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現在の居宅介護支援の運営基準では、原則として管理者は主任ケアマネジャーでなければならないと規定されている。この要件は平成30年度の介護報酬改定で強化されたもので、専門性の高いケアマネジメントを提供することを目的としている。
ただし、2021年3月末時点で主任ケアマネジャー以外が管理者であった事業所については、経過措置として2027年3月末まで現行の管理者要件の適用を猶予する扱いとなっている。この期限が迫っていることから、猶予期間の延長や適用条件の見直しも審議課題となっている。
審議会資料や現場の声では、管理者として求められる労務管理・財務管理等の業務と、ケアマネジメント専門職としての役割との乖離が指摘されている。また、主任ケアマネジャーの人材確保が困難な地域や事業所においては、現行要件が運営上の負担となっているとの意見もある。こうした状況を踏まえ、要件の柔軟な運用や見直しの必要性が浮上している。
厚労省は、管理者要件の検討を2027年度介護報酬改定の主要テーマの一つとして位置づけており、来年度を通じて社会保障審議会・介護給付費分科会等で議論を深める計画だ。具体的には、主任ケアマネジャーの専門性と管理者業務の分離や、経過措置の適用条件の見直し、地域ごとの実務状況に即した柔軟な基準の在り方について意見を集約することが想定されている。
居宅介護支援事業所は、管理者要件の今後の動向を注視しつつ、経過措置の期限や法令基準の変更に対応できるよう、内部での人材育成や管理体制の見直しを進める必要がある。厚労省の審議結果によっては、管理者要件の運用が変わる可能性があるため、早めの準備が求められる。
参照元:『介護保険制度の見直しに関する意見』(厚生労働省 社会保障審議会介護保険部会 2025年12月15日)