特定処遇改善加算とは?介護福祉士の給料まで徹底解説!

介護報酬の加算・減算働きやすい職場の選び方

特定処遇改善加算とは?介護福祉士の給料まで徹底解説!
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介護の賃上げって実現するの?特定処遇改善加算ってなに?ちゃんと給与に反映するの?

このような疑問にお答えします。

201910月より「特定処遇改善加算」が開始され、介護福祉士の月収は最大8万円まで賃上げされる可能性が出てきました。

ところがこの「特定処遇改善加算」

すべての介護福祉士が加算の恩恵を受けられるわけではありません。

介護報酬のたな加算が開始されたことで、介護福祉士としての給料にどのような影響があるのか気になる方多いしょう

介護福祉士の給料の動向を知っておくと、自分の経験や能力に見合うた給料がもらえる可能性が高くなります。

そこで今回は、「特定処遇改善加算」、加算の対象なる事業所や介護職の条件について解説します。

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特定処遇改善加算とは?

まずは「特定処遇改善加算」について詳しく解説します。

「特定処遇改善加算」とは、2019101日から開始された新しい介護報酬の加算制度です。

日本の高齢化が進む中で、現在の介護業界は深刻な人材不足です

厚生労働省の報告によると、2025年度末までに追加で必要とる介護職の人数は55万人、年間6万人とされています

「特定処遇改善加算」はこうした人材不足の現状を受けて介護職の働きやすさを改善する目的で新設されました。

「特定処遇改善加算」を開始するにあたって、国は次のようなものを加算の財源としています。

10%に引き上げた消費税

介護保険料

介護保険利用者の自己負担金

公費(1000億円)

以上の財源をもとに、国は「特定処遇改善加算」の条件を満たした事業所にお金を支給し、そのお金が介護職の賃上げに回されるのです

そこで重要となるのが、自分の働く事業所(病院、介護施設、障がい者施設など)「特定処遇改善加算」を申請できる条件を満たしているかどうかということです。

多くの加算と同じように、「特定処遇改善加算」も事業所が条件を満たしていなければ加算を受けることはできません。

自分の賃上げを考える上で介護福祉士としては、まずは自分の職場が「特定処遇改善加算」の条件を満たしているかどうか知っておくことが重要です。

「特定処遇改善加算」を申請できる事業所

では、どのような事業所が「特定処遇改善加算」を申請できるのでしょうか?

「特定処遇改善加算」を申請できる事業所は、以下の条件を満たしている必要があります

【条件1 現在の介護職員処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)までを取得していること

【条件2 介護職員処遇改善加算の職場環境などの要件について、複数の取り組みをおこなっていること

【条件3 介護職員処遇改善加算に基づく取り組みについて、ホームページへの掲載などを通じた見える化をおこなっていること

【条件1】の「介護職員処遇改善加算」は、平成24年度に介護職員の労働環境の改善を目的に作られた加算制度のことです。平成28年度の厚生労働省の調査では、約9割の介護施設が「介護職員処遇改善加算」を取得していました。

つまり多くの事業所では「特定処遇改善加算」の【条件1】を満たしている可能性が高いので、あとは【条件2】や【条件3】を満たすだけの努力を職場がおこなっているかどうかということが問題です

さらに「特定処遇改善加算」を受けるには、3つの条件を満たした上で事業所自治体に加算の申請をおこなう必要があります。

ですから、職場が条件を満たさなかったり申請をしなかったりしていない場合には介護福祉士も、今回の加算の新設による賃上げは期待できません。

そのため、自分が働いている職場が「特定処遇改善加算」を取得しているのか不安な時は職場の上司や事務などに確認してみると良いでしょう。

賃上げの対象となる介護福祉士

自分が働く事業所が特定処遇改善加算を申請したからと言って、すべての介護福祉士の給料があがるわけではありません。

「特定処遇改善加算」として自治体から支給されたお金は、基本的には、職場が経験や能力があると認めた介護福祉士に支給されます。

ただし実際のお金の使い方は事業所に任されているため、それぞれの事業所は次のような配分方法をおこなうことができるのです。

経験や技能のある介護福祉士のみに全額支給する

介護職員全体で分配する

介護職員以外も含むすべての職員で分配する

例えば、自分の職場が「特定処遇改善加算」として国から8万円の支給を受けられたとします。そうなると、職場は次のような形で8万円を支給・分配することができます。

経験や技能のある介護福祉士1名に8万円を全額支給する

介護福祉士に4万円を支給し、他の介護職や職員に4万円を分配する

つまり、職場が「特定処遇改善加算」を取得していたからといって、必ずしも介護福祉士として自分の給料があがるとは限らないのです。

ここで注目したいことは、「経験や技能のある介護福祉士」については職場側ぶ権利があるということです。

人によっては介護福祉士としての経験や技能があるのに、事業所のやり方や人間関係などが合わず、職場から正当な評価を受けられていないということもあるでしょう。

働く場所が変わるだけで、職場側からの自分の評価が変わるということは、よくあること。

「特定処遇改善加算」が開始され介護福祉士として大きく賃上げする可能性が出てきました。

そのため、今後はより一層、自分の経験や技能がしっかりと評価される職場で働くことが重要になると言えるでしょう。

介護福祉士の給料はこれからどうなる?

今後の介護福祉士の給料について深掘りしていきます。

介護福祉士の平均月収

厚生労働省の「介護従事者処遇状況等調査結果」によると、平成30年の介護福祉士の平均月収は313,920で、平均勤続年数は8.4年、平均年齢は43.3歳でした。

もちろんこの調査結果で算出されたのは平均月収ですから、自分の月収もっと少ないという人も多いでしょう

私はこれまで、病院や介護施設で多くの介護福祉士と一緒に働いてきましたが、月収が20万円前後の人がほとんどでした

事業所によっては介護福祉士の経験や能力が評価されずに、低賃金で働かなければならないのが現状です

今回「特定処遇改善加算」が開始されたことで、今後は介護福祉士の給与面での処遇改善に本格的に取り組む事業所が増えていくことが予想されます。

例えば、全国で有料老人ホームなどを運営するSOMPOケアでは、介護リーダーの役割を担うスタッフに年間約24万円、その他の介護福祉士相当の資格を持つスタッフに年間8.4万円の処遇改善をおこなうことを決定しました。

また在宅介護サービスなどを提供しているベネッセは、入居系サービスに所属する勤続10年以上の介護福祉士の中で多くのリーダー職の年収を500以上にするとともに、リーダー職以外でもモデルケースが年収440万円以上になるように処遇改善をお こなっています。

このように事業所では、介護福祉士の賃上げをする取り組みはじまっています

自分の経験や能力に見合給与がもらえるように、今後は介護業界の動向を注意深く見ておいたほうが良いでしょう。

介護が転職する主な理由

実は介護職離職理由の多く、給与面など労働条件にあります。

平成29年に介護労働安定センターは、介護職5,985名を対象に職場離職理由について調査をおこないました。

この調査によると、介護職離職理由としてもっとも多いは「職場の人間関係に問題があったため(20%)」でした。

そして、給与面などの労働条件に関する離職理由では、「他に良い仕事・職場があったため(16.3%)」「収入がすくなかったため(15%)」があげられています。

つまり介護職のおよそ3割の方は、給与面などの労働条件に不満を感じ働いている職場を退職しているのです。

もちろん介護福祉士として働きやすさは、給与面などの労働条件だけではありません。

職場の人間関係や勤務態勢など、自分の考え方やライフスタイルによって働きやすさは違ってくるでしょう

ですが、介護福祉士は心身の負担が大きい仕事です。

重度の介護必要利用者さんが多ければ、肉体的な負担が大きくなります。

昼夜を問わず利用者さんや家族の対応が必要になれば、精神的な負担も増えていきます

こうした仕事の負担や責任を踏まえると、介護福祉士にも、自分の仕事に見合給料が仕事を続ける上では重要と言えるのではないでしょうか。

「特定処遇改善加算」が開始されたことにより、介護福祉士の給料が見直されてきています。

仕事に力を入れるには、自分のプライベートをねぎらうためのお金も必要です。

ですから介護福祉士も、今後は自分の経験や能力に見合評価を受けられる職場で働いていきたいものですね。

 

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参考:

厚生労働省 平成28年度介護従事者処遇状況等調査結果のポイント

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/17/dl/28point.pdf

介護労働安定センター

http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/h29_chousa_kekka.pdf

 

女性

この記事の筆者・監修者

  • 田口 昇平

    田口 昇平

    作業療法士、福祉住環境コーディネーター2級。2008年に作業療法士免許取得後、東京都内のリハビリ専門病院や特別養護老人ホームなどの施設で、医療や介護業務に従事。2018年より、フリーライターに転身。医療介護職の働き方や働きやすい労働環境などを中心に、幅広いテーマで執筆。

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