介護施設の経営・運営改善
なんとかデイの経営を改善させたいけど、どうすれば改善できるだろう。成功者の方法を知りたい。
このような疑問にお答えします。
この記事を書いている筆者は、500人以上の介護経営者とお会いし、経営に関して会話をしてきました。
自身も経営者ということもあり、成功している経営者の話は特に勉強になりましたので、本記事では経営が上手くいっている経営者から教えてもらった10の手法をご説明していきます。
最後までお読みいただければ、経営改善のヒントが分かるはずです。
5分程度で読むことができる内容なので、最後までお付き合いいただければと思います。
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介護ソフト導入の手引きを読む経営に苦戦するデイサービスは非常に多く、倒産件数も2015年の介護報酬改定を皮切りに激増しています。
(下の記事で詳細に説明しているので、合わせてお読みいただければと思います。)
さて、経営難のデイサービスは次の5つに苦しめられています。
・競合が多い
・ニーズに合っていない(差別化ができていない)
・職員の人手不足
・介護報酬が少なくなっている(資金繰りの悪化)
・コストが高くなっている
結論から言えば、経営難のデイサービスが抱える問題点の1つ1つに対処していくことが、改善方法になります。
それでは、成功している経営者から学ぶことができる10の手法を説明していきたいと思います。
デイサービスの競合数は非常に多く、すでに飽和状態です。
競合が多いエリアでは、必要数に対して3倍以上の競合がひしめき合っています。
そこで重要になるのは徹底的な競合分析です。
競合が多ければ多いほど、徹底的な競合分析が必要になります。
最低限、分析すべき内容は下の通りです。
1.ターゲットエリアに存在するデイの数(競合数)
2.競合のデイが掲げるコンセプト(例:リハビリ特化のデイ)
3.サービス内容と料金体系
これから説明する手法を活かすためにも、ここは徹底的に行いたいところです。
ホームページだけではなく、競合デイの外観を現地に見に行ったり、求人広告の方法を調べたりと、とにかく徹底的に行うことが必要です。
分析が進むにつれて、あなたのデイサービスのことが客観的に見えてくるようになります。
身近な人が経営改善のヒントを握っています。
アンケートをとることで、あなたのデイサービスの良い所、悪い所が浮き彫りになります。
当然、アンケートは匿名で実施する必要があります。
実名記入では本音の意見を書くことができないためです。
本音の意見が見えてくるので、アンケートを実施することが怖いという気持ちもわかります。
しかし、アンケート結果は経営方針を決定する大切な判断材料となるため、本当に経営を改善させたいのであればアンケートは必ずとるべきです。
USP(Unique Selling Propositio)とは、サービスが持っている独自の強みを意味しています。
USPの例としてはライザップの「結果にコミットする」が有名です。
そのたった一言のUSPの効果は絶大です。
今までジムに通ってもなかなか痩せなかったり、食事制限に失敗したりで悩んでいた人にとって「結果にコミットする」というUSPは響いたはずです。
他にも、ドミノピザのUSPは「熱々のピザを30分でお届けします。間に合わなければ無料」です。
その一言だけで、どんな強みを持っているのかがわかります。
あなたのデイサービスでもUSPを徹底的に考えましょう。
利用者や家族、ケアマネにとって「あのデイサービスが一番いい!」という独自の強みを明文化しましょう。
徹底的に考え抜いたUSPは、どんどん発信していくべきです。
そのUSPを知った人たちは、あなたのデイサービスがどんな強みがあるかを知ることができます。
また、USPを発信する機会はいくらでもあります。
例えば求人広告、ホームページ、チラシ、名刺、SNS・・・様々な場面でUSPを発信することができます。
都道府県によっては、介護事業所向けの認証制度を設けています。
例えば、青森県も認証制度に取り組んでいますが、認証を取得することにより「認証事業所」として青森県が運営しているウェブサイトや就職説明会などで積極的に広報するとしています。
事業所のPRになるだけではなく、次のような効果もあります。
・認証取得を目指すことで、職員全員が改善の方向にベクトルをあわせることができる
・利用者獲得や職員募集においてPRポイントになる
このように、大きなメリットがあります。
労力がかかるという点ではデメリットを感じるかもしれませんが、経営改善においては非常に有効な手段となります。
デイサービスにとって、やる気のある仕事熱心の職員は貴重な存在です。
しかし、次のような理由で辞めるケースも少なくありません。
全然仕事できないあの人がなんで管理職なの?長年介護をやっているだけなのに。
どんなに頑張っても全然給料上がらないし、必要とされてないのかな
このように感じる職員がいるのであれば、人事評価の見直しも必要です。
成功しているデイサービスの多くは、職員に納得感を与えています。
納得感を与えるために、適正な人事評価を設定しています。
適正な人事評価を設定することにより、職員自身は「なぜ自分がこの評価になったのか」を理解できます。
また、もっといい評価を得るためにどうすればいいかを職員自身が考え、自ら行動するようになります。
まずはその人事評価が本当に機能しているのかをじっくり考えましょう。
介護業界は深刻な人手不足です。
介護労働センターの公表によると、66%の介護施設で人手が足りていないことがわかっています。(H29年介護労働実態調査より)
しかし、どんなに人手不足とはいえ、成功しているデイサービスには大勢の求職者が集まっています。
あまりに面接依頼が多いので、誰を採用すればいいのか頭を悩ませている程です。
そんな経営者が大切にしているのは、働き手のメリットを徹底的に考え、形にし、必ず実行しているということです。
そして、デメリットを感じさせない取り組みにも積極的です。
働き手の立場になり、「どうすればこのデイサービスで働きたいだろう」と自問自答を繰り返してみましょう。
介護職を辞める理由で最も多いのが「職場の人間関係」と言われています。それくらい人間関係は働き手にとって重要なポイントです。当然、求職者にとっても「どんな人と一緒に働くんだろう」と不安になる人は多いでしょう。そんな不安(デメリット)を取り除くため、職場体験を積極的に実施しているデイサービスも増えてきました。
成功者は単価が少ない加算でも取得に積極的です。
それは、過去の傾向から加算の本当の意図を知っているためです。
例えば、2018年度の介護報酬改定の目玉となった「ADL維持等加算」は(ⅰ)で月3単位、(ⅱ)で月6単位にしかならない上、アウトカム評価をしっかり行っていないと取得できない加算です。
単位数だけで考えると、労力に見合っていない加算だと考える経営者は多いでしょう。
しかし、加算が新設されたということは、国はこれからさらに力を入れていくという裏付けでもあります。
成功する経営者は、「単価安いから取得しない」と判断するのではなく、取得にチャレンジするかどうかを客観的に判断します。
目先の利益にはならずとも、中長期の視点で物事を考えています。
介護保険報酬がどんどん減らされる傾向にあるため、保険外サービスにも力を入れていく必要があります。
と、ここまでは他のデイサービスでもよく言われていることですが、成功している経営者は保険外サービスで利益を取ることを考えつつも、「独自の強み」を表現するために活用しています。
例えば、群馬県のエムダブルエス日高では材料費代500円のみで次のようなサービスを提供しています。
株式会社であるため、ある程度自由度はあるかもしれませんが、その経営スタイルは非常に参考になります。
手芸・陶芸・ネイルサロン・麻雀・カラオケ・パン教室・パソコン教室・シミュレーションゴルフ他
(エムダブルエス公式HPより)
当然ながら経営においてコスト意識は重要です。
しかし、コストをただ削ればいいというわけではありません。
極端な話ですが、100万円のコストカットに成功しても、それが原因で1000万円の利益を失えば900万円の損になります。
つまり最も大切なのはコストパフォーマンスですが、経営が苦しいほど目先のコストカットに躍起になり、後からついてくる利益を失っていることに気付くことができません。
例えば、コストカットに失敗したケースを1つご紹介します。
月額3万円のホームページを契約していたデイがありました。しかし、経営難に苦しんでいたため、月額5千円のホームページに乗り換えました。デザインも問題なく、経営者は大幅なコストカットに喜んでいました。しかし、ホームページへのアクセス数は激減し、問い合わせもほぼゼロになってしまいました。月額3万円以上の機会損失を被ってしまったのです。
これは実際にあった話です。
最も大切なのは「コストパフォーマンス」と考えを持つことです。
今回ご紹介した10の経営手法はいかがでしたでしょうか。
経営に答えはありませんが、成功している経営者から学ぶことは多いと思います。
特に、デイサービスは他サービスよりも競合が多いため、経営手腕が問われています。
本記事の内容が少しでもヒントになればと心より願っております。
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