介護現場で上司のパワハラに悩んだ時の2つの対処方法とは?

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介護現場で上司のパワハラに悩んだ時の2つの対処方法とは?

 

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上司からあたりがキツい・・・これってパワハラ?まずはどう動いたほうがいい?

このような疑問にお答えしていきます。

 

介護職にも、上司のパワハラはつきものです。

所属部署の上司は仕事で関わる機会が多いですから、日常的にパワハラを受けていると出勤するのもストレスに感じられますよね。

私は、介護の現場で管理職を務めていましたが、上司のパワハラに悩んで休職や退職する職員を数多く見てきました。

ハラスメントによるストレスは、放っておくと精神的な病気につながってしまうことも。そうならないためにも、ここでは、上司のパワハラに対処する方法について解説します。

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介護現場のパワハラとは?

上司との人間関係に悩む方のなかには、自分が受けている行為がパワハラに該当するのか断定しかねない人もいるでしょう。

そこで、はじめに職場のパワハラについて概要を説明します。

厚生労働省は、次の3つの要素をすべて満たす行為を職場におけるパワハラと定義しています。

  1. 優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)おこなわれること
  2. 業務の適正な範囲を超えて行われること
  3. 身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること

やや難しい表現に思えたかもしれませんが、要するに「職場内で権力を持った立場の人が、自分の権力や立場を利用して相手に心身の苦痛を与えたり、労働を妨げたりすること」がパワハラ行為に該当します。

平成30年度、都道府県労働局や労働基準監督署に設置された総合労働相談コーナーには、職場のいじめや嫌がらせの相談について8万件を超える相談が寄せられており、これらの相談は年々増えている状況です。

このデータからもわかるように、労働者にはパワハラは身近な悩みであり、介護の現場でも十分に起こりうる問題と言えるでしょう。

ただし、状況によっては、パワハラに該当しないケースもあります。

例えば、上司が部下を育成するためにやや難易度の高い仕事を任せること。

部下の勤務態度が悪く、上司がくり返し指導しても改善しなかったために強く注意したこと。

このようなケースでは、上司の行為は「業務遂行に必要な部下への配慮・指導」と判断され、パワハラには該当しません。

上司の行為がパワハラかどうか正確に判断するためには、上司の言動を整理して、パワハラの3つの要素を満たしているかどうか確認することが大切です。

介護職も上司のパワハラに悩んでいる

職場のパワハラの概要について理解した上で、次は介護の現場における代表的なパワハラを紹介しましょう。

介護の現場では、上司からどのようなパワハラがおこなわれがちなのでしょうか?

① 暴力的な言動で指導する

暴力的な言動は、上司が部下をきつく指導する時に見られるパワハラです。

例えば、机を強く叩いたり大きな声を出したり。

上司は業務上必要な指導をしているつもりでも、部下は叱責によって精神的なショックを受けているということがよくあります。

② 責任ある仕事を任せない

暴力的な言動とは逆に、上司が部下に責任ある仕事を全く任せないケースもあります。

具体的には、経験のある介護職員に現場の仕事をさせなかったり、新人職員と同じような仕事しかやらせなかったりすることです。

どうしてこのようなパワハラが介護現場で起こるのかというと、ほとんどは、次のような些細なことがきっかけです。

・上司の評判を下げた

・上司へ相談せずに仕事を進めた

このように、部下の態度をよく思わなかった時に、上司は自分の立場や権限を使っていじめや嫌がらせ行為をするケースもあります。

③ 過度な退職勧奨する

介護事業所側が職員に退職を迫ることを「退職勧奨(たいしょくかんしょう)」と言います。

退職勧奨自体は違法なことではありませんが、過度な退職勧奨は違法行為です。

介護の現場では、ここまで説明をしてきた暴力的な言動・いじめ・嫌がらせ行為を続けることで、上司が部下に過度な退職勧奨することもおこりがちです。

④ 介護報酬請求の不正を指示する

あってはならないことですが、上司が介護記録の改ざんや介護報酬の過剰請求などの違反行為を指示しているということも。

手段を選ばずに部署や事業所の売り上げを伸ばそうとする上司の場合には、部下に介護報酬請求の不正を指示して、パワハラをおこなっているケースもあります。

以上の4つが、介護の現場に見られやすい代表的なパワハラです。

実は、介護の現場でも職員間の人間関係に悩む人は多いです。

介護労働安定センターが全国の介護事業所8,782箇所、労働者21,250人を対象におこなった「介護労働実態調査(平成29年度)」では、20.0%の人が職場の人間関係の問題を理由に介護の仕事を辞めていたという結果が得られました。

もちろん、職場の人間関係の問題ですから一概にパワハラに限りませんが、実際に介護の現場で管理職をしていると、所属部署の上司との関係性悪化について職員から相談を受ける機会が多いものです。

まずは信頼できる管理職に相談する

では、上司からパワハラを受けている時にはどうしたら良いかというと、まずは管理職に相談することが重要です。

介護施設では、各職員が施設内のさまざまな場所で業務をおこなっているので、上司のパワハラが気づかれにくいのが特長です。

そのため、パワハラの問題を解決していくためには、自分からまわりの人にパワハラの事実を伝えていくことが必要になります。

パワハラで悩む方のなかには「同僚に相談しよう」と考えている人もいるかもしれませんが、パワハラの問題を根本的に解決するには管理職に相談しましょう。

というのも、同僚はあなたと同じような部下の立場にありますから、パワハラの事実を知ったところで上司の言動を直接指摘することが難しいからです。

管理職と一口に言っても色々な役職の方が働いていますが、もっとも良い相談相手は、パワハラをおこなっている上司の上長を務める方です。

役職が上の管理職からであれば上司の言動を注意しやすいですし、上司の不適切な指示や態度をあらためるよう促すのも仕事の一環です。

いま現在、上司のパワハラに悩んでいるのだとしたら、管理職に相談してみてはいかがでしょうか?

管理職に相談しても解決しない場合はどうする?

残念ながら、職場によっては、管理職に相談をしてもパワハラの問題が解決できない場合もあります。

なぜなら、そのような職場には次の2つの体質があるからです。

① パワハラ上司が上長よりも実権を握っている

介護施設のなかには、役職の上下関係が逆転してしまっている職場も多いです。

例えば、介護課の主任が事務長や施設長よりも発言力や決定権を持っているということもよくあります。

こうなると、上長の立場にあってもパワハラ上司に直接指導することがしづらくなるので、管理職に相談をしたところでパワハラの問題解決に協力してもらうことが難しくなります。

② 管理職間でコミュニケーションをとらない

また、管理職間でコミュニケーションをとらない職場でもパワハラの問題解決は難しいです。

パワハラについて事実関係を明らかにするには、管理職間でのコミュニケーションが欠かせません。

部下の話だけを一方的に聞いてもパワハラかどうか判断することはできませんし、必ず上司からも事情を聞く必要があるからです。

ところが、そもそも普段から管理職間でコミュニケーションをとらない職場では、パワハラの事実関係を確認するために話し合いの時間を十分にとらないケースもあるのです。

以上のような体質がある職場では、勇気を出して管理職に相談をしてもパワハラの事実関係の確認や上司の指導もしてもらえないでしょう。

管理職に相談をしても上司のパワハラが改善しない場合には、ほかの職場に転職することをおすすめします。

パワハラを受けたことは転職先に隠さない

そうは言っても、上司のパワハラを理由に職場を辞めたとなると、次の転職先に退職理由をどう説明すれば良いか悩むものでしょう。

希望する転職先の採用担当者には、少しでも自分に良い印象を持ってもらいたいものですよね。

転職先には、退職理由をどのように伝えれば良いでしょうか?

このポイントは、ずばりパワハラが理由で退職した事実を隠さないことです。

介護施設の採用担当者は、職員採用の基準として「誠実さ」をもっとも重要視しています。

理由は、介護職には、利用者さんの気持ちに寄り添いながらまじめに一生懸命がんばる人材を採用したいからです。

ですから、パワハラを理由に退職をした事実を隠す必要はないのです。

むしろ、パワハラを受けた事実を隠しながら退職理由を説明しても、話のつじつまが合わなくなりますし、うまく退職理由を説明できないと採用担当者に不誠実な人である印象を与えかねません。

それと、良心的な職場の採用担当者というのは、パワハラを受けてつらい思いをした介護職の気持ちをしっかりとくみ取ってくれるものですよ。

転職時の面接では、パワハラを受けた事実は隠そうとするよりも、次の職場でしっかりがんばって働く気持ちがある姿勢を採用担当者にアピールするようにしていきましょう。

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参考:

  • 厚生労働省 個別労働紛争解決制度の施行状況(平成30年度)

https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000521619.pdf

  • 厚生労働省雇用環境・均等局パワーハラスメントの定義について(平成30年)

https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/000366276.pdf

  • 介護労働安定センター 「介護労働実態調査」の結果(平成29年度)

http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/h29_chousa_kekka.pdf

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この記事の筆者・監修者

  • 田口 昇平

    田口 昇平

    作業療法士、福祉住環境コーディネーター2級。2008年に作業療法士免許取得後、東京都内のリハビリ専門病院や特別養護老人ホームなどの施設で、医療や介護業務に従事。2018年より、フリーライターに転身。医療介護職の働き方や働きやすい労働環境などを中心に、幅広いテーマで執筆。

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