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厚生労働省は2025年11月28日に、令和7年度補正予算案に盛り込まれた「医療・介護等支援パッケージ」と「重点支援地方交付金」の具体案を公開した。公開された施策はいずれも、物価高や人材不足が続く中で、サービスの継続性を確保することを主眼とした取り組みである。
参考:『「医療・介護等支援パッケージ」及び「重点支援地方交付金」の双方の活用について 』(厚生労働省)
医療・介護等支援パッケージは、介護分野の負担軽減や体制維持を目的とした複数の施策で構成されている。
主に、
介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援
介護事業所・施設のサービス継続支援
介護テクノロジー導入・協働化・経営改善等支援
訪問介護・ケアマネジメントの提供体制確保支援
といった領域に重点が置かれている。
介護分野では物価高や人材不足が重なり、事業運営の安定性が揺らいでいる。特に、他産業との賃金差や人材確保の難しさは継続的な課題となっており、職員の離職防止と処遇改善を早期に進める必要がある。今回の施策は、報酬改定を待たずに職員の賃上げと職場環境改善を進めることで、介護サービスの提供体制を維持し、地域のニーズに応えられる環境を整えることを目的とする。
主な施策内容
幅広い介護従事者を対象とした賃上げ支援を行う。
生産性向上や協働化に取り組む事業者に対し、追加支援を行う。
職場環境改善のための取組を実施する事業者を支援する。
燃料費・光熱費・食材費などの物価上昇は、訪問介護や入所施設など、サービス種別ごとに異なる形で経営に影響を及ぼしている。こうした費用増に耐え切れず、サービス縮小や運営の停滞につながる懸念が高まっている。サービス継続支援は、地域の介護サービスが中断されることを防ぎ、必要な支援が利用者に安定して届く体制を確保するためのものである。
主な施策内容
物価高の影響を受ける事業所・施設の運営経費を支援する。
移動費・光熱費・食材費など、サービスに直結する費用を対象とする。
地域の実情に応じた柔軟な支援の実施を自治体に求める。
高齢化の進展により、老朽化した介護施設や環境整備が追いついていない地域が増えている。災害対策や安全確保の観点からも、施設の改修・整備は喫緊の課題である。本施策は、必要な修繕や設備更新を後押しすることで、利用者が安心して過ごせる環境を維持し、施設の長期的な運営基盤を強化することを目的とする。
主な施策内容
物価高の影響を受ける事業所・施設の運営経費を支援する。
移動費・光熱費・食材費など、サービスに直結する費用を対象とする。
地域の実情に応じた柔軟な支援の実施を自治体に求める。
介護分野では人材不足が長期化しており、職員一人ひとりの負担が増加している。業務の効率化やICT導入、事業者間の協働化などを進めることで、限られた人員でも質の高い介護を維持できる体制が求められている。本施策は、自治体が相談支援や伴走支援を通じて事業者の改善活動を後押しし、地域の提供体制を持続的に確保することを目的とする。
主な施策内容
ICT導入や業務効率化の取組を行う事業者を支援する。
協働化・共同運営などに向けた相談や支援体制を整備する。
地域の状況に応じた提供体制確保を自治体に求める。
重点支援地方交付金は、物価高の影響を受ける介護事業所・施設に対し、主に光熱水費や食材料費の上昇に対応するための支援を行う仕組みである。通知では、自治体が地域の事業者に対して積極的に制度を案内し、必要な手続きを支援するよう求めている。また、未申請の事業所に対して働きかけを行うなど、制度の利用を広げる姿勢が示されている。
本通知は、補正予算案の成立後、各自治体が迅速に支援策を実施できるよう準備を進めることを目的としている。自治体には、事業者への周知、相談窓口の整備、申請手続きの準備などを早急に進めるよう求められている。支援策の詳細については、今後追加の通知やガイドラインが示される可能性があり、自治体と事業者の双方が最新情報を確認し続ける必要がある。