介護施設の経営・運営改善介護現場の声・悩み研修サービスの選び方
介護事業所におけるBCP(業務継続計画)策定と研修の義務化が、2024年4月から本格施行されました。しかし、多くの現場では、「忙しくて研修の準備に手が回らない「手間をかけずに効率的な研修を実施したい」という切実な悩みを抱えているのではないでしょうか?
そこで、この記事では「介護BCP研修」の基本から、最新の公式資料・効率化ノウハウ・すぐ使えるテンプレートまで、実践に役立つ情報を網羅的にまとめました。
この記事を読むことで、あなたの事業所でも
ようになります。
BCPの研修をしなければいけないと分かっていながら、どうすれば良いか分からずなかなか動け出せていなかった方は、ぜひ最後までお読みください。
近年、自然災害や感染症といった緊急事態に備えるため、介護事業所にも業務継続計画(BCP)の策定と職員への周知・研修が求められるようになりました
特に、厚生労働省の通知により、2024年4月からBCPの策定と研修が義務化されたことで、すべての介護事業所にとって「BCP対応」は避けて通れないテーマとなっています。訪問系サービスなど一部で認められていた経過措置も令和7年3月31日で終了したため、2025年4月からは全ての事業所が待ったなしでBCP対応している必要があります。
これにより、
が、施設経営の「当たり前のリスクマネジメント」として強く求められる時代に突入しました。
※BCPが義務化された背景や、策定方法については以下の記事で詳しく解説しています。
一方で、実際にBCP研修を担当することになった職員や管理者からは、こんな声が聞かれます。
限られた時間と人員で、いかに効果的な研修を実施するかが、大きな悩みになっています。
BCP(業務継続計画)とは、地震・台風・水害といった自然災害や、インフルエンザ・新型コロナウイルスなどの感染症拡大時にも、介護サービスを中断せずに継続できる体制を整えるための計画のことです。
特に介護事業所では、
が強く求められます。
災害時・感染症流行時に適切に対応できるかどうかは、事業所の信頼や利用者の命に直結する重要なテーマです。
こうした背景を受けて、厚生労働省は>介護サービス事業者に対し、BCPの策定と、定期的な職員研修の実施を義務付けました。先述の通り2025年4月1日からは経過措置期間も終了し、すべての介護事業所が義務としてBCP策定・研修実施を行う必要があります。
ここでポイントとなるのは、BCPを作っただけでは不十分で、職員全員が理解・行動できる状態を作ることまでが義務の対象とされています。そのため、BCP策定後に研修の実施が必要になるのです。
研修の対象となるのは、すべての職員(正職員・パート・派遣含む)です。役職や雇用形態に関係なく、災害・感染症発生時に業務に関与する可能性のある人すべてが対象となります。
研修内容は、以下のようなポイントをカバーする必要があります。
研修項目 | 内容例 |
---|---|
初動対応の流れ | 通報、避難誘導、連絡体制 |
役割分担 | 指揮系統、班ごとの任務 |
利用者対応 | 移動支援、健康管理、安否確認 |
感染症対応 | 感染拡大防止策、ゾーニング |
事業継続体制 | 代替事業所活用、外部支援依頼方法 |
なお、厚労省のガイドラインでは「自然災害対応編」と「感染症対応編」に分けて、訓練・研修を行うことが推奨されています。
編別 | 主な対応内容 |
---|---|
自然災害対応編 | 地震・台風・豪雨などに備えた初動行動、避難誘導、地域との連携体制 |
感染症対応編 | 新型コロナウイルス等に備えた感染拡大防止策、ゾーニング、感染者発生時の対応マニュアル |
リスクの特性が異なるため、研修ではそれぞれに応じた想定訓練(机上訓練など)を別個に実施する必要があります。
では具体的に、どのようにこれらの研修を実施していけば良いのでしょうか。次章からは、厚生労働省が提供している公式研修資料や動画を活用して、「研修準備を効率化する方法を紹介していきます。
厚生労働省が公式に公開している資料や教材を活用するのが最も効果的です。
特に役立つのは、以下のコンテンツです。
資料・教材名 | 主な内容 |
---|---|
介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援マニュアル | BCPの作成から職員研修・訓練までの総合的なガイドライン |
BCP作成・研修に関するQ&A集 | よくある疑問に対する公式回答 |
BCP研修用 動画教材(自然災害編・感染症編) | 職員向けの分かりやすい解説動画 |
これらの資料はすべて、無料でダウンロード・閲覧できます。
参考:厚生労働省『介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)』
厚生労働省資料を活用する最大のメリットは、以下の点で「信頼性」と「網羅性」が確保されることです。
自社でゼロから資料を作成する手間もコストも削減できます。多忙な担当者にとって、これ以上心強い支援はありません。
さて、資料を手に入れたら、後は実際に研修を実施していくだけです。そこで、次章では実際にどのようにBCP研修を進めるべきか、実施ステップについて解説します。
まず、BCP研修を効率的に進めるために最初に検討すべきなのは、「どの形式で研修を実施するか」を決めることがとても重要です。研修の実施形式は大きく以下の3つに分けられるため、事業所のニーズと照らし合わせて、どの形式が最適かを検討することになります。
研修形式 | 特徴 | 向いている事業所 |
---|---|---|
集合型研修(対面) | 職員同士で意見交換しやすい | 小〜中規模、現場密着型 |
オンライン研修(Zoom等) | 時間・場所の制約が少ない | 複数拠点を持つ事業所 |
eラーニング(個別受講) | 個々のペースで学習できる | 業務スケジュールがバラバラな施設 |
上記の中でもとりわけ近年人気なのがeラーニングです。そのメリットを知るとなぜ人気なのかが分かるでしょう。
上記のメリットから、特に「業務が忙しい」「シフト勤務が多い」介護事業所ではeラーニングや録画研修を組み合わせることを強く推奨します。
eラーニングでは無料お試しから始めることができるサービスが多いため、まずは無料で始めてその効果を実感すると良いでしょう。介護のコミミでは、以下の記事で無料お試しから始めることができるおすすめのeラーニングサービスを紹介しているので、ぜひBCP研修の実施と併せてeラーニングの導入も検討してください。
短時間で完結できる研修スケジュール例を紹介します。
時間 | 内容 |
---|---|
0〜5分 | 研修目的の説明 |
5〜15分 | BCP基本知識(自然災害編・感染症編) |
15〜30分 | 机上訓練(避難誘導シナリオ確認) |
時間 | 内容 |
---|---|
0〜10分 | 研修目的・BCP概要 |
10〜30分 | BCP実践ポイント講義 |
30〜55分 | グループディスカッション(机上訓練) |
55〜60分 | まとめ・質疑応答 |
BCP研修の中でも、机上訓練は特に実践力を高める効果があります。
ある災害や感染症発生シナリオを設定し
職員が「その場でどう行動するか」を考え、共有する訓練
【自然災害編】夜間、地震発生→停電→避難指示
【感染症編】利用者に発熱者発生→隔離対応→施設内拡大防止策
難しい資料を読み込ませるより、「行動をシミュレーションさせる」
少人数(3〜5人程度)でグループワーク型にする
振り返りシートを活用して、気づきを可視化する
準備の手間が少なく、効果が高いため、「時間がない現場」でも非常におすすめできる手法です。
記録を残して、次回への改善につなげることも求められます。
年間計画に組み込んで「自動実施」する(例:毎年5月に実施する、など)
職員へ事前アンケートを取り、興味あるテーマを反映する
実施後は「参加者名簿+簡単な所感記録」だけでもOKとする
研修実施記録簿(日時・参加者・内容・気づき)
訓練振り返りシート(良かった点・課題・改善案)
テンプレートを用意しておけば、毎回「ゼロから作成」する負担をなくせます。
BCP研修でeラーニングを活用しない場合は、研修を外部講師に依頼するケースも選択肢としてありますが、ここでは研修を外部に依頼する場合と自社で完結させる場合の比較を見ていきたいと思います。
BCPに限らず、研修を自社実施する場合と外部委託する場合を検討する際、一概にどちらが良いと言ったことはなく、それぞれにメリット・デメリットがあるため、事業所のリソースや状況に応じた選択が重要です。
項目 | 自社実施 | 外部委託 |
---|---|---|
コスト | 安価(資料準備のみ) | 高額(講師料+交通費など) |
手間 | 資料作成・講師進行の負担あり | 準備・進行を講師に任せられる |
柔軟性 | 自社の状況に合わせた内容が可能 | 画一的な内容になりやすいことも |
専門性 | 担当者の知識に依存 | 専門家による最新情報・実務経験を反映 |
外部講師は、
厚労省ガイドラインに精通している
なケースが多く、現場に即した生きたノウハウを伝えてくれます。
職員の意識が自然と高まる効果も期待できます。
担当者は最小限のサポートで研修を完結できます。
外部講師依頼には、
などのコストがかかります。
予算とのバランスを慎重に確認しましょう。
講師によっては、「テンプレート的な一般論」だけで研修を進めるケースもあります。事前打ち合わせで、自社の規模・サービス種別に応じた内容や自然災害・感染症それぞれの重点ポイントをしっかり伝えてカスタマイズしてもらいましょう。
単発で終わらない支援が得られるかも選定基準にすると安心です。
次のような事業所は、外部講師活用を積極的に検討してもよいでしょう。
自社実施+必要に応じてポイント支援だけ受ける方法も良い選択肢になるでしょう。
最後に、介護BCP研修に関してよくある質問をまとめました。
原則、年1回以上の定期的な実施が義務とされています。
特に、
には、臨時で追加研修を実施するのが望ましいとされています。
参考:厚生労働省『指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について』
30分〜90分程度を目安にする事業所が多いです。
ポイントは、「座学だけでなく実践的なワークを含めること」です。
オンライン研修やeラーニングのみでも、要件を満たすことは可能です。
ただし、注意点として、
といった対応が求められます。
対面型でしかできない演習を補う工夫(例:Zoomグループワーク)を行うと、より実効性の高い研修になります。
仮でもいいので「簡易版BCP」を作成し、それに基づく研修を行うことが大切です。
策定と研修を並行して進めることも可能です。
BCP策定・研修未実施の場合、以下のリスクが懸念されます。
最低限のBCP策定+研修実施だけは必ず対応しておきましょう。
BCP研修は「一度やって終わり」ではありません。
継続的に見直しと改善を行っていくことが不可欠です。
だからこそ、多忙な日常業務でBCP対応を継続していくには、効率的な研修実施が重要となっていくため、今回紹介した情報がみなさんの業務負担軽減の役に立てればと思います。
介護のコミミとは、介護や障がい福祉の事業所における課題解決のパートナーになるべく立ち上がった業務改善プラットフォームです。
業界最大級の数を誇るICTツールの掲載とその口コミから、あなたの事業所の課題に最適な製品を比較・検討ができるだけでなく、報酬改定や加算・減算、補助金などの最新情報、現場で使えるレク素材や資料のテンプレートなど、業務に役立つ様々なコンテンツを無料でご利用いただけます。
また、ICT導入について何かお困りごとがあれば、専任アドバイザーへお電話や掲示板を通じての無料ご相談も受け付けておりますので、ぜひお気軽にご利用ください。
60秒でかんたん検索
資料を一括請求する