科学的介護とは?LIFE導入の円滑な手順まで徹底解説

介護施設の経営・運営改善

科学的介護とは?LIFE導入の円滑な手順まで徹底解説
#LIFE #介護ソフト
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こみたろう

「国が推進する科学的介護ってはっきり言って何?」
「LIFE活用する上で起こっている問題ってなんだろう?」

「科学的介護」の言葉は聞いたことがあるものの、実際に具体的な内容はわからないという方もいらっしゃるでしょう。

介護業界では、令和3年度から厚生労働省が推進する科学的介護が注目されています。

本記事では、科学的介護とはどのようなものか、介護現場で科学的介護が求められる背景や推進するメリットを解説しています。

また、科学的介護情報システム(LIFE)の概要や活用方法なども説明しているため、合わせて参考にしてください。

今回の内容

1.科学的介護とは?
・科学的介護が求められる背景
・介護現場の現状課題と科学的介護で必要な3つの取り組み
・科学的介護を推進するメリット

2.科学的介護情報システム(LIFE)とは?
・科学的介護情報システム(LIFE)が生まれた背景
・LIFEを使った科学的介護の推進イメージ
・LIFEの活用方法

3.事業所が直面するLIFE利活用の3つの壁
・LIFEへのデータ提供に手間がかかる
・「方針」は理解できても「活用方法」が分からない
・自社に合った進め方が分からない

4.介護ソフト導入はLIFE利活用のファーストステップになるか

5.まとめ

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科学的介護とは?

科学的介護とは、データなどの科学的根拠に基づいて行う介護のことです。

科学的根拠は、介護記録による情報や客観的事実を指します。

少子高齢化により介護サービスは需要拡大が見込まれており、現行制度やサービスの質を担保するためには経験や直感に基づいた介護ではなく、科学的根拠に基づいた介護が求められています。

しかし、介護現場では介護職員の働き方改革やサービスの質の向上といった課題を抱える事業所も少なくありません。

科学的介護の推進は、このような課題の解決に有効とされています。

後述する具体的な3つの取り組みを参考にしてみてください。

また、介護現場で得た情報を蓄積してデータベース化し、利用者に情報を提供することで、社会全体・事業所・利用者のそれぞれにメリットがあります。

科学的介護が求められる背景

介護現場で科学的介護が求められているのは、以下の2つの背景があるためです。

・介護サービスの需要拡大が見込まれている
・現状の制度やサービスの質を担保する

内閣府の「令和3年版高齢社会白書(全体版)」によると、2065年には総人口が9000万人を割り込み、65歳以上は約2.6人に1人、75歳以上が約3.9人に1人になると推計されています。

高齢者の人口が増えることから、介護サービスはこれまで以上に需要が拡大するといえるでしょう。

ただし、労働生産人口は減少するため、従来の介護方法では十分な介護サービスを提供できなくなる可能性があります。

そこで注目されたのが科学的介護です。

2021年4月に介護保険制度が改正され、介護報酬改定ではデータの情報を国に提出すると加算を受けられる仕組みができました。

このような背景から、事業所では科学的介護が求められています。

 

介護現場の現状課題と科学的介護で必要な3つの取り組み

介護現場における現状の課題は、介護職員における働き方改革の推進と介護サービスの質の向上を両立できる介護を実践することです。

これらの課題解決に科学的介護の推進が有効とされており、厚生労働省は具体的な取り組みとして以下の3つを挙げています。

・エビデンスに基づいた介護の実践
・科学的に妥当性のある指標等の現場からの収集・蓄積および分析
・分析の成果を現場にフィードバックすることで、更なる科学的介護を推進

まずは、利用者や家族が納得できる介護サービスとは何かを一緒に考えて情報を共有し、科学的根拠に基づいたケアを提供していきます。

次に、事業者ごとに作成した指標ではなく、バーセルインデックスを含むADL評価などの妥当性の高い指標を介護現場で活用し、データや情報をデータベースに蓄積していきます。

蓄積されたデータを分析することで、介護サービスの質の向上につながるデータを抽出することも可能です。

さらに、データを介護現場にフィードバックすることで、事業者はデータに基づき、施設や介護サービスのあり方を見直して議論を重ね、PDCAサイクルを効率よく回せるようになります。

科学的介護を推進するメリット

科学的介護を推進した場合、社会全体や事業所、利用者はどのようなメリットを得られるのでしょうか。

社会全体におけるメリットは、少子高齢化によって介護サービスの需要拡大に対応できる体制を整備できることです。

たとえば、後述する科学的介護情報システム(LIFE)や介護システム、介護ソフトなどが挙げられます。

事業所におけるメリットは、職場環境の改善や業務改善が可能なことです。

経験や勘に頼ったケアではなく、科学的根拠に基づいた介護サービスを提供できるため、誰がケアをしても質の高いサービスを提供できます。

利用者が得られるメリットは、科学的根拠に基づいた介護サービスを受けられることです。

サービスごとの効果やリスクを把握した上で、自分や家族に合ったケアを選択できるようになります。

科学的介護情報システム(LIFE)とは?

科学的介護情報システム(LIFE)とは、介護現場から提出された情報やデータを蓄積するためのデータベースです。

利用者の栄養状態や認知症の進行度合い、リハビリ計画書などのデータが蓄積されています。

LIFEの導入により、介護現場での情報やデータを容易に収集できるようになりました。

LIFEから科学的根拠のあるデータを共有できるため、事業所ごとに情報やデータを蓄積する必要がなくなり、施設や業務の見直し・改善に活かすことができます。

また、現場から得た情報やデータの提出による加算制度も設けられたため、LIFEの利用を推進する事業所が増えていくことが予想されます。

科学的介護情報システム(LIFE)が生まれた背景

「科学的介護情報システム(LIFE)」は、「CHASE」と「VISIT」の2つのデータベースがもとになっています。

「CHASE」とは、科学的介護の実現のために構築されたデータベースです。

たとえば、利用者の栄養状態や認知症の進行度合い、提供した介護サービスなどのデータが蓄積されています。

一方で、「VISIT」は、通所・訪問リハビリにおける効果を科学的根拠に基づいた分析に用いるために構築されたデータベースです。

主に、リハビリ計画書やリハビリ会議録、プロセス管理表などのデータが蓄積されています。

科学的介護の推進にあたり、2つのデータベースを個別に利用するよりも統合したほうが効率よく活用できるという理由から1つに統合され、「科学的介護情報システム(LIFE)」が構築されました。

LIFEを使った科学的介護の推進イメージ

政府は、計画書の作成などが要件となっているプロセス加算で実施されているPDCAサイクルにLIFEを組み込むことで、科学的介護の推進を目指しています。

具体的なイメージは、以下の図のとおりです。

上記の図のように、計画書等を作成し(PLAN)、作成した計画書等に基づいた介護サービスを利用者へ提供します(DO)。

利用者の状態や提供したケアの実績などの評価・記録・入力を行い(CHECK)、このタイミングで入力したデータはデータベースへ登録されます。

さらに、LIFEが蓄積した科学的根拠が事業所へフィードバックされ、データに基づいて介護現場で計画書等の見直し・改善を進めていくことが必要です。

このように、LIFEをPDCAサイクルに組み込む形で、科学的介護を推進できます。

LIFEの活用方法

LIFEを事業所で活用するためには、前述したように加算プロセスにおけるPDCAサイクルにLIFEを組み込むようにしましょう。

厚生労働省が運営するWebサイトからログインし、介護現場から得た情報を登録するだけでLIFEへデータを提出できます。

Webサイトを利用するには事前申請が必要で、申請後に発行されたログイン情報をもとにWebサイトへログインできます。

LIFEで得られるデータの一例は、入所月から現在までの利用者のADL合計点数の推移などです。

日々の利用者の介護記録をLIFEに提出することで、科学的介護を事業所へ導入できます。

LIFEの活用方法について詳細に興味がある方は、三菱総合研究所が発行している以下の手引きが参考になります。

事業所が直面するLIFE利活用の3つの壁

LIFEの推進を決めた事業所が直面する壁には、以下の3つが挙げられます。

・LIFEへのデータ提供に手間がかかる
・「方針」は理解できても「活用方法」が分からない
・自社に合った進め方が分からない

まず1つ目の壁は、介護職員の業務負担が増えることです。

2つ目の壁は、LIFEを利活用する事業方針は理解しているものの、実際にどのように介護現場で活用できるのかが分からないことです。

そのため、LIFEによるメリットを得られないというケースもめずらしくありません。

3つ目の壁は、自社に合った進め方が分からないことです。

自社に合った進め方が分からないため、LIFEを有効活用できていない事業所もあります。

LIFEへのデータ提供に手間がかかる

LIFEにデータ提供する方法によって、手間がかかる場合があります。

たとえば、介護記録や計画書を紙で作成している場合や、LIFEに未対応の介護ソフトを導入している場合は、既存のソフトに加えてLIFEへの入力作業が倍に増えることです。

介護職員は書類作成や介護ソフトへのデータ登録とは別にLIFEへのデータ入力を行わなければならず、業務負担が増えることになります。

介護ソフトを導入する、LIFEとデータ連携できる介護ソフトに切り替えることで介護職員の業務負担を減らせます。

「方針」は理解できても「活用方法」が分からない

LIFEをどのように介護現場で活用すればいいのか分からないことが、科学的介護の推進を妨げているというケースもあります。

2021年の法改正では、科学的介護に関する内容が盛り込まれたことから、事業所でも科学的データに基づいた介護のあり方を検討する必要性を理解している人は多いでしょう。

しかし、実際に分析データをどのように介護業務に落とし込むのか、方法が分からなければ業務負担が増えるだけで、効果を得ることはできません。

自社に合った進め方が分からない

上述した加算プロセスにおけるPDCAサイクルにLIFEへのデータ提供を組み込むことで、LIFEを利活用できます。

ただし、事業所ごとに体制や提供する介護サービスは異なるため、自社に合わせた進め方をしなければなりません。

また、事業所ごとに抱えている問題がある場合は、LIFEの利活用と現状の問題を一度に抱えることになるため、どこから手をつければいいのか分からないという事態に陥りやすいです。

介護ソフト導入はLIFE利活用のファーストステップになるか

LIFE利活用の最初の一歩として、介護ソフトの導入を検討してみましょう。

データ連携できる介護ソフトを活用することで、介護記録などの情報やデータをパソコン上で管理でき、LIFEに情報を提供しやすい体制を整備できます。

介護ソフトの導入は科学的介護の推進という観点だけでなく、日々の介護業務の効率化、作業効率の向上なども目指せます。

現場では目にみえる成果を得やすいため、介護職員のモチベーションの向上も期待できるでしょう。

介護現場でLIFEを利活用するなら、介護ソフトの導入を検討することから一歩を踏み出してみましょう。

とはいえ、介護ソフトの詳細を知りたいものの、種類が多すぎてどれを選べばいいのか悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。

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また、介護のコミミではLIFEに対応している介護ソフトに関しての記事を公開しています。

そちらもよろしくお願いいたします。

まとめ

科学的介護とは、科学的なエビデンスに基づいた介護を意味する言葉です。

厚生労働省も推進しており、2021年の法改正では科学的介護に関する内容が盛り込まれました。

今後、介護事業所ではLIFEの利活用への対応が求められるでしょう。

後手に回るよりも先手を打つための最初の一歩として、介護ソフトの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

介護ソフトは、職場環境・業務改善につなげることもできるため、さまざまな問題や課題を抱えている事業所におすすめです。

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この記事の筆者・監修者

  • 介護のコミミ編集部

    介護のコミミ編集部

    介護のコミミのコンテンツである「コミミマガジン」の編集者。 介護現場から施設運営など、介護に関わる幅広い分野で月間5万人以上の介護職員に情報発信をしている。 記事は介護職員だけでなく、メーカーや行政からの関心も高まっているため、メーカーと介護現場を繋ぐ第三者目線を第一に、日々情報を提供している。

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