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厚労省は16日、2025年度補正予算が参議院本会議で可決・成立したことを発表した。今年度補正予算の成立により、すでに閣議決定されていた「医療・介護等支援パッケージ」が具体的な支援として実現することが確定し、医療機関・介護事業所の処遇改善や経営支援が急ピッチで進む見込みである。
補正予算成立は、自由民主党・公明党・維新などの賛成多数により参議院本会議で承認されたもので、医療・介護現場の緊急支援を目的とする各種施策(「医療・介護等支援パッケージ」)の財源が確定したことを意味する。
今年度の補正予算に計上された総額は約2兆3,252億円で、その中核をなす「医療・介護等支援パッケージ」には1兆3,649億円が配分されている。うち医療分は約1兆368億円、介護等分は約3,281億円とされている。
介護分野における全体像は下図のとおりである。

参考:『【2025速報】介護職の賃上げが緊急決定!?「医療・介護等支援パッケージ」の全貌と活用法』(介護のコミミ)
医療分の支援では、賃上げ・物価高対応を中心に5,341億円が投じられる。この支援は、医療機関における従事者処遇改善に加え、診療に必要な経費の物価上昇分も補助するものだ。救急医療を担う病院に対しては受入件数に応じた加算支援も含まれている。
介護分では、介護職員の賃上げや職場環境改善のための支援に1,920億円が充てられるほか、介護事業所・施設のサービス継続支援に510億円、テクノロジー導入や経営改善支援に220億円が計上されている。訪問介護やケアマネジメントの提供体制確保にも予算が配分されている。
支援パッケージには、介護・医療分野における人材確保及びマッチング支援強化として、ハローワーク等の体制整備費も含まれている。これにより、介護人材の定着や適正配置を後押しする枠組みが整えられる。
補正予算成立を受け、厚労省は各支援事業の実施要綱の策定と通知を速やかに進める方針である。これにより、介護事業所や医療機関は年度末に向けて支援策を利用した処遇改善や経営安定化策を具体化できる見込みだ。
補正予算によって「医療・介護等支援パッケージ」が実際の支援として動き出すことで、従事者の賃金改善や物価高への対応が進み、人材確保・定着への効果が期待される。また、施設のサービス継続性や経営の安定化にも寄与する見通しである。 介護事業者は関係通知の発出や支援制度の詳細を厚労省や関係団体の情報で確認し、補正予算による支援策の活用準備を進める必要がある。
参考:『令和7年度 厚生労働省補正予算案のポイント』(厚生労働省)