介護現場の声・悩み
高齢者のインフルエンザってどのような特徴があるの羨ましい?効果的な予防法はある?
このような疑問にお答えします。
高齢者がインフルエンザを発病すると、肺炎を起こしたり体力低下につながったりと症状が重症化しやすいもの。
季節性のインフルエンザは毎年12月~3月に流行する傾向があるので、気温が低くなり乾燥する時期には感染予防が重要です。
そこで今回は、高齢者のインフルエンザの特徴や予防方法について見ていきましょう。
まずはインフルエンザの特徴を見ていきましょう。
インフルエンザは、インフルエンザウィルスに感染することで発病する感染症です。
風邪にくらべるとインフルエンザは急に高熱が出ることが特徴で、発病すると38℃以上の発熱、関節痛、筋肉痛、頭痛、全身倦怠感、のどの痛み、鼻水、くしゃみなどを引き起こします。
テレビやインターネットなどのニュースでも、インフルエンザ流行の情報を発信しているので、流行の兆しを見聞きした際には感染予防が必要です。
インフルエンザは、2種類の経路で人から人へと感染していきます。
この2種類の感染経路は、インフルエンザ予防の重要なポイントになるのでぜひ覚えておきましょう。
インフルエンザを発病した患者の咳やくしゃみを吸い込むことで感染する感染経路です。
家族にインフルエンザを発病した方がいたり、人ごみに出かけたりした時には飛沫感染をする可能性が高くなります。
インフルエンザの流行時期には、病院やスーパーなどの人が集まるところへの外出にも注意が必要です。
インフルエンザウィルスが付着した手で、口や鼻を触ることで感染する感染経路です。
例えば、手すりやドアノブなどにインフルエンザが付着しており、その手で顔を触ったり食事をしたりした時に接触感染が起こります。
高齢者ではインフルエンザによる死亡率が高いです。
2018年の厚生労働省の報告によると、インフルエンザの死亡者数は1,077人であり、そのうちのおよそ9割が高齢者でした。
さらに高齢者がインフルエンザを発病すると、肺炎や体力の低下を引き起こしやすいのも特徴です。
以前私はリハビリの専門病院に勤務していたのですが、インフルエンザを発病し、健康状態が著しく悪化した多くの高齢者を見てきました。
例えば、インフルエンザの発病後に肺炎を合併した男性は、自分で食べ物を飲み込んだり痰を吐き出したりすることができなくなり、点滴や痰を吸引するなどの治療が必要になりました。
インフルエンザで39℃以上の高熱を出された女性は、発熱中の3日間ベッドからほとんど動くことができなかったので、下熱後に廊下を歩いたりトイレに行ったりする時にもからだを支える介助が必要になったのです。
このように高齢者では、インフルエンザをきっかけに健康状態が悪化しやすいことにも注意しておかなければなりません。
また私が勤務していた病院とは違って、自宅では健康状態が悪化しても身近に身のまわりのお世話を頼める介助者がいないことも多いです。
こうした理由からも、インフルエンザを発病しないように感染予防が重要と言えるでしょう。
ではインフルエンザに感染しないためには、どのような予防方法をおこなえば良いのでしょうか?
インフルエンザ予防について、自宅でもおこなえる3つの方法を見ていきましょう。
インフルエンザは、ウィルスが手に付着したりからだの中に入ったりしても、すぐに発病するわけではありません。
手洗いやうがいにより、手やのどに付着したウィルスを洗い流すことができればインフルエンザの発病を予防することができます。
特に手は、からだの中でももっとも汚れやすい部分です。
目には見えませんが、人間の手には色々なウィルスや菌が付着しています。
手すりやドアノブなどを触った後には、必ず石けんを使って手洗いをしましょう。
最近では、スーパーやドラッグストアで家庭用のアルコール消毒剤が売られています。
アルコール消毒剤は、流水の手洗いに比べると冷たい水を使う必要がなかったり手が乾燥しにくかったり利点もあるので、手軽なインフルエンザ対策しておすすめです。
マスクは、インフルエンザウィルスを口や鼻から吸い込まないようにするために便利な感染対策グッズです。
家族にインフルエンザを発病した方がいる時はもちろんですが、インフルエンザの流行時期に人ごみへ外出する時にも必ずマスクを着用するようにしましょう。
またマスクを着用すると、のどの加湿ができるという利点もあります。
インフルエンザウィルスは乾燥している環境で増殖する特徴があるので、マスクによるのどの保湿はインフルエンザの予防に効果的です。
インフルエンザウィルスは、温度が低く乾燥している環境を好みます。
インフルエンザが冬場に流行しやすいのも低温と乾燥が原因です。
逆に言うとインフルエンザウィルスは、温度と湿度が高い環境をとても嫌います。
そこでインフルエンザの予防をするには、部屋を暖かくして加湿することにも効果があります。
ただし家庭では、暖房器具はあっても加湿器がないということもありますよね。
そういった場合には、暖房している部屋に濡れタオルや洗濯物を干したり、温かい飲み物で水分摂取したりして加湿するのも良いでしょう。
次に予防接種の効果と助成制度について見ていきましょう。
インフルエンザの予防方法としては、予防接種も効果的です。
厚生労働省の報告によると、高齢者は予防接種を受けることでインフルエンザを発病するリスクが34~55%減り、死亡するリスクも82%減少することが明らかになりました。
また予防接種を受けると、万が一インフルエンザを発病しても発熱などの症状が軽度で済む可能性が高くなります。
私が勤務していたリハビリ病院の患者さんは、ほとんどの方がインフルエンザの予防接種を受けていました。
患者さんの中には39℃以上の高熱を出される方もいましたが、予防接種を受けた多くの方が38℃以下の発熱に留まり、全身状態も比較的良好のまま下熱されていました。
このように予防接種には、インフルエンザを予防したり発病した時の症状を軽くしたりする効果があります。
ただし、高齢者がインフルエンザの予防接種を受ける時には注意が必要です。
というのも心臓や肝臓、腎臓などの持病があると、予防接種を受けられないこともあるからです。
内科的な持病で通院中の方は、インフルエンザの予防接種が可能かどうか、まずはかかりつけ医に相談してみましょう。
インフルエンザの予防接種は、病院や診療所で受けることができます。
内科を受診して予防接種をする方が多いですが、ほかにも循環器科、耳鼻咽喉科、皮膚科、整形外科などでもおこなっています。
医療機関によっては、インフルエンザの予防接種をおこなっていない場合もあるので、受診をする前には病院や診療所の窓口に問い合わせると良いでしょう。
一方でインフルエンザの予防接種は健康保険が適用されないので、高額な費用が家庭の負担にならないよう注意したいものです。
日本最大級の総合医療メディアQLifeによると、2018~2019年シーズンのインフルエンザの予防接種の全国平均価格は3,529円でした。
医療機関によっては予防接種が1,000円程度で受けられるところもあれば、5,000円以上の費用がかかってしまう病院もあります。
いくらからだのためとは言え、高額な自己負担では予防接種を受けようとする気持ちもなくなってしまうものですね。
インフルエンザの予防接種の費用を抑えるには、どのようにすれば良いのでしょうか?ポイントは、できるだけ近所の診療所で予防接種を受けることです。
というのも大きな病院になるほど、予防接種の費用以外にも初診料などの負担がかかってくるので、窓口での支払いが高くなる傾向があります。
インフルエンザの予防接種の費用は、病院や診療所が各自で値段を決めることができるので、近所の診療所ほど予防接種以外の余計な費用を負担することなく、低額でインフルエンザの予防接種を受けられる可能性が高いのです。
ですから、インフルエンザの予防接種を受ける前には、近所のいくつかの診療所に費用について問い合わせてみると良いでしょう。
お住まいの自治体によっては、インフルエンザの予防接種の費用を助成する事業をおこなっている場合があるのをご存じでしょうか?
例えば山形県天童市では65歳以上の高齢者を対象に、インフルエンザの予防接種の費用として2,000円を補助する「高齢者インフルエンザ予防接種助成事業」をおこなっています。
東京都足立区では75歳以上の高齢者はインフルエンザの予防接種を無料で受けることができます。
このように自治体によって、インフルエンザの予防接種を補助する事業をおこなっているので、お住まいの地域によっては補助を受けて予防接種の負担を減らすことができるかもしれません。
お住まいの地域の助成事業を知るためには、インフルエンザの予防接種について自治体の広報誌やホームページを見たり、市区町村の窓口に問い合わせてみたりすると良いでしょう。
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参考サイト
■厚生労働省
インフルエンザワクチンの効果に関する研究
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/01/dl/s0115-8c.pdf
■QLife
https://www.qlife.jp/square/hospital/story875.html
■山形県天童市ホームページ
https://www.city.tendo.yamagata.jp/lifeinfo/iryo/sin-infuruenza.html
東京都足立区ホームページ
https://www.city.adachi.tokyo.jp/hoken/inhuru75saiizyou.html
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