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12日に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会において、2026年度(令和8年度)介護報酬について、臨時の介護報酬改定(期中改定)を2026年6月に実施する方向性が大筋で了承された。これは、従来の3年に1度の改定サイクルとは異なる“中間改定”という異例の対応であり、介護人材確保の喫緊の課題や現行制度の課題を背景として、報酬体系の見直しが進められるものだ。今回の審議会では、処遇改善に関する改定案が中心となり、介護分野全体の人材確保や賃上げに向けた方向性が議論された。
介護報酬の臨時改定は、2026年6月1日施行を念頭に検討されている。これは令和8年度の介護報酬改定に先立ち、昨年度までの処遇改善・人材確保への対応策を踏まえて、同年度以降の制度運用に反映させるための措置として位置付けられている。臨時改定は、報酬体系を定期改定のサイクル外で見直すものである点が特徴だ。
審議会において厚生労働省は、現行の「介護職員等処遇改善加算」を拡充する方向を示している。具体的には、対象サービスの範囲を拡大する案が大筋で了承されている。これまでは主に直接介護に従事する職員を対象としていたが、居宅介護支援(ケアマネジメント)、介護予防支援、訪問看護、訪問リハビリテーションなど、従来対象外であったサービスを新たに含める方向性が示された。
この拡充には、生産性向上や職場環境改善に関する一定の要件が設定される案も含まれ、取得要件において職員の賃金体系や研修計画、職場改善の取組が組み込まれる可能性があるとの説明がなされた。
資料では、これまでの累次の処遇改善施策を踏まえた評価・検証の必要性が示されている。特に、介護職員の賃金水準を他産業と遜色のない水準まで引き上げる必要性が引き続き指摘されているほか、既存加算を含めた仕組みとして継続的な賃上げにつなげる観点での検討が求められている。
厚労省の審議資料では、介護現場が多様な職種で成り立っているとの認識が示されている。介護職員だけではなく、看護職員、管理栄養士、ケアマネジャーなども含めた幅広い処遇改善のあり方について、対象範囲の拡大が議論されている。
参考:『介護人材確保に向けた処遇改善等の課題』(社保審-介護給付費分科会 | 厚生労働省 2025年12月12日)