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東京商工リサーチは16日、2024年度における介護事業者(老人福祉・介護事業)の倒産件数が過去最多の179件に達したと発表した。
2024年度、介護事業者(老人福祉・介護事業)の倒産件数が過去最多の179件に達した。
これは前年より36.6%増となり、コロナ禍や大型倒産が起きた2022年度の144件を大きく上回る水準だ。
倒産が増えた背景には、次のような要因があると指摘されている。
介護サービス利用者をめぐる競争の激化
コロナ禍による経営へのダメージ
人手不足の深刻化
介護用品などの物価高騰
負担が重なり、多くの事業者が耐えきれなくなった形だ。
倒産数をサービス種別や原因別に見ていくと、さらに厳しい現実が浮き彫りになる。
特に倒産が多かったのは以下の3つのサービス。
訪問介護:86件(全体の約48%/前年比21.1%増)
→ 介護報酬のマイナス改定とヘルパー不足が直撃
デイサービス・短期入所:55件(前年比34.1%増)
→ 競争が激しく、淘汰が進む
有料老人ホーム:17件(前年比2.1倍)
→ 低価格の新規参入が影響
倒産の原因別に見ると、
売上不振:133件(前年比27.8%増)
赤字の積み重ね(既往のシワ寄せ):15件(前年比150%増)
経営の失敗(甘い事業計画など):15件(前年比400%増)
と、単なる売上減少だけでなく、経営戦略の甘さも倒産に直結していることがわかる。
倒産した事業者のほとんどは、小規模・零細クラスだった。
資本金1,000万円未満:157件(構成比87.7%)
従業員10人未満:149件(構成比83.2%)
負債1億円未満:144件(構成比80.4%)
資本金1,000万円未満の倒産が約88%を占めており、規模が小さいほど、外部環境の変化に耐えきれないのが現実だ。
厚生労働省によると、2024年9月時点の介護職員の平均給与は33万8,200円。報酬加算により、前年より1万3,960円上がった。
しかし、全産業の平均給与より月8万3,000円も低いため、依然として人材確保は難しいままだ。