツール」の導入で業務効率化を

介護業界は離職率の高さが深刻な問題として改善が求められていますが、新型コロナによる影響がさらなる離職率アップや利用者の減少につながっています。

感染リスクに対する不安や人員不足によるスタッフの負担などで精神的にネガティブになりやすい状況にあるため、業務効率化によって心に余裕を持つことができる環境づくりが必要です。

ICT化の導入は訪問スタッフの直行直帰を実現可能にし、感染防止対策である人との接触を減らすこともできます。

すでにICT化導入を実現している事業所では、ビジネスチャットの活用やスタッフの健康管理なども行うことで、より働きやすい職場に改善されたという声も少なくありません。

介護のコミミではICTアドバイザーによる無料相談支援を行っております。

ICT化の導入は補助金もあるため、資金面に不安がある場合でも相談してみると良いでしょう。

 

また、介護のコミミではICT導入の第一歩として介護ソフトをお勧めしています。

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この記事の筆者・監修者

  • 介護のコミミ編集部

    介護のコミミ編集部

    介護のコミミのコンテンツである「コミミマガジン」の編集者。 介護現場から施設運営など、介護に関わる幅広い分野で月間5万人以上の介護職員に情報発信をしている。 記事は介護職員だけでなく、メーカーや行政からの関心も高まっているため、メーカーと介護現場を繋ぐ第三者目線を第一に、日々情報を提供している。

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