高齢者施設と医療機関の連携体制強化を背景に、自治体への積極的な支援要請―厚生労働省が通知

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厚生労働省は2024年5月28日付で、高齢者施設と協力医療機関との連携体制の強化に関する対応を全国の自治体へ通知した。これは、2024年度介護報酬改定で連携体制強化が義務化・努力義務化されたことを受けてのものであり、各自治体に対し、連携体制が十分に構築されていない施設への支援と情報共有を積極的に行うよう要請している。

現状、連携体制が整っている施設の割合にはばらつきが見られ、連携に課題を抱える施設も一定数存在している。

サービス区分別の課題・対応

2024年度介護報酬改定により、介護老人福祉施設や介護老人保健施設などの高齢者施設は、協力医療機関との連携体制を構築することが義務化された(経過措置3年)。一方、軽費老人ホームや認知症対応型共同生活介護などでは努力義務とされた。

調査によれば、要件を満たす協力医療機関を定めている割合は介護老人福祉施設56.6%、介護老人保健施設70.0%、介護医療院72.4%、養護老人ホーム45.7%と施設間で差がある。また、「まだ検討していない」「どこに相談したらよいか分からない」「周辺に医療機関が少ない」といった課題が各施設から指摘されている。

これに対し、自治体は各施設の連携状況の把握や、課題を抱える施設への相談窓口の設置、医療機関のリスト提供、マッチング支援、好事例の共有など、実効性ある支援策を講じることが求められている。

今後の予定、動向など

今後は、自治体間での情報共有や広域的な連携体制の構築が重要となる。厚生労働省は、2024年度の効果検証および調査研究において、自治体による相談対応や支援の取組状況についても調査する予定である。各自治体には、高齢者施設と協力医療機関の連携を加速するため、積極的な働きかけと支援の拡充が期待されている。

 

参照元:厚生労働省『令和6年度介護報酬改定を踏まえた高齢者施設等と協力医療機関との連携促進に係る対応について」の送付について』(2025年5月28日)