介護ソフトの選び方
いまの介護ソフトが全然運用に乗らない・・・パソコンが苦手な職員も多いし、どうすれば業務改善できるんだろう
このような疑問にお答えします。
介護ソフトが運用に乗っていない事業所は非常に多いです。
せっかく導入した介護ソフトも「宝の持ち腐れ」になってしまい、業務改善どころか「悪化」することも珍しくありません。
もしくは、導入した介護ソフトが「思っていたのと違った」というケースもあります。
いずれにせよ、それぞれにはハッキリとした原因があります。
さて、本記事では「介護ソフトが運用に乗らない」原因を全て明らかにし、その上で具体的な改善手順を提示していきたいと思います。
筆者自身も某大手介護ソフトメーカーのサポートとして、数多くの介護施設を改善してきましたので、そのような経験も踏まえて説明していきたいと思います。
2-1 プロジェクトチームの発足
2-2. 課題をアウトプットする
2-3. 改善策を打ち出す
2-4. 導入スケジュール案の決定
2-5. 改善リーダーの選出し、独自マニュアルの作成する
2-6. 評価・モニタリングの実施
※本記事は5分程度で読むことができます。
介護のコミミは介護職員200名に対して、「どうして介護ソフトを導入しないのですか?」とアンケートを実施しました。
(調査対象は介護ソフトが導入されていない事業所です。)
アンケートの結果、1位が「職員が使いこなせないため」という理由でした。
この結果から、「職員が使いこなせない」という理由でソフト導入を断念している事業所が多いことがわかりました。
つまり、介護ソフトの機能が良いか悪いかの前に「職員のスキル不足」を懸念している事業所が多いということです。
その結果も踏まえて、まずは運用に乗らない原因を5つ説明します。
介護業界には「パソコン音痴」の人が多い傾向があります。
殆どの人はケアを本業としているため、パソコンやタブレットを使用する機会が少ないためです。
また、高齢職員の中には「今までパソコンやタブレットに触れる機会がなかった」と話す職員も多く、介護ソフトの導入に拒否反応を示す傾向があります。
筆者がサポートスタッフとして活動していた頃、高齢職員に対してはパソコンの電源位置から案内することも珍しくありませんでした。
介護ソフトの操作方法が曖昧なため、「なんとなく最低限の機能を使っている」という職員も多いです。
介護ソフトの機能のうち、10%程度しか使えていないこともあります。
様々な理由はありますが、ソフトの操作方法を前任から引き継いだものの、最低限しか教えてもらっていないというケースは多いです。
まるで伝言ゲームのように、導入当初は100%使えていたものの、職員の退職や引き継ぎなどを重ねるにつれ、最終的には10%しか使えなくなっています。
介護ソフトの機能に「記録システム」が含まれているにも関わらず、操作がわからないという理由で「請求システム」しか使っていない事業所はたくさんあります。
パソコンやタブレットの台数が足りていないため、入力待ちが発生し、結局介護ソフトを使用していないというケースも多いです。
例えば、介護ソフトがパソコン1台にしか導入されていないのに、2人同時に介護記録を作成することはできません。
「入力待ち」の職員は、その場で入力が終わるのを待つか、一旦手書きで記録を紙に残す必要があります。
それはストレスになり、結局、紙運用に戻るケースが多いです。
どんなに素晴らしい介護ソフトでも、パソコンやタブレットが必要数に満たなければ運用にのせることは困難です。時間短縮のために介護ソフトを導入したはずなのに、かえって残業時間が増えたという事業所も多く存在します。
職員の中には「介護ソフトで記録を取るよりも、紙の方が早い」と考える人も多く存在します。
しかし、それは一種の固定概念に過ぎず、実際は圧倒的に介護ソフトで記録をしたほうが早いです。
確かに紙運用が便利だと感じるシーンはあるかもしれませんが、スポット的な便利さに囚われ、トータルで業務改善につながることを理解していないケースが多いのです。
(介護ソフトで実現できることは下の記事が参考になります。)
確かに、スポット的に考えれば介護ソフトよりも紙の方が便利なこともあります。例えば、入浴に関する記録は、電子機器であるタブレットを水場に持ち込むよりも、壁にかけておいた紙にペンでささっと記入したほうが楽かもしれません。しかし、それはあくまでスポット的な話に過ぎないので、トータルで考えれば介護ソフトの方が圧倒的に便利です。
導入している介護ソフトが運用に合っていないことがあります。
単純に「使い勝手が悪い」という理由もあれば、「そもそも必要な機能が無い」という理由もあります。
例えば、導入している介護ソフトが「請求業務」しか対応していないため、「記録業務」の電子化ができないといったこともあります。
国内に80以上ある介護ソフトはどれも一長一短です。完璧な介護ソフトは存在しません。だからこそ、いかに最適な介護ソフトを選べるかが重要です。
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介護ソフト導入の手引きを読むここからは、「介護ソフトの運用が乗らない5つの原因」に対しての具体的解決方法を説明していきます。
これから説明する内容は、厚労省管轄の認定「ユースエール認定」を取得した事業所も実施している内容です。
(ユースエール認定は、離職率や残業時間、有給取得率など様々な厳しい審査を通過した事業者にだけ与えられる認証です。)
次の5つの手順を実施していけば、全ての職員が介護ソフトを使いこなし、大幅な業務改善ができると考えています。
詳しくはそれぞれ解説していきます。
【手順1】 プロジェクトチームの発足
【手順2】課題をアウトプットする
【手順3】改善策を打ち出す
【手順4】導入スケジュール案の決定
【手順5】改善リーダーの選出し、独自マニュアルの作成する
【手順6】評価・モニタリングの実施
それぞれみていきましょう。
まずはプロジェクトチーム(委員会)の発足をします。
目的は、これから行う【手順2】〜【手順6】を円滑に行うためです。
事業所の規模にもよりますが、メンバーは5〜10人程度で、できる限り年代も職種もバラバラの方が望ましいです。
また、積極的に意見を出してくれる人を選出しましょう。
ここで抑えておきたいのは、プロジェクトメンバーは介護職員を代表するメンバーであるということです。
業務改善は職員全員で行う必要がありますが、その職員を取りまとめる代表的なポジションになります。
そのため、プロジェクトメンバーは「今の状況を変える」という想いを持つことが重要です。
その想いが徐々に周りの職員に変化をもたらします。
当然、想いだけではなく具体的なプランは必要ですが、まずは「想い」を持ったメンバーをプロジェクトメンバーに選出しましょう。
プロジェクトメンバーの選び方に悩んでいる場合は、職員一人ひとりに「今の職場をどのように改善していけばいいと思う?」などと質問してみましょう。もしかしたら、今まで業務改善について発言する機会がなかっただけかもしれません。職員の殆どは「もっと働きやすい場所がいい」と思っているので、その質問に積極的に答えてくれることでしょう。
プロジェクトメンバーで「いまどのような課題があるのか」を思いつく限り挙げていきましょう。
大切なのは、この時点では発言した内容を否定しないことです。
この手法をブレーンストーミング法といいますが、発言に対し「それは違うでしょ」と否定から入ってしまうと、せっかくの会議にもかかわらず発言のペースが急減速してしまいます。
「あれ?」と思うような発言でもまずは否定せず、それを1つのホワイトボードや紙に書き出していきましょう。ここで大切なのは「質」より「量」です。
例えば、次のような内容を書き出していきます。
・高齢職員のほとんどがパソコン操作ができない
・請求の返戻が多い(国保連からお金をもらえない)
・1Fのトイレ付近で転倒する利用者が多い
・連絡帳ノートを作成する時間がかかりすぎている
上のように、思いつくまま挙げていきましょう。
この時点では、挙げた課題が介護ソフトで解決できるかどうかは考えなくても大丈夫です。
とにかく、思いつくだけの課題を出していくことが重要です。
プロジェクトメンバーが思いつく限りの課題を挙げた後は、整理を行っていきます。
代表的な方法は、マインドマップかKJ法です。
どちらの方法を選んでも良いですが、全員がすぐに理解でき、達成までの道のりが見えやすいという意味では、KJ法をおすすめします。
下の比較表を参考にどちらの方法で進めるかを決定しましょう。
ここでは、KJ法を採用した場合で、手順を説明していきます。
KJ法はカードや付箋を使って課題を整理していく方法です。
次の4ステップを行っていきます。
ステップ1:課題を付箋に書いていく(1枚につき課題1つ)
ステップ2:ラベルをグループ化していく
ステップ3:関係性を図解化していく
ステップ4:図解を元に文章化する
それぞれ説明していきます。
1枚の付箋に1つの課題を書いていきましょう。
課題の整理に使うだけではなく、結果の後追い(モニタリング)にも使うため、読みやすい文章で書いていきましょう。
ステップ1で書き出した課題を、小グループにまとめていきます。
例えば、「業務日誌」というグループを作り、業務日誌に関する課題はそのグループにまとめていきます。
(壁やホワイトボード等に貼り付けていきましょう)
どこのグループにも入らない課題は、「その他」グループにでも入れておきましょう。
できればグループ数は10以下に抑えた方がいいです。10以下になるように小グループ同士をまとるなど工夫をしてみましょう。グループが多くなりすぎると、あとで課題に対する対応策が見出しにくくなります。
関係性が近いグループをまとめていきます。
例えば、「業務日誌」と「申し送り」という2つの小グループがあれば、どちらも「記録関連」として関連性があります。
無理やり関係性をつくる必要はありませんが、目的は【ステップ4】の「図解を元に課題を文章化」することにつなげるためです。
できるだけ課題が近いものをまとめていくといいでしょう。
関係性を図解化するために役立つのが「ツリー型」、「サテライト型」、「フロー型」、「サイクル型」の4種類です。以下のURLの記事が参考になります。(外部サイトです)https://careergrowth.showcase-tv.com/illustrated-memo-frameworks-practical-instances/
ステップ3で図解化した内容をもとに、「何を課題としているのか」を文章にまとめていきましょう。
文章化することにより、付箋に書いていたバラバラの課題が1つの大きな課題としてまとまっていきます。
また、もし可能であれば、複数のチームに分けてそれぞれ文章化にしてみるといいでしょう。
場合によっては1人1人に文章化してもらい、後日すり合わせるのもいいでしょう。
このステップを終えることで、プロジェクトメンバー全員が事業所の課題を明確に認識することができます。
文章は箇条書きでも構いません。その文章を第三者が見ただけで、「あぁこの事業所はこのような課題を持っているのか」とスッキリ伝わるように心がけましょう。
いよいよ改善策を出していきます。
【手順2】を終えた頃には、事業所が抱える問題が明確になっているはずなので、ここからはどうすれば改善できるかを考えていきます。
改善のための手段は1つではありません。
もちろん、介護ソフトも改善手段の1つにすぎません。
例えば、次のような改善手段があります。
① 介護ソフト
② 介護ロボット(センサー)
③ WEBサービス
④ 経営コンサルタント
⑤ 人事異動
⑥ 採用募集
など様々な手段があります
すでに課題は浮き彫りになっているため、どの手段を用いれば改善できるかを考えます。
例えば①介護ソフトを選択した場合、さらに介護ソフトを使ってどう行動していくかを考えていきます。
次のようなフローになります。
① 課題Aは介護ソフトで解決できそうだ→→②課題Aを介護ソフトで解決するためには、「◯◯の機能」が必要だ→→③「◯◯の機能」は今の介護ソフトに実装されていないため、介護ソフトの変更を検討するべきだ
このように、まずは解決手段の大カテゴリー(例:介護ソフト)を決定し、その後に中カテゴリー(例:「◯◯の機能」)を決定し、最後に小カテゴリー(例:介護ソフトの変更)を決定します。
例の場合は、「介護ソフトの変更」を1つの改善手段として決定しましたが、介護ソフトを変更した後も重要なので、その部分も同様のフローで改善手段を考えていきましょう。
※改善策は【手順3】同様に、文章化しておきましょう。
また、「何をもって改善とするか」といった目標は定めておきましょう。
現実的な問題として、コストがどれくらいかかるかも重要です。最も大切なのはコストパフォーマンスですが、もし改善方法が複数あれば、最もコストパフォーマンスがいいと思われる手段を選択しましょう。
【手順3】を完了した時点で、改善案の文章化が終えています。
次は、その改善案を元に、導入スケジュール(案)を決定していきます。
スケジュールを決定する際のポイントは次の通りです。
① いつまでに改善するか(目標達成日)
② モニタリング(評価)の頻度と実行日はいつか
③ 事業所側の必要工数はどれくらいか
④ ベンダー(メーカー)側の必要工数はどれくらいか
⑤ 懸念材料は何があるか
最低でも上のような項目は必ず確認しておきましょう。
明確なスケジュールが完成したら、いよいよ実践編の【手順5】に移ります。
介護現場の特性上、常にスケジュール通りに事を進めるのは難しいかと思います。そのため、スケジュールにはある程度の余裕を持たせておくことが大切です。業務改善することが目的なので、その目的さえ見失わなければスケジュール修正は大した問題ではありません。
【手順3】で改善案が決定し、【手順4】で導入スケジュール(案)が決まったのであれば、いよいよ実行に移していきます。
まずは、改善案を遂行するための、「業務改善リーダー」を選出します。
すでに改善のための骨子はできているので、リーダーはプロジェクトメンバーでなくても構いません。
リーダーのミッションは大きく分けて次の2つです。
① 改善案を元に、できるだけスケジュール通りに業務改善していく
② 業務を改善していく過程で独自マニュアルを作成してもらう
①は特に問題なく理解できると思いますが、②に関して詳細に説明していきます。
どんな「パソコン音痴」でも問題なく介護ソフトを使用するためには重要な行動になります。
前提として、介護ソフトなどのITサービスは操作方法によって効果が大きく異なります。
例えば、Aさんが介護ソフトを操作すれば、100%の結果が残せる一方で、パソコン音痴のBさんが介護ソフトを操作すれば50%しか結果がでないことは当たり前のように起こります。
その対策として、独自マニュアルを用意することで、誰が操作しても100%に限りなく近い結果を出すことができるようになります。
デメリットは一時的に手間がかかることですが、今後ずっと100%近い結果が残せるのであれば、それはささやかなデメリットに感じるはずです。
しかし、「独自マニュアル」と聞くと次のような疑問を抱く人もいるかと思います。
メーカーが用意しているマニュアルを使えばいいのでは?
答えはNOです。
あなたの事業所にとって必要ない情報があまりに多すぎるからです。
メーカー側が用意するマニュアルは、あなたの事業所の運用方法や手順が反映していません。
Q&Aのように、ざっくりした内容の記載があるかもしれませんが、パソコンが苦手な職員が知りたいのは、具体的にどこのボタンをどの順番にクリックしていけばいいかという具体的な方法です。
メーカーが作成したマニュアルをみても、「何がわからないのかわかりません」状態になるのが関の山です。(筆者自身も過去にはパソコン音痴として苦い思いをした経験があるので気持ちはよく理解できます)
独自マニュアルがあれば、パソコン音痴の職員でも迷うことなく操作でき、同じ結果を出すことができるようになります。
独自マニュアルの作成手順は次の通りです。
使用するソフトは、Wordをオススメします。(PowerPointでもOKです。)
① リーダーが介護ソフトを操作し、操作手順を明確にする
② ①で操作した「画面」を全てスクリーンショットしていく
③ ②でスクリーンショットした画像をワードに貼り付けていく
④ ③のワードにどこのボタンをクリックしたのかまで、細かく手順を書いていく
かなり地道な作業ですが、「パソコン音痴」の気持ちになってマニュアルを作成することが重要です。
確かに作成のために労力や時間はかかりますが、「パソコン音痴」にとってそのマニュアルは宝物になります。
過去に、筆者自身も介護施設のために1冊の独自マニュアルを作ったことがあります。数時間もかけて作成したマニュアルでしたが、2年後にその介護施設に訪問したら、使い込んでいるためかボロボロになったマニュアルを見せてくれました。「本当に助かっている」という言葉を聞いたときは、作ってよかったと心から思いました。
【手順4】で決定したスケジュールに沿って、評価(モニタリング)を実施していきます。
次の項目を参考にチェックしていきましょう。
① 予定通りに進捗しているか(何がどのくらい達成できたか)
② 進捗率が思わしくない場合、何が原因か
③ 原因を解決するためにはどうすればいいか
④ 次回の評価(モニタリング)はいつ行うか
もし予定通り進捗していない場合、進捗が思わしくない原因と対策を考えましょう。
予定通り進捗している場合でも、これからも懸念材料がないかどうかを立ち止まって考えてみましょう。
大切なのは、改善目標に達するまで評価(モニタリング)を繰り返すということです。
地道な作業になりますが、1歩1歩前進していることを確認しながら全員で達成に向けて頑張っていきましょう。
介護ソフトをフル活用して業務改善するためには、職員全員の力を合わせる必要があります。
そのためには、今回説明した手順も重要ですが、「みんなで改善する!」といった気持ちが何より重要になります。
お互い助け合いながら改善目標を達成できるよう頑張っていきましょう!
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