介護現場の声・悩み
「ケアマネージャーの資格を取ったけれど、今後給料は上がるの?」
「転職考えているけど、給料次第かなぁ」
ケアマネージャーは介護業界において重要なポジションですが、給与が今後どうなっていくのか心配な方も多いはず。
この記事では、ケアマネージャーの給与の現状や今後の待遇改善策、給与アップのためにどうしたらいいのかを紹介してます。
ケアマネージャーを目指そうと思っている人、現在ケアマネージャーとして働いている人で、給与事情が気になっている人はチェックしてみてください。
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近くのいい職場を探すケアマネージャーの給料平均は年間約430万円です。
ケアマネージャーには、居宅介護支援事業所と施設介護支援事業所、その他の職場に属する人がいます。
施設系に属している場合には会社ごとの給与差もあり、大きな施設ほど給与が高い傾向です。
また、地域による金額差もあります。
そのほか、勤務形態やケアマネージャーとしての経験値、資格保有状況などによっても給与は変わります。
常勤のケアマネージャーの場合、平均給与額は362,510円(※)です。
これは令和2年2月の調査時の金額で、平成31年2月の調査時よりも11,070円アップしています。
居宅介護支援事業所のケアマネージャーは、居宅で介護サービスを利用する高齢者をサポートする業務です。
施設介護支援所は特別養護老人ホームや介護老人保健施設などが職場となります。
また、それ以外の職場としては小規模多機能型居宅介護や看護小規模多機能型居宅介護などがあります。
ここでお伝えした金額は勤務先による区分けはなく、あくまでも平均の金額です。
勤務先別に見ると、特別養護老人ホームに勤めるケアマネジャーの給与が、ほかに勤めるケアマネージャーよりもやや高額となっています。
ケアマネージャーとしてパートタイマーで働く場合、平均時給は1,380円、月額では143,960円です。
平均時給は、理学療法士や作業療法士などの1,660円、看護職員の1,440円と並び、介護従事者のパートタイム基本給としては比較的高い方に入ります。
基本給のほかに交通費が支給されるところが多く、住宅手当や制服貸与、研修受講制度や資格取得費用補助が出される事業所もあります。
月額給与の143,960円という数字は、非常勤かつ時給で働く介護従事者等の中では最も高い金額です。
ケアマネージャーとしてパートタイムで働くことは、かなり効率の良さが窺えます。
実際、ケアマネージャーは試験の難化で資格取得が難しいなどの理由で人手不足の傾向にあり、パートでも需要が高くなっています。
ケアマネージャーは売り手市場にあると言って良いでしょう。
主任ケアマネージャーを正社員として募集している求人において、募集要項に記載されている月額給与は約25~37万円です。
かなり幅がありますが、勤務地や勤務先の規模などによっても異なります。
主任ケアマネージャーになるためには、ケアマネージャーとして最低でも5年間の勤務経験が必要です。
しかし、主任ケアマネージャーになれば就職先の候補が増え、年収もアップします。
仕事をしながら長時間に及ぶ研修を受けるのは大変ですが、ケアマネージャーといて働いているならば主任ケアマネージャーを目指すのがおすすめです。
今後は主任ケアマネージャーが居宅介護支援事業所の責任者となることが、居宅介護支援費加算の要件となっているので、主任ケアマネージャーになれば管理職に就くチャンスが広がります。
ケアマネージャーの求人内容を見ると時給の幅が広く、1,300円から高いところでは1,900円ほどのところもあります。
明記されてはいませんが、主任ケアマネージャーの場合は経験を考慮されて時給も高額になることが考えられます。
仮に1,900円の時給で週に5日、1日につき5時間働くとすると、1,900円×5時間×5日×4週間=190,000円の月収を手に入れられます。
月収だけを見た場合には、確かにパートタイマーでの働き方も給与面では悪くないように思えます。
しかし、常勤社員の場合にはボーナスがもらえますが、パートタイマーにはそれがありません。
また、各種手当についてももらえない場合があるなど、常勤社員と比べると月収以外の部分でマイナスとなる面が多々あります。
そういったマイナス面に懸念があり、なおかつ「育児が落ち着いたら正社員として働きたい」といった希望があるのなら、「正社員への登用あり」と掲げている求人を探しましょう。
介護のコミミでは、ケアマネの給与額についてより詳しく解説した記事があります。
そちらも一読いただければ幸いです。
「長く勤めても給与が上がらない」などの声を受け、処遇改善のための動きが続く介護業界。
2019年10月には、現行の処遇改善加算に上乗せする形で「介護職員等特定処遇改善加算」が実施されています。
これは、リーダー級の介護職員の給与をアップさせることを目的とした施策です。
介護サービス事業所に10年以上勤める介護福祉士の月額給与を平均で8万円相当アップさせようと施策されました。
そのため、この施策はケアマネージャーの給与アップに大きく貢献したとは言えません。
しかも、居宅介護支援事業所は、この特定処遇改善加算の対象外となっています。
居宅以外の事業所で、ケアマネージャーに給料の加算を配分したと回答したのは、加算の届け出をしている事業所の半分に満たない47.1%でした。
居宅介護支援費(II)など、ケアマネジャーの処遇改善に向けた動きはいろいろと見られますが、まだまだ大きな改善には至っていないのが実情となっています。
ここで、ケアマネージャーの給与水準の傾向について見てみましょう。
|
令和2年2月 | 平成31年2月 | 差 (令和2年 – 平成31年) |
特定処遇加算あり | 362,510円 | 351,440円 | 11,070円 |
特定処遇加算なし (処遇改善加算I~IIIを取得または届出) | 339410円 | 331510円 | 7,900円 |
「特定処遇加算あり」の事業所においては、平成31年と令和2年とで約11,000円の給与アップが実現していることが分かります。
「特定処遇加算なし」で「処遇改善加算」の(I)~(III)を取得または届出している事業所においても、平均で7,900円の増加がありました。
このように、ケアマネージャーの給与は改善の傾向にはあります。
しかし、需要が増えて激務な状況におかれているケアマネにとっては、実働と給与の内容が合っていないと感じられるでしょう。
介護のコミミでは特定処遇改善加算について徹底解説した記事があります。
そちらもよろしくお願いいたします。
特定処遇加算がそもそもベテラン介護福祉士の給与アップを目指したものであるため、ケアマネの給与アップが最優先ではなかったことは、先にお伝えした通りです。
では、実際にケアマネジャーとそのほかの介護職員との給与差はどうなっているのでしょうか。
ここで、給与改善状況の比較を見てみましょう。
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令和2年2月 | 平成31年2月 | 差 (令和2年 – 平成31年) |
介護支援専門員 | 362,510円 | 351,440円 | 11,070円 |
介護職員 | 325,550円 | 307,430円 | 18,120円 |
看護職員 | 383,560円 | 376,850円 | 6,710円 |
生活相談員・支援相談員 | 355,150円 | 343,970円 | 11,180円 |
理学療法士・作業療法士、 言語聴覚士または機能訓練指導員 |
364,040円 | 354,730円 | 9,310円 |
事務職員 | 312,470円 | 304,600円 | 7,870円 |
調理員 | 272,400円 | 265,440円 | 6,960円 |
管理栄養士・栄養士 | 322,010円> | 313,190円 | 8,820円 |
介護職員(介護福祉士を含む)に比べると、ケアマネージャーの給与改善の伸びは当然ながら良くありません。
そのため、介護職員とケアマネジャーとの間にあった待遇差は、年々縮小していく傾向となっています。
ここまでお伝えしてきたように、ケアマネージャーの給与は改善されているものの、ほかの職種の方が給与上昇傾向が高いのが現状です。
ケアマネージャーの業務内容、多忙さを考えると、もっと待遇が改善されてしかるべきと考えられています。
続いては、ケアマネージャーという職種が現状抱えている課題と、今後の待遇改善策について解説していきましょう。
ケアマネージャーになるための試験である「介護支援専門員実務研修受講試験」は平成10年にスタートし、初回の合格率は44.1%でした。
その後毎年行われていますが合格率はだんだんと減少し、令和2年10月に行われた23回目の試験では、合格率が17.7%まで下がっています。
そのため、ケアマネージャーの人手不足がさらに深刻化する可能性が出ています。
ケアマネージャーになるための試験が厳格化したのは、ケアマネージャーの質が重視されるようになったからです。
特に2018年度には受験資格が改訂され、それまで求められていた「介護の実務経験10年以上」という条件が外され、代わりに法定資格や相談援助業務の実務経験が求められるようになりました。
今のままでは、資格を取得した場合の給与面でのメリットと、資格を取る手間を比較したときに、資格が必要ないと感じる人も多くなってしまいます。
ケアマネージャーに高い資質を求めるならば、待遇も改善していく必要がありそうです。
居宅介護支援事業所に所属しているケアマネージャーの給与が、施設介護支援事業所のケアマネージャーよりも低くなる傾向が強まっています。
これは居宅が特定処遇改善加算の対象から外れていたことも理由の1つです。
この格差を埋めるためには、赤字になりがちな居宅介護支援事業所の経営を黒字に転じさせなければなりません。
そのためには、ケアマネが担当する利用者人数を上限である40名(「居宅介護支援費(II)」取得済みならば45名)に近づけていく必要があります。
利用者を増やしても、しっかり1人1人の話を傾聴するというケアマネージャーの基本姿勢を貫くためには、ICTの活用やAIの利用、事務職員の配置などによって、業務の効率化を図ることが必要です。
令和3年には居宅介護支援費(II)が創設されました。
しかし、支援費が創設された直後のアンケートでは、算定済みまたは算定する見込みであると答えたケアマネージャーは24%に留まっていました。
このような居宅に対する加算の取得を促進し、居宅の収入を増やすための施策を継続的に実施していく必要があります。
ケアマネージャーの処遇問題の1つが、基本給のアップ幅が小さいことです。
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令和2年2月 | 平成31年2月 | 差 (令和2年 – 平成31年) |
介護支援専門員 | 216,780円 | 213,970円 | 2,810円 |
介護職員 | 182,260円 | 179,100円 | 3,160円 |
看護職員 | 235,460円 | 233,500円 | 1,960円 |
生活相談員・支援相談員 | 213,000円 | 209,420円 | 3,580円 |
理学療法士・作業療法士、 言語聴覚士または機能訓練指導員 |
228,040円 | 224,490円 | 3,550円 |
事務職員 | 204,940円 | 203,210円 | 2,810円 |
調理員 | 182,510円 | 180,010円 | 2,500円 |
管理栄養士・栄養士 | 208,650円 | 205,990円 | 2,660円 |
先に説明した給与改善状況で示した表では、給与のアップ金額が生活相談員や支援相談員とも引けを取りませんでした。
しかし、基本給をベースにして見ると、生活相談員や支援相談員よりもアップ金額が少ないことがわかります。
つまり、ケアマネージャーの給与がアップした中身は、各種手当や一時金によるものであったということです。
継続的な待遇改善を目指すのであれば、各種手当や一時金よりも基本給のアップが必要になります。
日本介護支援専門員協会の柴口会長は、令和3年5月12日に行ったオンライン会見で「将来的にケアマネージャーの年収が500万円に到達するよう、仕組みを作っていかなければならない」と述べました。
ケアマネージャーの年収が全産業の年収平均に届いているのかどうかについても言及し、まず目指すべきはそのラインだと主張しています。
しかし、財務省がケアマネージャーの処遇改善に使う財源として、ケアプラン作成費を利用者負担とすべきと述べていることについては、懸念ががあることを伝えました。
ケアプランの作成はいわば「相談料」であるとし、相談に対して料金を支払う文化が日本にはないことに触れています。
そのため、じっくり検討する必要があると述べました。
居宅介護支援については、2019年からスタートした特定処遇改善加算から外れています。
代わりに居宅介護支援費(II)も制定されましたが、まだまだケアマネージャーの処遇改善に勤めていかねばならない状況です。
待遇改善をただ待っているだけでは、なかなか収入アップは実現しないかもしれません。
続いては、ケアマネージャーが個人として収入を伸ばすことができる方法を3つ紹介していきます。
ケアマネージャーは経験を積んでいくと給与がアップする傾向にあります。
ケアマネージャーとして働いて4年目までは給与が介護職全体の平均に満たないのですが、5年目でほぼ平均に並び、10年目では平均を越していきます。
また、5年目以降では賞与が大きく伸びる点にも注目です。
経験年数によって基本給が昇給していくと、基本給をベースに計算される賞与についても金額がアップしていきます。
さらに、事業所に継続的に勤務し続けることで、主任や管理者などの役職に就くケースもあります。
主任ケアマネージャーや認定ケアマネージャーになれば、特別養護老人ホームの施設長やグループホームのホーム長などの役職に就ける可能性もあるでしょう。
そうなると役職手当も付くので、収入アップにつながります。
ケアマネージャーになる人のうち、40~50%ほどは介護福祉士の資格を持っている人です。
介護福祉士の資格を持ちながらケアマネとして働く場合、介護福祉士としての資格手当をもらえる場合もあり、給与アップにつながります。
朝番や夜勤があれば、その分の手当も付くでしょう。
ほかにも、ケアマネージャーになる前に国家資格を保有して業務に従事する経験を積む人の場合、看護師や栄養士の資格を持っている人もいます。
そういった資格についても手当が支給されることが多いです。
ケアマネージャーになってからほかの資格を取るのは、忙しい合間を縫っての勉強が大変です。
もし介護福祉士の資格をまだ持っていない場合は、まずは介護福祉士の資格にチャレンジしてみましょう。
また、ケアマネージャーとして利用者の成年後見人をするケースがあることを想定すると、司法書士の資格があれば強みになります。
この場合は、司法書士としての収入を得ることができるようになるため、格段の収入アップが望めるでしょう。
もし、看護職からケアマネージャーになった人の場合であれば、「訪問看護に強いケアマネ」として、独立しても活躍することができるでしょう。
また、先にお伝えした司法書士の資格を取っていれば「成年後見ができるケアマネ」として、これからますます需要が高まることが予想されます。
このように、居宅の事業所や施設を退職して、自分で新しく開業したケアマネージャーを「独立系ケアマネージャー」と呼びます。
前述のように何か強みを持っていれば、独立して事業所を立ち上げれば収入アップという面では大きくレベルアップできるでしょう。
しかし、独立型に対しては居宅介護サービス計画に対して制約があったり、介護保険を使わないと逆に収入が減ってしまったりと、気を付けなければならない点もあります。
また、ケアマネとしての仕事以外に、経営についても自分でやっていかなければなりません。
経営がずさんだと、ケアマネとして優秀であっても事業を継続できなくなります。自分で会社の管理をすることに自信がなければ、誰かを雇う必要も出てくるでしょう。
独立した場合は、メリットもデメリットも自分で引き受ける覚悟が必要となりますね。
近年行われている介護従事者の処遇改善策では、ケアマネージャーの給与アップに大きく寄与できていないのが現状です。
特に、居宅ケアマネにとってはなかなか効果が実感できない日々が続いています。
日本介護支援専門員協会の柴口会長は、ゆくゆくは年収500万円を目指していくと言っています。
政府としても介護従事者の処遇改善策はいろいろと検討、実施していく方針なので、期待はできるかもしれません。
また、給与アップのために自分でできることにトライしていくのもいいでしょう。
しかし、ケアマネージャーとしての処遇改善の根本は、政策によって改善してもらいたいものです。
まだまだ高齢者が増えていく世の中において、不足しているケアマネージャーを確保するためにも、給与アップなどの処遇改善が望まれます。
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