人材確保・経営改善に最大200万円-訪問介護向け補助金制度

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厚生労働省は、令和6年12月17日付で「訪問介護等サービス提供体制確保支援事業実施要綱」を制定し、訪問介護サービスの人材確保と経営安定化を目的とした新たな支援事業を開始した。

事業の目的と背景

訪問介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護といった在宅介護サービスは、高齢化社会において重要な役割を果たしている一方、これらのサービス分野では深刻な人材不足が課題となっており、サービス提供体制の維持・強化が求められている。本事業は、人材確保体制の構築や事業所の経営改善を地域の特性や事業所規模に応じて支援し、必要な在宅介護サービスの提供体制を確保することを目的としている。

具体的な支援内容

本事業は主に以下の通り構成されている。

事業 事業内容 事業内容の詳細 補助額
人材確保
体制構築
支援事業
研修体制の構築の支援 事業所が研修計画を作成し、介護職員の資質向上・定着促進を図る取組 1事業所当たり10万円
中山間地域等・離島等地域における採用活動の支援 中山間・離島地域の事業所が地域外求職者向け採用活動を行う際の費用 1事業所当たり30万円
経験年数が短いホームヘルパー等への同行支援 ベテランヘルパーが新人ヘルパーに訪問介護技術を指導する取組 中山間地域等
30分未満:3,500円/回
30分以上:5,000円/回

そのほか
30分未満:2,500円/回
30分以上:4,000円/回
その他人材確保体制構築に必要な支援 人材確保体制構築に資するその他の取組(実施主体が認めたもの) 自治体が必要と認める額
経営改善
支援事業
経営改善の支援 コンサルタントを契約し事業所の経営基盤強化・改善を支援 自治体派遣:30万円, 事業所実施:40万円
登録ヘルパー等の常勤化の促進の支援 登録ヘルパーの常勤化を促進するための賃金差額補助 常勤化するヘルパー1人につき10万円/月(3か月まで)
小規模法人等の協働化・大規模化の取組の支援 複数法人が協力し人材育成や経営改善を図る取組 要件(エ)含む:200万円, 含まない:150万円
介護人材・利用者確保のための広報活動に関する支援 介護人材や利用者確保のための広報活動(HP開設・改修等)。 1事業所当たり30万円
その他経営改善に必要な支援 経営安定化に資するその他の取組(実施主体が認めたもの) 自治体が必要と認める額

1. 人材確保体制構築支援事業

事業所における研修体制の構築や職員が安心して働き続けられる環境整備を支援する。具体的には、以下の取り組みが対象となる。

  • 研修体制の構築支援:ホームヘルパーや介護職員等の資質向上・定着促進のための研修計画作成やカリキュラムの見直し。
  • 中山間地域・離島等での採用活動支援:これらの地域に所在する事業所が、地域外の求職者に対して採用活動を行う際の交通費や滞在費等の支援。
  • 経験年数の短いホームヘルパー等への同行支援:ベテランのホームヘルパーが新人職員に同行し、技術指導を行う際の経費支援。
  • その他人材確保体制構築に必要な支援:上記以外にも、人材確保体制構築のために有効と認められる取り組みに対する支援。

2. 経営改善支援事業

事業所の経営基盤強化や経営状況の改善を目的とした支援を行う。具体的には、以下の取り組みが含まれる。

  • 経営改善の支援:専門家の派遣やコンサルタントとの契約による経営基盤強化のための支援。
  • 登録ヘルパー等の常勤化促進支援:非常勤のホームヘルパーを常勤化する際の賃金差額等の支援。
  • 小規模法人等の協働化・大規模化の取り組み支援:複数の小規模法人が連携して行う人材育成や経営改善の取り組みに対する支援。
  • 介護人材・利用者確保のための広報活動支援:ホームページの開設・改修や広報資料の作成・印刷等の広報活動に要する経費の支援。
  • その他経営改善に必要な支援:上記以外にも、経営の安定化のために有効と認められる取り組みに対する支援。

補助基準額

本事業の補助対象となる事業所ごとの補助額は、各支援内容ごとに定められており、実支出額と以下の補助基準額を比較して少ない方の額が適用される。

  • 研修体制の構築支援:1事業所当たり10万円。
  • 中山間地域等での採用活動支援:1事業所当たり30万円。
  • 経験年数の短いホームヘルパー等への同行支援
    • 中山間地域等に所在する事業所の場合、30分未満の同行支援1回につき3,500円、30分以上の場合は5,000円。
    • 中山間地域等以外の場合、30分未満で2,500円、30分以上で4,000円(いずれも1人につき最大30回まで)。
  • 経営改善の支援
    • 自治体が専門家と契約し派遣する場合、1事業所当たり30万円。
    • 事業所が個別に実施する場合は40万円。
  • 登録ヘルパー等の常勤化促進支援:常勤化する1人につき、1ヶ月当たり10万円(最大3ヶ月まで)。
  • 小規模法人等の協働化・大規模化の取り組み支援
    • 対象法人に中山間地域等の法人を含む場合、1グループ当たり200万円。
    • 含まない場合は150万円。
  • 広報活動支援:1事業所当たり30万円。
  • その他必要な支援:自治体が必要と認める額。

本事業のより詳細な情報は、厚労省が通知した「訪問介護等サービス提供体制確保支援事業の実施について」にも記載されている。

参考:『訪問介護等サービス提供体制確保支援事業の実施について』(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001406657.pdf)