介護現場の声・悩み働きやすい職場の選び方
最近、介護が原因で腰が痛くて・・・どうすれば腰痛は抑えれる?すぐにできて簡単な対策ないの?
このような疑問にお答えします。
介護の仕事には、腰痛がつきものです。
介護職の方のなかには、腰の痛みや違和感を抱えながら、日々の業務をおこなっている人も多いのではないでしょうか?
私は、病院や介護施設で、リハビリの専門職として勤務していました。
私が勤務していた職場でも、腰の痛みや違和感を抱える介護職員が多かったので、腰痛を予防する介助方法や体操などについて、よくアドバイスさせてもらっていたものです。
介護職の職業病とも言える「腰痛」には、痛みや違和感をひどくしないためのケアや予防が必要です。
そこで今回は、介護職の腰痛の予防や痛みや違和感をやわらげる体操の方法について紹介します。
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近くのいい職場を探すそもそも、どうして介護の仕事では、腰痛が起こりやすいのでしょうか?
中央労働災害防止協会が作成している「介護業務で働く人のための 腰痛予防のポイントとエクササイズ(平成22年)」によると、介護職が腰痛を起こしやすい原因は、大きく3つあると考えられています。
介護の仕事では、必ず利用者さんの介助をおこないます。介助のなかでも、移乗や起居、オムツ交換などの動きは、介助者の腰にかかる負担も大きく、腰痛を起こしやすい原因のひとつです。
例えば、次のような介助動作が腰痛につながっています。
・ベッドから車いすへの移乗を介助する時に、利用者さんのからだを持ち上げる
・立った姿勢で、ベッドで寝ている利用者さんの起居動作を介助する
こういった介助方法では、力を入れた時に腰へ負担がかかりやすくなり、続けていると腰痛を起こします。
介助者にとって、利用者さんの介助がおこないづらい環境も、腰痛を起こしやすくなります。介護現場では、次のような問題が見受けられます。
・介助者が身動きするだけの十分なスペースがない
・腰の高さよりもベッドが低く設定されている
狭いスペースや低い場所での介助も、腰への負担が大きいので、腰痛の原因になります。
ほかにも、介助者の体格・筋力などの個人的な要因も、腰痛に影響します。
例えば、女性の介助者が、からだの大きな男性を介助する場合には、腰への負担も大きいです。
一方で、男性の介助者が、小柄な女性を介助する場合にも、前かがみになったり、中腰になったりする必要があるので、こちらも腰に負担がかかりやすいです。
このように、介助者と利用者さんの体格・筋力などに差があるほど、腰の負担が大きくなることも知っておきましょう。
腰痛を予防するには、腰痛の原因を取り除いていきながら、介助をおこなう必要があります。
具体的に、どのよう点に注意して介助をおこなっていけば良いのか?腰痛が起こる原因ごとに、対策を見ていきましょう。
腰痛を予防するには、腰の負担を減らす介助方法が大切ですことが大切です。前かがみや中腰の姿勢をとったり、腰をひねったりする介助は、腰痛が起きやすい動きです。
そこで、介助をおこなう時には、以下の点に注意しながら腰の負担を減らしていきましょう。
・前かがみになる時には、介助者は、片方または両方の膝を曲げる
・中腰の姿勢をとる時には、介助者は、背中をそらないように上体を丸める
・移乗の介助をする時は、介助者の足を軸に、介助者と利用者さんが移乗する方向へ一緒に回転する
前かがみや中腰の姿勢で介助をする時には、介助者の膝を曲げたり、上体を丸めたりすると、背中の筋肉がゆるまり、腰の負担を減らすことができます。
また、移乗の介助では、介助者も利用者さんと一緒に回転することで、腰のひねる動きを少なくすることができます。
移乗の介助は、ちょうど、コンパスで円を描くように、介助者の足を軸にするイメージでおこなうようにしましょう。
腰の負担を減らすには、介助する場所の「広さ」や「高さ」も重要です。
特に、オムツやクッションの交換など、ベッドまわりの介助は、狭く低い環境で介助をしがちです。
壁や窓際で、介助者がからだを縮めながら、かがんで介助をおこなっていることも多いかもしれません。
ベッドに寝ている利用者さんを介助する時には、壁や窓とベッドの間に距離をとり、介助者が動いたり、かがんだりしやすいスペースをつくりましょう。
また、かがむ必要がある場合には、ベッドに介助者の膝をついて介助することもポイントです。
ベッドに膝をつくと、背中側の筋肉をゆるめることができるので、腰にかかる負担を減らすことができます。
それから、車いすとベッドの移乗を介助する時には、スライディングボードやリフトなどの福祉用具を使うのも腰痛予防に効果的です。
最近では、介護用リフトを利用する介護施設も増えてきています。
介護用リフトを使うと、利用者さんのからだを支える動きが不要になるので、介助者の肉体的な負担を大きく軽減することができます。
介護職員の負担を減らして腰痛を予防するためにも、施設で介護用リフトの購入を検討してみてはいかがでしょうか。
介助をする時には、介助者と利用者さんの体格や筋力などの差が小さいと、からだの負担も少なくなります。
わかりやすい目安としては、介助者と利用者さんの「肩の高さ」を見ることです。
というのも、「肩の高さ」が同じであると、立ち上がったり、回転したりする時に、介助者と利用者さんが同じような動きをすることができ、腰の負担が減るからです。
体格に大きな差がある方の介助が必要な場合には、他の介護職員に介助を依頼するなどをして、できるだけ同じような「肩の高さ」の利用者さんを介助するようにしましょう。
では、すでに腰痛がある場合には、どうすれば良いのでしょうか?
介助を通して生じた痛みは、ケアをしていかないと余計にひどくなる可能性があります。
ここからは、自宅でもおこなえる腰痛をやわらげる体操について紹介しましょう。
介護職員の悩みである腰痛対策をご紹介します
1)平らな場所で、仰向けになります
2)両方の膝をかかえ、胸の位置で止めます
3)この体勢を5秒間維持したあとに、足を戻します
4)これを10回くり返します
腰の筋肉がこわばっていると、痛みや違和感につながります。
まずは、腰の筋肉を伸ばして、痛みや違和感の原因となる、筋肉のこわばりをほぐしていきましょう。
1)平らな場所で、長座になります
2)片方の膝を曲げて、背中を倒します
3)この体勢を10~30秒間維持します
4)腰・足の痛みや違和感が強い場合には、腰や背中の下にクッションや毛布などを入れておこないます。
太ももの前側の筋肉がこわばっていると、立っている時などに腰をそりやすく、痛みや違和感につながります。
そのため、腰の負担を少なくするように、足の筋肉もほぐしていきましょう。
1)平らな場所で、仰向けになります
2)両方の膝を立てます
3)頭を持ち上げながら、おへそをのぞき込みます
4)お尻も軽く浮かします
5)この体勢を5秒間維持したあとに、上体を戻します
6)これを3~5回くり返します
お腹の筋肉を鍛えていくと、座ったり立ったりしている時の腰の負担を減らすことができます。
腰に負担がかかりにくい介助をおこなうには、お腹の筋肉が必要です。
足腰の筋肉をゆるめたあとには、お腹の筋肉を鍛えていくようにしましょう。
ここでは、腰痛をやわらげる体操を3つ紹介しました。
ただし、腰痛のなかには、専門的な治療が必要となる病気やケガが隠れているケースもあります。長く続いたり、耐えがたいような痛みがあったりする場合には、早めに医療機関を受診するようにしましょう
腰痛をやわらげるには、腰の負担を減らすアイテムを使ってみるのもおすすめです。主なアイテムには、「コルセット」や「膝まくら」があります。
コルセットには、腰の保護、保温などの効果があります。
介護職の場合は、コルセットを巻いておくことで、介助をする時に、腰にかかる負担を減らすことができます。
コルセットと一口に言っても、最近では、色々な種類のものが市販されています。
どのようなコルセットでも、腰の負担を減らしたり、予防したりする一定の効果が期待できますが、どれを購入すれば良いか悩んだ時には、プレートが入っていない15㎝幅くらいのものがおすすめです。
このタイプのコルセットは伸縮性があるので、腰痛をやわらげたり、予防したりするなど、幅広く使いやすいでしょう。
腰痛持ちの方のなかには、腰の痛みや違和感によって、ゆっくり横になれない人も多いです。
大人のからだは、横になると腰の筋肉がこわばりやすくなるので、ベッドや布団の上で仰向けになると、痛みや違和感が出やすいです。
そこで、仰向けになった時の腰の痛みや違和感をやわらげるには、「膝まくら」がおすすめです。
膝の下に、まくらやクッションを入れて膝を曲げた姿勢をとると、腰の筋肉がゆるむので、痛みや違和感が少なくなります。
もし自宅にまくらやクッションがない場合には、毛布や掛け布団を丸めて、膝の下に入れてみることでも代用できますよ。
腰痛持ちの介護職のなかには、仕事に支障が出るくらい痛みを感じている方もいるかもしれません。
しばらくの間、仕事を休むということにも。
そうなると、介護の仕事による腰痛が、労働災害(労災)の対象になるのかどうかが気になるところです。
厚生労働省が発表した「労働災害発生状況(平成24~28年)」では、社会福祉施設で、腰痛を含む「動作の反動・無理な動作」で労災が認められた人数は、次のようでした。
平成24年 2,235名
平成25年 2,338名
平成26年 2,457名
平成27年 2,576名
平成28年 2,793名
これを見てもわかるように、腰痛を含む「動作の反動・無理な動作」が原因で労災が認定されたケースは、年々増加しています。
例えば、利用者さんの移乗を介助しようと持ちあげた時に、腰を負傷したケースなどがあります。
労災が認定されると、腰痛で働けない期間があっても、経済的に保障が受けられるのが特徴です。
勤務中に生じた腰痛であることが明らかな場合には、労災の申請も検討してみましょう。
腰痛で労災の認定をうけるには、労働基準監督署への申請が必要です。
職場によっては、雇用主が申請を代行してくれる場合もありますが、基本的には、当事者本人が申請をおこないます。
勤務中に生じた腰痛で労災の相談や申請を悩んでいる時には、お住まいの近くにある労働基準監督署の窓口まで、問い合わせてみましょう。
参考:
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