介護現場の声・悩み
どうすれば介護現場で事故を減らすことができるんだろう?どんな事故に気をつけなければならないんだろう?
このような疑問にお答えしていきます。
高齢者に事故はつきもの、100%防ぐことは、はっきり言って「不可能」です。
しかし介護従事者たるもの、事故が起きる確率を限りなくゼロに近づける責務があります。
訪問介護にしろ、施設勤務にしろ「命を預かっている」という認識は、常に持っていなくてはなりません。
となると、高齢者と関わるにおいて必要なのは「予防」と「いざという時の対応」です。
「起こるかもしれない事故を未然に防ぐこと」と、「起きてしまった場合にいかにダメージを最小限に抑えるか」この2つの積み重ねが、高齢者を取り巻く事故の確率を下げるカギになります。
そこで今回は、高齢者に起こりうる事故のケースと対応法、予防法についてお伝えします。
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個人差はあれど、体力や反射神経等、いろいろな能力が衰えているといっても過言ではない高齢者は、本来なら些細なことで済むはずの事故が、大事につながることが多々あります。
まずは、どんな危険性が潜んでいるのかをしっかり把握しておきましょう。
介護の現場において、もっとも多いのが「転倒・転落」です。
高齢者は、足元のちょっとした段差や傾きでも足を取られやすいことに加え、ご本人はしっかり歩行できているつもりでも、実際はすり足状態になっていたり、足の運びが悪かったりすることがあります。
また、転倒・転落はなにも歩行時に限ったことではありません。
・椅子やトイレなどから立ち上がる、または座ろうとしてバランスを崩す
・車椅子からずり落ちる、移乗しそびれる
・段差昇降時に足を踏み外す
・ベッドから落ちる
などなど、危険性は多岐にわたります。
高齢者の事故としてよくあがってくるのが「誤嚥性肺炎」ですね。
また、食形態がご本人様の残存能力と合っていなかったり、嚥下能力の低下、よく噛まずに飲み込む癖があったりすることによって、喉を詰まらせるというのも現場では往々にして起こりえる事故です。
他に注意しなくてはいけないのが「異食」です。特に認知症患者は、思わぬものを口にすることが多々あります。
「ずーっともぐもぐ口を動かしているな……?」と思って口腔内を確認したら
・消しゴム
・色鉛筆の芯、折れたクレヨン
・制作に使用していた部品(ボタンやビーズなど)
・イベント用のマスコット
などが入っていた……「そんなおおげさな」と思われそうですが、これらは実際にあり、自身が対応した事例でもあります。
口に入る大きさのものは、細心の注意を払うにこしたことはありません。
施設によって「離苑」「離院」など、言い方は様々ですが、要はいつの間にか施設や家からいなくなってしまうことです。
たいていは「エレベーターや自動ドアの開閉にはパスコードを必要とする」等すでに対策がとられているものですが、施設の場合は面会者などにまぎれて、扉や自動ドアが開いた隙に外に出てしまったり、自宅ならカギの閉め忘れや換気などの目的で開けていた窓やドアからふらっと出てしまったりします。
一度行方不明者が出ると、職員総出で4時間以上探し回ったということが。
また、とある認知症患者さんは、施設から2時間以上かけて、さまよいながらも自宅へ戻っていた、というのも実際にあったケースです。
時間がかかっても無事に戻れればまだよい方、これがもし、そのまま行方不明になったとしたら。
そして、その事例は、ときおり市役所などの行方不明者捜索の放送や、ニュースなどで、実際に見聞きしたことがある人も多いのではないでしょうか。
「AさんがBさんに怪我をさせてしまった」というのも事故になります。
たまたま置いたものに誰かがつまづいた、ぶつかって転倒した・された、という故意のない事故もありますが
特に認知症患者さんの場合は、相手の言動に対して理解ができない不安や、「悪口を言われた」という被害妄想などから手を出してしまうこともしばしば。
時には持っている杖や道具で殴る、なんてことも実際に起こりうる事例です。
事故は高齢者自身の責任のみにあらず。職員が未然に防がねばならない事故というものもあります。
入浴時は当然、高齢者は、多少なりとも防護してくれる服や靴を身につけていません。
それだけに、何かの破片で足を怪我したり、段差で転倒・転落したりというリスクが格段にあがります。
しかし、さらに怖いのは「溺れる」こと。
目を離したわずか数分のうちに浴槽で沈んでいた、溺れていたというケースが実際に起きています。
原因は
・ヒートショック
・発作
・きちんとした姿勢が保てず、顔面が水面に沈みこみ、そのまま溺れる
・のぼせ
など。浴槽に入って安定した、と思っても油断は禁物です。
例えばレクリエーションで調理実習などを行うところもあります。
自宅でも、料理や暖房器具の使用などで火や高熱を扱うことがありますよね。
となると、当然そこに、事故のリスクもついてまわります。
・熱いもの(火そのものから、熱せられた調理器具、暖房器具など)に触れてしまう
・道具による事故
といった直接的なものは、まだ比較的注意しやすいところですが、冬は特に気をつけなくてはならないのが
・カイロや電気毛布、アンカなどによる低温火傷
です。
特に低温火傷に関しては、毎年必ず耳にする事故です。
高齢者は感覚も鈍くなっているため、気づいたら発赤や水ぶくれなど、重症になっていることもあります。
職員や家族による日頃の観察や、正しく使用されているかの確認が必要です。
完全に「アクシデント」になるケースです。
「他者との薬の取り違え」や「服薬させ忘れ/過剰服薬させてしまった」など、場合によっては身体に重大な影響を与えかねません。
これは、飲み薬でも塗布薬、点眼薬などでも同じこと。
薬が人体に及ぼす影響を、甘く見てはいけません。
高齢者(に限りませんが)は持病や薬の飲み合わせなどから「禁食」や「水分摂取量制限」「カロリー制限」などを指定されている人がいます。
透析治療者などはダイレクトに影響が出るため、飲食に関する注意事項は必ず確認を行い、厳守すること。
また、他職員や介助に携わる人間(家族・ヘルパーなど)とも情報共有をしっかり行う必要性があるといえるでしょう。
何度も言いますが「事故は100%防ぐことはできません」。
しかし「事故の確率をゼロに近づける努力」と「いざという時の迅速な対応」は必須です。
「対応策を知らない」と逃げることは許されないと、自覚を持ちましょう。
事故にあった高齢者の安全を確保し、状況に合わせて応急処置を行います。
同時に、施設なら看護師を呼びきちんとした処置を行ってもらいましょう。訪問介護ならばまずは責任者に連絡をとり指示を仰ぎます。
血圧変動や身体状態の観察を行います。必ずデータを記録に残してください。
また、特に「明らかに危険なサイン」が出た場合も(痙攣、顔色不良等)周囲との連携をとりつつ、どんな状態がどのくらいの時間続いたか等メモしておきましょう。
経過は医師の診断材料になります。
まずは他職員に報告(訪問介護なら責任者に連絡)をし、いつから姿が見えないのか、どこかで目撃情報がないのかなど情報を集め、共有します。
マニュアルに従い捜索対応を行いましょう。
事故が起きれば当然周囲はざわめきます。
しかし、その不穏な空気は伝染します。
施設の場合は、他利用者様が不安になったり、その不穏さに影響を受けてパニックになってしまったりする方もいらっしゃいます。
そうなると最悪、事故の連鎖を引き起こしかねません。
誰かが当事者対応を行っているならば、状況を見て他利用者様の心身のフォローにまわる職員も必要です。
必ず声をかけあいましょう。
事故の経緯や対応を家族やケアマネージャーに報告することも大切です。
基本的には相談員や管理者、責任者が行います。
独断で進めず、必ず現状を報告し、指示を仰いでください。
事故の影響は、後々出てくるケースも多々あるため、必ず一報を入れ、経過を見てもらうことが重要になってきます。
状態に応じて受診手続を行います。
まずは管理者や責任者と連携をとってください。
受診が必要と判断したら、かかりつけ医や提携病院、最寄りの病院などに連絡を取り、何科の受診が必要なのか、受け入れ可能かどうかを問い合わせて搬送します。
こちらも基本的には相談員や管理者、責任者が行います。
独断で進めず、必ず指示を仰ぎましょう。
その際は必ず家族の付き添いが必要となります。
また、保険証が必要となるため、家族にも搬送先に向かっていただくよう依頼する等、マニュアルに従い手筈を整えていきます。
高齢者の事故を未然に防ぐために、普段から対策を講じておきましょう。
各施設、事業所には必ず緊急時の対応マニュアルがあります。
普段から確認しておき、いざという時に、どんな風に動くべきなのかをシミュレーションしておくとよいでしょう。
頭ではわかっていても、体験がなければいざという時にとっさに動くことができません。
どんなケアにも「場慣れ」が必要です。
万が一に備えて、実際にどのような流れで現場が動くのかを、1人1人がしっかり覚えるようにしましょう。
どこの施設、事業所でも事故が起これば事故報告書を作成し、保存しているはずですから、研修やケア会議の時に「過去にあった事例」「起きる確率が高いケース」として、全員で実践練習をしてみるのもよいですね。
事故は起こりうるものですが、原因究明や対応策も取らずに同じことを繰り返すようでは意味がありません。周囲からの信用問題にも関わってきますよね。しっかりと対策を講じましょう。
事故が起きたらその日のうちに、遅くても次の日までには事故報告書を作成します。
そして、それをもとにケア会議を行い、原因や反省点、今後の課題等を洗いだしていきましょう。
また、事故は起きたらおしまいではありません。
事故にあった高齢者の状態が安定するまでは、経過観察や状況に応じた対応・処置が必要になります。
職員が連携をとり、誰がケアに入っても安定した介助ができるように、情報を共有していくことが重要です。
認知症の有無、発作の頻度、徘徊傾向、異食の有無、禁食、不穏になりやすい要因等、対象となる高齢者にどのようなリスクがあり、どのような事故が起こりうるのかを想定しておくことが大切です。
そのためには、アセスメントシート等基本情報に目を通しておくことが大切ですが、日々の記録も重要です。
さかのぼれば、対象者の行動傾向などがある程度つかめます。
紙による記録が一般的ですが、実は、こんな時こそ最大限に力を発揮してくれるのが「タブレットの記録ソフト」や「介護ソフト」です。
特に単独で行動することが多いヘルパーには、簡単な操作方法で現在の記録・報告から過去の記録検索及び情報共有ができるのは、心強いといえるのではないでしょうか。
高齢者に起こりうる事故から、対策方法の具体的な例を幅広くご紹介してきましたが、何よりも大切なのは「普段からの情報共有」「介護従事者の意識向上」でしょう。
実はこういった対策に有力なのが、時代の流れとともに普及・浸透し始めている「タブレットの導入」です。
紙での記録だと膨大になりますし、過去記録は別場所に保管されていたりして、肝心な情報にたどり着くまでに苦労することがありますが、記録ソフトならば必要な情報を最速で引き出すことができます。
メーカー側も、機械が苦手な人でも直感操作が出来るよう、日々アプリやソフトの開発を重ねているのだとか。
費用がかかることなので、こちらは経営陣のゴーサインが出ないと導入は難しいかもしれませんが、こういったツールをうまく活用するのも、より事故の確率を防ぐ一歩となり得ます。
「介護従事者の意識・技術・観察眼の向上」と、「使えるものをうまく使う知恵」。この2つを武器にして、高齢者が安全に、安心して日々を送っていただけるよう尽力していきましょう。
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