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厚労省がまとめた資料によると、障害福祉サービスに係る総費用は報酬改定後に12.1%増加し、利用者数や一人当たり費用の増加が続いている。また、自治体からはニーズ調査を行わずに事業所が参入しているとの指摘があり、急増する事業所数と収支差率の高さが課題となっている。こうした状況は人材確保の困難さと相まって、制度の持続可能性に懸念を生じさせている。
検討チームが示した案では、一定の条件を満たすサービス類型について、新規に指定を受ける事業所に限り基本報酬を引き下げる方向が示された。対象となるのは、年間総費用額の割合が1%以上、収支差率が5%以上、過去3年間で事業所数が5%以上増加している以下のサービス類型である。
就労継続支援B型
共同生活援助(介護サービス包括型・日中サービス支援型)
児童発達支援
放課後等デイサービス
既存の事業所については従前の基本報酬が維持される見込みであり、新規参入事業所のみ報酬を一定程度引き下げる措置とする。施行は令和8年度6月を想定している。
資料では、サービスの質の確保と不適切な算定事例への対応として、就労移行支援体制加算の見直しや、平均工賃月額の算定方式の変更といった具体的な検討内容も示されている。これらは、報酬体系が意図した形で運用されるよう調整を図るための方策である。
厚労省は、この臨時的な基本報酬の引き下げについて、関係者から意見を聴取しながら、制度への影響を検証するとしている。また、新たな見直し案がどのような形で最終決定されるか、今後の検討状況に注目が集まる。報酬改定は制度運営に大きな影響を与えるため、現場の事業者や自治体は引き続き動向を注視する必要がある。
参考:『令和6年度報酬改定後の状況を踏まえた課題』(厚生労働省 2025年12月16日)